夜、体温が、手を繋ぐ
秋山深一×神崎直


とにもかくにも俺は彼女の事が好きだ。
細くて処女雪のような白い手足。決して不自然ではない形の良い胸。小さく可愛らしい尻。
どこが好きかといえば全部だし、何で好きかと問われれば全部だし。
好きで好きで、ああいつから俺はこんなにも貪欲になったのだろう。

君の呼吸が欲しい。君の視線が欲しい。君の全てが欲しくて欲しくて。
俺が求めれば君は少し震えながらも答えてくれる。そんな君を見て苛めたくなる俺はああ確かにSだとも。

現在真夜中午前二時三十六分。
今日も俺はベットの上で君を捕食する。
その柔肌に舌を這わせれば感度が良い君は体は小さく震わせる。切ない声で俺の名前を呼びながら。
けれどその声には答えず、丹念に舌で彼女を味わう。

耳を甘く噛み、そのまま舌が首筋をなぞる。甘く吐き出される吐息に満足げな笑みを浮かべながら、俺は更に舌を動かす。
彼女の胸に舌が到達すれば、彼女は一際大きな歓声を上げる。
何度も俺の名を呼ぶ声。切なくて、どこまでも与えられる快楽に溺れている無垢な少女の声。
俺の芯が酷い熱を孕む。最早自分では抑えきれない感情。
ゆっくりと味わうように桜色の先端を口に含む。舌で転がし、時に甘く噛みつく。
そうすれば、ほら。君は分かりやすいほどに反応を示してくれる。

口から零れ出る声はもう言葉になっておらず、ただその音が俺を鼓膜を弄る。
俺は先端から口を放すと、その赤い紅い唇にそっと口付ける。甘い味が口内に広がる。
舌をねじ込めば君もそれに必死で答えようとする。その拙い舌使いがたまらなく俺の獣欲を駆り立てる。

激しさを増す口付けを交わしながら、俺は右手の中指を彼女の秘壷に滑り込ませる。
すんなりと俺の指を受け入れる。彼女の素っ頓狂な声に思わず笑みを零しながら、俺はゆっくり彼女の中を攻め立てる。
熱い、蕩けるような熱量で持って俺の指を歓迎する彼女の女の証したる部分。
人差し指と二本侵入させれば締めつけは更に強まり、彼女の甘い淫喜の声も大きくなる。
彼女を膝立ちの状態にさせ、中指と人差し指で彼女の入り口を強引に広げる。
戸惑いの色を隠せない彼女の声が妙に心地良い。俺は空いた左手でとろとろと溢れ出てくる愛液を受け止める。
今度は人差し指と薬指で入り口を開き、中指で中から甘い匂いを放つ蜜液をかき出す。

止め処無く滴り落ちてくる愛液。やらしいんだな、と意地悪な声色で言ってやれば彼女は顔を朱に染めて。
すでにべとべとになっている左手をべろり、と舌で舐めれば砂糖なんかより甘い味がした。
甘い物は苦手だが、こればかりは別だ。一液残らず舐め取る。

中指でで中をほぐしながら、俺は顔を秘所に近づける。つん、と鼻を突く女の色香。
指を勢い良く抜けば彼女がぶるり、と震えて、さらに透明な液体が股から垂れ落ちていく。
感度が良い彼女は俺の指だけですでに荒い息遣いになっていた。手を胸の前で組み、甘い蕩ける声で俺の名を愛しげに呼ぶ。
ああ、この声でだけで何度でも果てれそうだ。

眼前に広がる彼女の秘所を舌で撫でれば、彼女は膝を折り力なくへたり込んだ。
突然の刺激に彼女は声を上げることが出来ない。そんあ彼女の耳元に囁く。良い子だから立って、と。

恐る恐る膝立ちになれば、俺はさっきと同じように顔を近づける。
今度は舌ではなく、わざとらしく息を吐き出す。
彼女の足が小さな反応を示し、それが可愛かった。

音を立てて口付ければ、彼女は喘いだ。触れるだけのキスを数回繰り返す。
そこからゆっくりと一回一回長いキスへと替えれば、彼女の声が部屋に響く。
今日の彼女は良く鳴くな、なんて思いながら口付けたまま舌で秘部を舐める。
ほのかな酸味と脳髄を侵蝕する甘い媚味。もはや中毒だ。

秘裂をなぞり上げて行けば、小さな淫珠に辿り着く。ぷくりと膨れたそれを舌でちろちろと刺激する。
彼女の腰が前後に動く。淫楽の波から逃れるように。全身を蝕む甘い中毒を求めるように。
もう限界寸前だった。彼女は自らの愛液で太ももを濡らし、胸元にも口の端から零れた涎がかかって、キラキラと輝いている。
何度目かの軽い絶頂。それでも何とか踏ん張って膝立ちの体勢を保つのは、忠誠の証、なのだろうか。
彼女を寝かせ、自分は覆い被さる。彼女の俺を呼ぶ声にキスで答えると、そのまま俺のモノを彼女の中に打ちつけた。

秋山さん。俺を呼ぶ声が聞こえた。けれど俺はもう想いが抑えきれなくて。

何度も彼女の中を行き来し、膣壁を擦りあげ、子宮口と軽くキスをする。
最奥部に到達するたびに彼女は背中を仰け反らせる。

秋山さん。彼女は壊れた玩具みたいにただただ俺を呼ぶ。

大丈夫。俺はいるから。離れたりしないから。
そんな言葉すら口に出来ず、その分愛を込めて何度も彼女の奥を突く。

細く弱々しい体を壊してしまいそうで、だけどまるで自分だけのモノにしたような恍惚感。
君が好きだ。他の男の視線に晒されるのを想像するだけで世界が憎悪に染まるんだ。
守ろうって、愛する人を二度と失いたくないから。でも、君を壊したい俺もいる。
その声も、視線も、女としての証しも。
全て手に入れたいんだ。この独占欲がいつか俺を殺してしまいそうで怖い。
そう言えば優しい君は笑ってどこにも行きませんよ、何て行ってくれるのだろう。

信じている。信じているとも。だから、怖くなる。
俺の、初めて支えて行こうと思った人は、いとも容易くその命を散らしたから。
君を、失いたく、ないんだ。だから俺は臆病になる。
こんな風に肌を重ねるたびに愛しさと黒い闇が背中を撫でる。

ああいっそ、君の血となり肉となり、その美しい肢体と混ざり合えたらこんな不安などすぐに拭えるのだろう。
でも残念な事にそれは出来ない事であり、彼女もそれをよしとはしないだろう。多分、絶対。
だから、俺はこうやって君と夜を越えていくよ。少しでも君との距離を埋めて、不安を脱ぎ捨てて。

秋山さん、と一層甲高い歓喜の歌声。肉壁がぎゅうぎゅうと俺のモノを締め、絶頂に導く。
ぐっ、と最奥へと突き進むと、彼女の子宮へと、その、白濁の、男の、欲望を。
とくとく、とまるで命の泣き声みたいに鼓動するソレが全ての欲を吐き出し終わると、俺はゆっくりと彼女の中から抜く。
抜いたと同時に溢れてくる合成液が淫靡に光り輝いていた。

風呂に二人で入り、噴き出していた汗を流す。
シャワーのお湯を二人で頭から被りながら、俺は腕を彼女の背中に回した。少し、強く。
驚いたように目を見開いた彼女は、でもすぐに微笑むと抱き返してきた。

彼女の体温と、シャワーが吐き出すお湯の温度が心地良い。
まるで汚い物を流してくれるようで。小さな声でごめん、と呟いた。
え、と訊き返してくる彼女に何でも無い、と言ってキスをした。

上がろうか。手を繋いだまま言えば、彼女は嬉しそうに頷いた。
今日の秋山さんは、甘えん坊ですね、何て言う彼女。
そうかもな、と素っ気無い答えを返す俺。でも、君にはこれで充分だろう?
体をバスタオルで丁寧に拭き、シャツに腕を通す。

お腹空きませんか?とピンクのキャミソールを着た彼女が聞いてきた。
確かに、いつも情緒の後は何か食べたくなるな、と言えば君は慌てて財布を取りにリビングに戻った。
先に玄関でほどけた靴紐を結ぶ。結び終えた靴紐はどこか滑稽で、今の俺にはお似合いなのかもしれない。
背後からぱたぱたと足音が聞こえ、振り返る。彼女は黒の俺の財布をしっかり握りしめていた。(おごりかよ)
慌ててピンクのミュールを履こうとした彼女に、俺は言う。

「あの、さ」
「はい?あ、ゴチになります!」
「いや、うん、じゃなくてさ」
「?何ですか?」
「来月から、君も『アキヤマ』になるんだから、いい加減言い慣れたら?」
「あ、うー……し、深一さ、ん」
「ん、合格。じゃあ行こうか、直」

そう言って繋いだ彼女の手は、とても温かかった。






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