本性を見せて頂きましょう
葛城リョウ×神崎直


白いワンピース、その下は淡いピンクの薄手のセーター、その下にはまた一際白い肌。
甘ったるくてイライラとしてくる。

「いや、です…!!」

彼女を見下ろす私を見上げ、彼女がもう一度言う。

「どうしてこんな事するんですか。やめて下さい葛城さん。」

目元は不安からか潤んでいる。
本当に甘ったるくてイライラさせる。

セミファイナルが終わって一週間、私は何をしに此処へ来たのか。
突然の訪問に対して、彼女は快く部屋に通してくれた。
安っぽく甘ったるい彼女のテリトリー。

「葛城さんっ」

抗議を上げる語感も口元も妙に甘ったるい。
思考を止める五月蝿い口を指で塞ぐ。
口の中に無理矢理突っ込むと、彼女の歯が当たった。
不快な表情をわざと浮かべると、ビクリとして抵抗を緩めた。

「本当にあなたは、お馬鹿さんですねぇ」

(ご自分のおかれてる状況がわかっているんですか?)

心の中で付け加え、彼女の状況を確認しながら口腔を犯してみる。

「ふっ、っん、…ん、ぐっ……」

まだ差ほど乱れていない衣服から伸びる色白な四肢。
両の手を頭上で一くくりにされ、下部に下げられない様に固定されている。
スカートから伸びる脚は訪問者が持参していたステッキの両端に固定され、閉じる事も開く事も許されず、固定に使われている細い紐の食い込んだ足首が痛々しい。

何故、私は此処に来たのか…そんな事は、今更考えても意味のない事。
それよりも……

「さて、これからどう進めましょうか。ご希望はありますか?」

口腔を塞がれた彼女の反応を目元に求めてみる。

いったいどうしてこんな状況になったのか…直は必死に考えていた。

今日は休日だというのにこれといった予定はなく、快晴の休日を惜しみながらもせめてお買い物だけはしてこようと出掛けた。

大量の荷物を両手に帰宅してみると、葛城さんが居たのだ。

「こんにちは」

私と目が合った彼女は、少し申し訳なさそうに遠慮がちに見えた。
今までの彼女からは感じなかったそんな姿に、私は落ち着かず慌てて鍵を出そうとしたが、荷物の一部を落としてしまった。
本当にドジだっと思った瞬間、彼女がそれらを拾い上げてくれた。
その時、自分も彼女とわかり合えると感じたのだ。
それなのに、どうして今こんな状況なのか…先程との差に、目の前の葛城へ恐怖に似た不安が溢れる。
その後の事を思い出そうと目をつぶる。

「さて、これからどう進めましょうか。ご希望はありますか?」

先ほどから黙っていた葛城が突然口を開いた。
抗議のチャンスと思い、やめて欲しいという気持ちと何故?という先程からの疑問をぶつけたい。
塞がれた口で言葉を紡ごうと試みる。

「か…っん…っ…」

口の中で指に強く制止され、言葉が作れない。

「!…ふぅ、んんんっ」

動きが強くなり、不快さが増し、吐き気のような感覚が込み上げる。
止めて欲しいと目で懇願すると浮かんでいた涙が零れた。
こちらをじっと見ていた葛城がニッコリと笑った。

「世の中には涙の通じない相手もいるものです。今日はそれを教えてあげましょう。あなたのために。」

そう言って指を抜き出し、口腔で付着した液体を私の髪に擦りつけるように拭った。
セミファイナル前半で感じた葛城への恐怖感が戻る。

彼女の瞳の色が困惑から恐怖に変わった事がわかる。
それでも尚、甘ったるさが残る空気に苛立ちが募る。

(どうしてこんな人が…)

浮かんできた言葉を彼女から目を逸らす事で打ち消す。
逸らした目が彼女の部屋をさ迷い、キッチンを捉える。
整然と調理器具が並ぶ中にキッチンバサミを見つけた。
再び彼女に視線を戻し、固定されている四肢を確認しハサミの方へ向かう。

「丁度いいものがありましたよ。」

視界の端に映る彼女は、私の視線が捉えたものを知ってか知らずか、先程以上の恐怖の色を浮かべている。
ハサミの他にもいくつかの調理器具を調達し、彼女の側へ戻ると、彼女の息が若干荒くなっていた。

「今からそんなに興奮しないでくださいよ。お楽しみはこれからですよ?神崎さん。」

恐怖心から呼吸が乱れている事を承知で、わざと性的な羞恥心を煽る言葉で声を掛けてみた。

「………」

彼女からの答えはない。
篭代わりにしたステンレスボールの中にある器具類を不安そうに見ている。

(本当に何をされるのかをわかっていないのかもしれない)

そう思うと自然と変な笑いが込み上げた。
ハサミを選び取り彼女の横へ腰掛けると、先程汚した髪に手が触れた。

彼女が身を竦める。

「髪にハサミを入れたりしませんよ。」

そう言って刃先を彼女に近づけ、白い肌を傷付けないようにワンピースの肩部分を挟む。
ようやくハサミが何に使われようとしているかを理解した彼女が顔を羞恥に染め、抵抗のつもりなのか身をよじりだした。

「動かないでくださいね。流血沙汰はごめんですから。」

こう言うと刃物への恐怖が戻ったのか、彼女は唇を軽く噛み簡単に大人しくなった。

ワンピースの両肩を裁ち切ると、胸元にも数センチ程の切り込みをいれた。
繊維の方向を確認し、手で下方に向け適当な所まで引き裂いた。
ウエストラインを少し越えた所で止まってしまったが、取り敢えずは十分なので横に置いておいたハサミをボールへ戻し彼女の顔を見る。

軽く噛まれた唇はそのままだったが、開かれていた目も、現実を拒むようにギュッと閉じられている。
構わずに淡いピンクのセーターに手を掛け、一気にたくし上げてみる。

「やっ!」

閉じられていた目がこちらを向く。

まるで何を考えているのかわからない!

といったような、困惑の表情が戻っている。
強い視線を返すと、一瞬目を逸らし、それでも私の真意を確かめようと再度こちらを向いてきた。

「かっ、葛城さんは、そんなに私が嫌いなんですか?」

興奮で呼吸が乱れ顔がくしゃくしゃになってゆく。

「だとしても、…だからといって、こんな事は、こんな事って……なんでなんですかっ…どうして………」

涙がどんどん溢れている。
それでも目を逸らさずに必死で問い掛けてくる。

(なんでだろうか)

既にしゃくり泣き状態になり問い掛けの続きができない彼女の代わりに自問してみる。

頭に靄が架かったみたいに考えはまとまらない。

「本性を確かめたいから。…ですかねぇ。」

自分でもしっくりこないが、取り敢えず浮かんだ事を口に出してみた。
これが本心だとしても、彼女のどのような本性を暴きたいのか……
どのような本性に期待し、確かめたいのかまではよくわからない。

更に数十秒考えてみる。

やはりすぐには答えがでない。
今考えてもしょうがない事と思い、彼女へ意識を戻す。
しゃくり泣いていた彼女は、少しだけ落ち着きを取り戻し、私の様子を観察しているようだった。
心の中を見られた気がして苛立ちが戻る。
苛立ちに嗜虐的な感情が加わりブラジャーに手を掛けた。

「さて、本性を見せて頂きましょう。」

直の問い掛けに

「本性を確かめたいから。…『ですかねぇ。』」

と疑問形で呟き、なにやら物思いに耽ってしまった葛城と急に目が合った。
瞬間、不快そうな表情に変わり、すぐに意地悪そうな笑みを浮かべた葛城が口を開く。

「さて、本性を見せて頂きましょう。」

反射的に身体が縮まったが、直後、セーターの下に直接着ていたブラジャーを、肌に押し付けるように無理に上へずらされた。

「いたっ」

恥ずかしさより先に、摩擦による痛みが走る。

「随分と可愛らしいおっぱいですね。」

右の胸を強い力で掴まれる。

「いっ、痛いですっ。やめてください!」

本当に痛くて恥ずかしいなどと思う状況ではない。
少しでも痛みが軽減したくて、自然と身をずらそうと身体が動く。

「感じないんですか?」

掴んでいた手が一度緩み少しだけ緊張から解放されたが、またすぐに別の形に胸を歪ませられ痛みが走る。

「んうっ」

痛いという言葉の代わりに喉が軽い悲鳴を上げた。
昨日まで他人に触れられた事がなかった胸には、無理矢理歪められた後が欝すら赤く浮かんでいる。

「まぁ、これで感じる人は珍しいでしょうね。」

葛城はそういうと力を緩め、カーブを描くような甘い動きに変えた。
反対の手を首筋に置き左の胸に顔を近付け蕾を口に含んだ。

「あっ…」

湿った感覚に思わず悲鳴とは違う声が漏れる。
葛城の顔がすぐ近くに来ていた。
すぐ目の前で葛城の口が自分の胸の突起を含み、怪しく光を帯びた舌で転がしている。
呼吸が乱れているため胸全体が明らかに上下しており、まるで葛城の口の中に自ら蕾を擦り付けてるように見えた。
更に吸い上げられ卑猥な音がたつ。

ぴちゃ…ちゅちゅっ

有り得ない光景に意識が遠のきかけていた直だか、湿った音に意識が戻る。
途端に羞恥心が込み上げる。
手の痛みを堪え抗議をする。

「やっ…やめてください葛城さん!!こんなのどうかしてますっ。」

乱れた呼吸のまま一気にまくし立て、更に呼吸が乱れる。
それでも言わずにはいられなかった。

「葛城さん。もうやめてっ!っん…。」

抗議の途中で蕾を軽く噛まれた。
痛みではない変な感覚が走る。

(!!!感じてる?そんなわけはないっ)

直は先程走った感覚と頭に浮かんだ事を必死に否定した。
そもそも『感じる』という事自体、これまで性経験と言える程の経験をしていない直にはよくわからないのだ。
知識の上では多少知っている『感じる』という感覚を、同性である葛城から与えられる…という事態は理屈抜きに嫌悪の対象である。
絶対に否定したい、認めたくない事態を漠然と想像し嫌悪が込み上がるが、直の思い構わず葛城の愛撫は濃厚さを増してゆく。
既に胸だけではなく腹部や形の良い敏感なへそ周辺までも葛城に占領され、身体が熱を帯び始める。

けして心地好いとは思わないが、篭る熱が理不尽な状況への怒りからなのか、それとも認めたくない理由からなのか直には判断がつかない。

「はっんっっ、やめてっくだっさ…っい。」

不自由な身体を可能な範囲で引いたり押したりし、葛城の体温から逃れようともがく。
次第に呼吸が更に苦しくなり拒絶の言葉すらままならなくなってゆく。

「はぁぁ。ふっやぁです。ひっく…あぁ……やっ。」

腿の付近からワンピースが捲くられ、内股にも愛撫が及ぶ。
足を閉じたくて力が篭るが、開いたまま固定されていて動かそうとしても足首に痛みが走るだけだ。
気持ち内股気味に足の角度をずらすが、理不尽な熱に浮かされ度々力が抜けてしまう。
直はもうどうする事もできず固く目を閉じて熱に身を委ねる。
どんなによく知っていると言っても異性には知り得ない、同性だからこそ熟知し得る感覚を身体の中心に近い場所へ、執拗に与え続けられる。
時間の感覚はとおになくなっている。

ちゅぷ…

熱に身を委ね意識を遠くに追いやる事で、どうにか過ごしていた直の中心に痺れが走る。

「はぁぁぁんっ。」

信じられない位の甘い声が漏れてしまった。

(やだ…やだやだやだ)

手放しかけていた嫌悪感が戻るが、

にゅちゅ…ちゅぷぷ

それまで身体の外側から受けていた刺激とは明らかに異なる刺激を受け、頭の芯が痺れる。
いや、身体の中心が蕩けそうになる。

「指1本なんて余裕過ぎましたね。」

葛城が何かを言った。
すると、身体の中心に向かう感覚が痛みに変り、甘い声の代わりに息を殺すような悲鳴が漏れた。

「んつぅっ」

「流石に2本はきつめですね。でも大丈夫。すぐに良くなりますよ。」

先程までの質量とは違う存在感と動きに、熱が増す。

「はぁ…やぁぁ、はうんんっ んーー、あぁぁ。」

彼女の喘ぎに確かな手応えを感じ、出し入れしている手とは反対の手で真珠への刺激も加えてみる。

「ふぅーーんっ。」

甘ったるい声に何かを堪えるような気配を感じた。

「いきそうですか?」

意地悪く声を掛けてみる。
が、未知の感覚にセーブを掛けるのに必死なのか、彼女の答えはない。
彼女の足を固定するステッキが邪魔になり真珠を刺激していた手で足だけを解放してやった。
その間、彼女自身には集中できなかったが、彼女の熱が逃げる事はなかった。
解放した足に角度をつけさせ、間に滑り込む。
彼女のそこはやはり甘ったるかったが、ヒクヒクとして甘さ以外の何かを秘めている気がした。
そっと口を近付け新たな刺激を与えてみる。

「ひゃうっ。」

足を解放されたおかげもあってか、彼女がしなるように反応した。
手を絡めるように腰骨を押さえ固定し刺激を与え続ける。
指と舌を使って繊細に大胆に繰り返す。
彼女の腰が震えいよいよ我慢できないようすだ。

(もう少しですね。)

そう確信した時、彼女が突然激しい抵抗をしてきた。
足の固定を解放していたため、激しい抵抗に体勢が崩れる。

(こんな華奢な身体のくせにっ)

心の中で舌打ちをする。
腕の固定のため、上半身が起こせない分、下半身をバタつかせている。
怪我をするのは馬鹿らしいから勝手に体力消耗するのを待つことにする。
案の定ヒステリックな抵抗は数分で幕を閉じた。
熱は随分解放されたと思われたが、一からというわけでもないと彼女の中心に手を掛ける。

ビクッ

やはりしなるような反応が返ってきた。
支配欲が満たされるような感覚を覚え、2本の指を揃えて挿入する。
始めよりは時間を掛けずに激しさを加えてゆくと彼女に熱っぽさが戻ってるくるのがわかる。

「ふ…んっ、ふぁぁ…。」

弱々しながらも甘い声が漏れている。

自分にコントロールされる彼女を見ながら、ふと先程先送りにした自問を思い出す。

(彼女にどのような本性を期待しているのか)

打ち消すように、より熱い愛撫をする。

「はぁぁっあん。ぁ…」

弱々しかった彼女の声が大きくなり、腰が浮いた。
クスッと、変な笑いが込み上げてくる。

(やはりね…。)

なんだかそんな言葉が自嘲気味に浮かんできた。

「ぁきやまさん…」

(………?………)

彼女から突然彼の名前が上がり指が止まる。

「あきやまさんっ、助けて…ぁきやまさん。」

身体を起こして彼女の顔を伺う。
涙で顔をくしゃくしゃにしながら彼の名前を何度も呼んでいた。

罪悪感が沸いたわけではない。
だが今の状況がどうでもよくなってしまった。
そもそも自分は何故ここに来たのか。

ワンピースの裾を戻し淡いピンクのセーターを突起が隠れる程度にだけ下ろしてあげる。
彼女はまだ泣きじゃくっている。
ステッキを拾い上げ念のため自分の衣服を確認する。
問題が無いことを確認し玄関に向かう。
深呼吸をして、彼女をもう一度見る。

「謝りません。」

しゃくり上げていた彼女の呼吸が一瞬止まった。

「私は神崎直さん、貴方のようにはなれません。」

彼女のしゃっくりのような呼吸が続いている。
私は再び玄関に向かいながら言葉を続けた。

「ですが、貴方の事は認める事にします。」

また彼女の呼吸が止まり、こちらを見たような気がした。

玄関の前で彼女の手が解放されていない事を思い出した。
ちょっとした悪戯心が生まれ目に留まった彼女の電話から彼のアドレスを探しcallする。
3度程ワンギリを繰り返して電話を置いた。

(さようなら。)

と心で呟き玄関を出た。

後編:本性を見せて頂きましょう 続き(秋山×直)





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