ブノワ城の朝
千秋真一×野田恵


リサイタルの朝を迎えた。
私、のだめは夜明けに目が醒めた。まだ窓の光が暗くて、でもだんだんと明るさが増して来ている。
昨日の夜は不安で不安で、眠れないかもと思ってたけど、千秋先輩が、のだめの為に本を読んでくれたから、モーツアルトも身近に感じられたし、とっても楽しい気分になって、いつの間に眠っちゃったのか覚えていない。
千秋先輩はいっしょのベッドに寝たのに、のだめが先に寝ちゃったから、先輩と何もしないで悪かったな。
でも先輩やさしいな。
今、のだめの横で、うつ伏せで寝ている先輩。
眉間にしわがよって、何か苦しそう。
夢見てるんだろか…。
…先輩の寝顔を見ている内に何だかへんな気分になってきた。
のだめはよく眠れて、頭がすっきり。
昨日までの暗さがうそみたいに消えちゃって、すごく気分がいい。
今、のだめの同じ布団で、くうくう寝ている千秋先輩に「キスしたいなー。」なんて気分に…。
そうっとしたらわかんないかな。
のだめは布団のなかで、先輩ににじりよってみた。
寝ている身体にのだめの身体をぴったり寄りたい。
きれいな鼻筋にうっとり。これスキ。
堅く瞼をとじて、なんだかむずかしそうな顔。
まつげ、長いなー。
きりり…と先輩の口から音がした。

「歯ぎしりしてる…」

うなされているデスか、先輩。

そーっと唇を触れさせてみる。
まだ起きない。
もういちど…。
今度は先輩の唇を舌で舐めてみる。
もういちど…。
今度は少し強めに私の唇をおしあてて、先輩の下唇をつまんでみる。
だんだん気分が高ぶってきた。
唇から頬に、キスを移動させて…。
いつも先輩が私にしてくれるように、キスの雨を、頬…瞼…耳たぶに振らせる。

(ふふ、いつもの仕返しデス)

耳たぶかんじゃえ…。

「うーんん…のだめ?」

ひゃっ。

寝た振り、寝た振り。
………。

千秋先輩が身動ぎした気配はない。
また寝ちゃった?
顔をそうっと伺ってみると、何だかさっきより穏やかな顔になってる。

「よかった」

なんだか幸せ。
先輩の胸に頭をよせてくっついて寝た。
足…膝もわざと触れるように沿わせて。
二度寝幸せーっ。ふふふ。

………。

何かさっきした事で、股間が熱くなっちゃってた。
つい足をすりあわせちゃう。
うーんどうしよう……。

「のだめ」

どきっ!

起きてた?
恐る恐る千秋先輩を見上げると、先輩はまだ目をつむっている。寝言?

「のだめ…」

口だけが動いて眠そうな声色。
息を潜めて返事をしないでいると、千秋先輩が薄目を開けた。

「やる?」

気がついてたんですネ ( ;゜Д゜)
顔に赤みがのぼるのを自覚した。
返事しようか、どうしよう。
でも何だか…したいっ。
はずかしくて、返事をしないで先輩の胸に顔をうずめた。
それがイエスと取られたみたい。
先輩は腕をのだめの身体に回して、ぎゅっと抱き締めてくれて、横に回転すると、のだめは下敷きになっちゃった。
口付けを受ける。
最初から舌が入れられてきて、いやでも高ぶってきちゃう。
あ、まだ歯を磨いてなかったのに…。

「あっ…」

千秋先輩の手が、いきなりネグリジェをひっぱりあげて、私の足の間に入ってきた。
もう、もうパンツのクロッチの所に手が…。

「あん…」

声がでるー。
のだめの足に堅いのが当った。多分…先輩はのアレだ。
先輩の指がクロッチの隙間から私に進入して来た。

「あ、あぁー…」
「お前、朝からすごい事になってるないか。どうしたんだ。」

確かにもう指が2本入って来ちゃって、いやらしい動きをしているのが、びんびん頭まで感じちゃって、すごい。

「あっ…はじめ…そんな…つもりじゃ…。」
「俺の寝込みをねらうなんて、のだめをも進化したなあ。」

先輩はネグリジェの上から、のだめの胸に口をつけて、布越しに乳首を噛んだりしてる。指の動きがどんどん早くなって、あえぐしかできない。

クロッチの所が無理に広げられて、パンツが先輩のはげしい動きに窮屈になり、紐の所が痛い。
パンツぬぎたい…。
先輩の肩にまわしていた腕をはずして、自分の腰にそろそろと動かした。
腰の両側から、紐パンの結び目をほどくと、はらり、と解放感があり、楽になった。
と思ったとたん、先輩の指使いも自由になって、さらに突き上げが深く…。

「あっあっあっ感じるっ先輩っ」

ぐちょぐちょと、粘液音が大きくなって、はずかしいけど、もーどうでもいい。
暑いぃ…。
のだめのお腹の所で、丸まってたまっているネグリジェを両手でつかんで、首まで持ち上げようとした。
布越しに乳首をしゃぶってた千秋先輩の顔にぶつかって、先輩は口を離してくれる。
乳首の所が、先輩のよだれでびしょびしょ。
濡れた乳首が空気にさらされて、きゅうっと立つのを感じた。
ところが両腕をあげて首を抜こうとしたところで、ひっかかってしまった。

「ひゃうっダメっ」

腕をを上げてたせいでむき出しになった脇の下に、先輩がキスしてきた。ダメ〜〜っ

「ダメ、っそこは…いやン」

顔が脱げきれず、ネグリジェに埋もれている下から、のだめ必死で訴えたんだけど、なんかこの格好って凄い。

「だって俺の目の前に見せるんだもん」

さらに執拗に舌を這わせる先輩。

「ダメお願い、…先輩も脱がしてあげマスカラ。首取るの手伝って…」
「ホント?」

先輩は脇の下を舐めるのを止めると、片手でのだめのあごにひっかかった所を引き上げて、そのまま上へすぽりとぬがしてくれた。

「はフ」

のだめの上に先輩が立ちヒザで覆い被さっていた。
だんだん窓の光が明るくなってきて、先輩の姿をくっきりと浮かび上がらせて、すごくキレイ。
先輩は今だに、のだめの身体に手を入れたまま。
動かしはしないけど、のだめのお腹の底にぴくぴく痙攣してる所があって、きっと先輩もこれを感じているだろな。

そのままの状態で、先輩のTシャツをぬがしてあげた。空いている腕と先輩の首を抜くと、シャツは使っている手の所でたごまって残っちゃった。
でも先輩は指を抜くのを止めない。
しかたがないから諦めて、先輩のズボンをぬがす事にした。
両手をゴムの所に掛けて、下にさげるとピョコっと先輩自身が顔を出した。

「あー、先輩が出たネー」

先輩がちょっと恥ずかしそうな顔をして、腰が引けたので、もう両腕がゴムに届かない。「これじゃ寒かネ、あたためたげるばい」
と子供に言うみたいに言って、両手で先輩を包んだ。

「う…のだめ」

ごしごしさすったり握ったりしてると、先輩の腰がゆるゆるもどって前に出てきた。
片足を上げて、先輩のパンツとパジャマのゴムを、足の指に引っ掛けて足先に下ろす。
すると先輩が片足ずつ膝を浮かしてくれたので、するりと脱がすことができた。
先輩の下着の中にのだめの片足が入って、まだ体温が残っている。
先輩のアレはもう堅く熱くなって、手のなかですごい存在感。むきゃー。
片手を離して、今だのだめの股間にある千秋先輩の手にそっと添えた。

「先輩…もうのだめ…」

いうなり先輩は急に指を抜いた。

「はうっ」

やにわにのだめの頭の所の、まくらのあたりに手をさしこんで、何か捜しだした。
見つけて、手にある物は、小さな四角いビニールの包み…。

(むきゃあ…、昨日から用意してたんデスネ…ゴメンナサイ)

ぱちぱちっと、ゴムのはぜる音が遠くで聞こえた。
先輩はそうしてまた、のだめの上に戻ってくると、がばっと片足を上げて股間に入って来た。

「あ…っ」

ぐーっと先輩が進入してくる。

「のだめ、動くぞ」
「あっ!」

先輩の律動がはじまって、のだめの身体もいつも通り上下に揺すられた。
奥に、奥に、気持ち良い、ボタンがあって、当ると、どうしても声がでちゃう。変な、こえ…。

「あっ、ああああっ、あん、あん、あん…」

すっかり外が明るくなって、先輩のちょっと苦しそうな顔がはっきり見える。
ああ、大好きせんぱい。
頭の中が気持ち良いでいっぱいになってきた………。

――――――――――――

「お前、今朝はどうしたんだ」
「エ…」

行為が終わって、のだめの横に身体を横たえた先輩が言った。
まだ呼吸が整わない。
のだめも先輩の余韻が全身に残ってて、頭がじーんとしてる。息を吸いすぎて、ぼんやりしちゃうのだ。

「えへへ…先に目が醒めちゃって…先輩の寝顔見てたんデス。」
「ハア?」

先輩はちょっとイヤそう。目をつむってるトコとか、寝顔みられるのが嫌いなのだ。

「先輩、なんか恐い顔してて、歯ぎしりしてましたヨ」
「あー?」
「何か夢見ていたデスカ?」
「知らん、忘れた」

ぷいっと横向く。

「それでのだめ、先輩の顔みてたらチューしたくなってきてエー、起こすつもりじゃナカタデスヨ」
「嘘つけ。おまえ俺のみみ噛んだろ。」
「ふおーごめんナサイ、ちょっと出来心で…」
「…ったく」

そういって先輩はのだめを抱き寄せてぎゅっとしてくれた。

「まあたまにああいうのもいいけど…ちょっと積極的だからびっくりした…」
「あー」

急にすごく恥ずかしくなって、先輩の胸に顔を隠した。

「本のお礼になったらト…」

すいっと頭をなでられた。

「よく眠れたか?」
「ハイ」
「…良かったな…俺はもう少し寝たいから、起こして…」

それきり先輩はだまってしまった。
そおっと顔を上げると、もう眠ってしまったようだった。
今度は楽そうな、おだやかな寝顔。
時計はまだ5時半。朝御飯は何時だったろう。
のだめも眠いデス。
目覚ましつけといたからきっと大丈夫。
こんな幸せな二度寝はじめて…。
きっと今日は上手くいく気がする。
はじめてのリサイタルで、先輩が一緒にいてくれて良かった。
そのまま、ふうっと眠りに入っちゃって、結局二人で少し寝坊をした。






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