秋山深一×神崎直 あの恐ろしいゲームから抜け出すことができてから いくつかの季節が流れた頃、 俺はバンドの連中と共に都内の某ラジオ局にいた。 つい先日、俺の書いた曲が、あまり大きなコンクールではなかったが 準グランプリを獲ったため わずかな時間だか新人バンドのコーナーに呼ばれたためだ。 ラジオの生放送など初めてのため 正直、緊張しまくったがなんとかDJとのトークも終わり、 いよいよ演奏の時だ。 ―今、ここで音楽が出来るのも、彼女のおかげだ。 ありがとう― 『− では、まいりましょう、曲名は“SuNao”』 「あっ、秋山さん、この曲いいですね〜。なんてバンドが歌ってるんだろ?司会者、後でまた言ってくれるかな〜?」 「さあな。それよりお前、今度の試験ヤバいんだろ。教えてもらう気がないなら俺は帰るぞ」 「あ〜ごめんなさ〜い。」 赤い小さなラジオから流れる旋律は、優しく少女の部屋をつつんでいた。 SS一覧に戻る メインページに戻る |