氷プレイ
千秋真一×野田恵


「あ、先輩ズルイ……のだめも飲みたい」

のだめは体を起こすと、オレの手からグラスをとった。
その合間にブラのホックをはずし、ストラップをずらすと汗ばんだ乳房が顔を出し、ふるっと揺れた。
もう、その先端は上向きに立ち上がっている。

「あ……ん」

舌を伸ばしてピンク色の突端をはじきつつ、腰のリボンを左右同時に引き、解く。
耳元で氷がカラン、と鳴った。

「おまえ……全部飲んでんじゃねーよ」
「だって、のど渇いて……あっ、やっ」

空になったグラスを取り上げ、のだめを組み伏す。
両手は頭のほうへ押さえ込み、足を膝で割り、開かせると甘い吐息が漏れた。

暑い部屋の中。
窓を開けるわけにもいかず、ベッドのそばで扇風機が回っているだけ。
のだめの胸の谷間には、うっすらと汗がにじんでいる。
オレの方も、首筋を一筋の汗が伝うのをさっき拭ったところだ。

視線をずらすと、大きく開かれた足の間で、のだめの一番敏感なところが蠢いているのが見えた。
オレを欲しがって、誘うように腰が微かに前後に波打っている。
でも、まだ駄目だ……触れて、もっと乱してから。

手を塞いでいたグラスをのだめのなだらかな腹の上に置く。
と、のだめはその冷たさに体をぴくりと揺らした、

「冷たいデスよ……」
「暑いから気持ちいいんじゃない?」
「あん、やっ……!!」

指を二本沈めて、中をかき混ぜる。
広げて、曲げて、わざと音を立てて。
その動きを感じようと、のだめの腹筋に力が入ったのが目に見て取れた。
さざなみのような小刻みな圧迫感と、深く飲み込もうとする蠢きが指にかかる。
グラスはバランスを崩し、倒れ、そのままベッドへ落ちてバウンドした。

「ひゃ、つめた……っ!!」

グラスの中にあった氷はのだめの腹の上にこぼれ、一番くぼんでいるへそに向かって滑っていく。
のだめは体をくねらせて冷たさから逃れようとするが、オレに半ば押さえつけられているので不可能だ。
透明な氷は、のだめの肌表面の熱に触れて解けていく。
広がる水の溜まり。
吸い付くように啜りたてたのは、無意識だった。

氷を舌先で肌へ押し付けてなぞり、唇に含んだまま乳首へ当て、転がす。
全開になっている真っ白な脇の下も、敏感な耳の裏も、キスをしながら氷で撫でる。
乳首は、のだめが自分から「舐めて」と懇願するほど、冷たさにいつもよりずっと張り詰めていた。

「はう……乳首取れちゃう……っあん」
「……とれるわけねーだろ、バカ……」

シーツを掴んだり、オレの頭を抱きしめたり、ぎりぎりに追い立てる愛撫に、のだめは体を何度もしならせる。
どうしようもなく溢れてるだろう部分はオレの太ももに押し付けられ、腰は震えていた。

「のだめ……足、上げて」
「あっ、いや……いやっ……っあ、あああ!」
「すげ……あ、入ってく……」
「つめっ、つめた……っ、とって、とってえ」

指で開いたそこに氷をただあてがっただけなのに……ひく、と震えた入り口は、氷をつるんと飲み込んでしまった。
熱い、熱い、のだめの中。
そのとろとろの入り口からは、のだめのねっとりとした雫と、溶けた氷のさらさらとした雫が、溢れ、こぼれている。
きらきらと光り、かわいく、いやらしい。
無防備になっているクリトリスを指先でつつくと、のだめの声は更に高くなった。
シーツの上を彷徨う手を取ってやり、ぎゅっと力を入れて合図を送ると、のだめは腰を突き出すように浮かせて……。

「だめぇ……っあ、ああーー!!」

登りつめると同時に、氷を小さな飛沫とともに吐き出した。
明らかに、溶けて小さくなった氷が、シーツに広がったしみの上に転がっている。

「すごい……飛び出てきたぞ」
「やだ……もう……あん……」
「今度は出すなよ……我慢して」

もう一度氷をのだめの中へ沈め、指で奥へと押し込んだ。

ゴムをつけながら、大きく開かれたのだめのそこを見つめている。
時々内股の筋肉が震えるのは、きっと氷を逃すまいと、中を締めているからなんだろう。
……いつから、こんなことができるようになったんだか。

「せん、ぱぁい……もう、もう……」
「うん、入れるぞ」

もう……オレだって、限界だ。

「ふっ……っああ……!!」
「うわ、おい、おまえ……入れたばっかだぞ」
「あっ、はうう、だってぇ……」

進入させた刺激だけで、のだめは再び登りつめたようだ。
自分の先に硬く動くものを感じながら、浅く、深く、のだめを責め立てる。
汗にまみれ、髪の張り付いた顔は、しっかりと女の顔をしていた。
オレがそうさせ、オレの為の、オレだけが知っている顔。
吐息もしっとりと甘やかで、快感に漏れる声は、鈴の音のように心地よく……。

「冷たくないか? 平気?」
「せんぱい、自分で……こんな事っ、させたくせに、っ」
「……抜いて氷出すか?」
「やだ、やだっ、だめぇ……抜か、ないで、ぇ」

一瞬腰を止め、抜き出す動作をすると、のだめはしがみつくようにオレを抱きしめた。
とっくにわかってる。
オレも、のだめも。
こんなに熱いんだから、氷なんかとっくに溶けてなくなってることなんか。

オレもだんだん余裕なく、ある一点を目指す事しかできなくなっていく。
いつもよりも水っぽい音が、二人の間で弾けている。
一つ、息を荒げながらも深いキスをして、今一度のだめの体をぎゅっと抱きしめた。

「いける……?」
「ふっ、う、あっ、あっ、ああ、ん!」

もう思うように言葉を発せないのだめは首を縦に振るしかなくなり……。
オレはオレで、のだめのすべてから与えられる快感にコントロールが出来なくなり……。

強く流れ込んで体に満ちる快楽を迎え入れて、同じ高みにオレものだめも登りつめた。


*  *  *  *  *  *  * 


「あ゙〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
「やめろ、バカ」

汗だくになった体をシャワーで洗い流し、新しく着替えた。
のだめは扇風機に向かって声を出して、子供みたいな遊びをしている。

のだめにはミネラルウォーターと、アイスキャンデーを。
自分はビールを手にして、ベッドへ登った。

「あーー、うまっ」
「むひひ、パイン味♪」

細長いキャンデーを、のだめは頬張り、音を立てて舐める。
薄暗い部屋の中で、赤い舌がやけに目立つ。
……こいつ。

「先輩なんですか、じっと見て。食べたいんですかー?」
「いや、別に……」
「顔、やらしいんですケド」
「うるせ」
「……あ、こ、こんなののだめに入れたら絶交ですからね!!」
「……す、するかボケーー!!」

枕をのだめに投げつけ、2本目のビールを取りにキッチンへ向かった。






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