千秋真一×野田恵
![]() 「的はずれなことばっかり!」 (ちょっと待て・・・何でこんな展開なんだ) 千秋を部屋から追い出そうと、のだめは突っぱねた。 (くそ、キスまでしてやったのに・・・!) 「もう、のだめのことはほっといてください!!」 のだめがそう言うや否や、千秋は自分を追い出そうとするのだめの腕を強く引き寄せ、再び唇をふさいだ。 「うっ・・・!んむっ・・・・・・」 のだめが、抗うようにして身をよじる。 暴れだしそうなもう片方の腕も捕らえた。 身動きの取れなくなったのだめは顔をそむけようとするが、千秋の唇が追いかけて離れない。 (違う・・・・・・そうじゃない) いつしか形勢が逆転し、千秋はのだめを壁に押し付ける格好となっていた。 強引に舌をねじ込むと、しばらくしてのだめはおとなしくなった。 (俺がこうしたかったんだ・・・・・・) 「……っ……んん」 息苦しそうなのだめの反応に、千秋は唇を離した。 「俺はおまえのピアノが好きだから」 (あせることなんか、何も無いのに……) 「先輩だけが好きでもしょうがないんですよ!!」 のだめは捕まれた腕を揺すって、千秋から逃れようとするが、それはもう本気ではなかった。 よく尖る、いつものあの口と同じ唇が互いの唾液に濡れて光っている。 「好きだ、おまえのピアノが……」 千秋はそれに誘われるまま、今度は優しく唇を重ねた。 何度も何度も、時折軽く音を立てながら。 それに答えるように、のだめはぎゅっと握りしめていた拳を解いた。 「同情するなら金をくれっていうんでデスよ……」 「俺が同情でこんな事すると思うか?」 のだめが抵抗しないとわかると、千秋は腰を抱き寄せた。 「好きだから……」 千秋の指先が、のだめの腰から上へとゆっくりとなで上げていく。 (…………おまえが) 指先が優しく首筋にたどり着くと、のだめは今までと違うため息を短くついた。 首筋を唇でたどりながら、千秋はワンピースのファスナーを下げ指を滑り込ませた。 のだめは小さく「ぎゃぼ!」と腕の中で声を上げたが、千秋の指は止まらない。 左手で背中をなで上げながら、右手はすでに胸の柔らかな感触を楽しんでいた。 「ふあ……あっ、千秋先輩……あの……」 「……イヤか?」 (イヤって言われても止まりそうもないけどな……) 「……い……イヤって言ったらどうなんデスか?」 千秋は一瞬のだめから離れると、ワンピースの肩口に手をかけ、はぎ落とすように脱がせた。 そして肩に抱えるようにしてのだめを抱き上げると、ベッドへと放った。 「ぎゃぼん!!……先輩ひどいデスよ!!」 ブラとショーツ姿ののだめは、それを隠すようにベッドカバーをたくし上げた。 「のだめ、こういう日のために、勝負下着を用意してるのに!」 千秋はジャケットを脱ぎ、シャツのカフスをはずした。 「……どうせ脱ぐだろ、下着」 「先輩は女心をわかってません!今日ものだめ、上下ばらばらデスよ!……それに、シャワーだって……」 「入ってないのか?」 千秋は一瞬ぎくりとして、ベルトをゆるめる手を止めた。 「……最近は毎日ちゃんと入ってマス。昨日も……」 「ならいい」 ホッとため息をついて、上半身裸になった千秋がのだめにゆっくりと覆い被さっていく。 「少し、黙れよ……」 まだ何か言いたげなのだめの唇を、千秋は自分の唇で塞いだ。 ブラのフロントホックをはずすと、弾けるように胸があらわになった。 (やっぱり、結構でかい……) ピアニストでもある千秋の大きな手で、ようやく収まるくらいの大きさだ。 千秋の手のひらの中でその頂は次第に堅く尖り、時折指で押し込むようにしてやると、 その度のだめは小さく吐息をあげた。 尖りきった乳首を口に含み吸い上げると、足をすりあわせ、腰をくねらせはじめた。 千秋はそれを見逃さず、ショーツをずらした脇からのだめに触れた。 「んんっ、あぅん……」 すでに潤いはじめていたのだめ自身を、千秋の指が開いていく。 敏感な突起に触れるか触れないかというところでねっとりと指を上下させながら、 徐々にのだめをほぐしていく。 乳首を音を立てて舐めつつふと顔を上げると、目をぎゅっとつぶっているのだめが見えた。 「……ぁ、ぅん……はぁ……」 息が上がり、時折吐息に混じって声が漏れる。 「……のだめ……腰、浮かせて……」 ショーツを取り去り膝を割ると、千秋はいきなりそこに口づけた。 「あっ……!!イヤ……」 敏感な突起の周囲を舌でくるくるとなぞり、十分にじらした後で膨らんでいる突起に舌を強く押しつけた。 突起は舌先によって根元から押し上げられ、何度も上下左右に転がされると、のだめは 身をよじって腰をふるわせた。 飲み込まれている二本の長い指は、細やかに内壁をなぜながら卑猥な水音を奏でている。 溢れ出た雫が、シーツをしとどに濡らしていた。 初めて見せるのだめのそんな痴態に、千秋はこれまでにない興奮を覚えていた。 (初めはただの変態女としか思えなかったのに……) 「ふっ……ふぅう……んんっ……ぁっ」 何かにつかまりたいのか、シーツの上をはい回るのだめの手をとり、千秋は体を起こした。 快感に眉根を寄せたのだめの、上気したほおに軽くキスする。 「……のだめ……いいか?」 千秋は張りつめた自分自身をのだめにあてがった。 のだめは、小さく頷いた。 「……ぁあっ……」 ゆっくりと腰を入れていくと、やわやわと暖かな感触が千秋を包み込んだ。 飲み込まれるように、腰を押し進めていく。 (あっ……すげ……) 「はぁ……あぁ……」 少しずつ、前後に腰を揺り動かす。その動きに会わせて、のだめのふくよかな乳房が扇情的に揺れる。 千秋は、その谷間に顔を埋め、むしゃぶりつくように舌を這わせ、乳首に吸い付いた。 「ぁっ!!うっ……ふぅん……」 「はぁ…はぁ……のだめ………?」 千秋は、のだめが手の甲を咬んで、声を押し殺している事に気づいた。 「……我慢するなよ、声……」 千秋が腰を打ち付けるたびに、粘性を伴った水音がみだらに響く。 「だって……はぁん、先輩が、だまってろ、って……あふ……」 「……バカ。もういい。……もっと出せよ、声」 声を抑えようとする手を取り、指を絡ませあう。 力強く最奥まで進入させたかと思うと、今度はゆっくりと腰を回す。 「先輩……千秋先輩……はぅん……あぁん……もう……もう……」 恥骨を押しつけ、突起が刺激されると、ぐっと締め付けが強くなる。 絶頂が近いのか、のだめは腰を前後にくゆらせた。 「はぁ……のだめ……もっときかせてくれ……」 お前の声を、お前の音楽を 「はぁん……あっああ……!!」 のだめの痙攣したかのような締め付けに、千秋も解き放った。 「ほんとに、的はずれなんデスよ、先輩は……」 ベッドでくうくうと寝入っている千秋に、のだめは毒づいた。 「さてと……やらなきゃデスよ……」 脱ぎ捨てられた服にもう一度手を通す。 机の上にいくつもの楽譜を開いて、自分の音を一音一音探っていく。 自分のピアノ。自分の音。自分の音楽。 何かをつかむために。 「明日は、絶対リベンジ」 (寝ちゃってたのか……) 気怠い体を起こすと、机に突っ伏しているのだめが視界に入った。 自分の服を拾い集めながら、そばにあった膝掛けをのだめの肩にかけてやる。 机には楽譜が広げられ、至る所にチェックが入っている。 (そんなに焦らなくてもいいものを……) 「好きだから、お前のピアノ。……お前の事も」 のだめの前髪をなで、頬に小さくキスをした。 千秋は、静かにのだめの部屋を出た。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |