番外編
「鹿目さん。学校の怪談、って信じる?」 それは、昼休みの事。 いつもと同じように、3人で集まって他愛もない話に花を咲かせていた。 そこで、唐突にマミがそう切り出したのだ。 「え、と・・・。出来れば信じたくないです、怖いから・・・。夜、1人でトイレに行けなくなっちゃいそうで」 答えながら、まどかは恥ずかしそうに笑う。 まどかももう中学生のお姉さんなのだ。誰かに付き添ってもらうのは、情けないと思っていた。 「ふふっ。鹿目さんらしいわ、そういう所。でもこれを聞いたら、夜どころかこれからトイレに行けなくなるかもしれないわね?」 「━━あ、それって女子トイレの“白い手”のことですよね」 「うう、聞きたくないよぉ〜・・・」 両手で耳を塞ぐまどかを見たさやかは、「にひっ♪」とイタズラっぽく笑って、わざと声色を変えて話し出した。 「ある女子トイレに女の子が入りました。その子の名前は・・・」 「まどかちゃん、と言いました」 「えっ、えぇっ?わ、わたし!?・・それに、マミさんまで・・・っ」 2人揃って怖がらせるものだから、まどかは離れた所に避難してしまった。 「聞きたくない聞きたくない」とすみっこで縮こまる姿が、余計に悪戯心を掻き立てる。 (あの子、なかなか可愛い反応するわね。もしかしたら、って思ってたけど、これは予想以上かも) (ついいじめたくなっちゃうんですよね。まどかを見てると) (わかるわその気持ち。ねえ今度、3人でホラー映画見に行かない?) (それいいですね!) 「こ・・・、怖い話、もう終わったの・・・?」 SS一覧に戻る メインページに戻る |