千秋真一×野田恵
![]() 「せんぱ〜い…」 隣にもぞもぞと潜り込む。 「はう…寝ちゃったんデスね」 枕にポスッと顔を埋めた。 千秋のにおい。 千秋の暖かさ。 ふと、2年前の初コンクールを思い出した。 ハリセン宅にて泊まり込みのレッスンをしていたこと。 千秋が飛行機嫌いを克服して、蟹をたくさん差し入れてくれたこと。 その差し入れが「俺も頑張ったからお前も頑張れ」と背中を押していてくれているようで… 一生懸命頑張ったこと。 「…ふふっ」 懐かしさに思わず笑みがこぼれる。 あの時は、こんな風に二人が寄り添っていられるなんて思いもしなかった。 でも今、隣に千秋が眠っている。 あの時頑張ってよかった、と心から思う。 「…また明日、のだめとチューして下さいネ」 千秋の頬にひとつ、キスの雨を降らす。 外は雨。 今夜、静かに更けてゆく。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |