淫らな悪魔
進藤一生×香坂たまき


勤務時間はとうに過ぎた夜中の研究室で、たまきはひたすら顕微鏡を覗いていた。
少し目を逸らして溜息をつき、また顕微鏡に向かう。
そんなことをひたすら繰り返しては、思い通りにいかないことに苛立ちと虚しさがどんどん募ってゆく。
はぁ、と大きく溜息を付いて、たまきは立ち上がった。

プルルルルル―――

病院を出たところで、携帯をかけてみる。
出てくれない確率の方がはるかに高い。

プッ

「もしもし」

声が聴こえた瞬間、何もかもを忘れられる気がした。

寝室へ入るなり、たまきは進藤に抱きつき口唇を塞いだ。
突然のたまきの積極性に驚きながらも、進藤もそれに応えた。
進藤の少しかさ付いた口唇を、たまきの熱い舌が縁取るようになぞる。
その柔らかい舌は淫らに湿り気を帯びていて。
それだけでもぞくっと身体が鳴り。
割って入ってきた舌はいつもよりも激しく進藤のそれを求め。
その官能的な光景と感触に瞳も心も奪われていると、どさっとベッドに押し倒された。

「…たまき?」

進藤が訝しげに見上げると、たまきはにやっと不敵に微笑んだ。

どきっ

その微笑みが余りにも美しく、艶かしくて。
目を奪われていると、また口唇を塞がれた。
激しく口付け合いながら進藤がたまきの身体を支えようと手を伸ばすと、するりとそれをかわす。

「?」

たまきの顔はすっと降りていき、徐に進藤自身をぎゅっと掴んだ。

「っ!」

少し硬くなり始めているそれを、衣服の上からなぞってやると、また少し硬くなった。
ジッパーを下ろす。

「おいっ!」

進藤の抗議は聞かず、下着もずらすと、それが露になった。
いつもたまきを愛し満たしてくれる硬く太いそれは、今はまだその3分の1程度の大きさで。

くすっ、とたまきが笑った。
妖しく艶かしく、欲望を湛えた瞳。
いつものたまきじゃない。

進藤は初めて、うっすらと恐怖のようなものを感じた。
たまきの柔らかな掌で直接愛撫してやると、それはどんどん大きく、硬くなっていった。

「可愛い…」

ふっと呟いたたまきの妖しい微笑みにぞくっとし。
次の瞬間、たまきの口唇がその先端に口付けていた。

「…っ…」

指よりも柔らかい刺激に、進藤の身体がぶるっと震える。
口付けは猶も続き、先端、裏筋、根元、両脇の袋にまで何箇所にも及ぶ。

「…ぉい…っ」

進藤の抗議の声を無視し、
先端を舌でちろちろ舐めた。
わずかに進藤の息が漏れる。
意地悪にくすっと笑い、そそり立ったそれの裏筋を一気に舐め上げた。

「…っ…!」

何度も、何度も舐め上げる。
進藤の息が乱れ始めている。
根元を手でぎゅっと掴み、亀裂の入った先端だけをちろちろと舐め始めた。
亀裂に舌を沿わせると、進藤が声を押し殺すのが判る。
何度も何度もそれを繰り返す。

悪魔に思えた。
これ以上ない、美しく、淫らな悪魔。

進藤のものを舐めながら、ちらっと進藤の顔を覗き見る。
息を乱し、声を噛み殺し、いつもの余裕気な彼はそこにはいない。
そっと瞳をやると、進藤のものを舐めながらじっと見詰めてくるたまきは、淫らで妖艶で。

ぞくっ

今まで見たことのない美しさだった。

その妖艶な瞳に命令され。
自らの欲望に耐えられず、進藤は呟いた。

「口に…含んでくれ…」

すると妖艶な瞳がにやっと意地悪く笑い。
形の良い口唇がそっと開いた。
先端を口に含む。
緩やかに上下に動かす。

「………」

雄の生理を解っていながら、たまきは焦らす。
進藤は観念するしかなかった。

「もっと…。頼む…っ…」

余裕をなくした進藤の顔を満足げに見つめ、くすっ、と意地悪な瞳が笑い。
口を大きく開け、進藤のものを奥まで含んだ。
口の中では舌先でちろちろと舐め回しながら、口を上下に動かす。
掌でぎゅっと根元を掴み、それにも緩急をつける。
喉の奥まで届く進藤自身を丹念に舐め、次第に口の動きを早めてゆく。
そっと伺い見ると、いつもの進藤は何処へやら、息を乱し快楽に身を委ねた瞳をしている。
その瞳と、たまきの瞳がぶつかる。
進藤がその瞳に捕まると、たまきはいっそう口の動きを早めた。
そっと先端の亀裂に舌を沿わせる。
甘い痺れが全身を駆け抜けた途端、
悪魔のような甘い舌が進藤を何度もしごき。
限界を感じた瞬間。

「う…っ…」

短く声を上げ、進藤が果てた。
その欲望がたまきの口内に放たれる。
ごくん、と喉を鳴らしてたまきはそれを飲み込む。
一度では足りず、二度喉を鳴らした。
いつもなら、まだ滲み出る液も丁寧に舐め取ってくれるたまきだが、
今夜はそのまま、進藤の身体に馬乗りになった。
もう一度口付けながら、細い指で器用に進藤の衣服を脱がしてゆく。
そして自らのスカートを捲し上げ、ショーツを引きずり下ろすと、まだそそり立ったままの進藤の剛棒に自らの泉をあてがった。
潤み切った其処は、とても熱い。
自ら、進藤の其れにに自分の身体を沈める。

「…ん…」

快楽に身を委ねる暇もなく、すぐに動き始めた。
ゆっくりと腰を回し、自分の良いところを探る。
その官能的な動きに、瞳も心も奪われる。

「ぁあ…あっ…あんっ」

淫らな啼き声を抑えようともしない。
進藤はたまきの腕を上げさせカットソーを脱がせた。
ブラのホックを外すと、ぷるん、と形の良い胸が顔を出した。
たまきの動きは激しくなり、上下に揺れた。
その度に揺れる乳房を、そっと掴んだ。

「あぁっ…っ」

たまきが顔を仰け反らせて悦び、その姿は進藤の雄をそそる。
たまきの動きに合わせ、進藤も律動する。
たまきが悦ぶ場所を、何度も突いてやる。

「ぁああっ…あんっん…ふぅうっん…もっ、とぉ…!」

官能的なたまきに煽られ、進藤は更に動きを早めていく。
ささくれ立った指で、そっと敏感な突起を擦ってやると。

「ぁああっ…!!」

背を弓なりに仰け反らせ、たまきは悦んだ。
突起を擦りながら、更に、とたまきの悦ぶ場所を突いてやると、

「あ…はぁっ…」

きつく締め付けていたたまきの膣内が更に収縮し、達したのが判った。
肩を上下に揺らし、快楽の余韻に浸る瞳は何処か遠くを見詰め。
彼女の中がひくひくと痙攣し、官能的な刺激だった。

ベッドに横たわって並び、たまきはそっと進藤の熱い肩に頭を寄せていた。

「どうしたんだ?」

進藤がそっと柔らかい髪に触れ、呟く。

「…煮詰まった」

たまきがぼそっと呟く。
その瞳は苦しみや苛立ちを訴え、だけどまるで拗ねた子どものように可愛くて。
ここ数日、画期的な発見がありしばらく研究に没頭するから、とたまきが言っていた。
それでしばらく会えない日々が続いていたのだ。
研究はいくつもの細かい作業を繰り返して、何度も後戻りしてやり直して。
非常に神経を使う作業だった。
精神的にも追い詰められる。

「それで、あんなことを?」
「追い詰められると、虐めたくなるのよ」

女王様のような物言いに、進藤は苦笑する。

「俺は、苛立ちの吐け口にされたのか?」
「私のためなんだから、我慢してよね」

傲慢に言うその表情に苦笑しながらも、何故か憎らしい感情は湧いてこない。
いつもとは違うあんなたまきを見られるのは、悪いものではない。
たまきの柔らかい頭を掴み、ぽんぽんと撫でる。

「頑張ってるな、お前は」

そう言って、何度も何度も頭を撫で、滑らかな髪を梳く。
その言葉と掌の温かさに、たまきの胸はきゅーんと鳴った。
仕事第一の女は、男のこういう言葉に弱い。
判っていながらも嬉しさと愛しさが後から後から込み上げてきて。
そっと進藤の逞しい胸に顔を埋める。
しばらく感じてなかった、熱い身体。
そっとその心地よさに身を委ねていると。
この人の欲望も満たしてあげたい。
そんな気持ちになった。

「おい?」
「…抱いて?」

そっと進藤の瞳を見詰める。

「疲れてるんだろ?」

進藤は苦笑する。

「平気。研究ばかりで運動不足」
「…手加減できないぞ?」

あんな姿を見せられたんだからな、射抜くような瞳で呟く。

「朝まで眠らせない。覚悟は出来てるのか?」

その瞳と言葉にぞくりと背中が鳴った。
それでも。
たまきは自分の欲望と感情に素直に身を委ねた。
そっとその顔に近付き、口唇を重ねる。
口付け合いながら進藤がたまきの細い身体を抱き締め、押し倒し組み敷いた。
脳内を麻痺させるような甘く激しい口付けに、たまきの思考はすぐに奪われていった。






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