千秋真一×野田恵
![]() 胸元への圧迫感で目が覚める。 彼女がオレにがっしりとしがみついて、静かな寝息を立てていた。 安心しきった、赤ん坊のような寝顔。 いつまで眺めていても厭きない、愛しいその横顔。 柔らかな髪を、起こしてしまわないようにそっと撫で、 軽く開かれた、ふっくらとしたくちびるに指を這わす。 時計に目をやると、午前4時。起きるにはまだ早い。 しかも今日は、久々に二人のオフが重なった日だ。 だからこそ、こうして二人、裸のまま抱き合って眠りについたのだ。 頭をそっと抱き寄せ、髪に顔を埋める。 このぬくもりに包まれながらもう一度眠りにつこうか… それとも… 頭を抱き寄せていた手を、そっと、首筋、そして背中から腰へと這わせていく。 白く、しっとりとした滑らかな肌。 そこには、昨夜自分が残した小さな赤い痣がいくつもちりばめられていて。 緩やかにカーブを描く腰から下のライン。 何度唇を這わせ、味わっても厭くことのない官能の蜜の味。 そして、身体に密着してくる、ふたつの柔らかく大きな膨らみ。 その身体のひとつひとつを眺めているだけで。 ほんの数時間前、あれだけ乱れ貪りあったのに… また欲望が湧きだしてきた。 髪にそっとキスを落としながら、ゆっくりと手を腰に這わせていく。 ヒップラインから腿へと滑らせ、一度その肌の柔らかさを確認すると、 割れ目にそっと指を差し込む。 しっとりと潤ったそこは、昨夜の名残を感じる。 何度か前後に動かすと、すぐに甘美な蜜が溢れてきた。 「ん…はぁ…」 下半身に甘い痺れを感じて目を覚ます。 身体を動かそうとしても、彼にしっかりと抱き締められていて動けない。 それどころか、その甘い痺れはすぐに全身を支配する。 彼を抱き締めていたその腕に、自然に力が入る。 彼の手は、ゆっくりといたわるように、でも確実に私のいちばん敏感な部分を攻めてくる。 意識が眠りから覚醒しないうちに、官能の渦へと巻き込まれていく。 「し、しんいちくん…やめて…」 やっとの思いで呟くが、もちろん彼が聞く耳を持つはずがなく。 ゆるやかな愛撫が段々と勢いを増して。 卑猥な水音を立てて、彼の美しく長い指が私の中へと侵入してきた。 その衝撃で、無意識に押し殺していた声が漏れる。 ゆっくりと出し入れされる指が、意識をさらに遠くへと運ぶ。 「こんなになっても、まだやめてほしい?」 耳元で、彼の低い囁きが聞こえる。 こんなに…?私はどんなふうになっているの? やめる…?なにをやめるの? 朦朧とする意識で、必死に考えようとするけど、 快感の波が次々と押し寄せてきて、その隙を与えてくれない。 ふいに手を取られ、そのまま彼自身へと導かれる。 硬さと熱さに、遠のいていた意識が戻ってくる。 思わず手をよけようとしたけど、それは彼の手に阻まれて叶わずに。 「も、我慢できないんだけど、いいかな?」 彼の身体が私から離れ、私は仰向けにされる。 ゆっくりと彼が私に重なってきて。 そして唇も重なり。 熱い… 彼女の持つ熱なのか。 自分の熱なのか。 溶け合う熱を感じながら、彼女にそっとくちづける。 うっすらと開かれた唇に舌を差し込み、彼女の舌を捉える。 まだ鈍いその反応に合わせるように、ゆっくりと味わう。 同時に手を胸元に這わせ、柔らかさを感じる。 そして指先で頂点を捉えると軽く擦る。 その瞬間、重なり合った彼女の唇から吐息が漏れ、 繋がりあった部分に強い締めつけを感じる。 それを合図にするかのように唇を離し、腰を動かした。 腰の動きに合わせ、彼女からも吐息が漏れる。 その吐息に合わせ、自分の息も、次第に熱さを増し。 −−− その熱に負けて、意識を飛ばした。 唇に触れたぬくもりで、意識を取り戻す。 目を開けると、彼の顔が目の前にあって。 困ったような照れたような情けない目で私を見詰めている。 「人が寝てる隙に、なにするんデスか…」 その頬を両手で包み、憎まれ口を叩いてみる。 黙れ、とでも言わんばかりに再びくちづけしようとする彼の鼻をつまむ。 そして、しかめ面する彼に、私からキスをした。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |