強引
進藤一生×香坂たまき


進藤は不意にたまきを引き寄せ強引なキスをする。
たまきが顔を背けようと身を捩るも細い顎を捉えられ、強引な口付けは続く。
一生の舌がたまきの口内を貪っていた。

「んんっ…やめっ…」

たまきの抗議の言葉は長く続かない。
息継ぎさえ許されぬような深い口付けに、体の力は抜けていくばかりだった。
ようやく唇が離れ、肩で何度も息をする。

「ここ職場…っっ!」

声を震わせて必死にその身体を押し返そうとするも、身動き一つ取れない。
何度も否定を唱える唇をそのたびに黙らせる。
指を滑らせ、スカートをたくし上げると下着を引き下ろした。
たまきの顔色が変わる。

「・・・ぁ・・・!」

思わず引きつった声を出すと一瞬、一生はたまきを見た。
しかしそれと同時に軽く脚を開かれ、下半身に行為が及ぶ。
たまきの身体は意に反し、進藤の指を難なく飲み込んだ。
ぴくんと身体を逸らせて、上ずった声で必死に訴えかける。

「あっ…!だめ…っヒトが…」

人が来たら、と涙目で訴えるも聞き入れてもらえず、行為は増すばかり
進藤の肩越しから見える扉に、たまきは息を詰まらせた。
いま、あそこが開いたら。
誰かが入ってきたら・・・
そう思い、力の入らない手で最大限の抵抗をする。
進藤はたまきの抵抗など何でもないように行為を続け、意地悪気に笑う。

「一生!・・・誰かきたら・・・!」

その言葉に、進藤の指が止まる。

「・・・きから、何だ?」
「・・・何だ・・・っ・・・て」
「じゃあ来ない事を祈ってろ」
「…ぃやっ…!いっせい…んんっ…!」

ニヤリと口を歪めるように笑った進藤はたまきの片足を持ち上げ、固定する。

「いくぞ」

びくりと怖じけるたまきにそう短く声を掛け、一生はたまきのなかへと己を進めていった。
ろくに慣らされないままに彼の熱がずぶずぶと沈められて、引き裂かれるような鋭い痛みに、首筋にかかった一生の手を握り締めた。

「・・・い・・・ッ、・・・いやあ・・・っ・・・」

無意識に首を振る。

「んんっ……おねがっ…」

吐息を感じるほど近くにお互いの顔がある。

「やぁっ…あっ……!」

ぼんやりとした視界にその姿を映して、たまきは息を詰めて一生を見た。

「見られたくないんだろう?早く終わらせてやる」

何一つ抑揚の無い声。
冷たく平常を保ったままの表情。
唇が近づいてきて、耳もとに軽く当たる吐息。

言葉を発して、たまきが目を見開く間もなく、身体を傾けて一生が一気に最奥まで貫いた。
声にならない悲鳴が一瞬響いて、その後は、塞がれた唇に逃れられない衝動だけが反響する。

擦れる感触。
脳幹に響く痛覚が快楽に塗り潰されて、何もかも分からなくなる。
穿たれる感触と、そのリズムが増して、互いの限界が近いことを悟らせる。
甘い嬌声と名前を呼ぶ声に軽く陶酔しつつも、行為自体は最後の段階に入っていく。

「……もうっだめ……ぁっ……あぁ…」

たまきの声の感覚が次第に狭くなり、声も一層高くなっていく。
すべてを手放す刹那、たまきはぼんやりとしか見えない一生の表情を仰ぎ見ると、最後の抵抗をその身体に遺した。






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