進藤一生×香坂たまき
![]() 「もう我慢できないんだ。諦めろ。」 そう耳元で囁くと耳朶を甘く噛まれ唇が首筋を伝い鎖骨を舌先でなぞられ、 それと同時にワンピースのファスナーを下ろし背骨を辿る様に撫上げられた。 その動きに合わせて這い上がってくる感覚を、眼を閉じて耐える。 もう一度、今度は首元から背中を覆うように大きな手のひらが腰の辺りまで ゆっくりと下げられ、顎が上がる。吐息が漏れてしまいそうで唇を噛締め、 彼の両腕を強く掴む。すると、啄ばむ様なキス繰り返され、眼を開けると 頬を擽る様に撫でて諭すように力を抜けと言われた。 そして今度は深く口内を侵食し始めると同時に服を脱がされ下着だけの姿に されてしまう。恥ずかしさに身を捩るも更に深く強く捕われて漸く 唇を解放された時には息が上がっていた。自分一人で立っている事も出来ずに 崩れそうになり、しがみ付く様に回した腕にも力が入らない。 今まで、キスだけでこんなに感じたことなんて無い。 一体自分はどうしてしまったのだろうと軽く混乱してしまう程に過去の経験では 全てが有り得ない今の状況に泣き出しそうになる。 そんな私の困惑が伝わったのだろうか、力の入らない私の腕を解き優しく抱きしめて 子供をあやすように軽く体を揺すって頭を撫でてくれた。 そうして抱き上げられ、そのままの形で彼がベッドに腰を下ろすと膝の上に乗る形になった。 「たまき。」 名前を呼ばれただけでビクリと体が反応する。返事すら上手く出来ない。 「――な、に・・・?」 そんな私に苦笑を漏らしながら俯いた私の顎を掬い自分の方へ向かせると、 頬へ瞼へ鼻先へとキスをくれる。 「そんなに緊張すること無いだろう?まるで初めてするみたいだな。」 「あなたとは、初めてじゃない・・・。それに緊張ってゆうか、 それもあるんだけど・・・違うのよ。なんて言うか・・・」 はぁ、と自分の不甲斐無さに溜息をつき頬を包む手を取る。 「どうしたら良いのか分からないのよ。この手があなたのだなんて、夢なんじゃないかとか、ね?」 「とか?」 「だから、・・・私、どこかおかしくなっちゃったみたいで、その・・・ごめんなさい。」 優しい声と眼で促さても、彼の声や眼差しでさえも感じてしまう自分に 戸惑っているだなんて言えない。 「謝らなくていい。ーまあ、要するに嫌な訳でも、怖い訳でも無いんだな? 今、お前に触れているのは確かに俺の手で夢じゃない。」 そう言った次には、彼に組み敷かれ下着に手を掛けられ全てを取り攫われてしまった。 「・・・違う意味では怖いんだけど・・・。」 咄嗟に胸元を隠す為に上げた両腕は彼に捕まれ、小さな声で反論すると 顔を背けギュッと眼を瞑った。 「悪いな、手加減出来なさそうだ。」 胸を肩を腰骨を嬲る様に掌で、唇で、舌で辿られて肌が粟立つ。 もう一方の手で腿の外側を膝辺りから撫で上げられおへその周りをくるりと 指先で円を描くようにしその窪みを舐られた。 「んっ・・・ひゃっ!」 思わず声を上げてしまう。胸の先端に吸い付かれ、 片方は捏ねる様に柔らかく揉まれ、声を抑えることが出来い。 「ふぁ・・・ん、あぁ・・ぁ・・・」 手の甲を唇へ押し付けて懸命に声を押し留め様とする私を見やり、彼は笑う。 「我慢しなくいい。もっと聞かせてくれ。」 「やぁ・・・んんぅ・・あっ・・!」 手を外され唇を塞がれると内腿を擦られた。 先程から切ない疼きを覚えているソコには触れないでその近くをゆるゆると 撫で回される。 もう熱いものが溢れているというのに零れて伝うそれを 拭いはしてくれるも肝心な所へは一向に触れてはくれない。 「すごいな、こんなに零れてる。」 「やっ・・・言わないでよ。」 けれども今度は片足を持ち上げられ指先から脛、膝と順番に唇を寄せ始めた。 もう体はどうしようもなく次の刺激を求めて震えているのに彼は悠然とした 微笑を私に向けて体中へ愛撫を続ける。 「んふぅ・・ぁん・・・ああっ、やぁ・・はぁ、あぁんっ!」 シーツを握り締め必死で耐えるも、ほんの少し触れられただけで体の芯へ 電撃が走ったように快感が昇る。早くもっと強い刺激が欲しくて無意識の うちに腰を揺らしてしまう。 「ね・・ぇ、お願い・・・もう、ダメ。―もう意地悪しないで・・・」 彼へ手を伸ばし懇願するしかなくなり、肩口へ額を寄せ縋る様に首へ手を回す。 「しょうがないな、お前は。」 そうやって意地悪そうに哂った彼は、その長い指を私の中へ浸した。 「あぁ・・・!」 腰が浮き背中が反る。 中へ挿れた指は動かさずに親指で一番敏感な部分を擦る。 緩やかな指の動きに翻弄され始め、何も考えられなくなる。 胸を貪っていた唇が徐々に下りてソコヘキスをされ身を捩る。 「やぁ!や・・めて・・・ダ、メ・・・あぁ・・」 「逃げるな。ホントにやめるぞ?」 面白そうに言うと、更に舌と指とで私を玩ぶ。 もう体は限界で切なさに満たされ涙が零れる。 彼の頭をかき抱き髪に指を絡めて哀願する。 「お願い・・・もう、わ・・たし・・・、ねぇ・・?」 「そうだな、そろそろ限界か?イかせてやる。」 その瞬間、2本の指が入り口と奥とを別々に掻くよう突き動かされ、 舌で先端を強く吸われ、散々焦らされた体はあっけ無いほど簡単に イかされてしまった。 体の奥のほうから伝わる痺れが白くぼやけていた視界と 乱れた呼吸が戻ると共に落ち着いてくる。 そぉっと眼を開けると彼がこちらを見て優しく微笑む。 「大丈夫か?」 大丈夫じゃないわよ!と答えようとして、はっとなる。 その事実にひどい羞恥が込み上げて体中が赤くなるのが分かった。 シーツを引き寄せ彼の視線から逃れるとやっとの思いで口を開く。 「何であなただけまだ服着てるのよ?ずっと私だけ良いようにされて、 そんなに余裕でムカツクわ。」 「これでも余裕は無いんだがな。だから手加減してやれなかった。 お前の反応があまりにも可愛すぎて服を抜いでる時間が惜しかったんだ。」 「な・・なんてこと言うのよ。・・・お前はやめて!」 彼のセリフとは思えない事をサラリと告げられ照れて可愛気の無いことを言ってしまう。 「まだ、終わってないぞ。覚悟しろよ?たまき。」 肌蹴たシャツを脱ぎ捨てベルトへと手を掛けた彼が名前を呼ぶ。 それだけでもうズキリと疼く体は拒否することなど出来ない。 一度上り詰めたせいで簡単に堕ちてゆく私を自分の上に正面から 抱きかかえる様に座らせると、あっと言う間に彼自身に貫かれていた。 下から突き上げるように揺すられ肩に背中に爪を立てて背を弓なりに反らせ 今度は彼と一緒に迎える絶頂に幸せを感じながら白く霞んでゆく意識を どうする事も出来ずに果ててしまった。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |