秋山深一×神崎直 ![]() 直が無垢過ぎて 壊してしまいそうで 側に居るのが辛くなる 直に言われた 「秋山さんっていつも冷静ですね」 お前と二人きりの時に冷静を装うのがどれだけ大変か お前に分かるか? ――――――――…‥ 「秋山さん、年、あけましたね」 「そうだな」 「去年はホントに大変な年でしたね」 「そうだな」 「ライアーゲームに参加していた日々が凄く昔のような気がします」 「そうだな」 「もー!秋山さんさっきからそればっかり!」 「そうだな」 「…もう良いです」 殺風景な俺の部屋の真ん中に置かれたコタツで身体を温める俺と直。 テレビを見るわけでもなく年明けの余韻に浸りつつだらだらと寝転がっていた。 俺は直の隣で本を眺める。 中身など伴わず本当にただ眺めていた。 本から目を放さず適当な相槌をうつ俺の足を 直はいじけたようにコタツの中で小突いてくる。 「はぁ…何だよ」 「何でもないですよ」 言葉とは裏腹に小突く足は止まらない。 「秋山さん…」 「ん…?」 「もしあのゲームがなかったら、私達今こうして一緒に居る事も無かったんですね」 「まぁ、そうだろうな」 「私は、秋山さんとこうして居られる事が嬉しいです」 「…そうか」 俺の応答で急に直の足が止まる。 不思議に思って直を見やれば不満そうな顔で俺を(直なりに)睨んでいた。 「?」 「秋山さんは…私と居るの、つまらないですか?」 何を言い出すのか 「私は…頭も悪いし、秋山さんの話相手には役不足かもしれませんけど」 「直…」 「私だって…!一生懸、命ッ…ぅ‥‥」 途端、大粒の涙が溢れる。 久々に見る直の涙に俺は動揺した。 ゲームが終わってからというものすっかり俺になついた直を傷付けたくなくて 自分の感情をどれだけ押し殺して 普段通り 直の中にある通り いつも冷静でクールな俺を演じてきたか 「私…秋山さんが何考えてるか…分からないです‥‥」 それが逆に直を不安にさせ 傷付けていたなんて。 泣きながら「私の事、嫌いですか」と見上げる直は 触ったら壊れてしまいそうな程 儚げで 愛しい 「…直」 「っ、‥‥」 泣きじゃくる直をぎゅっと抱き寄せると吃驚したのか身体を強ばらせたのが分かる。 「お前は…ホントに馬鹿だな」 「秋山さ…」 身体を離して黙って瞳を見つめれば あの…と目を泳がせる。 その仕草があまりに直らしくて笑ってしまう。 「ははっ…」 「?」 「お前のそれ、わざと?」 「ぁ…秋山さんッ、」 ゆっくり体重をかけて床に組み敷くと直は不安に顔を歪めた。 「男の俺が女のキミを押し倒す…どういう意味か分かるか?」 「…ぇ、と‥‥」 「好きなヤツにあんな顔されて…何もしない男が居るなら是非会ってみたい」 ゆっくり顔を近付け唇を重ねた。 「直…俺はお前が好きだ」 「うそ…」 「こんな時ばっかり信じないんだな」 「だっ、て‥‥」 耳元に唇を寄せもう一度 好きだ と囁くとビクリち身体を震わせた。 「直、姫初めをしようか」 「姫、初め…?それって‥‥私がお姫様、って事ですか?」 そういって俺を見上げる直 「くく…まぁ、そんなとこだ」 本当に馬鹿だなぁと 愛しさが募った ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |