Turning Off
千秋真一×野田恵


「セン、パイ………」

風呂上がりののだめが、本棚の前に立っていた俺の背中に抱きついてきた。
いつの間に近づいて来たのか。不意打ちだ。
けどそれはもちろん、不愉快なことではまったくなくて。
すかさず腕を取り、柔らかい体を自分の正面に持って来て、こちらから抱きすくめる。

「ん?………おい。……バーカ」
「そんなコト……言わないでくだサイ……ん」
「ふふ………」
「きゃ…………あ」

 ┌───────────────────
 │巻き付けたパスタオルの合わせをほどくと、
 │ぱさりと音を立てて床に落ちた。
 │湯上がりの上気した肌。ピンク色に染まり、
 │瑞々しく水分をたたえて艶やかな。
 │首筋に唇を落とすと、のだめはぴくりと反応し、
 │くすぐったい、と笑った。
 │拭き取られず肌に残る雫をたどりながら、
 │俺は美しい谷間に顔を埋めていく……。
 └───────────────────

…………ん。…あ、しまった。

 ┌───────────────────
 │耳に入ってくる旋律。
 │ああそうか、この指揮者はこういう解釈……
 │っていやいや。
 │今はそうではなくて。
 │俺は徐々に体を落としながら、膝をついた。
 │のだめのすべすべの腹にキスをしながら、
 │両腕を取り自分の背中に回させる。
 │そして、指先で薄い恥毛の奥をなぜた。
 │そこは、明らかにのだめ自身の蜜で
 │潤み始めていて……。
 │人差し指を襞に這わせると、
 │その度くちゅりと淫猥な音を立てる。
 └───────────────────

「あ………」
「いて………爪、立てンなよ…」
「だって、………ん」

 ┌───────────────────
 │指をすすめるたびに、背中ののだめの
 │指に力が入る。 
 │……ふっと一瞬音が途切れ…
 │静かに第2楽章が始まる。
 └───────────────────

…………………う、ん。

 ┌───────────────────
 │のだめの右足を持ち上げ、自分の肩に載せた。
 │眼前にとろとろの秘部が露わになる。
 │そっと息を吹きかけると、その微かな揺らぎにも、
 │のだめは敏感に反応して声を上げた。
 │俺は舌先をのばして、その官能のボタンを
 │まさぐっていく。
 └───────────────────
 
「や……ん」
「…………ちゃんとつかまって……」
「ん…………」

 ┌───────────────────
 │空をさまようのだめの右手を取ると、
 │指を絡ませた。
 │のだめの感じるところ……掌の中央を指先で
 │かりかりと刺激する。
 │そして、舌先で余すところなくのだめを味わっていく。
 │……ああ、そこのスラーなら俺だったら
 │もっと長くゆったり目に……
 │そう、こんな風に……
 └───────────────────

……………やっぱり、だめだ。

 ┌───────────────────
 │第3楽章に入ってからのヴァイオリンソロ。
 │激情を増していく音楽は耳に強烈に届いて、
 │無意識に音符を追ってしまう自分がいた。
 └───────────────────

「悪い、ちょっと待って……」

俺はため息をつく。
一度のだめから離れて、ステレオへ向かい、掛かっていたCDを止めた。

「………音楽かかってるの、ダメなんだよな」
「そ……ういえばシンイチくん、いつも音楽、切りますよネ…? 何がイヤなんですか?」
「んー……音符の方に気が行くっつーか……集中できねーんだよ」

ふたたび、のだめの頭を抱き、栗色の髪にくちづけを落とす。

「おまえに」

くす。
あ、こいつ、笑ったな。

「集中してくだサイね?」
「言われなくたって。………おまえ、気にならないの?」
「どーせ、途中でぜんぶ分かんなくなっちゃいますから。……誰かサンのせいで」

………ああ、そう。

「じゃ、お言葉通りに……集中させてもらうからな?」






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