進藤一生×香坂たまき
![]() 「熱は下がったか?」 「えぇ、もうだいぶいいわ・・・でも身体はまだ熱いの・・・だから触って、鎮めて?」 そう彼女に囁かれ、いつもより一層熱いその身体に愛撫を施した。 負担を掛けないよう早急に たまきを穏やかな高みに押し上げた後、進藤は布団をかけようと手を伸ばすと 彼女がその手を掴んできた。 「・・・どうした?」 進藤がそう言うと、彼女は彼の顔を覗き込み、いまだ快楽の余韻が残っているかのような 妖艶な笑みを浮かべると彼の胸に手を滑らせてきた。 その感覚に、進藤の体がゾクリと震えた。 彼は、どうやら彼女のこの手に弱いようだった。 「次は、あなたの番・・」 彼女が、かすれた声でそう言った。 進藤は、一瞬なにを言われたのか分からなかった。 「え?」 たまきは、怪訝な顔をしている進藤の顔を見つめながら、僅かに上体を離すと微笑んだ。 乱れた長い髪が彼女の顔に纏わりつき、笑みを浮かべる唇は僅かに開いている、その表情は 堪らないほどの色香を漂わせていた。 進藤は息を呑むと、目の前の彼女を食い入るように見つめた。 クスリ・・と たまきは小さく笑うと、彼の胸にキスを落とす。 サラリと彼女の髪の毛が肌をなでた。 その唇が滑らかに、下へ滑っていく。 進藤は、思わず目を閉じて、その感触に酔いしれそうになったが彼女の次の行動にハッとし 慌てて上体を起こすと彼女の肩を掴み引っ張り上げた。 「なに・・してる・・」 彼女は妖しく笑う。 「なにを、してるかって?あなた・・・言葉にして欲しいの?・・・そういう趣味?」 「趣味・・って・・そうじゃなくて・・」 進藤は、まいったというように手で目を覆うと、彼女がその手を掴み自分の唇に寄せた。 その指に彼女の舌が優しく絡まる。 進藤は軽い眩暈を覚えた。 ・・・一体、この目の前の女は俺をどうしたいのだろう ・ ・・どこまで俺を狂わせれば気が済むのか・・・ 「嫌なの・・?」 その囁きさえも、なんて官能的な響きなのか・・・ 「嫌なわけ・・・ただ、病み上がりのお前の体が心配なんだ・・・」 そう、きっと今日の彼女がいつもはしないような行動を取るのは発熱があったせいだ・・・ いつもより少し熱いこの手も、吐息も 発熱後の余韻・・・ これ以上俺を狂わせないで欲しいのに 「いま、させてくれないなら、ずっとしてあげないわよ・・」 そう言うと、彼女は進藤の唇にキスを落とすと囁いた。 「大人しくして・・」 進藤は観念するしかなかった・・・ こんな彼女に逆らえる男がいるだろうか。 体中にキスを落とされ、甘い痺れが広がっていく頃 彼女が恐ろしいほどの妖艶さで彼自身を唇で愛し始めた。 彼は眉を寄せ、硬く目を閉じると震えそうな唇から甘い吐息が漏れる。 どうしようもなく熱くなっていく自分を抑えるように彼女の髪に指を潜り込ませた。 彼女の舌が絡まり、なぞりあげる感触に堪らず声を上げそうになり なんとか抑えているとその気配を感じたのか 彼女は嬉しそうに笑うと、その唇に力を込めた。 彼が彼女を愛する時の動きのように、彼女が動き始めた。 進藤は堪らず片手で目を覆うと彼女を見ないようにしたが 何度も何度も、その淫らな唇の動きが彼の欲望を限りなく刺激し どうにも我慢できずに視線を下げた。 彼は見なければ良かったと後悔した。 そこには妖艶な姿を露にした女神がいたのだ ・ ・・いや、悪魔かもしれない 一気に、彼自身の欲望を解放したくなる欲求に襲われ、進藤は目を硬く閉じた。 「も・・いい。やめるんだ・・たまき・・頼む・・」 彼の呟きを無視した彼女は、あろう事か、手を添えながら唇の動きを早めると いとも簡単に彼の欲望を解放してしまったのだ。 彼女の艶やかな顔が浮かぶ 「気にいった・・?」 こちらを覗き込んできたたまきを、進藤は堪らず抱き寄せた。 「ああ・・ホント、堪らないなお前は。俺をこんなにして・・呆れるぐらい、ひどい女だ・・」 そんな彼を彼女はじっと見つめると微笑んだ。 「愛してるわ」 その眼は今にも泣き出しそうに潤んでいる。 「ああ・・俺もだ・・どうしようもないぐらい・・愛している」 進藤は声が震えないように囁くと、彼女を一層、深く抱きしめた。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |