ただ今のだめ、ピンクです
千秋真一×野田恵


「のだめー」

あ…子供たちの声……い、かなきゃ…でも…

「…行くなよ」

いつもより長い長いキスを終えると、先輩がそう呟いて。
また唇を重ねた。
何度も、何度も、繰り返し。

これは頑張ったごほうびですかネ?
先輩のキスは「好きだよ」って言われてるみたいで、堪らなく幸せ…ゲハ。

段々とお互いの体がより近付いてく。
先輩の左手はいつの間にかのだめのウエストに添えられてた。
もぞもぞ撫でてるような…リズムとってるような…微妙な手の動き。

なんだかのだめ、ヘンな気分になってきマス…はうん。

「し、いちく…」

甘いだけのキスじゃ足りなくなってきて…思わず膝立ちになって、先輩の頭を両手で支えた。
さっきよりずっと深く交差する。
先輩の舌が絡んできて、色んなトコをつつかれる。
腰やお尻や太股の裏ッ側も撫でられて…

はうぅ…気持ちイイ…

のだめも負けじと先輩の髪や耳に手を這わせると、熱っぽい吐息が漏れた。
ああ、もう、いつの間にか胸にまで手が伸びてきてるし。

……あ…ヤダ…先輩のが…
でも、も少しこのまま…今離れたくない…

「も゛ぉー!!のだめってばー!!!」

さっきより更に大きな子供の声。
びっくりして思わず顔を見合わせる。
酔いが醒めたように我に返って、同時に二人して吹き出した。
いつもの先輩なら、誰がいつ来てもおかしくないこんなトコで、絶対有り得ないのに。

「ほら、行けよ」

ぶぶ。今度は行けだって。
さっきと言ってる事違いマスよ?かなりバツ悪そうだし。

それでも。

最後にぎゅって抱きしめてくれた。

大丈夫。
のだめが帰る所はここしかないんですからネ?

「ではアンドレイ、続きは後で」
「誰がアンドレイだ!」
「アンドレイ、服はそのままで」
「変態!ほんとに誰だよ」
「ベルばらデス。先輩読んだくせに…オスカル様が死ぬとこで泣いてたくせに…」
「あぁアンドレね…ってなんで知ってんだ(泣いたこと)!」
「のだめはなんでも知ってマース」

まだまだですね、先輩。のだめが一枚上手デス!
カメラをさっと拾って中へ戻ろうと体を翻す。
と、その瞬間。腕を掴まれてた。

「お前は昨日のアレ着ろよ?部屋で待ってるから」

そう囁くと、耳にキスしてふっと笑って。
のだめを残して先に中へ入っていった。

あへー。
やっぱり真一くんは二枚も三枚も上手でシタ…

キラキラ星…モツァルト。
ただ今のだめ、ピンクです…






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