目隠し
千秋真一×野田恵


「ふふっ」
「ん?」

「くすぐったいデス」
「そ?キスしただけで?」

本当に、触れるだけの軽いキス。

「心が、くすぐったいんデスヨ。」

そう言って微笑むのだめは少女の様にかわいい。
俺も自然と頬がゆるんでしまう。

昼食後、ソファーに座り紅茶を飲んでいたのだが。
ふとキスしたくなってしまった。

のだめの肩を抱き、体ごとこちらを向かせもう一度唇を重ねる。
上唇を優しく食み、今度は深い口付けであることを悟らせ、
のだめの唇が開いたのを合図にゆっくりと舌を忍び込ませた。

外は、雨。

久しぶりに休みが重なった今日。
前日から「デート、デート♪」と浮かれていたのだめだったが
夜が明けてみれば、外出する気を萎えさせるほどの豪雨だった。

舌と舌をゆっくりと絡ませる。
誘うようにつつくと、一生懸命俺の動きに合わせてくれる。
舌先で歯列をそっとなぞると

「んんん…」

と声が漏れ、肩が震えた。

そっと唇を離すと、頬はピンク色に上気し
パチパチ、と音のしそうな瞬きをしている。

「雨、残念だったな。」
「あ……ハイ…。」

キスなんて数え切れないほどしているのに、
いつまで経っても初々しい反応をしてくれる。

「出掛けたかっただろ」
「ハイ…。でも別にもういいんです。
だって、外じゃこんな風にキスできないし。…ゲハ♪」

「…うん」

そう言ってもう一度唇を重ねた。

見つめ合えば触れたくなり、
触れればキスしたくなり、
キスをすれば…その先へと、気持ちが昂ってしまう。

白いニットのカーディガンに手を掛け、肩から下ろし、そっと脱がせる。
そして、当然の様にワンピースのファスナーを探っていると

「…先輩、それは、ちょと…。やめて下さい…」

そういって体を押し戻されてしまった。


え…
何で…?

普通に、良い雰囲気だったのに…。明らかな拒絶。

「…何で?嫌だった?」
「…嫌…って訳じゃないんですけど…」

「…けど、何?」

のだめは困った様に首を傾け
こちらへ向けていた体を翻しソファーの上で体育座りをしてしまった。

「昼間だし、明るいし…恥ずかしくって嫌です」

………
なんだ、そんなことか。

「別に、昼間にすンの初めてじゃないだろ。」
「そうですよ、のだめ、いつも恥ずかしかったんです!」

いつもそう言ってるじゃないですか!と頬っぺたを膨らませながら
チラッとこっちを睨んだ。

「別に、夜だって真っ暗じゃないだろ。薄く照明付けてるし。」
「あの位だったら大丈夫なんです。でも昼間は、どうしたって
ハッキリ見えちゃうじゃないですか。いくら雨だったって…」

「分かった、じゃぁ俺、目瞑ってるから」
「絶っっっ対嘘です!!のだめはもう騙されません!!」

「マジで。絶対目開けない。」
「嘘ばっかり!いつもそう言って、いつの間にか目瞑ってるのは
のだめの方です!」

しばらく沈黙が続き、俺が次の言葉を探していると

「あ!!!!」

急にのだめが立ち上がった。

「な、何?」
「ふふっ。ふふふっ。うきゅきゅきゅきゅ〜♪」

「…何だ?…何が起こったんだ?」
「むふふふ。のだめはすご〜く良い事を思いつきましたよ、セ・ン・パ・イ♪
ちょっとそこで待ってて下さい!」
「はぁ!?」

超意味不明な言葉を残し、スタタタタっと部屋を駆け出して行ってしまった。
隣の部屋のドアの音がする。
自分の部屋に戻ったらしい。
一体何なんだ?
非常〜〜〜に嫌な予感がする。

しかし逡巡する間も無く、ニコニコしながら戻って来たのだめは

「ジャーーーン!」

背後に隠し持っていたものを自慢げに出した。

「何だ?それは…」
「これは、ヘアバンドです。顔を洗う時に重宝してます。」

「…それがどうした?」
「むふふ、これで、先輩を目隠しするんですよ♪」
「はぁぁぁ〜〜〜!?!?!?」

これは、今までのなかでもトップクラスに入る衝撃だった。
どんなにかわいくても、変態はやはり変態だった…。

「バカかお前は!!なんで俺が目隠しされなきゃいけないんだ!!」
「だって、これ付けちゃえば絶対見えないじゃないですか♪」

「ふざけんな!」
「ふざけてないですよ!」

「そんな趣味はねぇ!!」
「…そうですか、分かりました。じゃ、夜まで我慢して下さい。
のだめは良いんですよ、別に」

うっ
それはかなりツライ。

外にも出られず、一日中のだめと部屋の中にいて
キスをしたり触れ合ったりして…それで手を出さないというのは……全く自信が無い。

・・・・・・
「…分かったよ、付けりゃいいんだろ」
「ハイ。付けりゃいいです」

「お前、なんか嬉しそうだな。
あっ、まさか写真撮るつもりじゃねーだろーな!!」

「…撮りませんよ。何言ってんですか?のだめ、そんな変態じゃありませんよ〜」
「いや、お前は十分変態だよ…」

目隠しプレイ…。
俺も相当、森の奥深くまで迷い込んでしまったらしい。

「これでいい?」
「先輩、見えますか?」

「見える訳ねーだろ!これで見えるなら透視だ!!」
「…デスネ」

「じゃ、ベッドまで連れてって」
「は、はい」

私の、ピンクのヘアバンドで目隠しした先輩。
なんか、かわいいデス♪
手をつなぎ、私を頼りに歩き出す。

目隠し……。我ながら良い思いつきだと思ったんだけど…。
先輩の反応から、何かすっごく変なことだったのかな?と少し不安になってきた。
でも、今日は素っ裸を見られずに済むと思うとやっぱり嬉しい。
のだめ、腰の辺りがプヨプヨしてるし…恥ずかしいんデスヨ…。

ドアを開け、寝室に入ったところで

「着きましたよ…」
「…うん」

ベッドの方に視線を動かした瞬間、ぎゅっと抱きしめられた。
私も先輩の背中に手をまわし、胸に顔を沈める。
はうん…いい匂い…。

優しく髪を撫でながら

「もう、脱がせてもいい?」

耳元で小さな声で囁かれる。

「ハ、ハイ。…あの…先輩、のだめのワガママ、聞いてくれてありがとうございます」

ファスナーが腰まで下ろされる。
ノースリーブのワンピースは肩さえずらせばストンと床まで落ちた。

「お前がお礼なんて言うの珍しいな」

笑いながら、先輩の手は背中のレースを指で追っている。
そして事もなくホックを外した

体のラインを辿りながら、先輩はゆっくりとしゃがみ
腰の位置にあるリボンを指で確認すると、一つずつほどいた。
ハタ、と床に落ちる音がして…
あっという間に私は一糸まとわぬ状態になった。

「先輩、もしかして見えてます?」
「だから、見えてないって」

「器用デスネ…」
「こんだけ密着してれば、見なくても分かる」

先輩の手が私の胸に伸びてくる。
探るような手の動き。見えてないのは本当みたい。

両方の胸に到着すると、感触を確かめる様にゆっくりと揉まれ

「んんっ、…あぁ…」

思わず声が出てしまった。

そのまま先輩の顔が近づいてきて、先端を口に含み舌でペロッと一舐めされる。

「ふあっ。あ、あぁん…」

たったそれだけでもう固くなってしまった頂を、
下から上に向かって何度も何度も強く舐めあげられ
我慢できず、高い声が漏れる。

先輩は床に膝立ちになり、指で、舌で、唇で、私に快感を与え続ける。

「あぁん、…んんっ…ふ…あぁ…」

すごくすごく気持ちいいのに、何故か体が後ずさりしてしまう。

「逃げんなよ」

些細な抵抗も、先輩の右手が私の腰にしっかりとまわされ、身動き出来ない。
逃げてる訳ではないんだけど…
立ったままの状態で、こんなに胸を触られるのは初めてで…
立ってられないんです…

「のだめ、気持ちいい?」
「ハ、ハイ…んんっ…もう、やばいデス…」

先輩の手が胸からわき腹に伝った時、いつの間にか閉じてしまっていた目を開けると
先輩だけ服を着たままだったことに気付いた。

「あ…先輩、服…」
「…うん。脱がせて」

立ち上がった先輩の喉元に手を伸ばし、ボタンを一ずつ外す。
なんだか緊張してしまって上手くいかない。
きっと目隠しした状態でも、先輩が自分で外した方が早いだろう。
でも、服を脱がせるという行為はすごくドキドキして、少し嬉しかった。
私を脱がせるときも、先輩はこんな気持ちなのかな?


ベルトを外し、ズボンのボタンを外し…ファスナーを下げる。

「それでは、お、お、お、お、おろしますヨ」
「どうぞ」

ズボンとパンツを下げると、先輩の・・・は既に大きくなっていて…
どうしたって視界に入ってしまうのだけど…

普段、隙さえあれば覗いたり盗撮したりしているのに、
こう目の前にあると直視できず、顔を逸らしてしまう。

「お前、本当にカメラ持ってねーだろーな」
「持ってないデスって。しつこいデスよ」

私が足首まで下ろしたズボンとパンツを、踵で足踏みする様にして脱いでいる。

さっきまでと逆で、先輩は直立、私は膝立ち。
丁度、私の目の前に・・・がある。

「のだめ?どこ?」

先輩には何も見えていない。

段々…私の中から、何かとてもいやらしい感情が湧いてきて…
頭が熱くなった。

前置きも予告も何もせず、躊躇することさえ忘れ
私は先輩自身をくわえ込んだ。

「わわーーーー!!な、なんだ?のだめ?」

暗闇の世界の中、突然、暖かいものに包まれた。
のだめの口の中にあると分かるまでに暫くかかった。

「の、のだめ?お前、何してる?」

のだめは一瞬動きを止めたが、何も言わず根元まで呑み込んだ。

く……うぅっ……

かなり窮屈だ…。喉の奥まで咥えているのだろう…

勿論、口でしてもらうのは初めてじゃない。
でも俺に促されるでもなく、自分から口に含むなんて
普段ののだめからは考えられないことだ。

舌も一緒に這わせながら根元から先端へ、先端から根元へ口を上下させる。
じゅぱ、じゅぱ、と響く音は、視界の無い俺にとって物凄い刺激で…。


「ぅうわっ…あ……くぅっ…」

何だ!?
何か良く分からないが、すごい快感が走り、声が出てしまった。

どうやら、のだめが口の動きに合わせて手を添えた様だ。
のだめの唾液は粘着性を持っていて、ぬるぬるとまとわりつく。
掌ではなく、うねうねした何かが絡みつきながら締めつけているみたいだ…。
唇と舌で吸い付く様に動いた後、潤んだ手で撫で上げられる。
根元から先端まで抜き取られると、堪らず体が震えてしまう。

うぅっ……気持ちいい…

手を上下されるだけでも、すごく暖かいものに包み込まれているような快感があって…
のだめの中に挿入している時を連想させる。

「の、のだめ」
「ん…ふぁい?」

「お前…上手いな」
「ぶはっ、笑わせないで下サイ!」

やばい、もう、立ってらンねー…

「のだめ!も、もういい、もう、十分」

のだめの肩を、ポンポンと叩く。

じゅぽっ…という音とともに、まとわりついていた感触が消えた。

「…気持ちよくなかったデスか?」
「…いやいやいやいや、すげー気持ちよかったんだけど……」

おいでおいで、と手招きをして、腕の中に入ってきたのだめを抱きしめ

「ベッド、どっち?」
「あ、こっちデス」

「もうコレ外していい?」
「駄目デス!」




「のだめ、ゴム取って来て」

「開けましょうカ?」

ベッドの上。
私が袋を開けようとすると

「いや、ちょっと待て!」

座ったまま、ジェスチャー付きで制止して、
右手でチョイチョイっと手招きする先輩。

「?」

と思いながらも腕の中に入り先輩の背中に手をまわそうとすると、
脇の下から抱えられ、投げる様に押し倒された。

「ぎゃぼーーーーー!!」
「それ、まだ開けないからな。落とさない様に大事に持ってろ!」


仰向けに寝そべった私の右隣りに先輩が来て、
私の体を撫で始めた。
肩から腕へ、胸へ、お腹へ…
腰をさすり、太ももを撫で、太ももの内側を撫で…

それだけでもう、私の全身は熱くなり、呼吸が荒くなってしまう。

そして先輩の手が太ももの内側へ入っていって…その奥へ…

「あぁ、んんん…あぁぁん…あぁぁ…」
「のだめ、すげー濡れてる…」

先輩の手に触れられて初めて、私も自分がこんなに濡れていた事に気付いた。

「俺の、口でしながらこんなになってたの?」
「し…知りません…んんっ…あ、あぁ…」

確かに、先輩のを口に含んだ時……何か、すごくいやらしい気持ちになった。
いつもは先輩にじっと見られている気がして、
それだけで緊張してしまうのだけど…
今日は先輩の視線を気にする事もなく、気持ちよくしてあげたくて一生懸命だった。
先輩の喉から声が漏れる度に、恍惚とした感情が音を立てそうな勢いで溢れ出て…
体が熱くなったのを覚えている。

先輩は2本の指で円を描く様になぞり、
私の一番感じやすいところを捉えて…指の腹で押さえつけるように撫でられた。

「ああぁぁぁっ、あぁぁんっ」

全身がビクンと揺れる。
たまらず体がくねってしまい、先輩の反対の方を向いて横向きになってしまった。

「ダメ、逃げんな」

すぐに戻され、そこの部分を回すようになぞられる。

「うぅんっ…ああぁ…」

自分でも、そこが次第に大きくなるのが分かって…
先輩に存在を主張している様な感覚がして恥ずかしくなった。

そして、2本の指が線を引くように上下して、…ゆっくり中に入ってきて…

「きゃあぁぁっ、はぁぁんっ……」

また、思いっきり体がくねった。
奥まで入ってくると、中を探るように指の腹でなぞられて…

「あ、あ、あ…んんんっ」

首を反らせ、全身が震える。

「のだめ」
「ハ、ハイ…」

「もう…入れていい?」

自分で付けるから目隠しを外させろ、という先輩の主張は聞かず、
ゴムは私が付けてあげた。

「じゃ、乗って」
「はい?」

「お前が上」
「……」


先輩の上にまたがり、先端の部分に私の濡れたところを重ねる。

「そのまま、ゆっくり、腰を下ろして…」

「ハ、ハイ…。ん、…んんっ、あ、あ、あぁぁぁっっあっ」
「くぅっ…」

全てが私の中に入ると、耐え難いほどの快感が全身を貫いた。
私の一番奥深い場所に先輩自身が突き刺さって……

「のだめ、動ける?」
「んんっ、が、頑張ってみます…」

先輩が腰に手を添えてそっと誘導してくれたので、
それに合わせて腰を前後に揺らした。

「あぁんっ、あ、あ、あ、あぁっ…」
「んっ、すげ、気持ちいい…」

「あん、あぁん…の、のだめも…気持ちいいです…」

腰に添えられていた先輩の手が離れ、お腹を伝って胸まで伸びていき
動きに合わせて揺れていた胸を激しく揉まれた。

「ひゃあっ、あぁん、あぁん、あぁん、あぁん…」

両手で全体を揉みながら、親指で先端を下から上にはじかれる。

腰を動かす度に、私の中に熱い快感が走って…

のだめの高い声が耳に響く。
のだめにまとわりつきながら出し入れされる自分自身は、
かなり限界が近づいていた。

暗闇の世界では、つながった部分のすさまじい程の快感と、
両手で触れた胸の柔らかさと、甘く響く嬌声が全てだった。

体位を変えようとのだめを呼ぶが、返事は無い。

「のだめ!!」

やばい、もう、マジで限界だ…

のだめの手を求めて必死に宙を探るが、どこにあるのか、さっぱり捕らえられない。

「もう、邪魔だ!外すぞ!!」

そう言うと、目隠しを外し、ポーンと投げ捨てた。

「あぁっあーーーーーーー!!せ、先輩、外したーーー!!」

俺の上に乗っているのだめ。
すごく久しぶりに顔を見た気がする。
起き上がって抱きしめる。

「ウソつき、ウソつき、ウソつき、ウソつき、ウソつきーーーー!!」
「うるせー…」

のだめの上半身を倒すと普通の正常位になった。
ジタバタと暴れる両足を俺の肩の上に乗せ、
思いっきり奥まで突く。

「きゃあぁんっ…あ、あぁぁぁっ」

のだめのプックリとした突起を親指で撫でながら奥をガンガン突き続けると、
口の端から唾液が垂れ、足のつま先まで力が入り、
つながった部分がぎゅうっと締めつけられた。

「ああっ、の、のだめ、もう…だめデス……」

のだめの全身がビクッビクッと痙攣したのを確認してから
のだめを抱きしめ、俺も頂点に達した。

「うぅ、騙されました」
「だから、ごめんって」

「千秋真一は卑劣な極悪人です…」
「大げさ…」

すねてそっぽを向いて寝ているのだめを背後から抱きしめ、

「のだめ」
「…なんですか?」

「今度、目隠しさせて」
「ぶっっ!!・・・変態!!」

うん。
そうかもしれない。






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