ART
千秋真一×野田恵


真っ暗な広い部屋には、マウスとキーボードを叩く音だけが響いていた。


そこに時折混じる、「むほぉ〜」や「ふむふむ・・・」「むきゃっ!」というかすかな声。
ディスプレイの光が断片的に映し出すのだめの顔は、いつになく真剣だ。
なんだか分からないが、目の前のものにすごく集中しているのだろう。

こうして数週間ぶりに自分の部屋に帰ってきた俺にさえ気付かないのだから・・・

俺の留守中に部屋に泊まる事はまったく構わない。むしろ嬉しい(何いってんだ、俺・・)
だが、こうして深夜まで音楽以外の事に集中している姿は不審と言うしかない・・・


そっと背後に回り込み、小さな背中を抱きしめる。

「むきゃ!?・・せっ・・センパイ!?」
「ただいま。何やってんだ?こんな時間に。」
「おっ・・おかえりなさい・・・なんといいマスか、そのー・・・芸術鑑賞デス・・・」
「芸術?」

のだめの肩越しにディスプレイを覗くと、ルーブル美術館のWebページが表示されていた。

「へぇ、お前もこんなページ見るのか。
フランス語で見てるみたいだけど、読み書きの方はすっかり平気なの?」
「は・・ハイ、まだわからない言葉もありますケド、フランクとかターニャが
文字にして教えてくれるんデス・・・それで、次のデートの行き先候補も教えてくれて・・・
それでその中から、フランスならルブルかなって決めて・・・」
「お前この間オルセーに行った時、すごい楽しそうだったもんな。・・・って・・なんだ?それ・・」

タスクバーに表示されているフォトレタッチソフトを指さすと、
のだめの肩がビクッとあがった。

「ぎゃぼ!・・こ・・コレは・・企業秘密で・・・」
「何の企業だ・・みせてみろよ、ほら」

ギャーギャー言っているのだめの手の上からマウスを握り、カーソルを合わせてクリックする。

「・・・・・なんだこりゃ・・・・・」
「はう・・だから秘密だって言ったじゃないデスかー・・・」

そこにはルーブル所蔵、「サンダルをほどくヘルメス」という彫像の顔部分に
千秋の顔が継ぎ貼りされている画像が映し出されたのだった。

「・・・これって俗に言う・・・アイコラ?」
「苦労したんデスよー、先輩の肌と彫刻の肌の質感をいかに似せるかとか、大変だったんデス!」


偉そうに言ってんじゃねぇーーーーーーーーー!!!!
ぎゃぼーーーーーーーーーーー!!!!


お約束の夫婦漫才をひとしきり終えた後、千秋はジャケットをソファーに放り投げた。

「・・・俺風呂入ってくる。だいたい何でこの彫像に俺の顔なんだ・・・」
「えー?だって先輩この前こんな感じで靴下履いてたじゃないデスか。
のだめはパンツから履いたほうがいいって忠告しようかと思ったんですケド。」
「・・・おまえな、普通の女はそんな理由でアイコラなんて作んねぇんだよ・・・・」

えー?なんですかー?と言うのだめを尻目に、バスルームに入る。

まったく・・・いくら俺がいなくて寂しいからってあんなモン作ってまで妄想しやがって・・・
変態。生粋の変態だ、ヤツは・・・・。
しかし・・・ルーブル・・・彫刻・・・か。

千秋の脳裏にある一つの画像が浮かんだ。
おい、何考えてるんだ・・俺の頭は。これじゃあいつと同じレベルじゃねぇか・・・
しかし体は正直なもので、まだ布を剥いでいない下半身が反応しはじめている事は無視出来ない。

・・・くそ・・・変態ってやつは伝染するのか・・・!

バスルームからあがると、のだめがさっきの絵を保存していた。

「お前何やってんだよ!ってフォルダ名「宝物」ってそんなベタな名前付けてんじゃねぇ!消せ!!」
「はうう・・・自信作だったのに・・・芸術ですよーセンパイ」

ふと、二人の目線が絡み合った。千秋の頬にそっと赤みが射す。

「・・?センパイまさかこの画像に欲情したんデスか?」
「殺すぞ・・・・なぁ・・お前、彫刻とか・・そういうの好きか・・?」
「ヘ?そりゃーのだめは音楽という芸術を志すアパルトマンの住人デスよ。キレイなもの大好きデス。」
「ふーん・・・じゃあ俺も挑戦してみるかな、音楽以外の芸術に。」
「は?何言ってるんデスか・・・ってムキャー!!!おろして下サイー!!!」

いきなりのだめをお姫様だっこした千秋は、有無を言わさずベットの上に彼女を仰向けに寝かせた。

左手でのだめの右腕を押さえ付け、自分はベッドの縁に座る。

「もうー、シたいんですか?先輩。いつも唐突デスよーもっとそっ・・んっ・・」

自分のシャツのボタンをはずしながら、のだめに覆い被さる様にキスをする。
始めは静かだった交わりが、徐々に舌がねじ込まれ、粘膜と粘膜が混ざり合う音と共に激しさを増して行く。

「んっ・・・っ・・はぁ・はぁ・・・」

名残惜しそうに舌が離れると、つっ・・と細い粘液が伝った。

千秋が自分のシャツとズボンを脱ぎ、無造作に放る。

「お前も脱がすぞ・・・と、その前に・・・」
「ふお?何デスか・・それ?」

千秋の手には、救急箱に入っていた包帯が握られていた。

「むきゃ!なっ何するんデスか!!」
「のだめ・・・両手・・上に伸ばせ」
「んはぁ・・・こ、こうデスか・・・・?」

怪訝そうな顔をしたのだめは、おずおずと両手を上に伸ばした。

千秋はその両手をクロスさせ、包帯を使ってベッドのポールに縛り付けた。

その後、足首を包帯で縛る。

「センパイ・・・これじゃのだめ身動き出来ないデスよ・・・」
「だからいいんだろ」
「あうー・・今日の先輩・・なんだか・・より一層・・カズオデス・・・」

お前がそうさせてるんじゃねぇかよ・・・と思いつつ、
千秋はのだめのワンースのボタンに手を伸ばす。

「あっ・・!駄目デスっ・・・」
「何だよ・・・いつも脱がせてやってるだろ?」
「そ・・そデスけど・・・なんか・・変なんデス・・
身動き出来ないって思ったら急に・・全部の皮膚がピリピリして・・その・・下の方とかも・・
触られてもいないのに・・痛いくらい熱くって・・・触られただけで・・もう・・・」

赤くなりふるふると震えるのだめを見て、理性が半分吹き飛んでしまった。

ワンピースのボタンをはずす、というよりは引きちぎって投げ捨てると、
小さなランプに照らされてしっとりと陰る臍と、しんしんと光る肌が露出された。
くぼみにそっと唇を寄せる。

「あ・・ピリピリしますよう・・せんぱ・・ぁ・・・」

目線を上げると、白いレースに包まれた二つの膨らみが簡単に目に入った。
唇を寄せたままそっと上へと登り、寄せられた谷間に顔を埋める。

「少し・・汗ばんでるな、谷間」
「センパイがドキドキさせるからデスよ・・・はうん・・」

ホックを取るのももどかしく、ブラを上にずらし、荒々しく両手で揉みしごく。
「・・っんはあぁぁぁぁっ!駄目デスっ!そんなに乱暴にしちゃ・・・やぁ・・」

そんな言葉とは裏腹に、、天井を向けてキュッとせり立っている乳首を口に含み、
舌先で先端をチロチロと舐め、軽く噛む。
全身の感覚が敏感になっているのだめは、その工程で既に何度かイってしまっている様だ。

荒々しい息に艶っぽい声が交じり、皺を寄せた眉間に汗が滲んでいく。
柔らかい乳房にいくつもの赤い華を残し、唇は再び下へ下へと泳いで行く。

「すご・・・もうシーツまでぐっしょりだぞ・・のだめ」
「あへ・・口に出さないで下サイ・・そんなコト・・・・」
「ふぅん・・でも、触って欲しいんだろ・・?ほら、言って・・・」
「・・・センパイの・・バカ。・・鬼畜。カズオ。」
「ほら・・・」
「・・・サイ・・・」
「ん?」
「・・・触って・・下サイ・・・・・」
「うん・・」

尾てい骨の下で頼りなく結ばれたリボンを解きほぐし、秘められた湿地を開放する。

「あ・・センパイ・・・ヤダ・・見てるんデスか・・?のだめの・・・」
「うん。安心しろ、綺麗だから・・・・」
「んはぁ・・・ぐちゅぐちゅで恥ずかしいデス・・・」

細く長い指を蜜で溢れかえったのだめのなかへ押し込む。そっと膣内を刺激してやると、
指を押し返すような圧力に負けて排出される愛液と、口元から無防備に流れ出る唾液が見て取れた。
簡単に3本の指を挿入し、刺激しながらのだめの両足をクロスさせ、持ち上げる。

「あっ・・はっ・・だめデスよ・・・そ・・んなコト・・したら・・丸見えデス・・・はうん・・・」
「今更何いってんだよ・・・」

挿入していた指を音を立てて抜き、
のだめの足を肩にかけて、自分のパンツを脱ぎ、ゴムをはめる。
最初のインパクトを予想できない様に、じりじりと、ゆっくり。

「あのー・・センパイ・・のだめいつまでこの格好してればいいんデスか・・・?」
「もうちょっと待ってろよ」
「はうん・・そんなこと言ってー・・もう待てま・・っあぁぁあぁぅん!!!!」

足首の包帯を唐突にほどき、少し開かせた股に自身を挿入する。

「ふぉぁぁぁ!!ちょと待って下サイぃぃぃ!!!!あぅぅ・・」
「んっ・・はぁっ・・・動かすぞ・・・」

のだめの中は蜜で溢れてぐちょぐちょだ。ピストンするたびにねちゃねちゃと嫌らしい音が響く。

「あああああぁぁぁぁっ!!!のっ・・のだめ・・変になりそうデス・・
下の方は・・いつもよりも焼けそうに熱いし・・目がクラクラしマス・・・」
「でもいいだろ・・?麻薬みたいで・・・気持ちいいか?」
「んっ・・はっ・・ぅぁあっ・・」

股を大きく開かせ、ピストンを深くゆっくりとしたペースに変えていく。

「んふ・・ぁあっ・・・」
「ふふ・・口から涎たれてるぞ・・のだめ・・ホント、獣みたいだな・・・」
「あへー・・見ないで・・下サイぃ・・手縛られてるんだから・・・ふけないデスよぅ・・ぁ・・」

ズズ・・と奥まで押し込むのと同時に、唇をのだめの口元まで持って行き、
舌先で涎をチロチロと舐め上げる。

「あ・・シンイチ君っ・・・」
「可愛い・・のだめ・・・」

そのまま舌をのだめの口に押し込むと、待ってましたとばかりにのだめの舌が絡まってきた。
二つの部分での結合は、ぐちゅぐちゅという液音を持ってして果て、解けた。

「悪かったな、こんなことして・・今ほどいてやるから」

千秋は縛られたまま上向きで息を荒くしているのだめの手を自由にした。

「シンイチ君・・・なんで今日は縛ったり・・アブノーマルプレイ満載だったんデスか?
のだめこんなの初めてだったんで、びっくりシマした・・・」

「・・・お前がルーブルの彫刻のコラージュなんてするから・・・
前、家族で行った時見た彫刻を思い出しちゃって・・
あれがお前だったら・・なんて想像を・・うわ、何言ってんだ俺!!!!」

真っ赤になった千秋をのだめがニヤニヤと見つめた。

「何ニヤニヤしてんだよ!!どうせ演奏旅行で溜まってたんだよ!!!
くそー・・・恥ずかしい・・どうにかしてた俺・・・・」
「でもこんなに感じたのも初めてだったんで、気持ちよかったデスよ」
「・・・・・」

ぽん、とのだめの頭に手を乗せる。

「ほら、今日は疲れてるからシャワー浴びて寝るぞ・・・・」
「センパイ、一つ聞いていいですか?」
「ん?何だ?」
「センパイが・・そのーのだめの件で妄想した彫刻ってなんて名前デスか?」
「・・・・・・・ジャン・デュセニュール作【怒りのロラン】・・・」

**************

窓から明るい光が差し込んだのに気付き、目を覚ました。

手で隣に寝ているのだめを探るが、どこを触っても温かみにはたどり着けない。

「・・・・のだめ・・?どこだ・・・」

小さな声で読んでも返事はない。
まさかもう学校に行ったのか?

枕元の目覚まし時計を手にとって見ると、まだ朝の5時。登校するには早すぎる時間だ。
体にかけられていたシーツを巻き取りながら起きあがると、パソコンルームから物音が聞こえた。

「のだめ?こんな朝っぱらから何やってるん・・・」
「あは、センパイ!おはようございマス!!例のブツ出来ましたよーーー!!!」
「うわ、何だよ例のブツって!?・・ん?プリンターが動いてる・・・何か印刷してるのか・・?」
「ちょっと待って下サイね・・・フムフム、色もちゃんと出てマスね・・・バッチリデス」

千秋はかすかに嫌な予感を感じ取り、顔に縦線を浮かべた。

「・・・おまえ・・・まさか・・・」

「ジャーーーンッ!!!!昨日のシンイチ君の妄想の元ネタ、ジャン・デュセニュール作
怒りのロランにのだめの顔を継ぎ貼りしてみまシタ!!!
これでシンイチ君が演奏旅行中にムラムラしちゃっても、昨日みたいなうっぷんを溜めるコト無く
のだめのコトを想いながらスッキリ出来マスね!!
さーて、いつでも妻としてそばにいられるよう、トランクの蓋にでも貼っときマしょうか!」

そのA3用紙には、悪夢の様な光景が印刷されていた。

「おま・・これ・・・あの後ずっと・・こんな事・・・」
「苦労したんデスよー、肌の質感を似せるのは前回で学んだから大丈夫だったんデスけど、
無駄な筋肉とかヘンなモノを削ってぼかすのとか・・・大変だったんデス!」



だから無駄な努力を偉そうに語るんじゃねぇーーーーーーーーーーーーー!!!!

ぎゃぼーーーーーーーーーーーーー!!!!!!

「・・・さっさとゴミ箱に捨てろ!こんなの貼ってるのエロジジイに見られたら何て言われるか・・・」
「がぼん・・・でもこんなにステキな芸術作品を捨てるのは惜しいデスよ!
資源の無駄デス!(?)ちょっとのだめムッシュ長田に講評してもらって来マス」
「は!?何言い出すんだよおまえ!!!」
「もちはもち屋、所詮音楽家にアートの事はわからないんデスよ。夢見る芸術家、ムッシュ長田の
大絶賛を受けて、センパイの高い鼻をポッキリさせてあげマス。」

スタスタと玄関に向かっていくのだめを、千秋はいそいで追いかけるはめになった。

「おい、本気かよ!そんなもん外に持ってくな!!うわーーーーーーー!!!」






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