彼のペース
進藤一生×香坂たまき


いつもそうだ…
気が付けばいつも彼のペースにハマってしまっている。

身体を這いまわる武骨な指。
それが紡ぎ出す甘美な波から、どうにかして逃れたくて
上がる吐息を聞かせまいと、たまきは先程から必死に唇を噛締め、耐えていた。
が、そんなたまきの思惑を知ってか、進藤がニヤリと笑う。

「……何を我慢してるんだ?」

そう言われ、たまきは与えられる快楽に潤んだ瞳で、キッと進藤を睨み付ける。

「そんな眼で睨んでも、無駄だ」

それどころか、かえって煽られるだけだと教えられると
たまきの顔に悔しさと困惑の色が浮かぶ。

「……それとも、俺を挑発してるのか?」

そう言いながら、進藤はたまきの耳に舌を這わせる。
わざと音を立てるように舐めあげてやると、たまきの身体がビクリと震えた。

「どうなんだ?」

耳朶を唇で挟み込み、そっと歯を立てる。

「……っんっ」

その刺激に耐えられずにたまきが吐息を洩らすと、進藤はほくそえんだ。

「聞かせろよ……お前の、イイ声」

「……やぁっ!」

たまきの肌の滑らかさを楽しんでいた指が、たまきの秘められた場所に触れる。
薄い叢を掻き分けて触れた花芯が、その奥から滲み出る蜜で
しっとりと濡れている事に気づくと、進藤は満足げな笑みを浮かべる。

「……嫌がってる割には、随分、濡れてるじゃないか」

ちゅぷり、と溢れる蜜を指に掬い取りわざとらしく音を立ててやると
羞恥の為にたまきの花弁がヒクリと震える。

「…嫌、がっ…てるんじゃない、の……ダメなの……解って?」

「そういいながらも、もう、欲しいんじゃないのか?」

ヒクヒクと震える花弁を割りそっと指を差し入れるてやると
たまきの身体が、まるで電流が走ったかのように跳ねあがった。

「あぁっ…!」

「……絡みついてくるぞ?」

自分の裡へと入り込んできた進藤の指にたまきの熱い肉壁が
もっともっと、とせがむ様に絡みつく。

「……素直になれ」

「やぁ…!…あぁっ…ん…」

「……欲しくないのか?」

そう言いながら、進藤はたまきの中へ差し入れる指の本数を増やした。

「言えよ。……俺が欲しいってな」

指先を円を描く様に動かしながら、更に奥へと動かしてやる。

「だ……めぇ……」

意地悪な言葉とは裏腹に、優しすぎるほどの甘い愛撫。
その甘さに流されてしまいそうになる自分を如何にかしたいのか
たまきは必死に頭をふる。

「…欲しく…ない……っ!」

与える愛撫には敏感すぎるほどに感じるくせに
いつまでも頑なに自分を拒むたまきの姿に、進藤の表情が曇る。

「……一体、何が気に入らないんだ」

「…そ…じゃない…今日…は……だ…め…っ…なの…」

切れ切れに紡がれるたまきの言葉に、進藤の動きが止まる。
これほどまでにたまきが嫌がるのは、そういう事か。
やっと得心がいった進藤は小さな笑みを浮かべる。

「……悪いが、そいつは聞いてやれないな」

それだけを言うと、進藤はたまきの脚を大きく割り広げ、怒張した己を押し当てる。

「や……ダメだ、ってば!ぁ…っ…あ…ぁ…」

少しでも逃れ様とするように上へと這いあがるたまきの腰を押さえつけると
進藤は己自身を一気に突き入れる。

「ああぁっ……あっ……はぁっ……」

与えられた愛撫に既に充分過ぎるほど潤っていたそこは
少しの苦もなく進藤を飲み込むと、更に奥へと誘い込もうとするように蠢く。

「…はぁ……ん……ぅ……!」

堪え切れずに、たまきの口から嬌声が上がる。

「……そうだ、それでいい」

そんなたまきの様子に満足した様に笑うと
進藤はゆっくりと腰を動かし始める。

「あ……あぁんっ……ぁあっ…」

熱く絡みつく内壁を抉る様に突き上げてやると、止めど無く声が上がる。

「…もっと……イイ声で啼けよ」

そうたまきの耳元で囁くと進藤はまずはたまきが達するように
たまきの感じるポイントばかりを突いた。

「ひっ…あ!あ…あぁぁ…っ!…もう……」

すると進藤の思惑通り、たまきはすぐに限界を訴えた。
「ああ、イかせてやるさ」
そして今までより激しく突いてやるとたまきは悲鳴に近い嬌声をあげて達した。

はぁはぁと肩で息をするたまきを少し休ませてから
今度は自分が達する為に己を動かす。

「自分だけ達って終わり、なんて思ってないだろうな?」

「やっ!これ以上は…本当に、ダメ!!…もう許して……」

そんなたまきの言葉を進藤はあっさり無視して
今までより更に激しく突き上げる。

「くっ…」

暫くすると進藤の小さなうめき声の後に
自分の中で進藤のモノが脈打っているのを感じ、たまきは目を見開く。

「やっ…?!中はダメぇぇ!!」

それでも進藤は引き抜く事をせずに
最後の一滴までたまきの中へと注ぎ込む。

結局、拒み切れなかった。
先ほどの余韻がまだ冷めきらぬ身体を抱きしめながら、たまきは小さな溜息をもらした。
今日だけは、絶対に流されてはいけない事だったのに…。
それなのに。

進藤が自分に触れただけで、もう、拒めない。
―――否。
見つめられただけで、もう、自分には拒絶する事なんて出来ないのだ。

……でも、本当に今日だけは意地でも拒まなければ行けなかったのに…。

「……お前は、嫌なのか?」

そんな事を考えていると、隣りで眠っているとばかり思っていた彼に不意に声を掛けられ
驚いた様にたまきは顔を上げる。

「……な…に…?」

「……嫌なのか?」

それまでとは雰囲気の一変した進藤の様子を不信に思ったのか
たまきが進藤の顔を見つめる。

「……答えろ」

「…答えろって…嫌なのか?だけじゃ話がみえないわょ……」

「解ってる筈だ……答えろ」

唸るような声。

「……貴方を直に感じるのは…嫌じゃないわ…けど……今日は……ゴム使わないと……」

出来ちゃうから……
と、辛うじて聞き取れるくらいの小さな声でたまきが続ける。

「ああ。そんなことは知ってるさ」

「……え?じゃあどうして…」

「お前は……嫌なのか?」

「……嫌じゃない、って…さっき答えたじゃない…」

「そうじゃない。お前は、俺の……子どもを産むのは……嫌なのか?って聞いてるんだ」

「え!?!…い…いきなり…何、言ってるのよ……」

予想もしなかった進藤の台詞に、たまきが驚いた様に目を見開く。

「答えろ」

「……貴方は……欲しいの?」

「俺の事はいいから、答えろ」

「…勝手なのね………」

「たまき」

「………欲しいわ、決まってるじゃない」

欲しいか、欲しくないかと聞かれるのなら、答えは一つだ。
心から愛した男の子どもを欲しくない筈が無いだろう。

「……でも、だからって…」

酷く不安げなたまきに、進藤は優しい口付けを降らせる。

「だったら、何の心配もいらない」

「…それって…どうゆう意味?…期待、しちゃうじゃない………」

「俺がどうして最近避妊しないのか、考えなかったか?」

そう言って、進藤はそっとたまきの頬を撫でる。

「俺は……お前に俺の子を産ませたいんだ」

「……う……そ」

あまりの衝撃的な言葉にたまきはそれしか言えない。

「……嘘で、こんな事が言えるか?」

そう答える進藤の頬に僅かに赤みがさしている。

本当にそう思っていてくれたんだ…

「……だって……貴方は……そう言うの……嫌なんだと思ってたから……」

「俺がいつ、嫌だなんて言った?」

進藤が苦笑いを浮かべる。

「……そうは言わなかったけど…でも…そうじゃないとも……言わなかったから」

「…まあ、確かにな」

「……なんだ……そうだったの……」

たまきからそれまでの切羽詰った雰囲気が薄れて行く。

「……よかった」

「……たまき?」

「……もし、今の話しを聞ける前に出来ちゃったら……私…一人で…悩んでたと思う……」

そうはなりたくない
だから、どうしても拒まなければ……
そう思ったのだとたまきはぽつりと呟く。

「……そんな事で、俺がお前を離すと思ってるのか?」

「……一生…」

「…そんな事で悩むな」

「そう、よね。悩む前に……ちゃんと話しておけばいいのよね……」

ごめんなさい、貴方を信じなくて。
そう静かに謝まると、たまきは進藤に擦り寄る。

「いや……そんな状況を作ってるのは、俺の方だろうから、
お前が謝る事ない」

そう言いながら進藤がたまきの細い身体に腕を回す。

「……一生?」

「もう少しだけ待ってくれ……そうすれば、
こんな事でお前が一々悩まないで済むようにするから」

「…?…良く…判らないけど……貴方がそう言うなら……待つわ。
但し、今日は本当に危険日だから出来てたら、待てないわよ?」

そういたずらっ子のように笑って告げるたまきの顔は幸せに満ちていた。

「ああ、解ってる」

その表情を見て、進藤も安心したように笑うと
たまきはゆっくりと目を閉じるのだった。






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