千秋真一×野田恵
![]() 早足だ…これじゃ速歩じゃないか。 のだめに手を引かれて、俺はブノワ城の長い廊下を歩く。 のだめが変なのだ。 ヴォルフガングの衣装のまま、走りだしそうな勢いで、俺を引きずらんばかりに歩き続ける。 かつらから出ている耳が赤い。 いくらさっきのパーティ会場での演奏に興奮したからとて、いったいどうした。 俺の手をにぎる、のだめの手も赤くて熱い。 ずんずんと、なおも無言で進むのだめ。 部屋が見えた。 ダッシュ! 本当に引きずられる俺。 ドアを開け、飛び込む様に部屋に入るなり、のだめは振り向いた。 「せんぱい!」 両腕を広げ、背伸びをして抱きついてくる。 あまりの勢いに、いつかのように肩に噛みつかれるかと思った。 が、そうじゃなくて、熱烈なハグだった。 れ…冷静に、のだめをだっこしたまま、後ろ手を伸ばして、ドアを閉める。 「のだめ、どう(した)」 ぶちゅーっという感じでキスされた! 「む…むわてっ!」 顔と肩をつかんでむりやり引き剥がす。 俺の唇が持っていかれそうになった。 「俺を食う気かっっ!!」 「ひ…ひどいアンドレイ…さっきの続きを…」 「俺はもっとムードが…ちがうっ!かつら取れ!…じゃなくて、それよりさっきの最後のトコは何だ!!」 はた、と気がついたらしく、のだめが一瞬フリーズする。 とたんに、ばっと身を翻して逃げ出した。 狭い部屋の中をだーっと半周して、ベッドの陰に隠れた。 「ほんとに犬かおまえは!」 そーっと顔を出すのだめ。 「ごめんなさいごめんなさい!ちがうキラキラ星、弾いたから怒ってるんデスネ」 ちょっとかわいい。 「…かつら取れ」 ぽふ、と音を立ててベッドにかつらを置くと、まさにに犬が尾をフリフリしているかの様な、しなを作って見せた。 「おこんないデスカ」 お…怒れん…。 ――――――――――――――― 「キラキラ星はですね、のだめの子供の頃、沢山弾いた曲なんデスヨ。 今回はオクレール先生に正しい譜で教えてもらったデスけど。 いままで忘れてましタ。」 客室のティーセットで紅茶を入れて、のだめにカップをに渡す。 俺も茶をすすりながらベッドに並んで座った。 「意味判んないんだけど、子供の頃のは正しいのじゃなかったのか?」 「リカちゃん先生は正しく弾いてましたヨ。でも、のだめは変化させるのが面白くて、演歌風とか、セイコちゃん風とか、沢山作って遊んでたんデスよ…子供の頃の事デスから…」 ゆるちてネ、ていう感じでウインクするのだめ。Ruiの真似かそれは。 「だんだん判ってきたぞ。 つまり、キラキラ星は当時の流行歌をモーツアルトが12曲のヴァリエーションを作ってまとめた訳だから、子供のおまえはそれをパロディだと思ったんだな。」 「そです、そです、さすが夫です。」 「夫じゃねえ!それにしてもだな!なんでモーツアルトを勝手に変えて弾くんだ!城主がいたら怒り出したかもしれないぞ。」 ぎゃぼっと奇声をあげて、頭を隠して身を引く。 ぶたないのに。 「えと、えと、何か盛り上がっちゃってエ、調子が良くてちょっと舞い上がっちゃったんデス。 弾いてるウチに、さっき先輩とシタ事で頭がイッパイになっちゃって、ついあーいう風にやりたくなっちゃったんデスヨ…ゴメンナサイゴメンナサイ」 「俺のせいかよ!」 大声をだしたので、のだめが枕を盾に身を縮めた。 はああ、と俺はため息しか出ない。枕を取り上げる。 「今後、人前でああいう演奏はするな。おまえがもっと有名になって、プロになって、誰からも認められるようになるまでは、勝手なアレンジは駄目だ。…俺の前では良し。」 そう言って抱き寄せた。 「学生の内は楽譜通りにやらなきゃだめだ。それはおまえも今は判ってるんだろう。」 「オクレール先生にも、いつも怒られてマス。でも先生は優しくてぶったりしませんけど。」 そうだ。こいつは体罰はだめなんだ。 だからオクレール先生は教えるのが上手いんだな。 「だったら俺のいう事も聞け。」 耳の後ろにキスをした。 「ハイ…」 「それから、パリに帰っても、今夜の事は誰にも言わない事。オクレール先生にも。もったいないけど…」 うなじにもキス。 のだめが体をねじり、振り返ってハグしてきた。 「もー忘れちゃいマシタ。同じのできませんかラ。」 そうしてベッドに、俺はのだめに押し倒された。 「ま…待て!カップを片づけないと…。」 「後でいいじゃないでスカ。」 「良くない!だからお前の部屋は汚いんだ馬鹿!かたせっ!」 しぶしぶという感じでのだめは起きあがり、カップとソーサーを2人分持ち上げ、カチャカチャいわせてサイドボードまで持っていった。 「おいのだめ、そこで衣装を脱げ!」 「へ?」 「明日返すんだ。しわになると恥ずかしいぞ。」 俺もベッドに座り直すと、半ズボンとタイツをぬいでその辺の椅子にひっかけた。 シャツも脱いで背中を確認する。 なんだそんなに汚してなかった。ホッ。 のだめを見ると、長いベストのボタンの多さにまだ難航していた。 「こっちこい。手伝ってやるから。」 ぱああ( ゜▽ ゜)と嬉しそうな顔になり、走りもどってきた。コイツこんなに犬系だったかなあ。 のだめはベッドに座る俺の前に立つと、子供のように胸をはって偉そうに「お姫様みたいデス」といった。 「ばーか」 残り3個の裾ボタンをはずしてやる。 ベストをのだめは自分で脱いだが、俺は首のタイを引っ張ってのだめの顔を近づけさせた。 やっとキスをする。 浅いキスを、角度を変えて繰り返し、手は長いタイをほどいてシャツのボタンにかける。 指の動きが鈍くて、もどかしく感じるうちに、だんだん俺も興奮してきた。 ようやく外し終えて、つい乱暴にはだけさせた。 ピンクのキャミソールの上半身になり、いつもののだめらしさに俺の脳内のスイッチが、がちんと音を立てて入った。 腕を引っ張って、今度こそ俺がのだめを押し倒す。 「あふん」 のだめの首すじに舌を這わせながら、ズボンのボタンを片手ではずしていく。 「アーっっ、なんでこんなにボタンが多いんだこの服は!」 「あはははは、先輩手伝いマス。」 ふたりで可笑しくなって笑いながら起きあがり、のだめは正座して腰の飾りボタンを一個一個はずす。 ボタンの下にファスナーが隠れていて、一気にさげおろすと、ぱぱっと座り脱ぎして、ぽーんと俺が衣装を掛けた椅子に放り投げた。 ズボンの下に履いていたタイツも脱ごうと、パンツごと尻までさげていたところで、俺は待ちきれなくなってのだめに覆い被さった。 「ぎゃぼ!マダですヨ先輩…あうー…」 タイツが太股の半ばで止まったままの状態で、両足を抱えあげる。 閉じたままの足の間に、秘部が桃の種のように現れ出た。 無言でその割れ目にしゃぶりついた。 「や…ダメ…先輩、早いデスヨ…」 屈伸の姿勢をとらされて、あえぎながらのだめは残りのタイツをくるくる巻きはずした。 そうして自由になった脚を、大きく開いて見せる。 「あ…アン」 のだめのそこは熱くて、本当はもうずうっと俺を待ちこがれていたのじゃないだろうか。 そう思わせるほど、そこは潤ってぐしゅぐしゅになっていた。 いくらか性急だが、俺もパンツをおろし、のだめの上に這い上がると、一気に進入をはじめた。 「ああーっ」 あ、ゴムつける余裕も無かった。やばいかなあ。と思ったのは頭の端っこの方で、身体は快感に支配されて、律動を繰り返す。 「はっ、あっ、アア、ア、ア!」 のだめの腕がぎゅうっと巻き付いて、下の締め付けも同時に強くなった。 「はあ、はあ、」 サルの仔の様に俺にしがみつくのだめの背を抱いて、力ずくで起きあがると、座位の姿勢を取った。 「あン…」 ベッドのスプリングを利用して、上下に揺すりあげる。 のだめの天井に強くあたる感触がある。 「あっ、ダメ、や、あ、あ、あ、アン…」 のだめも自分から腰をたたきつけるように動き出した。 能動的な水音が室内に淫猥に響き渡る。 キャミソールをまくり、自由運動していた、のだめの乳房にかじりついた。 「あっツ…やあっ…」 歯形がつくほど噛み付いた先に飛び出ている突起を、口のなかで舌で転がした。 「ひいっ…い、ア、あ・あ・あ・し…いちくんッ」 俺の首に回していた腕が、背中をさまよい、爪を立ててひっかいた。 「つ…。」 「あっ…キモチい……〜〜〜〜っくっ、アッ…」 先にのだめがいった。きゅううう、と俺を締め付けて、やばいこの体勢だと! ふいっと腕の力が抜けてきた、のだめをそのままベッドに寝かせ、俺は自身を引き抜いた。 ぱ、ぱ、ぱ、と音を立てて白濁した飛沫をのだめの腹の上に吐き出す。 はあ、はあ、はあ、はあ、……。 のだめの片方の乳雲のまわりに、俺の歯形がくっきり残り、赤紫の輪になっていた。 「はっ、はっ、はっ、はっ…へんぱい……」 「何だ」 「おっぱい痛いデス……」 「あーーーごめんごめんっと」 「ひどい…先輩野獣…」 「おまえが先に今日ははじめたんだろ」 「それはソーデスけどお…」 口が悪いのとは裏腹に俺は、ティーセットの湯でハンカチを湿らせると、のだめの腹の汚れを丁寧にぬぐった。 「ごめんな、今度はちゃんと用意するから。」 「だっこ…」 「はいはい」 のだめの横に沿って体を横たえると、ベッドの上掛けを引っ張りあげ、のだめを腕の中に収めた。 そのまま二人とも眠っちまって、次の朝はまた朝食に遅れた。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |