進藤一生×香坂たまき
![]() 行為の後、深い眠りについている彼女。 その安らかな表情を見ていると先程、妖艶に誘われた人物とは思えなかった。 吐息を聞きながら彼女を見ていると、胸が傷んだ。 散々触れて、唇を寄せ、味わった肌なのに、まだ欲しい。 体制を変え、彼女の頬にそっとキスを落とし 右手で彼女を抱き寄せ、胸の中に収める。 抵抗もなく自分に全身を預ける彼女に 愛おしさが溢れ、彼女の頭に頬を押し付ける。 少し抱く力が強かったのか、彼女が身じろいだ。 焦って力を緩めると、彼女は自分の右頬にあたる暖かい感触に擦り寄る。 何かを確かめる様に唇を当て、小さく呟いた。 『… 。』 神様なんて、信じてはいない。 けれど、この瞬間。 『嫉妬の神』だけは存在するだろう、と そう思った。 「…ふっ…ふぐぅ…!」 くぐもった声が、猿轡の代わりにと、咬まされた布はしから漏れる。 羞恥と快楽で頬は熱を帯びたように赤く、溢れた涙が、耳の中にまで流れ込む。 塩分を含んだ涙が、真っ赤に染まった耳朶に触れ、痛い。 耳も首も頬も、全身を彼に舐められた。 皮膚の水分が無くなるほど吸われ、どこもかしこも触れると痛い。 口の中で彼の名前を呼ぶが、きちんとした声にはならず、低い音が出るだけだ。 「もうやめて」と何度も願うが、彼の動きは止まらない。 それどころか、益々動きは早くなる。 彼女の敏感な場所に入れられたバイブだけが、疲れる事を知らず、無機質に動いていた。 彼女の両手は頭の上で縛られた上、ベッドの柱に括りつけられ、彼女の動きを止めている。 寝巻きを胸までたくし上げ、露わにさせた胸。 その二つの膨らみも、赤すぎる跡が幾つも刻まれていた。 彼女が玩具の動きに反応し、腹をくねらせる。 小刻みに震える腰が必死で逃げようとするが、膝を折られ、両足を広げられたまま 束縛されていては動き様がなかった。 無防備に開いたままの彼女の下半身を、彼は眺めていた。 使った事のない玩具を使い、彼女を犯す。 彼女もバイブの感触など知らなかった。 今や進藤の体だけを知っていた場所に、無理矢理、ねじ込まれたのだ。 その感触で目が覚めた。気がついてみれば、下着は剥ぎ取られ、 体を束縛されていた。 いきなりバイブを挿入され、彼女は傷みを訴え叫んだが、彼は薄く笑った程度だった。 その後の彼の言葉を覚えていない。 だた、真っ白になる頭だけを感じた。 無意識に濡れてゆく体だが、心がついてゆかない。 無機質なモノで激しく攻め立てられ、ただ勝手に体が仰け反るだけ 仰け反った頤に、彼の笑いが振ってきた。 「…始めから、コレを使ってやればよかったな…」 言葉を投げかけながら、なお、バイブを激しく動かす彼。 そんな彼の態度が震えをもたらすほど恐い。 何故そんな事を言い出すのか、彼女には分からなかった。 眠りにつく前には、あんなに幸せに抱き合ったのに。 何故、彼はこんな事をするのか? 彼に犯されながら、たまきは思った。 涙だけが溢れ、体の中を哀しみが満たす。 そんな変化に気付いてか、進藤はたまきの目前に座りこむ。 冷めきった心と体のまま 彼女の顔を覗き込む。 が、決して嫉妬心から開放された訳ではない むしろもっと目茶苦茶にして自分の事を刻み付けてやりたい 他の事を考えるなど許さない… 進藤はバイブを右手で握りしめるなり激しく秘部を攻め立てる。 「ああ−−−!」 振動したままの玩具を激しく動かされ、彼女は今まで以上に甲高い声を上げた それでも彼は何も感じなかった。 直接触れていないからだろうか?そう頭を過ぎるも 彼女の膣の中の熱さを知っている。 熱くて熱くて、溶けるほどなのに… 何も感じなかった。 だから今、彼の体にも、何の変化も無い。 何時もなら体中で彼女を感じ、熱が吹き出るほど快楽に支配されるのに。 今は違う。 冷めた体でもただ彼女に教え込みたかった 「……」 耳元で囁き、彼女の目を見つめる。 月明かりだけの部屋の中 薄っすらと彼女の顔が見える。 涙で腫れた顔。口を封じられて、何かを言いたいが言えない、悲しそうな顔。 彼女に視線を合わせ、もう一度静かに囁く。 「お前は誰にもやらない…この身体も…心も」 彼の言葉の何処をとっても理解出来なかった。 反論しようと目線で訴えるが、彼はすでに首筋に顔を埋め、意思を伝える事が出来ない。 彼は何かを誤解している。 何故かは知らないが、嫉妬にかられているのだ。 だけどたまきには何をもってして、そんな考えをしているのか分からない。 時折激しく嫉妬する彼。 激しくて、激しくて、傷ついて痛い。 滅多に見せないそんな彼の感情の高ぶりに恐くなるが たまきはそれをも受け止める 自分の心は彼のものなのに・・・ 彼は、嫉妬に駆られるとそんな事は忘れてしまうのだろうか? たまきは悲しくなった。 触れられているのに、彼の心が冷たい。 彼の体の一欠けらまでも自分のものだと思うのに。 彼の方が遠ざかる。 それならば私の全てが貴方のものだと思わせる事が出来たなら… 彼女は、そう思った。 胸の中で灯ったものに従い、彼女は自分の体を寄せた。 ほとんど動きを封じられているままに、体をくねらせ、彼に密着する。 彼の体が熱くなるように。 彼の心が感じるように。 彼が感じる場所に体を寄せる。 撫でるように。 啄むように。 吸いつくように。 全身で彼の肌を愛撫する。 熱くなる彼女の体と態度に、彼が唸った。 悶えるように蠢く彼女の肉体。 そんなたまきの行動に驚くも、心の中は今だ嫉妬が支配している。 そんな風にしたら許して貰えるとでも誰かに教わったのか 勝手に繰り広げられる想像に、思わず彼女の瞳を睨む。 が、睨んだ先の瞳は輝いている。 彼女の涙は乾いていた。 もう、霞んだ瞳でもなかった。 そこにあったのは、清んだ瞳 信じて。 そんな声が聞こえた気がした。 瞳の強さに、一瞬で飲み込まれ、捕らわれる。 彼の口からうめき声がもれた。 震える唇で口づけしようとするが、自分が施した布が邪魔で出来ない。 乱暴に外し、彼女の唇に吸いつこうとしたが、彼女の方が早かった。 進藤の首筋に吸い付き、痛いほどに噛み付く。 ゾクリと背筋に電流が走り、痛みと快楽に歯を食いしばる。 震えながら、彼女の体に覆い被さり、その感覚に酔いしれる。 しっかりと密着した体が彼の感覚を刺激する。 うねる彼女の肉体に合わせ、彼の肉体も動き 噛まれた場所が激しく脈うつ。 ドクドクとした動きが自分でも分かるほどに弾む。 序々に熱くなる体。 何時の間にか右手は玩具をも引き抜き、秘部から離れていた。 頭の上で組まれた彼女の腕に絡まれており 愛液に濡れたその場所には、彼の敏感な部分が押し当てられる。 静まりかえったその場所を、誘うように、彼を愛撫する動き 擦るように当てられる秘部の熱を感じた。 その熱に包まれたいと素直に思う。 ゆっくりと顔を近づけ、唇を合わす。 震えを止めようと、お互いが強く唇を押し付ける。 堰をきる様に口づけをかわして 乾いた喉を潤す勢いで彼女は彼の唾液を飲み干す。 乾いた心を潤す様に、彼は彼女を貪った。 彼の敏感な部分が脈打ち始めるのが分かる。 体の中に熱が篭り始めるのが分かる。 冷たく、哀しくなった気持ちが徐々に薄らいでいく 彼女の気持ちの中に包まれているのが分かった。 唇を離し、たまきは進藤の瞳をもう一度、覗き込んだ。 彼の瞳の中に、まだほんの少し残った哀しみをたまきは感じた。 「…お前…自分が何言ったか自覚ないだろう…?」 眉根にシワをよせる彼の態度に、抱きしめたくなる。 だが、まだ両手は束縛されていて出来ない。 そんな彼女の耳元で、彼が呟いた 「オレの腕ん中で、二度と他の男の名前なんて呼ぶな…」 彼の台詞に、反論したいが出来ない。 誰の名前を呼んだというのだろうか?彼女には見当もつかないからだ。 夢を見ていたのかもしれない。 何か心に蟠る事があったのかもしれない。 けれど、それは特別な存在として呼んだものではないはずだ。 「ごめんなさい…」 擦れた声で謝った。 彼女が謝る必要は無かった。 だが、彼女は謝った。 自然と言葉が口にでていた。 彼女の言葉に、彼が唇を噛んだ。 泣き出しそうな表情を一瞬だけ見せ、彼は無言でそのまま彼女の上に覆い被さると、一気に中に収まる。 「あぁぁぁ!?」 貫かれたたまきの体が、大きく仰け反る。 広げられた両足に手を置き、彼がもっと深く包んでもらおうと進入する。 「あっ…!あっ、あっ!」 深く突きを繰り返す進藤の動きに、たまきの甘い声が続く。 彼の熱をもった一部を感じ、彼女の中の熱も上がる。 彼が自分の中で脈打つのが分かった。 熱を出しながら固く、太くなってゆく様を自分の中で感じた。 「ぁ…!一生のっ、じゃないと…嫌…」 バイブを無理矢理挿入されていた事を思い出し、たまきが泣き声で訴える。 言葉と表情に欲情させられながら、彼は律動を始めた。 両足の上に彼女の腰を置き、深く深く打ち付ける。 彼女の奥まで突き当たるほどに打ち込み、彼女を鳴かせる。 たちまち響く彼女の秘部から溢れる液の音が、進藤を狂わせる。 愛液という潤滑油が溢れるたび、快楽が与えられる。 激しく、強く感じ、痺れる様な感覚に頭が霞む。 これ以上ないほどに秘部に密着させ、進藤はたまきを抱いた。 小刻みに腰を振り、彼女の中を擦る。ベッドに押し付けるように律動すると 「……激しっ…!」 彼女が強すぎる快楽に頭を振る。 その様子に、彼はさらに腰を密着させ、押さえつけるようにして彼女を貫く。 「やあぁぁ!っ…!!」 ブルブルと震えながら彼女は快楽の声を漏らした。 絶え間なく、聞こえる喘ぎ。 彼の体の下で鳴く彼女の声が、暴力的な欲望を掻き立てる。 快楽に狂ってゆく、たまき。 バイブで犯していた時とは明らかに違う反応に、彼は優越感を感じた。 自分の「生」の部分に酔う姿。 乱れる愛しい人の姿が、自分を狂わす。 「全部お前のものだ…持ってけ」 さらに深く挿入しようと、進藤が腰を振る。 「ひっ…もう……無理…それ、以上入ら…ない!」 これ以上入らないという位置まで届いているのに、彼の欲求は止まらない。 縛った足の紐を解き、進藤はたまきの体を横に向け、片足を肩に担いだまま打ち突ける。 挿入角度を変えられ、たまきの体が痺れたように仰け反った。 より深く貫かれ、恥も外聞もなく快楽の声を漏らす。 彼女の声に負けないほどに、ベッドが軋み、彼の激しさを表した。 息も絶え絶えの彼女の表情を見ながら、彼は小さな動きの激しい突きを繰り返す。 結合した部分から、飛び出す様に愛液が噴出す。 二人の体液が、照らつきながら流れ、シーツに大きな染みを作り上げる。 彼女の腰が小刻みに、うねりだす。 律動に耐えられなくなり、果てそうなのだろう。 彼はそれを承知で、突きを繰り返す。 変わらぬ激しさで彼女を犯す。 激しく突かれながら、彼女は満足そうな表情だ。 愛する人の気持ちを感じ、思いのままに抱かれ、彼女は満足だった。 そこまで来ている快楽の終焉に身を任せて行為に酔う。 ビリビリとする刺激が子宮から流れる。 彼の方を向き、律動を止めてもらおうと嫌々をするように頭を振るが、彼は止めない。 彼からの刺激に、大きく腰が震え、彼から逃れようと無意識で動くのを、彼の両手が止める。 「…ひっ!ん・・ぁあ!」 彼女の口から食い縛った声が漏れた。彼女の限界が近い。 だが進藤の律動は止まらない。 それどころか、しっかりと腰と足を固定され、快楽を逃がせない体勢にされた。 恐さに身をよじる。その動きを進藤が止める。 最高に快楽を感じる体勢で抱かれる。 あまりの快楽に、たまきの意識が飛びかける。 悲鳴に近い声を出したと同時に、ビクンと体が跳ねた。 たまきの達した声が部屋中に響く。 だが、激しい快楽で擦れた音にしかならず、進藤の耳に 聞こえただけのものだった。 膣の中の彼を締め付けながら、彼女の体が跳ねる。 何度も快楽が訪れるのか小さく悲鳴を上げ、仰け反る。 その仕草に、壊したい欲情が進藤の中に芽生えた。 彼の陰茎は萎える気配がない。 それどころか欲望が増してゆくばかりだ。 彼は、震える彼女の中で律動を止めずに抱く。 彼女が達している事を無視し、短く、激しい突きを繰り返す。 「ひあ…!」 と彼女が叫んだ。 大粒の涙を流す彼女が止めてくれと悲願している。 逃れようと体を動かすが、彼は彼女を抱きしめ離さない。 「まだ全部、お前にやってない」 進藤の言葉に、たまきの瞳が見開かれた。 暴れる彼女の体を全身で止め、耳元で囁いた。 「もっと、もっと、お前にやる…」 進藤の瞳に見詰められながら、たまきは何度も抱かれた。 夜の中に光る太陽から逃れることが出来ず、彼女は捕らわれた。 月の光の中で震える彼女と一つになりながら、 彼は存分に自分の中の「嫉妬心」を彼女の中に吐き出していったのだった。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |