千秋真一×野田恵
![]() ふと目が覚めて。 うす暗闇の中、壁に掛かった時計の針へ視線を向けると。 4時20分。 至福の2度寝タイムに突入、と外気に触れて少し冷たくなった肩を 再び毛布に潜らせる。 すると耳に規則正しい寝息がそよそよと掛かり。 くすぐったくてくるりと身体の向きを変えた。 目の前には、普段絶対に見せないようなあどけない顔。 キリリと真っ直ぐにそろった意思の強そうな眉に。 軽く閉じられた瞼に影を作る長い睫。 スッと筋の通った鼻に。 少し荒れた、薄い唇。 本人に気付かれることなくこうもまじまじと見つめることのできる時間が。 とても贅沢な気がして。 くふふと一人、笑う。 触れたくなってそっと指先をその頬に乗せると。 ひんやりとしていて。 手のひらで包み込むようにしてから、軽く口付けを落とした。 「……のだめ」 起こしてしまったかと思ったけれど。 どうやら彼はまだ夢の中の住人のようで。 イイコイイコと艶やかな黒髪を撫でるとんー、と微かに笑って。 また安らかな寝息が聞こえてきた。 貴方はどんな夢を見てるんでしょう? どんな夢でもきっとそこには美しい音楽が流れていて。 その真ん中に、私がいたらいいのにな。 そんなことを考えながら、うつらうつらし始めたとき。 明け方、恋人におっぱい鷲づかみにされました。 クスクスと笑い声をたてながら幸せそうに眠る彼に。 いったいどんな夢を見てるんデスカ! と少しムカついたので。 その手にこの間拾ったソフトボールを握らせてやったら。 途端に眉をひそめて。 うーんうーんと苦しそうにうなされてる。 その様子にプププと笑いながら。 オヤスミナサイとも一度キスをして。 私は再び目を閉じた。 一緒に、貴方と甘い夢を見ましょう。 ふたり共にキラキラとした音の溢れる国の住人になって。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |