ヨコヤァァァァァァァァッ …俺、秋山深一は直、アソウ、フクナガとともにヨコヤの家にいる。 かつてどす黒い戦いを繰り広げた相手の家は、こぢんまりとしたマンションで男の独り暮らしの割には片付いていて、少し落ち着かない。 いつものように俺の隣に座る直は、わーっと感激したように辺りを見渡す。 フクナガたちはソワソワしている。何かされるんじゃないかと身構えているんだな…。 「皆さん できましたよー。」 キッチンから大きなお盆を持ったヨコヤが出てくる。 ヨコヤが手際よくテーブルに皿を置く。ピンク、黄色、緑に彩られたそれを見てフクナガたちはおぉーと声をあげ直が喜んだ。 「わあ!これ全部ヨコヤさんが作ったんですか?スゴいです!」 「ええ、お口に合うといいんですが。」 「おい、毒なんて入れてないだろうな。」 俺はヨコヤをギッと睨みつける。それに対してヨコヤは口角をあげニッと笑った。 「毒なんて入れていませんよ。さあ、安心して召し上がって下さい。」 毒、という言葉を聞いた俺たちは箸を取るのをためらった。 ヨコヤは気にせず、頂きますと手を合わせ箸に手を伸ばす…………かと思ったら箸を素通りしたヨコヤの手は違うものを掴んだ。 ヨコヤが持っているソレをただ見ていた。そしてヨコヤは勢いよく冷やし中華にぶっかけた。 「ヨコヤアアアアアァァァ!!」 部屋にヨコヤと直以外の叫び声が響き渡る。ヨコヤは何事?といった顔をしている。 フクナガはダン!と机に手をついて巻くし立てる。 「ちょっ…バッカ!オメエ冷やし中華に何かけてんだよぉぉ!!」 「え?何ってマヨネーズですよ。冷やし中華にかけるととても美味しいですよ。」 あ、ありえない…ヨコヤはマヨラーだったのか…!マヨラーだから白髪になったのか……!! ん…?フクナガたちが叫ぶ中、直がマヨネーズをジッと見つめている。そしてマヨネーズを自分の冷やし中華の一部にかけ混ぜ口に入れる。 そして… 「スッゴい美味しいです!!マヨネーズかけると冷やし中華の酸味が和らぐなんて大発見です!」 フクナガは「ハアー!?」と驚きの声を張り上げ、俺は直がヨコヤマヨラーになったと嘆いた。 直は冷やし中華にマヨネーズをかけ大喜びで口に運ぶ。ヨコヤはそれを見て満足そうに頷いた。 フクナガと俺は 「ヨコヤの感染が始まった…!」と確信した。 SS一覧に戻る メインページに戻る |