ご褒美は下サイ
千秋真一×野田恵


(おいおい、すげーじゃねえか!)

のだめのリサイタルの話が飛び出して、夕食は大騒ぎになった。
みんな驚きながらも、口々に彼女に祝福と激励の言葉をかける。
その表情を見ると、自分のことのように嬉しいらしい。

ひとつのアパルトマンに集まった同じ学生として、思うところはあるのだろう。
自分の将来に対する焦りや不安や少しの嫉妬。
オクレール先生の推薦と聞いて、フランクは特に悔しがった。

でも仕方ない。才能だけではやっていけない世界だから。
のだめが、そこに一歩踏み出そうとしている。
例え小さなリサイタルでも、それはとても大きな一歩なのだ。
俺は背筋がゾクゾクするのを感じた。

みんなのトレビアンと、のだめのリサイタルを祝って、その夜は何度も乾杯をした。

***

「やっと帰ったな」

二人でソファにもたれる。

「でもみんな、以外と早く帰っちゃいましたね?朝まで飲むかと思ったのに」
「あ、ああ…」

つか、間違いなくターニャが気を利かせてくれたのだろう。
俺ってそんなに……まあいい、ありがとうターニャ。

「みんなとしばらく会えなくなっちゃうのに〜」

こいつ、俺といるよりあいつらといる方がいいのか。

「のだめもう眠くなってきた…今日はこっちで寝ていいデスか?」

へー…寝るんだ。 寝 る ん だ 。

そのままフラフラとベッドに向かうので、俺も渋々ついてく。

「あ…」

のだめが何かに気づいて手に取る。
あ、あれは…

「先輩、これガイドブック?」
「あーそれはちょっと見てただけで…」(白眼)
「なんだ…ほんとにどっか連れてってくれるのかと思いました」

いや、その通りなんだけど。
こいつには直球で言わなきゃ伝わらないのか?

「…その予定だったけど、リサイタルで忙しくなるんだろ?」
「えっ」

のだめが振り向いて俺の顔を見る。

「先輩、ほんとにご褒美考えててくれたんですか?」
「まあな」
「最高の夫です!」
「夫じゃねえ!」

「なのにすれ違い…ぎゃぼん」
「ピアノのが大事だろ?」
「でも、先輩とのだめのバカンスなんて、めったにないチャンスだったのに」
「まあリサイタルが終わったら行けばいいんだし、それに…」

彼女を後ろから抱きしめて言った。

「俺は、おまえにチャンスが巡ってきてくれて、嬉しい」

そう。こいつのピアノが好きだから。

「嬉しいんだよ、俺は」
「…がんばります」

嬉しそうに微笑むのだめ。
ああ、変わったな…

「でもご褒美は下サイ!」

彼女が腕の中で身体をこちらに向けて言う。
ていうか<ご褒美>ってなんなんだ。

「…また20秒?」
「じゃあ、30秒で」
「そんなんじゃ足らねーよ」

そう言って彼女をベッドに押し倒す。
いい思いしてるのは俺なんだけどな…

「はうん、…いいにおいデス。」

いつのまにかのだめが上になっている。今日は飲み過ぎた。
正直、力がぬけてしまってこっちが「はうん」だ。
のだめ、千秋のボタンを外し、胸に顔を埋めて嗅ぎ回す。

「ひゃめてくれ…くすぐったいって」

ろれつが回らない千秋、へたれ過ぎ。

「今日ののだめは鬼畜デスよ。」

体を乗り出して、舌で首筋をなぞってみる。

「真一くんの事、もっとめちゃくちゃにしたい…」

そう言いながら、両手で先輩の繊細な髪をまさぐる。
ふわぁ気持ちいい…

普段と違うのだめの様子に、先輩が驚いた顔をしてる。

もういいかな?

「…なーんちゃって☆ぷぷっ」

……あれ?笑ってくれない。

先輩は急に起き上ると、無表情のままのだめの顔を見た。

…え?どしたんですか…?

「ほんとにいいんだな?」

へ?

腕を掴まれて、反対に押し倒された。
先輩の体がのしかかってくる。
唇を乱暴に塞がれて、
息もつけないくらい深いキスをされる。

体が痺れる…

え、酔ってたんじゃないんデスか?
てゆうか、いつもの真一くんじゃない!

お酒の匂いと先輩の匂いが混ざって流れこんできて、
本能が危険信号を出した。

「っ!あの、真一くん?!」

「………」

無視?!
手が胸元に入ってきた。
ブラの上から胸をまさぐられて、
乱暴に服を脱がされる。

「な、ちょっと待って…」

「…待てない」

服を脱がされたのだめ。

「オレにも嗅がせろよ…」

千秋、素肌に触れるか触れないかの位置で、首筋から胸、脇腹などを嗅ぎ回る。

「ぎゃははは、ぎゃひ〜!くすぐったスギですヨ先輩、ちょっとやめて〜!」

全身鳥肌になりながら転げ回るのだめ。

「子供の頃飼っていた猫が、毎朝コレやったんだけどくすぐったくって目が覚めたんだ。」

あああ、ダメ過ぎ。


「ぎゃぼー!やめてくだサイ〜!!」

笑い転げるのだめの口の端からよだれが垂れている…

…顔、汚い。

「あひ、あはぁ、もーダメです先輩〜」

そう言うとのだめは、俺の頭を自分の胸に押し付けた。
むにゅ…と柔らかい感触。甘すぎないフローラルの香り。

こいつ…確信犯か?

ちょ、ちょっと待て。
オレ、今どうなってるんだ?
のだめの胸の谷間に顔をうずめて…、いや、うずめさせられている…!?
さっきまでオレが主導権を握っていたはずなのに!?
まぁ、気持ちイイからもう少しこのままでもいいか…。

「こうすれば、先輩はもう攻撃出来ないデス」

耳の上からのだめの声が降ってきて、現実に引き戻された。
のだめの胸に触れている頬からから、じんわりとこいつの体温と鼓動が伝わってくる。
ボタンの外れたシャツの隙間から触れているのだめに
オレは早くなった鼓動を知られたくなくて、顔をあげ身体を離した。
そして再びのだめの首筋をなぞるように唇を這わせた。

「もう!先輩は猫じゃないんですヨ!」

のだめの頤に手をかけ自分の方を向かせ、ゆっくりと目を瞑ったのだめの瞼にキスをする。
次いで唇に。
少し開いたのだめの唇に舌を滑り込ませ、貪るように舌を絡ませる。
オレはのだめの舌を味わいながら背中に手を回し、ブラのホックを外した。

『…そうだな、確かに猫にはこんなことは出来ないな』と心の中で呟きながら。

もう限界だ
戸惑うのだめを無視して、彼女の中に入った。
彼女にはまだ強すぎる刺激を与えると、
そこがさらに熱を帯びて、きつく締め上げてくる
あまりの快感にめまいがした
俺がめちゃくちゃにしてしまいたい…

突き上げる度に、のだめがかすれた声をあげる
ダメだ、こんな…
こんな乱暴に抱いたりしたら。
わかってるのに止められない。

おまえがこっちの気も知らないであおるから。
おまえが全部わるい。

「もっと感じて」

そんな言葉が口に出た。

「な、んか…今日の先輩ヘン…」

のだめが途切れ途切れに抗議する。

ばかな奴。
俺だって男なのに。
おまえが知らないだけで、ほんとはいつもこうしたいって思ってるのに。

「ん、真一くん、もうちょっと優しく…」

ああ、そんな言葉 逆効果だ。
苦しんだ顔が見たい。
こいつを独占したい。
口を塞いで、なおも執拗に突き上げる。

「あ、だめ、やだ、いっ…ちゃ、う…」

ああ、やばい、すげー興奮する…
もっと…もっと乱れていい
その痴態を俺だけに見せてくれ

「いけよ」

さらに深く差しこんで追い詰める
のだめが顔を赤くして、いやいやをするように横を向いた

「ーーーっ…」

切ない声をあげて、のだめが達した

俺もすべて吐き出す


「おい」
「…」

のだめはまだ服を着ないまま背中を向けてふてくされていた。

「いいかげん機嫌直せよ」

確かにオレもやりすぎた。
いくら酒のチカラも借りていたとはいえ…

だが。

「元はといえばお前から誘ってきたんだろ?」
「むー…」
「さらに顔に胸まで押し付けてくるし」
「それはムッツリ真一くんには効果的かなーと思って」

「そう効果的…ってふ ざ け る な」

後頭部にチョップ。

「むきゃっ」

ようやく不機嫌な顔のまま振り返る。

「…今日のセンパイ、怖かったデス」

「なんか違う人みたいで。よっぱらってたせいデスか?」

「お前だっていつもと違ってたぞ」

今夜はやたら感じやすかったし、乱れてた。
そう素直に伝えると途端に顔を真っ赤にした。

あんな声で、あんな表情で、名前を呼ばれたら。

「…我慢できなかったんだよ」

「むっつりー」
「うるせー」

オレまで顔が熱くなるのを気づかれたくなくて
のだめを引き寄せて腕の中に閉じ込めてたら
そのうち小さな寝息が聞こえてきた。
のだめは、オレまで顔が赤くなってたことに気づかないまま、眠りに落ちた。






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