秋山深一×神崎直


目が覚める。

(あれ、今…何時なんだろ…)

カーテンの隙間から見える空はうっすらと明るい。
明け方特有の柔らかな光に部屋中が包まれている。

隣を見ると秋山さんはまだ眠っている。
閉じられた睫は羨ましくなってしまう位の長さだ。

(ずるいなぁ…)

秋山さんの首筋に唇を押し当ててみる。
思いの外、その感触は心地良くて私は何度かキスを繰り返す。

「くすぐったいよ」

秋山さんは気だるそうに半身を起こした。

「今…何時…?」
「分からないですけど…まだ、早いです」
「ふうん…」
「で、君は誘ってるの?」

キスしたりなんかして…抱き寄せられて囁かれ、私の必死で否定した。

「ちっ…違います!!」
「…残念だな」

ちっとも残念そうな顔をせず、秋山さんは私のおでこにキスをした。

「もう少し寝るよ。おやすみ」

どうやらからかわれただけの様で、まるっきりの子ども扱いが少し悔しい。

私はもう一度秋山さんの首筋にキスをした。

「…やっぱり…誘ってるんです」

必死で言い切って見たけれど、秋山さんの表情は変わらない。
どうしても秋山さんのポーカーフェイスを崩してみたくなって、恐る恐る彼の下腹部に触れる。

「何してるんだか」

秋山さんは苦笑いを浮かべた。

私は体の位置を変えて秋山さんの両脚の間に正座する。
両手で秋山さんのソコを両手で包み込むようにしてゆっくりと上下に動かす。
私の手のひらの中でトクンと脈打つ。

ソコは体のどの部分とも違うしっとりとした感触をしている。
ゆっくりと手を擦り付けているうちにゆっくりとソコの質量と固さは増していった。

(男の人のって…こんな風になるんだ…)

その変化は確かに秋山さんが感じてくれているという証だって思える。
何度も抱かれていくのに秋山さんのソコがこんな風になってたなんて、ちゃんと見たのは初めてだ。

大分固くなったソコの先端に透明な雫が滲んできた。

(…なんだろ?)

ほぼ無意識に口を寄せて舐め取る。
粘度の高いそれは少し苦い。

「……っ…」

秋山さんが息を吐く。

「秋山さん…気持ち良いですか?」
「…なかなかね」

先端のぴんと張り詰めた皮膚に何度かキスをする。
秋山さんの手が私の髪を撫でてくれている。
褒められたみたいで嬉しくて今度はソコをぺろりと舐める。
つるりと心地良い感触。

少し恥ずかしいけれど、もっと秋山さんを知りたくってその形を確かめるように舌でなぞり、口に含む。
輪郭に舌を沿わせて、含みきれない部分にキスを繰り返す。
私の中に入っている時には分からなかった感触と質感。

愛撫を続けていくと時折りピクリとソコが反応する。

「…ここ、感じますか?」
「……ああ」

いつの間にか恥ずかしさよりも愛しさと嬉しさで胸がきゅんとなる。

(秋山さんが私にしてくれてる時って、いつもこんな気分なのかな…)
(もっともっと秋山さんにしてあげたい…)

秋山さんは拙い私の行為を優しく髪を撫でて受け入れてくれてる。
頬に添えられた秋山さんの手に誘導され、口に含んだまま顔を上下させる。
現れて、飲み込まれて…唇を出入りするソレを見ている内に、いつもの行為を連想してしまう。

(私が秋山さんに…してるのに)
(どうして…秋山さんに入れられてる時みたいに…感じちゃうんだろう)

ぎゅっと閉じた脚の付け根の辺りが潤んできているのを感じる。
体の中心がじんじんと熱い。

(…やだ…まだ秋山さんに触れられても無いのに)

何度も往復させたせいで唇の内側は少し痺れて、秋山さんの感触が焼きついている。

顔を上げて秋山さんの様子を覗う。
肝心の秋山さんはまだ余裕たっぷりな表情を浮かべている。

(うー…何だかちょっと悔しい)

私の頬はこんなに熱くなってしまっているのに。

「もう…入れても良いですか…?」
「おいで」

手を付いて座っている秋山さんに跨る。
秋山さんのそれを手に取りあてがうと、もう十分すぎるほど濡れた私のそこがちゅぷりと音を立てた。

「すごく、濡れてるな」
「…!」
「まだ触っても無いのに」
「だって……意地悪…言わないで下さい」

位置を確認するように何度か狭間を往復させると、その熱く弾力の有る感触にそれだけで背中がぞくぞくとなる。
少しずつ、腰を落としていくと僅かな抵抗感と共にそれはつぷ…と私の中に埋もれていった。

「ぅ…ん…」
「大丈夫?」
「あ…大丈夫、です…」

私を抱き寄せようとする秋山さんを制止する。

「あ…だめ、です…動いちゃ…」
「今日は…私が、秋山さんにしてあげたいんです…」
「だから今は指一本、触れちゃダメです!」
「そうなの?」

まだ主導権を握っていたくて秋山さんの身体を支える手の上に私の手を重ねる。
秋山さんは口元をニヤリと上げると私の胸元に顔を埋めた。
吐息がくすぐったい。
かすかにシャツの引っ張られる感触。

「えっ…あ…」

器用に秋山さんは口だけで私のシャツのボタンを外していく。
肌が露わになる度に秋山さんはキスをしてくれる。
時折り薄い布の合わせ目から舌と歯が直に触れて、その度に私の身体はぴくりと震えてしまう。

「あっ…ダメですっ!」
「ダメ?」
「言われた通り指は触れてないだろ?」
「やっ…だって…」

耳と首筋を舐め上げられて、制止する声が震えてしまう。
秋山さんの手を押さえていた私の手からはもうすっかり力は抜けてしまっている。
だけど秋山さんは私の拘束を解こうとはしない。
最後のボタンを外されシャツが肩からはらりと落ちた。

「やぁっ!…」

恥ずかしいと思っているのに胸の先端を甘噛みされて腰が無意識に動いてしまう。
出し入れされるのとはまた違う、押し広げられる刺激。
じわじわと快感が染み渡る。

(あ…なんだかコレ…気持ちいい…)

「あぁ…」

体の位置がずれるごとに秋山さんのそれが私の内部に押し当てられる。

「んっ…」

思わず声が出そうになるのを秋山さんの胸元に顔を押し付ける事で耐える。
まだ私が優位に立てているのか、もうすでに秋山さんが私を支配しているのか解らなくなってくる。

(…気持ち良すぎて…頭が、ぼんやりしちゃう…)

「そろそろ降参する?」
「…あ…」
「…まだ…こうっ…さんは、しない…です…!」

もう一度秋山さんの手を押さえつけている指に力を込めた。

ゆっくりと腰を上げ、落とす。

「っ……ふ…」

ぞくぞくと甘い電流が背筋を走る。
何度も繰り返しているうちに私の息は上がり、秋山さんの視線も熱っぽいものへと変化している。

「このまま君が自分でイクところ、見せてよ」
「は…い…」

秋山さんから目を逸らせなくて、逆らう事も出来ない。
我ながらぎこちない動き。
けれど私の中に彼の存在を確かに感じられて、声を抑えられない。

「あっ…」

ぐっと腰を押し付けると先端の敏感な突起が圧迫されて、甘い刺激がぞくぞくと背中を走る。

「気持ち良い?」
「はい…」

何度も突起を押し当てるように刺激する。

(秋山さんは…どういうのが…きもちいいんだろう…?)

ぼんやり霞む頭で必死に考える。

(もっともっと秋山さんにも感じて欲しいのに…)

ストロークを大きくしてみたり、向きを変えてみたりする。
秋山さんの反応を覗いながら試行錯誤してみても、良くわからない。

「あのさ…」
「俺がどうとかって考えてたりする?」
「…え…なんでっ…?」
「すぐ分かる」

くすりと秋山さんは笑う。

「俺の事より…自分がどうしたら気持ち良いのか考えてごらん」
「でも…」
「例えばさ…」
「…んっ!」

ぐっと下から突き上げられる。

「ここ、すごく狭くてこうすると俺はすごくイイんだけど…」
「君もこうされるの好きだろ」

もう一度、押し広げて引っ掛けられるように秋山さんは動く。

「やっ…!あっ…あっ」
「だから…君が感じてる時は俺も感じてるからさ…」
「気、使わなくて…いいよ」
「…ぁ…は、い」
「ナオの気持ち良い顔…もっと見せて」

(こんなとこ見られるなんて、すごく恥ずかしいのに…)

少しだけ、ほんの少しだけもっと見つめていて欲しいと思ってしまう。
秋山さんの視線を感じて私の中がきゅうっと締まる。

「良い子だな…」

少し掠れた秋山さんの声。

(あ…秋山さんも、感じてくれてるんだ…)

良く気を付けてみれば秋山さんの息も僅かに弾んでいる。
些細な事がすごく嬉しい。

(なんだか秋山さんが…可愛い…)

「やぁ…んっ」
「ふぁっ…」

押さえていたはずの秋山さんの手は、いつの間にか私の手を握っていてくれていた。
どんなに私が乱れても、彼はちゃんと受け止めてくれるという信頼感がますます私を昂ぶらせる。

「…あっ、あきや…まさん…っあ!」

もっと秋山さんが欲しくて何度も秋山さんを奥まで受け入れる動作を繰り返す。
頭はくらくらして体中から力が抜けてしまいそうになっているのに、この動きを止める事が出来ない。

「秋山さ…ん、きもち…いい、ですか?」
「うん、…イイよ」

(秋山さんが感じてくれてる事が…こんなに嬉しい…なんて)

このまま二人で達したくて、秋山さんにそうねだる。

「いいよ…」

秋山さんは頷いて私を抱き寄せた。
私は秋山さんの肩にしがみついて彼の動きに体を合わせる。
上手に出来ているのかは正直解らないけれど、秋山さんにもっと感じて欲しかった。

「んっ…あっ…」

「っんーー!」
「…っ!」

びくりと私の体が震えて、白い光が頭の中で弾けた。
私の中で秋山さんのそこがドクンと脈打ち、彼も達した事が感じられ私は充足感に息をついた。

ぐったりと力の入らない体を彼に預け、息を整える。

「いつもみたいに、して下さい…」
「ご褒美が欲しい?」
「…はい」

秋山さんは私の左胸に唇を寄せ、キスマークを付けてくれる。
かすかな痛みと熱を感じ、目を閉じる。

「えへへ…」

左胸に付いたピンク色の跡が嬉しくて指で触れた。

「変なヤツ…」
「えっ!…何がですか?」
「キスマークが嬉しいなんて…って事」
「だって…」
「だって?」
「秋山さんが付けてくれた印、なんて嬉しいじゃないですか…」
「……はぁ…」

秋山さんは苦笑いでため息を吐いた。

「…なんですか…?」
「まったく…」
「…?」
「何でもないよ」

もっと欲しいとお願いすると、秋山さんはいくつも私の胸元にキスマークを付けてくれた。

(変だなんて…秋山さんの印は…やっぱり嬉しいのに…)

「秋山さんにも、してあげましょうか?」
「くすぐったいから止めておくよ」

私の唇が秋山さんの首筋を掠めると「こっちの方がいい…」と私の顎を掴み唇を重ねた。

(あ…今日はまだキスしてなかったな…)

そんな事を考えながら秋山さんのキスに応える。
柔らかくて私のそれより少し薄い秋山さんの唇。

「秋山さん…大好き…」

幸せでどうしようもない私の言葉に秋山さんは目で笑って抱きしめてくれた。

「ねえ…」
「はい?」
「もう一回、してもいい?」

秋山さんに求められるのがイヤな訳が無くて、私はこくりと頷いた。

「交代、しようか?」
「…はい…」

秋山さんは私の体を丁寧に横たえる。

「繋がってるところ、見てたい?」
「あ…は、い」

(秋山さんの意地悪そうな顔って、どうしてこんなにドキドキしちゃうんだろう…)

秋山さんの瞳に魅入られて、恥ずかしいのに思わず返事をしてしまった。

秋山さんは私の脚を肩に抱え上げる様にして膝立ちの体勢になる。
体勢のせいで秋山さんのそれはいつもより深いところまで入ってくる。

「見える?」
「……っ」

秋山さんが少し高い位置に私の脚を抱えなおすと、繋がっているところからぷちゅりと音がした。
朝の柔らかな光で濡れた部分が僅かに光って、恥ずかしさとそれとはまた違う別の感情で私の胸がドキンと鳴った。

「今、君のここ…すごくキツクなった…」
「…そんなっ…の」
「まったく…体まで正直なんだ」

秋山さんの言葉に耳まで熱くなる。

「…意地悪…言わないで下さい…」

また今もこうやって苛められて、なのに秋山さんの笑顔が嬉しくって仕方が無い私が居て。
秋山さんは意地悪ですぐに私をドキドキさせるのに、彼の掌の上で玩ばれるのはやけに心地良い。

(このまま秋山さんのおもちゃで居たい…なんて…)

秋山さんが動き始める。
たっぷりと潤んでしまっている私のそこを押し進み、一番奥まで届くと焦らすようにゆっくりと引き抜く。
与えられる快感は体の中で共鳴して、指先まで広がっていく。
奥に打ちつけられる度にずきん…と体が蕩けそうになる。

(どうしてこんなに感じちゃうんだろ…)

初めてした時から私の体は次第に変化していっている。
秋山さんを受け入れるための身体だって思えて、すごく嬉しい。

(もっと…秋山さんを喜ばせられる様になりたい…)

自分で動いていた時とは比べ物にならないくらいの感覚。

「あっ…」

くちゅくちゅと粘度の高い水音と秋山さんの少し荒い息遣いが私の声の合間に聞こえる。

「ちゃんと…見てな」

恥ずかしさと快感で目を閉じると秋山さんが私の体を二つに折り曲げるようにして顔を寄せ、私の瞼にキスをした。

「…んうっ!」

一番奥をさらにぐいぐいと押し込まれて息が詰まる。
もともと深くまで届いていた体勢なのに、脚を折り曲げられ更に奥まで秋山さんのそこが達している。

「奥までされるの、気持ちいいんだ?」
「っ…!」

刺激が強すぎて返事はおろか、上手く息を吐く事さえ出来ない。
鳴らすように円を描いて押し広げられ、最奥を突かれる。

「んーっ…」

ようやく少し慣れてきたところを見透かしたように、動きの速度を上げられる。
何度も突き上げられ、体中が秋山さんで満たされて、一番奥がとろとろに蕩けそうになる。

「っく…う、んっ…」

秋山さんが動く度、ぞくぞくとした感覚が頭のてっぺんまで昇っていく。

「秋山さん…もう…」
「まだダメ」
「やっ…!…だって…」
「もう少し、我慢して」

もっと深く、身体の一番中心まで激しく突き上げられる。
秋山さんの許しがもらえるまで、快感に必死で耐える。
目で訴えてみても秋山さんは「ダメ」と唇だけ動かして答える。

「んっ…」
「ふ…ぁっ…あっあ…」

(我慢してって言ってから…こんなに激しく、するなんて…)
(秋山さんの…いじわる…)

「秋山さ、ん…」
「もう限界?」

(本当にこのままだとおかしくなっちゃう…)

耐え切れずに涙がぽろぽろ頬を伝ったところで、秋山さんは私に優しく囁いた。
こくこくと必死で頷く。
秋山さんは一旦体を離して、いつもの様に私の上に覆い被さって抱きしめてくれた。
ずしりと掛かる重みと密着する身体の温かさに秋山さんの存在を確かに感じられて安堵する。
もう一度秋山さんが私の中に入ってきた。
私がまだこの体勢じゃないと深く達する事が出来ないのを秋山さんは分かっていて、限界が近づくといつもこうしていてくれる。

「んんっ…」

「ねえ…ナオ」
「っ……はい」
「キスマーク…俺にも付けてよ」
「…えっ?…あっ…ん」
「俺は、お前のモノだから…」
「…は…い」

もう途切れてしまいそうな意識の糸を必死でつなぎとめ、秋山さんの首筋に唇を当てきつく吸う。
秋山さんの白い肌に私の唇の跡がじわりと赤く滲む。

「…首に付けるか?…普通…」
「あ…ごめんな…さい…っ」

秋山さんは少し困った様に笑って確かめる様にそこに触れた。

「ありがとう…」

もう一度優しく笑って秋山さんは私のおでこにキスをしてくれた。

「良いよ、イって」
「あっ…」
「秋山っさんは…」
「俺もイキそう…」

唇が重ねらる。
奪われるような荒いキス。
息が吐けない位、激しく舌を絡められる。

「あ…やっ……ん!」

張り詰めていた集中の糸がぷつりと切れて、耐えていた快感が堰を切ったように体中に溢れ私の感覚の全てを奪った。

「ん……ーっ!」

「…ナオ」

遠くで秋山さんが私の名前を呼ぶ声が聞こえた気がした。
力の抜けた体にずしりと秋山さんの重みが掛かる。
息の乱れた秋山さんの背中をさすりながら、私は心地良いまどろみに身を任せた。

再び目が覚めるとすっかりいつもの朝になっていて、腕枕をしてくれていた秋山さんの目が合う。

「おはよう」
「…あ」
「俺も今さっき起きた・・・」

秋山さんは私の疑問に先回りで答えると、優しく頭を撫でてくれた。

「秋山さんは…イヤじゃなかったですか?」
「うん?」
「私が…秋山さんに色々するの…」
「何で?」
「…えっちな子だって、呆れられちゃったら…どうしようって…」
「…まさか…嬉しいに決まってるだろ」
「ホントですか…?」
「…こういう事したいのは俺だけで、君に無理に付き合せてるんじゃないかって心配なのもあったから」
「……そうなんですか?」
「…ああ」
「秋山さんでも、不安な事も有るんですか?」
「当たり前だろ」
「私は…秋山さんと……あ…その…」
「え、えっちな事するの…好きです」
「お前はさ、どうしてそんなに…」

秋山さんは軽く眉をしかめる。

(えっと…、私…おかしな事…言っちゃった…?)

不安になりかけたところで秋山さんにぎゅっと腕の中に閉じ込められた。

「……ああもう…」

小さく呟いて秋山さんはその唇で「おかしな事を言ってごめんなさい…」と謝ろうとした私の唇を塞いだ。

「私もちゃんと…秋山さんに喜んでもらいたくって、だから…頑張ったんですけど…」
「でも、結局今回も…秋山さんのいい様にされてしまった気がします…」
「はは、君が俺に勝とうなんて100年早いな」
「うっ…」
「そっ、そんな事、無いかも…しれないじゃないですか…」
「絶対無理だね」
「何でですか?」
「だって君は…根本的に……まあいいや」
「ええっー!言いかけてやめるなんてひどいですー!」

秋山さんの言葉に、私は勢いでがばっと起き上がる。

「ふうん…」
「ごちそうさま」

秋山さんは面白そうな表情を浮かべている。

「え?」

その視線を辿っていくと、むき出しの私の胸が有って…。
うわっ!と小さく悲鳴を上げて突っ伏す。

「今更だな」

そう言われても恥ずかしいものは恥ずかしくて耳が熱くなる。

「とにかく…まあ、いいんだって。君は自覚して無くても」

その方が面白いし…そう呟いて秋山さんは私の肩先まで毛布を掛け直してくれた。

「…そう言われると余計に気になります!」
「だから…今回はやっぱり、さ」
「はい!」
「君の事が可愛くて可愛くて仕方ない俺の負けって事でいいよ」

そう言って私の髪をくしゃくしゃと撫でる秋山さんは、私の大好きな笑顔を浮かべている。

(きっと一生この人には敵わないんだろうなぁ…)

そう考えるとすごく嬉しくて私は秋山さんの胸にぎゅっとおでこを寄せた。






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