夜明け
千秋真一×野田恵


……目が覚めてしまった。

目をこらして時計を見ると、まだ朝の4時だった。
昨夜は打ち合わせが延びに延び、部屋に戻って来たのは夜中の2時過ぎで、
シャワーだけ浴び、もう寝ていたのだめを起こさないようにベッドにそっと滑り込んだが
なかなか寝付けずに何度も寝返りを打った。
その挙げ句、この時間に目が覚めるなんて。
目を閉じて何度か深呼吸をしてみるが、どうやら眠れそうにない。

隣で、こちらに背を向けているのだめの寝息が聞こえる。
規則的で、安らかな……
寝返りを打ってもまったく動じないのがうらやましいくらい、よく眠っている。
その身体の下に左手を差し込み、後ろから横向きのまま抱きすくめると、
ちゃんと目覚めた訳ではないようだけれど、かすかに声がこぼれた。

「ふみゅ……セン…パーイ……?おかえりなさーい……」
「ん……ただいま」
「いま、何時デスかー……?」
「まだ4時……寝てていいぞ」
「はふぅ……はーい……」

目を閉じたままで少しだけ顔をこちらに向けたので、唇の端に口付けてやり、
どちらからともなく両手を絡めた。
隙間なく合わさった、オレの胸とのだめの背中。

……寝てていいとは言ったけれど------
柔らかい、温かい身体のせいで、オレの中に火が点いたようだ。

オレはパジャマの裾からそっと手を入れて、素肌の上で手のひらをゆっくりと滑らせてみた。
でものだめは、いつもは敏感過ぎるくらいなのに、まるでなんの反応もしない。
まだ身体が眠っているせいだろう。
そういうもんだよな、と少々残念に思いながら、それでも撫でていると気持がいいので、
オレも目を閉じたまま、脇腹を、それから胸を包んで、その柔らかさを味わっていた。
男にはない、なだらかな曲線を描く腰から腿のライン。
皮膚のなめらかさだけではなく、手が吸い付くような感触が、本当に気持がいい。

そして、乳房。
下からの弾力、上からのカーブを、触れて楽しんで、
それからとても敏感なかわいい蕾を、摘んだり、弾いたり、捏ねたり。
いつも思うが……
Dカップっていってるけど……もう少し、あるんじゃねーか?

っ……

どのくらい経ったのか、のだめが、すこし息を吸う音がした。
オレの手の動きに応じて身体がピクリと震える回数が増えて、
少しずつだが目覚めてきているらしいのがわかる。
そのまま動きを止めず乳首を弄んでいると、やがて反応が鋭くなってきた。

「あ………あん……」
「……起こした?」
「………眠い……のに……っん……」
「寝てていいぞ……?」
「……ずるい………や……っ」
「……気持いい?」
「ん………っ……言いマセ……ン…あ……あっ……んっ……」

のだめの身体がだんだん弓なりに反り、オレの腰に押し付けられてくる。
無意識の動きとはいえ、まるでそれを求められているような。
……それならば、望みどおりに---
------なんて。

悪い。
また、オレのわがままだけど。

「セン、パイ……」

呟いたオレの声がのだめに届いたのか、のだめは急に、乳房の上にあった
オレの片手をつかみ、自分の腹の前に持っていった。
何かが手に触れる。
これは……紐?

「わがまま……じゃ、ないデスよ。のだめも……してほしい、デス」
「……ん」

どうやらのだめは、下着の紐を自分で解いたようだ。その紐をオレの手に持たせながら
囁く小さな声を耳にして、オレは、のだめの誘いのままに、ショーツを取り去って
指を奥の方に差し込む。
もちろん、今でははっきりと立ち上がっている乳首を撫でる片手は止めない。

「きゃ……あ、や……」
「こんなに濡れてるぞ……?」
「ばか……あ……やっ……ん」

襞をまんべんなくなぞり、すでに十分すぎるほど溢れている蜜をすくっては
花芯を擦る。指を1本、そして2本と飲み込ませると、中の熱さに目眩がした。
オレ自身を飲み込むときの熱さを思って。


○ ○ ○


指だけで何度か達してしまったのだめの様子を見て、
一度ベッドから下りてゴムをつけ、のだめの元に戻った。
ベッドの上で力なく横になったまま、パジャマは乱れてヒップが半分以上見えている。
この姿も……そそられる。

「のだめ、ちょっと……うつぶせになって」
「ん……ハ、イ……」

オレの意図を察したのだめはゆっくりと起き上がり、身につけていた布を
覚束ない動きで取り去ってから、両手と両膝をついて、ヒップをこっちに向けた。
その姿を見ながら、オレも着ていたTシャツとスウェットを脱ぐ。
それからのだめの後ろに近づき、オレ自身をあてがって、ゆっくりと貫いた。

「んんっ……あっぁっ……は、ぁ…」
「いい声……」
「ばかぁ……あ……っ」
「あ……気持いい……」
「あふ……のだめも、デス……や……」

熱い。
切なげな吐息とすすり泣くような声、くぐもった水音とベッドがきしむ音、こらえ切れずに
出てしまうオレ自身の声。揺れる乳房が、背中のカーブが、丸いヒップが、繋がった部分が。
そのすべてが、聴覚からも視覚からもオレを駆り立てていく。

そして、触覚も。
飲み込まれるような中の感覚。
奥まで強く一気に突いたり、そして引き抜く寸前のところで、引っ掛けるように浅く。
繰り返す律動と、そこから得られる恐ろしいほどの快感に、
オレの頭の中もだんだん白くなってゆく。

白い背中に音をたててキスを降らせながら、両手で豊かな乳房を包み
親指で乳首を擦ると、声がひときわ高くなった。

「や……あ、あ、……へんになっちゃう……んっ!」
「いいよ、なって。……オレだって……あ」
「あっ……や……ん……っ!あっ…!」

片手をふたりの繋がった部分へ伸ばし、ぷっくりと膨らんだ花芯に触れると、
のだめは声にならない声を出して頭を何度も振った。
それを見て、オレも衝動的に動きを早めてしまう。

あ……もう………
……やばい。
いきそうだ……。

「や……し、んいちくん……のだめ、あ……や……!」
「め…ぐみ………!」

○ ○ ○

うつぶせになったままくったりとなったのだめは、そのまま眠ってしまったようだ。
ふたたび聞こえる規則正しい寝息にやれやれと思いつつ、ティッシュで始末をしてやり
その身体を抱いて一緒に毛布にくるまった。
外はかすかに明るくなってきて、小鳥の声がどこからか聞こえ、早朝の気配がしている。

「悪かったな……」

栗色の髪に軽くキスしながら、こんな夜明けに、寝ているこいつを起こしてまで
自分の欲望をぶつけたことをやや反省する。
……でも、のだめも“欲しい”って言ったしな。
いつだってこいつは魅力的で、いつだって欲しくなる。
オレのわがままくらい……仕方ねーよな?

「はー……」

どうやら、眠れそうだ。






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