秋山深一×神崎直 桜満開の並木道が、街灯に照らし出されて幻想的な空間の下 少し前をポケットに手を突っ込んで、歩いているあなた。 背が高くて、スリムで、ちょっとだけ猫背で… その背中を見ながら歩くのも、数え切れないくらいなのに なぜか今夜は淋しくて… 「秋山さん…」 「ん…?どうした?」 ー あ、その言い方…好き… ー 落ち着いた低めの声で、あなたは振り向いてくれる。 他の人に話す時より少し甘いトーンは、私の気のせいじゃないですよね。 「どうした?」 少し眉をひそめて、もう一度あなたが聞いてくれる。 「…手、寂しいです…」 胸の前で祈るように手を組んで、あなたに伝える。 私の気持ち。 ちょっとだけ絶句した後、しょうがないなぁって顔。 「ほら」 片方のポケットから差し出された右手が、私を呼んでる。 「エヘッ、これカップルつなぎですネ」 「…馬鹿」 「秋山さんの手、あったかいです」 「…」 ニコニコな私。 そっぽ向いて歩くあなた。 「桜、キレイですネ。見せてくれてありがとうございますっ。」 SS一覧に戻る メインページに戻る |