進藤一生×香坂たまき
![]() たまきはこの日を楽しみにしていた。 シカゴに行っていて、長い間逢えなかった彼、進藤一生に会うその日を… 向こうを立つ前にもらった彼からのメール。そこには『空港で待ってる。』 という彼らしい短く簡潔な文章。 たまきはそのメールをみて嬉しさでいっぱいで日本に帰って来た。 だが、空港には彼の姿はなかった。 たまきはその場では『きっと救命が忙しいのだろう』と思い、空港を後にした。 彼に会えると思い久しぶりに救命に帰って来た…… しかしそこには 救命の慌ただしさがなく、静まり返っていた。たまきはおかしいと思い、立ち尽くしていた桜井に 『どうしたの?』 と聞けば、桜井の口からは思いがけない言葉が 『進藤先生が亡くなられました……事故に遭って運ばれて来て、一命を取り留め意識が回復したんですが、容態が急変して……』 桜井の言葉はそこで途切れた。 たまきは進藤の遺体があるという部屋に行く。 そこには白いぬのを掛けられた進藤が横たわっていた。 たまきは直ぐさまに彼の側に駆け寄る。 駆け寄り、彼の身体に縋り付き 『ねぇ、あなたアタシを迎えに来てくれるって言ったよね?どうして? お願いだからもう一度目を覚ましてよ!』 たまきはその場に泣き崩れる。そして彼の手を握り締めようとしたとき、彼の手に何かが有るのがわかった 彼の手に握られていたのは手紙と一枚のCDだった。 たまきは手紙を読む。 『この手紙を読んでいるということは、俺はもうこの世にはいないのだな。 たまき、約束守れなくてすまない。 お前より先に逝くけど、俺はこれから先もずっとお前のそばにいる。 だから悲しまないで欲しいずっとお前らしく生きていって欲しい。そして幸せになってくれ。 これで最後になるが お前を愛することが出来てよかった。』 たまきの目からはは大粒の涙が零れ落ちる。 そして彼の手に握られていたCDを聞く。 ーもしもあなたが淋しい時 にただそばにいる事さえ 出来ないけど なくす痛みを知った貴方 はほかの愛を掴めるそう 祈っているー たまきは涙を拭い、手紙とCDをにぎりしめ部屋を出る。 その心には、ひとつの大きな決心を抱いて…… ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |