秋山深一×神崎直 「あ…ぃや…」 思わず手を伸ばす。 「ダメ」その手をやんわり払いながら、先程より強めに舌を這わした。 「ぁ…んん…は、ぁ」 こういう関係になってからどのくらいたっているのか。 初めは固く目をつぶったまま化石のようになっていた彼女も 最近やっと素直に応えるようになってきた。 それでも羞恥心は捨てられないようで、身体に伝わる快感と、 自分が発する甘い声を受け入れられないらしい。 「…っ、…き、やまさ…ぁん」 抵抗を試みる弱い手とは裏腹に、(もっと)とねだるような砂糖菓子のような声。 その声を聞きたくて、ふたりきりになると彼女に手を伸ばす。 二人はまだ一つになったことがない。 正確には、一つになりそこなったことはある。 いざその時になって直が『怖い』と言って泣き出したので、 優しい秋山は最後までせずに直の意思を尊重したのだ。 それ以来、全身を指と舌で愛する日々が続いている。 最近…身体がおかしい。 初めて秋山さんに触れられたときは全身が心臓になってしまったみたいでなにも考えられなくて、 自分が自分じゃないみたいで怖くて怖くて泣き出してしまった。 秋山さんは『ごめんな』って言って抱きしめてくれて…それでようやく安心できたっけ…。 それ以来、秋山さんは今まで以上に優しく触れてくれる。 ゆっくり、私の気持ちがついていけるようにしてくれて… すごく恥ずかしいけど…秋山さんに触れてもらうのがやっぱり嬉しい。 触れる先から(好きだよ)って言われてるみたいだし… たぶん、秋山さんに触れられてないところはもうないんじゃないかな…。 でも…最近は、ちょっと物足りない。 私ももっと秋山さんに触れたいのに…もっと秋山さんを知りたいのに… 秋山さんの全部がほしい、なんてワガママかな…。 はずかしけど、もっと、って思ってしまう。もっと、秋山さんをください、って…。 秋山さんに触れられたり、…舐められたりするとすごく気持ち良くて…身体がビリビリして、 …なんだか奥がジンジンしてくる。 終わっても、その感じは消えてくれないから…こわい。 お風呂に入っても、あったかいミルクを飲んでみても治まってくれないし…どこか悪いのかな…。 「秋山さん?」 ようやく息も整ってきたところでそっと話し掛ける。 「なに」 頬に張り付いた髪をよけてやりながら視線を絡ませた。 「…聞いてもいいですか?」 目を細めて微笑む表情に安堵し、言葉を続ける。 「…どうして…いつも服を着たままなんですか…?わたしばっかり…あの…」 「裸にされて?」 「っそんなこと!…ぇと…あの…」 秋山のからかい口調に再び頬に熱がこもる。 「俺のことは気にしなくていい」 「…そんなの、無理、です。…気になります」 「へぇ。そんなこと気にするほど余裕あるんだ?」ニヤリと意地悪く言う。 「私、まじめですっ…あの…あの…秋山さんは…これで、気持ち、いいんですか…?」 「キミはどうなの」 「私は…その…えと…」 「ん?」 逃さないとばかりに直の腰を引き寄せると桃色の蕾を指ではじく。 「っはぁ…」 「気持ちいい?」 「は…い」 「そりゃ良かった」 余裕の微笑みを前にしてなかなか言葉にできず、目の前にある秋山のTシャツの隙間から肌に触れた。 「…どうした?」 細い指の感触に思わず身体を震わせてしまいそうになったが、優しく髪をすいて誤魔化す。 直は、触れた皮膚の感覚とこれから自分が発する言葉に強烈な恥ずかしさを覚えながら、 そのことがさらに自分を昂ぶらせ、再び身体の奥がズクンと鳴った。 (あ…また) 秋山は急かすことなくそのまま様子を窺っている。 「もっと…」 「もっと?」 「秋山さんに、触れたい、です」 「もっと、くっつきたい、ん、です」瞳を潤ませて秋山を見上げる。 秋山は、少し苦しげな表情のあと、フワリと両腕で囲むと 「俺にも限界ってモンがあるって知ってる?」 「…え?」 「キミをまた泣かせてしまうかも」 普段見ないちょっと困ったような伏し目がちな表情に、直は更にきゅん、となる。 秋山の顔を両手で包んでこちらに向かせると 「私…もう、怖いなんて言いません。秋山さんを、全部、ください」 「キミが、もらうの?俺を?」 ちょっと可笑しそうに少し首をかしげる。 「…いけませんか?」 「…いや、…いいよ。キミにアゲル」 両頬を白い手に触れられたまま、紅い唇に口づけた。 直は再びシャツの隙間から脇腹に触れた。 (あったかい…) 遠慮がちにサワサワと指を動かすと、少し自分を抱きしめる腕が震えた。 自分の行為で秋山に反応があることが嬉しくて、その手の可動範囲を広げていく。 背中に手を回し、空いた手を腹筋に這わせる。 (こんなに肌触りがいいなんて…) 指先に感じる気持ちよさに夢中になる。 同時に少しだけ呼吸が乱れる秋山の気配を感じ、自分の気持ちも乱れていく。 触れるか触れないかの愛撫は、ずっと我慢してきた秋山にとっては もどかしくも気持ちを高揚させるのに充分であった。 シャツをそっと捲り上げると、細いながらも筋肉が美しくついた身体に胸が高鳴る。 「綺麗…」 思わず張りのある皮膚に口づけると、びくん、と震えた。 秋山の呼吸が更に乱れる。 指から口づけに変えても気持ちの良い肌触りは変わらず、 押し付けた先から直の体内にも快楽の波が入り込んだ。 瞳の端に映った突起に口づけると、秋山の身体が大きく震えた。 「っ…ぅ…」 彼女から与えられる刺激に耐え切れず声が漏れる。 「…秋山さん、気持ちいい、ですか?」 ちゅ、ちゅ、と口づけてから、やわらかい舌の腹で突起をにゅる、と舐めた。 「うぁ…」 艶のある声につられて上目遣いで見上げると、そこには見たこともない表情があった。 目をぎゅっと閉じ、耐える秋山。上気した頬を見れば苦痛に歪んでいるわけではないことはわかる。 自分が与える快楽に反応してくれる秋山をみて、自分もまた快感を得ていった。 「ふ…ぅ」 (ま…た、なんだか身体の奥、おかしい) 呼吸を整えるために一息ついたときだった。 「っ!あぁっ!」 上に乗って愛撫に夢中になっていた直の秘所に、秋山が下から指を這わせた。 「ふ…すごいな」 跨われていた左腿の部分には直の愛液がシミをつくり、這わせた指には新しい液が伝ってくる。 「ゃ、あ…あぁ、あきや、ま…さっ!あぁん!!」 腰を跨がせると、長い指がするりと飲み込まれる。 「は…ぁ」動かすときゅっと締め付けてくるが、滑りが良く程よい抵抗を感じた。 「あ、あ、あ、」深く挿し込むたびに吐息とともに漏れる声。 「今日はいやって言わないのな」 「っ、ずる、い…これ、じゃ」 「クス…いつもと変わんない?」 逆らえないセクシーな表情にとろりと溢れるのがわかった。 指を軽く曲げると壁をこすりつける。 「あぁ!!…は、ぁん、それ、やぁ…ん」 「やじゃないだろ?」 「んっう、あ、きや、まさんがきもち、くなきゃっあっぁ、く、ぅん」 「大丈夫。気持ちいいよ」 指を伝い腕に絡まる熱い液に喉が鳴る。 直は上体を支える腕に力が入らず、秋山の上に体を委ねそうになる。 「あぁん、ぁ」 すると双房の尖端が指の動きに合わせて秋山に触れ、お互いにチリッと快感が流れた。 「あ、きや…さ、ぁん…んん」 「…なに」 さすがの秋山の息も弾んでいる。 「も、っと…ぁ」 「もっと、なに?」 「ゃ、ぁ…ぁ、きや、さ…ぜぇ、んぶほし、いん…」 快楽が全身を支配し、もはや言葉にならない。 「いぃよ…全部、やる」 空いた手でベルトを外し、チャックを下ろした。 「ぁ…」 「大丈夫。…まだだから。おいで」 赤ん坊を胸に抱くように彼女を自分の上で抱くと、そっと腰を動かした。 「っあ!ぁあん」 にゅる、と秋山自身と直の割れ目が擦れあう。 反射的に逃れようとするが下から抱きしめられていて動けない。 まるでジェットコースターに乗っているかのように前後不覚になる。 「ゃあ…あん!っきやまさっんっはぁっん、あっぃや」 「いや?」 そう言うと、すっと動きを止めた。 「え…?」 「あ、の…?」 朦朧としながらも秋山の真意がわからず戸惑いを隠せない。 「いやなことは、しないよ」 秋山はニヤッと目を細めると、そのまま自ら動くことをやめてしまった。 困惑したままふと我にかえると、自分があられもない姿をしていることに気づき 一気に恥ずかしさがこみ上げてくる。 「あ、あきやまさん、あの…」 足を閉じようにも跨ったまま抱きしめられているのでできない。 しかも自分の股の間には秋山のモノが熱く脈打っている。 重なり合った胸からはどちらのものかもわからない鼓動が響いてくる。 「ぁ…」 秋山の上下する胸板に合わせて秘所が微妙に刺激され。声が漏れた。 (ゃだ…これだけでもきもちぃよぅ…) むずがゆい刺激に自然と腰が動く。 「どうした?自分で動いたりなんかして。やなんだろ?」 秋山の高揚した表情と意地悪な微笑みに、直の瞳からポロポロと涙が零れた。 「あき、やまさ、…ゃだ…や、めちゃ…ぃや」 「してほしいの?」 吐息混じりに意地悪な問いかけが続く。 「…は…ぃ…くだ、さぃ…」 涙の隙間から懇願する直に満足し、 「ふふ…ごめん。ちょっと意地悪しすぎたな」 再びにゅる、にゅるっと卑猥な音を響かせた。 「あぁっ、あ、あ、あぁ、も、もぅ…ぁ」 秋山のモノが直の液でぐちょぐちょになる。 「な、…入れてもいい?」 動きを止めずに耳元で囁く。 「は、ぁん…んん、ぃ…」 「ダメ…?」 耳朶をぬるり、と舐め上げる。 「あっあ、いぃ、です…ぁきや、さ…ぜん、ぶ、くださ、…あぁ、ん」 「クス…ありがと」 ゆっくりと動きを止め、秘所にあてがう。ヒクヒクとした割れ目が、はやく、と誘う。 少しずつ抜き差ししながらすすめると、きゅう、と圧迫され秋山からもうめき声が漏れる。 「…っ、きつ…」 「はぁ、あ…」 「もっと…力抜いて」 上にいる直にちゅ、ちゅと優しく口づける。 「んん…ぅ」 隙間から舌を挿し入れて直の唾液を絡め取るように口内を犯す。 気がそれたのか締め付けが緩くなったところで先に進めた。 「「あぁ…」」 奥まで入ると同時に感嘆の声を上げた。 「全部、はいったよ」 「ほんと…?うれし、です…」 涙目でキラキラと笑顔をみせる。 「ほら…わかる?」 ぐっと子宮口に当たるように腰を前に出した。 「っあぁ…きやま、さんの、わか、りま、す…なんか…あたる…んん」 よほど気持ちいいのか中にいる秋山をきゅうきゅうに締め付けた。 「おい…そんなしたらイッちゃうよ」 「…ぇ?」 「もうちょっと、味わわせてよ」 直の体を起こして腰を支えると、下から突き上げ始めた。 「っあ!あっやっあっ」 秋山の胸に手をつき踊る直。 突き上げるたびに液が溢れ、皮膚が叩きつけられる音とともにくちゅくちゅと鳴る。 「聞こえる?やらしー音」 「やだぁっあっあっ」 狭くてヌルヌルの内部は油断するとすぐ達してしまいそうで、しかも突き上げに合わせて 揺れる乳房と、その上にある快楽に溺れる彼女の表情を見ていると秋山の方が持ちそうになかった。 胸に再度倒れこんできた直を抱いたまま体を起こすと、そっと背中を下に降ろし、 今度は自分が上になった。 すでに恍惚の表情を湛える直の頭を抱え、深く口づける。 自由を得た腰を大きく動かした。 「んっんっ」 つながった唇からくぐもった声が漏れる。 相変わらず下のつながりからはクプクプと鳴き声が聞こえる。 秋山は上体を起こすと直の腹側に擦るように打ちつけ始めた。 「やぁ!!ぁん!あっやっあぁ!!」 ひときわ大きく反応する直。 「これ…好き?」 「あっあぁっやっあ」 「や、じゃないってココは言ってるよ?」 「っぁああ!!」 真っ赤に脹れた実を親指で揉みしだくと、いやらしい音をたてて秋山を飲み込みながら ギュウギュウに締めつけた。 「っきやまさっ、やっあっぅあ!」 「イイ?」 「あっんん、い、いっ…イイッ、ですっぁあっ」 「ん…よくできました」 与えられる快楽によってワケがわからなくなっている彼女にご褒美のキスを与え、 いっそう激しく突きたてる。 「あぁあああ!!」 直の身体がビクッと大きくしなるのとほぼ同時に、秋山もまた彼女の最奥で果てた。 「…秋山さん?」 余韻を二人で楽しんでいると、上目遣いの愛らしい顔を向けてきた。 「ん?」 彼女を見る目が我ながら甘ったるすぎるとは思うものの、自然と表情がほころびる。 「あの…私、最近ね、身体がおかしかったんです」 「…どんな風に?」 彼女の体調に気づいてやれてなかったという思いが秋山の眉間に現れる。 「あの…秋山さんに触れてもらった後、いっつも身体の奥の方がジンジンし続けて治まらなくて… 自分の身体なのに言うこときかなくてこわかったんです… それで今も…?……あれ、どうして? あっ、あの…さっきもそうだったんですけど、なんかね、今、治まってるんです。 あれぇ…なんで??あっ、嘘なんかついてないですよ? ホントにホントにさっきまではおかしかったんですから!」 (そういうことか…) 聞いててホッとすると同時に勝手に顔がニヤけてきてしまう。 「なんでそんな笑うんですかっ!?ひどい!本当なのにっ」 ぷぅ、とふくれた彼女の頬をツン、と突き 「疑ってなんかいないから」となだめる。 「そうだな…それじゃ今度まだおかしくなったと思ったらすぐ俺に言えばいい。 そしたら治めてやるよ」 耳朶を咥えながら吐息まじりに囁くと、直の身体がブルッと揺れた。 「ん?どうした?」 軽く口づけながら俯いた彼女の顔を上げさせる。 「あ、の…あきやまさん…私…」 欲情の色を瞳に浮かべ見上げてくる彼女に、極上の微笑で応えた。 SS一覧に戻る メインページに戻る |