ノエルの夜
千秋真一×野田恵


───J.S.バッハの「平均律クラヴィーア」

なんて音だ…まるで教会の響きだ…
バッハは苦手だったはずなのに…
のだめは、相変わらず楽しそうにピアノを弾いている。
でも、こいつのピアノは確実に変わって来ている。

"好きだ好きだって言うわりに表面的で、真剣に向き合おうとしない"
"お前の音楽に対する態度と一緒だな!"

オレは、さっきのだめに言い放った言葉を思い出した。
こいつなりに精一杯やってたんだろうに…
あんな事言われて、悔しかったんだろうな………すごかったけど
わかってなかったのはオレも一緒か…

音が余韻を残しつつ、静かになった。

「どうですか?」

ゆっくりと目を開けると、のだめが少し不安げにオレを見ていた。
こいつは、今ちゃんと音楽と向き合っている。
昔みたいに、ただ楽しくピアノを弾いているだけじゃない…

「うん。…だいぶ上手くなったな」

そう言うと、のだめはとても嬉しそうな顔をした。

「あー…わるかったな。さっきはひどい事言って…」
「ぎゃぼ…のだめこそ…ごめんなさい。…ツリー勝手に部屋に入れて」

ツリー!?そうだ、そんな事で怒ってると思ってやがるんだ、こいつ!

「あのな〜ツリーぐらいで怒るかよ!オレをなんだと思ってるんだ」
「ふぉ…じゃーなにをあんなに怒ってたんデスか?」

なんで?って…帰ったら居なかったからか?待たされたからか?無視されたからか?電話をしないから…か?いや…
つーか、言えるか!

「もういい」
「えー!?なんでですか?もしかしたら、のだめも悪いのかもしれないじゃないデスか〜」
「かもじゃねーんだよ。かもじゃあ!!」
「ぎゃぼーーーーーー!!」

「はぁー…腹減った」
「のだめもお腹すきました〜」
「外はもう無理だから、なんか作るか…」

冷蔵庫を開けると、…なんとかなりそうだ。

「パスタでいいだろ?」

ニシンの酢漬けもあるか…。

「…先輩」
「ん?」

振り返ると、のだめは口をあの「ひょっとこ」にして何かを言いたそうにしていた。

「…時々は、用がなくても電話していいデスか?」

…あ、そういう事だったのか。
こいつは、こいつなりにオレに気を使っていたという事か…バカな奴。

「その口やめろ」

オレは、のだめの顔を掴むと徐にキスをした。
のだめは、キョトンとして突っ立っている…ほんとにバカな奴だ。

「先輩……だから電話していいのか悪いのかハッキリしてくださいよ!」
「え?」

こいつだけは…理解できない。

「ダメだ」
「がぼーやっぱりーー!」

のだめは、クッションを抱えソファーでゴロゴロとしている。
ノエルにしては寒い食事だったが、まあ満足しているようだ。

「…のだめ、おまえ今日は泊まってけよ」

のだめは、口をあんぐりと開けて驚いている。
今までこの部屋に泊まっていった事は何度もあるが、特別な事はなかった。
どうやら、これがどういう意味なのか解っているようだ。
…と思ったが、のだめはクッションを放り投げ、突然慌しく部屋を出て行った。

「え…」

え!?オレは、事態を全く理解出来なかった。
きっと戻ってくるんだとは思ったが、30分も経つとオレは諦めた。

「あの女…」

大胆にオレを誘ったりするくせに、いざとなったら怖気づいたか?
シャワーから上がると、この気持ちを沈めようとCDを聴く事にした。
久しぶりにワグナーでも聴くか…
その時だった。

ピンポーン。オレの部屋のベルが鳴った。まさか…

「Oui?」
「先輩、のだめデス(ハート)」
「…なんのようだ」
「なんのようって…やだー先輩ったら。ふふっ」

ムカムカする。

「今日はもう自分の巣へ帰ってく…」

ドアを開けて、オレは驚愕した。
のだめは、三善の家でも着ていたあの母さんのネグリジェを着ていた。

「なんだーそのカッコは!?」
「あ、これですか?のだめ、初夜は絶対これでって決めてたんデス(ハート)」
「はぁ!?」
「そしたらどうぞって、お母さんがくれました」

あの人は…

「とにかく入れ」

のだめの腕を掴み、部屋に引き込んだ。

「あ、先輩。慌てない慌てない。夜はまだまだこれからデスよ(ハート)」
「はぁ〜…」

出るのはため息ばかり。

「とりあえず、今のだめはお姫様の気分なので、お姫様だっこをしてください」
「…ったく」

言われるがままに、のだめを抱き抱えた。

「ふおお〜しゅてき〜!次は、窓辺へGOですよ。先輩」

のだめを抱えたまま、街が見渡せる窓へ向かった。
窓から見えるノエルの街は、いつもよりもキラキラと輝いているように見える。

「のだめの実家の側に「いつものところ」っていうホテルがあるんです…」

…なんの話だ?

「とてもボロいホテルなんですけど、クリスマスの時期だけキラキラと飾り付けされて…」
「そして…クリスマスの日だけは、満室になるんデス」
「それを見ると、あ〜クリスマスなんだな〜って感じたものです…」

のだめは、パリの街を眺めながらしみじみと語った。

「…」
「もームードのない男ですね〜そこで甘い言葉を囁くのデスよ!」

甘い言葉!?
のだめは風呂に入ってきたのか、とてもいい匂いがする。オレと同じシャンプーの匂い。←盗んだから

「のだめ…」
「はい…」

そして、さっきから気になっている胸の谷間…

「重い」
「え?」

オレは、窓辺を離れベッドの上にのだめを投げた。

「せ、先輩」

のだめは、少し動揺しているようだった。
オレは、自分のパジャマの上を脱ぐと、足元に投げた。

「ふおお…」

そして、のだめの顔を掴むと、唇を塞さぐようにキスをした。
キスは次第に深くなり、柔らかい唇を割って入ると、舌を絡ませた。
のだめは頑なに目を閉じて、まるで耐えているようだった。
唇を開放すると、余韻のように唾液が糸を引いた。
休む間もなく、徐々に下り首筋へとキスをして、同時に手を胸へと移動していった。
思えば、なんて都合のいい物を着ているんだ。
辿り着いた手でネグリジェの紐を解き、少しずらすとすぐに胸が露になった。
のだめの胸は、とても柔らかくて滑らかで心地のよい感じだ。
柔らかいからか仰向けだと横に広がるが、両手ですくい真ん中に寄せるとかなりの谷間ができる。
胸を寄せたまま、わりに小さな乳首を親指で転がした。

「はう…」

のだめは、恥ずかしいのか顔を背けている。
既に硬くなっている乳首を口に含むと、今度は舌で転がした。

「…あ」

のだめの口から、奇声ではない艶っぽい声が漏れた。

唇で挟んだり、舌先で突付いたり、咥え込んだり…

「…んん」

のだめは、その度に反応した。
胸を弄りながら、更にネグリジェをずらしていく。
オレの唇も徐々に下り、露になった部分に舌を滑らせていった。

「はあ…あ」

のだめの息遣いも荒くなってきた。
腰までくると、ネグリジェを一気に下ろし剥ぎ取った。
意外な事に、のだめはヒモパンだった。
そういえば、いつもヒモパンだって言ってたっけ…。
しかし、のだめのくせに……結構いやらしい体をしている。

「あ、先輩。そういえば電気、電気を消してください」

オレに、まじまじと体を見られ、さすがののだめも恥ずかしいようだ…

「真っ暗になるからやだ」

パンツの紐を解くと、のだめの体が硬直したのがわかった。
仕方なくベッドを降りて、スイッチに手を伸ばし電気を消した。
途端に部屋は真っ暗になった。

「これでいいだろ?」
「は、はい…」

のだめに覆いかぶさると、肩を抱き寄せ、もう片方の手をのだめの秘部に滑り込ませていった。
だいぶ濡れてはいるが、のだめは相変わらず硬直している。
最初は縦に軽く撫でながら、同時にのだめの唇を吸ったり、舌を絡ませたり、時には頬や顎や耳や首にキスをした。

「はあ…ぁ」

その内、のだめは再び声を漏らし始めた。
そしてだんだんと溢れ出てくる愛液を絡めながら、指は動きを増していった。
クリトリスを摘まんだり、摘みながらつついたり、愛液を擦りつけるように撫でまわしたり…

「んん…あぁ」

のだめが体を捩りながら悶え始めた。
オレは、のだめの肩に回していた手を抜き、体を起こした。
足元に移動すると、のだめの足を持ち、開いた。
のだめは閉じようとしたが、それ以上の力でオレはそれを許さなかった。
そして、顔を近づけ、下から上へと愛液をすくうように舐め上げた。

「あぁぁっ!!」

上の方から、聞こえるのだめの声…
始めて経験する感覚から逃れようと、のだめは体を激しく捩る。
ついには頭がベッドの淵から落ちたのか、上体が異常に反っているのがわかった。
逃げたのだめの腰を引き戻し、オレは止めることなく攻め続けた。

更に指で奥を押し広げると、唾液をたっぷりと含ました舌を突き立てて、その奥を探った。

「いやっ!あぁ…っ」

舌先がギュッと締め付けられ、押し出された。
まさか、もうイッたのか?
溢れ出てくる愛液を押し戻すように舌先を挿入し、膣のほんの入口を愛撫する。

「あ…あぁ!」

指でクリトリスを摘み舌先で刺激しながら、人差し指をゆっくりと中に入れてみた。

「ああ…っ」

膣の中はもう十分に濡れている。
ネットリとした愛液を指に絡ませるように、膣の中をゆっくりと探った。

「はぁ…ああ」

もう十分だろう…

「のだめ、そろそろ入れるぞ」
「は、はい…」

履いていたパジャマの下を脱ぎ、オレのモノをのだめのそこに充がった。

「あ…ま、待ってください!」

のだめが突然、上体を起こし訴えた。

「なんだよ」
「あの…痛いデスか?」

みんな最初は痛がってたし…

「そうだな。痛い…だろうな」
「はうう…先輩、優しくしてください」
「ああ。わかってる」

充がわれたままになっていたモノを、ゆっくりと進めた。
まだ先が少し入ったばかりなのに、なかなかスムーズに行かない。

「のだめ、力抜かないと余計痛いぞ」

のだめは、力をを抜こうと努力しているようだったが、全く持って入らない。
オレは体勢を変え、のだめに覆いかぶさり抱きしめた。
耳元で、のだめの息遣いが聞こえる。

「のだめ、背中に手を回して」

のだめは、言われたとおりにオレの背中にギュッと手を回した。
再び、オレのモノを充がい、腰に力を入れた。
やはりなかなか簡単には入らなかったが、もう絶対にこのまま押し進めようと決めた。

「い、痛いです!先輩!!」

だいぶ入ったが、のだめの中は更に狭くなる。

「もう、少しだから…」
「あ!!」

のだめの体が逃げようとするので、両手で力いっぱいのだめを抱き込んだ。
「いーーっ!!!!」

入った…
のだめの中は、かなり窮屈でオレのモノを締め付けている。

「のだめ、入ったぞ」
「…で、でも、痛いです」

これじゃ、しばらく動くのは無理だな。
オレは、下半身をなるべく動かさないようにして、キスをして、のだめの口の中を舌で探った。
時折やわらかい胸を弄んだり、脇や腰を摩ったり…
そうしている内に、窮屈なのは相変わらずだが、粘液が絡み、動きやすくなったような気がした。

「少し、動くぞ」

モノを出し入れするというよりも、ゆっくりと微かに体を揺らしながら振動を送る。
これでも痛いかもしれないが、摩擦がない分楽だろう。

「痛いですーっ」

のだめの中は、またかなりの力が入っている。
構わず、オレはテンポよく揺らし続けた。
そのうち、それに合わせてのだめが声を出すようになった。

「あっ あっ あっ あっ あっ あっ あぁっ…」

耳元で聞こえるのだめの声は、確かにのだめの声なのに色っぽい…
オレに身を委ね、徐々に力が抜けて来ているのがわかった。

そう言えば、オレは大事な事を忘れていた。
コンドームを着けずに挿入してしまった。
仕方ない、直前で外に出すしかないな…
…あ、なんかちょっと来た。
少しテンポを上げ、のだめを揺らす。

「あっあっあっあっあっあっあ…っ」

のだめの中には、だいぶ愛液が溢れている。
様子を見ながら動かしてみようと思い、体を起こした。
ゆっくり腰を動かし、少しだけ抜いて、入れてみた。

「はあ…っ」

ジュボッという音と共に、外に粘液が溢れ出てきた。
感覚が麻痺しているのか、痛いとは言わなかった。
ゆっくりだが、連続してやってみる事にした。

「あっ…あん…は…あん」

だんだんと気持ちが高ぶってきて、気が付けばそれはオレのペースになっていた。

「や…あぁ…あん…はぁ〜ん」

オレは、もう少しでイキそうだった。

のだめの腰をグイッと引き寄せ、更に奥へ突き入れた。

「う…あっ、ああ…あ」

そろそろだ…

「のだめ…っ」
「あ…あ!」

来た!
一瞬躊躇したが、オレは直前で抜き、のだめの腹の上に放出した。

「はあ、はあ」
「はあ、はあ…」

息も乱れたままベッドから降りると、向こうの部屋からティッシュを取ってきた。
そして数枚取り出すと、まず自分のモノを拭き、次にのだめの腹の上のものを拭いた。

「はあ…はあ…どうしたんですか?」

説明する必要はないだろう…

「別に…」

最後に、のだめのを拭いてやった。

「あ…ありがとうございマス」

のだめの顔はよく見えないが、照れているのがわかった。

「それより、大丈夫か?体」
「はい…まだ痛いですけど、大丈夫デス」

手探りでパジャマを拾い集めて着ると、のだめにもネグリジェを渡した。
のだめにキスをして抱きしめて…もう、そのままだった。
のだめの火照った体の上で、オレは眠りに落ちた…

それから夜中に二度、目が覚めた。
一度目は、のだめが寝返りをうった時。
肩を出して寝ていたのだめに、毛布を掛けてやったのを朧げに覚えている。
二度目は、何かの気配を感じて目を開けた。
側を探ると、隣で眠っていた筈ののだめが居なかった。
部屋は、窓から射し込む街明かりでうっすらと様子が伺える。
のだめは、あのツリーの側にいた。
あいつ、何をしてるんだ?
のだめのシルエットは、ツリーに手を差し伸べて何かを取り出した。

「ほわぁ…」

一瞬、キラリと光ったもの…
あ…忘れてた。ネックレス…。
オレが上海で買ってきた、ルビーのネックレスだ。
ツリーに飾ったのをすっかり忘れていた。
のだめは、よほど嬉しいのか光に照らしずっと眺めている。
ドレスを身に纏い…わずかな光が映し出す彼女は、なんというか…お姫様?いや妖精?
なに言ってんだ…そう思いつつ、オレはその光景に見とれていた。
夢の中のようにも思えるほど、それはちょっと幻想的な光景だった。

しばらくして、のだめはベッドに戻ってきた。
オレはとっさに目を瞑った。

「先輩…大好きデス(ハート)」

のだめは耳元で囁くと、オレの頬にキスをした。
毛布の中に潜り込んでくると、静かに擦り寄ってきた。
部屋が空調されてるとはいえ、のだめの体は冷えていた。

「…のだめ」

思わずのだめの肩を抱き寄せたが、応答はなく、眠ってしまったのがわかった。
首まで深く毛布を掛けてやり、のだめの寝息に耳を傾けた。
ったく…羨ましい奴だ。
その内に、オレは再び眠りに落ちた。

「先輩、起きてください」

のだめの声がする…

「う〜ん…今何時だ?」
「もう8時デスよ。それにしても千秋先輩、甘えん坊さんデスね(ハート)」

え?オレは、途端に目が覚めた。
すると目前には、ネグリジェの前がはだけて露出された胸の谷間があり、思わず飛び起きた。

「先輩、寝てる間にのだめの胸ずっと触ってましたヨ〜」

なにー!?

「ぷぷっ、どんな夢を見てたんですか?まさかお母さんの夢デスか?」
「んなわけねーだろ!」

しかし、のだめの胸…触り心地がいいのは確かだ…

「先輩…夕べはとってもステキでした(ハート)」

なんか照れる…

「あのな…言っとくけど本当はあんなもんじゃねーぞ」
「むきゃ!先輩しゅてき〜!マジシャン!ゴールドフィンガー2005〜!」

のだめの首には、ルビーのネックレス。
思ったとおり…よく似合う。

「ネックレス…見つけたんだ」
「あ、はい。のだめ、貢物はいつでも大歓迎デスからね(ハート)」
「その考え方なんとかしろーーーー!!」
「ぴぎゃーーーー!!」

こいつはすぐ理解の範疇を超えていくけど…

「先輩…ずっと一緒ですヨ」
「はあー…」

きっと変わらない。






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