秋山深一×神崎直 名前を呼んで欲しいと頼むと 彼から飛び出した答えはこんなものだった。 『俺、ベッドの中以外で女を名前で呼ぶ気ないから』 彼に言われて固まってしまった私。 おもしろそうに見つめる彼に思わず私は 「そ・それでもいいです!」 「・・え?」 ・・即答してしまった。 「君、意味わかってるの?」 「それくらいわかります!」 「そんなに呼んでほしいの?」 「はい・・」 彼女の深刻な様子に何か訳があるのだろうと 彼女の決意のほども確かめてみたくて 部屋に促す。 しばらくして観念したように打ち明ける彼女。 「だって・・好きな人には名前呼んで欲しいじゃないですか。」 告白・・なのか? 動揺を隠しつつ 「・・試してみる?」 「はい」 いつものお行儀のいい彼女の返事だった。 本当にわかってるのだろうか。 一抹の不安がよぎる。 しかし、それでもと彼女を引きよせ抱きしめてみる。 びくっと硬直した体と赤くなった頬。 まんざらまったくわかってないわけでもないらしい。 少し体を離し、顎を上に向けて唇を味わって見る。 初めは、そっと触れるだけのつもりだったが 次第に深くなっていく自分を止められなくなっていた。 「・・ん・・っ・・」 勢いよく貪り過ぎたせいか、彼女の目にはうっすら涙が浮かぶ。 いじわるが過ぎたかもしれない。 「やめとくか?」 「大丈夫です。名前呼んでもらいたいです。」 そこまで・・と驚くが 彼女の真っ赤な顔と決意に満ちた表情に 背中を押されるように、彼女をもう一度ぎゅっと抱きしめた。 理由なんてどうでもよかったかもしれない。 服を脱がせながら彼女の首筋に唇を這わせ序所に下がっていく。 時折漏れる息遣いが艶かしい。 胸の頂に唇を寄せるとびくっと体が跳ね上がる。 思わず漏れた自分の声に驚き、顔を赤くさせる。 白い肌にいくつもの印を落とし そのたびに出てくるくぐもった声。 「なんで我慢してるの?呼んであげないよ?」 我ながら意地悪だな、と思う。 彼女はハッとしながら、それでも恥ずかしそうに自分から顔を背ける。 いいけどね。それでも。 そんな意地も時間の問題のはず。 さて、この緊張でガチガチな体をどうしようか。 彼からのキスから数分後。 私は体中で彼の唇を受け入れていた。 彼に触れられるたびに熱くて体の奥から しびれるような初めての感覚が襲ってくる。 自分から発せられる声は、まるで自分のものでないようで それを聞かれるのは、とても恥ずかしかった。 「なんで我慢してるの?呼んであげないよ?」 見透かされたバツの悪さから、彼から視線をそらすことで いっぱいいっぱいだったけど そんな彼がふっと零した笑みにドキリとした。 彼は、いったん私の体から唇を離しそっと抱きしめる。 え?もしかして嫌われちゃった? 不安な表情で見つめ返すと 「あんまり君がガチガチだから」と 答えが返ってきた。 そう、ずっと力が抜けなかったのだ。 初めて襲う感覚、緊張、恥ずかしさと。 素肌の彼の体は、ゴツゴツしていたけど、 少し自分より冷たい体温は気持ちがよくて 「人肌ってこんなに気持ちよかったんだ」と 妙な納得をしてしまっていた。 頬を彼の胸に押し当てると少しずつ安堵感で力が抜けていく。 「大丈夫そう?」 あ、これも彼の気遣いだったんだ。 そう思うとなんだかうれしくて はいと笑顔で返した。 彼女の華奢な体を抱きしめていると 力が抜けていくのがわかった。 無理強いはしたくない。 でも、嗜虐心もないわけでもなく。 左手で胸を弄びながら、秘所に指を這わせていく。 襞の中を動き彼女の感じるところを探っていく。 「・・っ・・・・」 次第に中から蜜があふれ出してくる。 指を動かすたびに卑猥な水音が響きだしてくると 彼女は恥ずかしさにぎゅっと目をつぶった。 「駄目。目開けて」 「え?」 その隙に指を動かすと彼女から嬌声が響き渡る。 「あぁっ・・・・や・・あっ・・っ・!」 彼女の体が弓なりにしなりビクビクと痙攣した。 体の奥が熱い・・ 彼の指が私の中をまさぐって、攻めてくるたびに何かがあふれ出してくる。 水音がくちゅりと響きだすたびに耳を覆いたくなる。 何かが迫ってくるような持っていかれるような感じが 続くと、私はそのまま頭が真っ白になってしまった。 意識を手放していたのは、どのくらいだろう? 目を開けると心配そうに私を見つめている彼の視線にぶつかる。 「大丈夫か?」 「はい・・」 ビクビクしていた痙攣も収まっていた。 自分の体の変化に驚く。 「続き・・してもいいか?」 「え?・・はい・・?」 きょとんとした彼女。 まだ終わってないんだよ、といいたいの押し殺し 愛撫の続きを開始する。 「はあっ・っ・・」 彼女の声もだいぶ素直に上がるようになってきた。 秘所に指を掻き入れ先ほどの襞を再び掠る。 敏感になっていたそこは瞬く間に反応し 再び蜜があふれ出す。 「や・・だめです・・そこは・・っ」 「気持ちイイんだろ?」 彼女の足を抱える。 「力抜いてろ」 自分のものを宛がう。 「・・つ・・・っ・・!」 自分の中を突き抜けていく重量感。 痛いなんてもんじゃない 引き裂かれていく。 痛みに涙がにじんでくる。 彼がゆっくりと沈めてるのはわかるけど あとどれくらいなんだろう。 痛みの中麻痺しそうになっていると 「入ったよ」と彼の声が聞こえてきた。 できるだけゆっくり挿入するもののそのたびに 彼女の表情が痛く歪む。 自分なりに精一杯労わりながら彼女の中に沈めていく。 彼女の涙をそっとぬぐう。 「直・・」 そう呼びかけてみた。 彼女は目をまん丸に見返して 「・・やっと呼んでくれましたね」と 辛そうに顔を歪めながらも笑顔を見せる。 「よく我慢したな」 「秋山さん、呼ぶの遅すぎですよ」 そんな彼女が愛しくて 照れ隠しの変わりに「動くぞ」と彼女の足を抱えなおした。 痛みがだんだんだん薄らいでいく中 彼を受け入れている実感が増してくる。 彼の動きの中で痛みとは違う感覚を追い求めていく。 夢中で背中に手を回すと、彼がぐっと深く押し込んだのがわかった。 「秋山さん」 「ん?」 「また直って呼んでくださいね」 「なんだ?また抱かれたいのか?」 「んもぉーケチ!」 小突く彼女にキスで返す。 こんなのも悪くないかもしれない。 SS一覧に戻る メインページに戻る |