のだめ@14歳(非エロ)
千秋真一×野田恵


「すいませーん」

ゆっくりと歩いていたところをふと呼びとめられる。
白いセーラー服に紺色のプリーツスカートの少女。
茶色がかった肩までの髪が風になびいている。
中学生くらいか?

「あの、道に迷ってしまって……
イギリス館ってどこにあるか知りまセンか?」

よく見ると観光客用の地図を握り締めている。
制服もこの辺りでは見かけないものだし……
修学旅行生か。
そういえばしゃべり方もちょっと変だ。
むりやり訛りを矯正しているような……

少女の持つ地図を覗き込み道筋を教えてやる。
同じ公園内だし、すぐそこだよと言ってやると、うれしそうにふわりと笑った。

「ありがとうございマス。の…私、友達とはぐれちゃって……」
「友達ってあれ?同じ制服の子がいるけど」

同じ制服を着た何人かの中学生が、何かを探すようにして歩いてるのを指差す。
向こうもこちらに気がついたようだ。
黒い髪の少年が一人、こっちに向かって走ってくる。

「あっ、みんな」

「のだめ!あほ!なんで急にいなくなると!」

かけつけた少年が少女の腕を握りしめて何かを叫んでいるが、
何を言っているのか、はっきり言ってさっぱりかわからない。
少年は怒ったような口調で何かをいい、少女はからからと笑う。

……だいたい「のだめ」ってなんだ?名前か?

「ありがとうございました。本当に助かりマシタ」

俺が考えこんでいる間に話は決着がついたらしい。
少女は礼を言い、手を振りながら、少年と共に仲間の元へ戻っていく。


* * *

「ごめん待たせちゃったかな?」
「いや。俺が早く来すぎたんだよ。今日はどうする?」
「私、映画の券もらったんだ。ちょうどみたいのあったし。行かない?
 ……ところでなんでそんなニヤニヤしてるの?」
「してねえ。じゃあ行くぞ」

待ちなさいよー、と言いながら彼女が付いてくる。
追いついたその手をとり、からませると、彼女は満足したように笑った。

「なにかいいことでもあったの?千秋君」

別に、と答えるけれど。
ちょっとおもしろいものも見れたし。
……あのセーラー服の子かわいかったな。






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