のだめ初リサイタルの夜
千秋真一×野田恵


終わったか・・・。

「キラキラ星」を子供たちと一緒に弾き終わり、
やっと帰るそぶりを見せたアイツに、少しほっとした。
明日はまた、パリに戻る。マルレのオーディションも
待っている。バケーション気分も、今夜が最後だ。

アイツは、人々に囲まれて笑顔を振りまいている。
俺はそれを少し離れた場所から見ている。
たぶんこんなことが、これからもっと多くなるんだろう。
アイツを引き寄せてキスした時に、
その覚悟は固めたはずだ。
キスなんかしたら、その先が欲しくなる。アイツが俺の
中に入って来れば来るほど、
自分が自分ではなくなるようで、少し、ヤバイ。
でも、キスしたかった。衝動的ではなく、
ただ、アイツが今は俺のそばにいることを、
とりあえず確認したかっただけ。

変態の仲間入りか?まあ、いまさらだけどな。

「センパイ。どしたんデスか?」

頬を上気させて、のだめが走り寄ってくる。

「顔が深刻デス。どこかイタイとか?」

イタイのは、おまえのその格好だろう・・・。

「いや、少し疲れただけ。それよりおまえいつまで
それ着てんだよ?」
「センパイと2ショットの写真を撮るまで・・・ああっ、
いつ着替えたんデスか!?のだめの許可もなく!」

つい30分ほど前のキスの余韻なんて、こいつには
微塵も残っちゃいない。俺だけがアイツを目で
追い続けているのが、情けないんだ、なんとなく。

「俺、先に部屋戻ってるから」
「センパイ、なに怒ってるんデスか?」
「怒ってない」

俺は右手をのだめの頭にポンと置き、小声で

「でも、早く戻ってこないと、怒る」

と真顔で言った。
たちまちのだめの顔が赤く染まる。
その様子を黒木くんとターニャが、呆れて見ている。

「もういいかげんにしてよ!」

あーあ、すっかり変態の仲間にされてるよ。
それよりお前ら二人だって、ここに来た時よりよっぽと
立っている距離が近くなってるぞ。

部屋に戻り、シャワーを浴びた。これで今夜はもう
することはない。忌まわしい衣装も、とりあえず
きちんとかけておいたから、モーツアルトの夢に
うなされることもないだろう。あとはアイツが味を
占めて、あの書簡集を読めとさえ言わなければ、
ゆっくり眠れる。アイツもきっと、
くたくたに疲れているはずだしな。

トントン。

のだめか?

「センパイ、のだめデス。遅くなってすみません」

俺がドアをそっと開けると、のだめが
申し訳なさそうな顔で立っていた。
俺は何も言わずのだめを部屋に入れ、そして初めて戸惑った。

2人で部屋にいる、そして、何を言えばいいんだ?
もう寝るぞ、なのか?ヘンだろ。
シャワー浴びて来い、って、それも違うだろ。

普通にしていた会話が、突然できなくなった。
緊張から開放されて、あらためてひとつのベッドで
これから眠るのだということを俺は意識している。
のだめは指示を待つ犬のように、マヌケな衣装のままで
立ち尽くしている。

「センパイ・・・」
「なんだ?」
「今夜はのだめ、モツアルトの手紙は読まなくてもいいデス」
「俺もできればそう願いたいね」
「センパイ、いいにおいがしマス」
「あ、ああ、先にシャワー浴びたから」

先にシャワー、という言い方で、のだめがまた顔を
赤くした。これからのだめが「あとで浴びる」ことを
意識させたのがはっきりわかった。一ヶ月くらい
風呂に入らなくても大丈夫だろ、おまえ。
いくらリサイタルで汗をかいたからって、別に
シャワーなんか浴びなくてもOKなはずだろ、普段
だったら。バカ。なんでこんな時だけ、
いちいち敏感に反応するんだよ

こいつも、やっぱり意識してる。

俺は自分の顔まで赤らんでしまったのを悟り、
あわてて横を向いた。

「のだめ、臭いデス」
「いつものことだから、そのままでいいじゃないか」
「ムキャー!今夜だけはいいにおいでいたんデス」

俺は言葉を捜してしまう。何を言っても自分の心が
のだめに見透かされそうであせっている。
ばたばたと荷物をひっくり返して、寝巻きやら洗顔ソープ
やらタオルやらを抱え込んでいるのだめ。

「明日はゆっくりだから。あわてなくていいぞ」

準備の手を止めて、のだめが振り向いた。

「1分でも長く、センパイと同じ場所にいたいんデス」

なんだよ、かわいいじゃねえか。

のだめがシャワーを浴びに行き、
俺はベッドに腰掛けてみる。
タバコを立て続けにふかす。
なんで俺こんなにドギマギしてるんだー!?

考えないようにする。これから一緒のベッドに入ることを
なるべく意識しないようにする。
またタバコをふかす。これじゃまるで、俺が初夜を
迎える花嫁状態だ。

ソファに移動する。まだ落ち着かない。
パーティー会場から持ってきたワインを開ける。
昨夜だって、このベッドで一緒に寝たじゃねーか。
あいつよだれたらして口あけて寝てたぞ。
今までだって、同じ部屋で、コタツで、朝まで一緒に
寝てたじゃねーか。
何焦ってんだよ、俺は。
ワインを水のように飲んで、飲んで、飲んで、一本
なくなった頃に、後ろからのだめの声がした。

「あ、ずるいデス、センパイ。のだめも飲みますヨ」

飲みますヨ、と言った割には
ソファに座らず突っ立っているのだめ。
しかも、おい、なんで髪が乾いてんだよ。
なんでどことなくブローしてあるんだよ。
いつも洗いっぱなしなのに。
横向いてんじゃねー・・・

「おい、こらおまえちょっとこっち向け、その顔・・・」
「むきゃー!ターニャにこうしろって言われたんデス!」

のだめの顔は、ばっちりメイクでこてこてだった。

「風呂入った意味ねーだろ!」
「でも、このほうがきっとそそるって・・・」
「俺は化粧の濃い女は嫌いなんだよ」
「のだめ、落としてきマス」

俺はシャワーに戻ろうとするのだめの腕を、掴んだ。

「もういい。行くな」
「ぼへ?」
「一分でも長く俺様のそばにいたいんなら、
ここで顔拭け」

こんな時の夜は、長いようで短いんだ、バカ。

ようやく普段の顔に戻ったのだめと、まずは
リサイタルの成功を祝って乾杯する。
部屋の中は静かで、物音ひとつしない。俺が
グラスにワインをそそぐ音だけが、やけに大きく響く。
ソファの端と端に座って、どちらも、何も、
しゃべらない。だが、それが心地いい。
こいつとは、しゃべらなくても疲れない。
いや、しゃべると疲れることのほうが多いんだが。
それはさておき、こういう静けさは悪くない。

「センパ・・・しんいちくん」
「何?」
「のだめ初めてなんデス」

ぶほっ!げほっ、ゲホッ、俺は口に含んだワインを
噴出しそうになった。

「おま・・・おまえ何が?」
「こんなふうに幸せな気分で好きな人と一緒にいるの、
初めてなんデス」
「あ。そう・・・」

俺には彩子がいた。彩子と過ごした日々の中には、
そんな幸せな夜も何度もあった。
でも、こいつはきっと、俺が初めての「異性」だろう。
もっとも、俺様以外にのだめを扱える男は
そうそういないだろうけどな。

(初めてなんデス)

本当に、そんなことを言おうとしてたのか?
言いたかったのは、別のことなんじゃないのか?
俺が動かないのにしびれを切らしたのか?
俺は行動に出るべきなのか?

「のだめ」
「はい?」
「こっちに来いよ」
「・・・ハイ・・・」

本当は1分が惜しい。明日からまた忙しさにまぎれて、
こんな時間は持てなくなる。それを知っていながら、
俺たちは一歩先に進めないでいる。でも、それは
俺の責任だ。心のどこかで、俺の行動がのだめを
変えてしまうんじゃないかという怖さがある。

嘘だな。

こいつは変わらない、きっと何があっても。
変わってしまいそうなのは、たぶん俺なんだ。
それが怖い。

素直にそばにやってきたのだめを、俺は隣に座らせた。
いつもなら暑苦しいほどべったりくっついてくるのに、
今夜ばかりは身を硬くして、ただ座っているだけだ。
俺は必死で、自分の動揺を隠そうと、平静な
ふりをする。

「どうした?もっと飲むか?」
「もういっぱいいっぱいデス」
「おまえ弱いもんな」
「違いマス!のだめ、緊張してるんデス・・・」

のだめにはもうバレている。
俺が何を考えているか知られている。

「しんいちくん」

のだめがめったに見せない真剣な顔で、俺の目を
覗き込んだ。

「のだめが負担になるなら、朝までこのまま
飲みましょうヨ」
「なんで負担なんて」
「しんいちくん、困ってマス」

もうダメだな。どう取り繕っても、俺の戸惑いを
こいつは察してしまう。

「ああ、困ってるよ」
「ハイ、困ってマス」
「違う。俺は・・・」

のだめの肩を抱く。そのまま身を硬くしたのだめを
胸の中に引き寄せる。じゃれあって抱きしめたこと、
正確に言えば、あいつが勝手に抱きついてことなら
何度だってあった。でも、今夜は違う。もう、
これからは違うんだ。

「俺は迷ってるんだよ」
「センパイ」
「なんだよ」
「のだめは、迷ってません。だから、センパイも
迷わないでくだサイ」
「・・・今の言葉、後悔するなよ」

のだめを抱き上げ、そのままベッドにそっと置いた。
月明かりの中で、素顔のあいつがまっすぐ
俺を見上げている。
化粧しなくても、おまえ、いいよ、それで。

「のだめ・・・」
「センパイ、しんいちくん」
「ん?」
「今日だけでいいんデス。名前で呼んで
くれますか?」
「・・・うん」
「あと、のだめ、センパイの彼女でしょうか?」
「何が言いたいんだ?」
「のだめ、まだ一度もそう言われたことないデスよ」
「うん」
「好きだって、言ってもらいたいんデス」
「わかってる」
「のだめは、しんいちくんが、好きデス」
「バカ」

途端に、朝が来るのが怖くなって、俺はのだめを
抱きしめた。ただ、抱きしめた。硬くなった身体が
熱を帯びてやわらかくなるまで、何度もキスをした。
何度も何度もキスをして、そして勇気を振り絞り、
俺を見上げるあいつの丸い目に、視線を合わせた。

「恵」
「・・・しんいちくん」
「好きだ」

泣くなバカ。泣くなって。
おい、泣くなよ頼むから。

目を閉じて、のだめが唇を求める。
俺はその唇をこじあける。
舌を絡めて、でも、これ以上柔らかには
できそうにない。むさぼってしまう。
ぶつかりあってしまう。俺たちはこの瞬間を、
なんでこんなに長いこと
待ってしまったんだろうか。

薄い寝巻きの胸元に、のだめの乳首がすけて写る。
俺はそれにそっと口づける。
のだめが声にならない声を漏らす。
今度は、唇でその突端を咥えてみる。

「ひあッ」

のだめが俺の頭を抱きしめた。それが合図のように、
俺は薄い生地をめくりあげ、丸くこぼれ出た乳房を
乱暴に掴む。

本当は、やさしく扱ってやらなくちゃいけないよな。
初めてなんだ、こいつ。気を遣ってやらなくちゃ
いけないんだろ、俺は。

でも、俺は相変わらずのだめの乳房を強く掴んで、
取れそうにとがった先端を舌で舐め上げる。
のだめは声を殺している。
俺は執拗に舐める。そして、少しだけ
歯を立てた。

「く・・・あ・・・」

のだめが顔をしかめる。

やさしく?丁寧に?いや、これが俺のやりかた。
おまえが俺のものだということを、この身体に
刻み込んでしまいたい。
壊れ物みたいに扱いたくない。
俺のものなんだろ、おまえ。

「のだめ」
「恵デス」
「あー・・・おしり、ちょっと浮かせろ」
「センパイも脱いでくだサイ」
「ああ・・・」

俺はシャツをすばやく脱ぎ捨てた。その隙に、
のだめはすべてを脱いで、逆光の月明かりの中で
俺にすべてをさらしていた。

「おまえ・・・」

俺は言葉を探して、探して、そして最後に
やっぱり月並みな台詞だけが残されていた。

「すげー、きれい・・・」

のだめは何も言わない。ただ微笑んだように見えた。
そのまま身体を横たえたのだめに、俺はそっと
覆いかぶさっていく。
キスしながら、まだ力の入っている両膝を
こじ開ける。ゆっくりと、のだめの中心に
進んでいく。

「ア・・・」

あふれるようなその場所に、俺は少し安心した。
痛くないように、それだけは気をつけてやるからな。
ゆっくり指を進める。ぬめりが指にまとわりつく。
しかしその先は固い。抵抗するかのような肉ひだが、
俺の指をその先に進ませない。

「くっ・・・イタ・・・」
「痛いか?」
「ハイ、でも」
「やめるか?」
「いえ。のだめは妻デスから、これくらい平気デス」
「のだめ・・・恵・・・」
「ハイ」
「少し痛いぞ」
「ハイ」

俺は力をもっと込めて、指を奥に押し込む。
ゴムのような感触に、指が少しずつ埋まっていく。

「痛いか?」
「ん・・・大丈夫・・・デス」
「この先の痛さは、こんなもんじゃないぞ」
「しんいちくんは、自信家ですネ」
「バカ」

少し執拗な感じで、指でゆっくりとその場所を広げていく。
あれだけ濡れていた場所なのに、
今はあまりの熱にカラカラだ。その上の小さな突起に触れるたび、のだめは声をもらす。
しかし、いつまでもそこにいるわけにいかない。

こいつ、ガマンしてんだろうな・・・。
いくらオレが最大限に気をつけながらといっても、初めてでまったく痛みがないはずがない。
のだめの顔には苦痛と時折の快感が
入り混じったような、複雑な表情が浮かんでは消える。
でも、耐えている。
たぶんオレのために。

「おい、おまえ大丈夫か?」
「大丈夫デス。続けて、しんいちくん・・・」
「痛いんだろ?」

答えのかわりに、のだめは首を振った。

「怖がるな」

俺は、のだめの首もと、腹部へとキスを降らせる。
そしてゆっくりと両脚を広げ、その部分へと唇を移動させた。
熱気がこもったような空間の中に、のだめの部分が息づいている。
俺はそこにそっとキスをする。

「センパ・・・イ・・・」
「センパイじゃない」
「しんいち、くん」
「名前のことじゃなくて。いいから集中しろ」
「でも、あアっ」

舌で肉芽をねぶる。そして、吸う。のだめの身体が魚のように反り返る。

「のだめ」
「恵デスよ、センパイ」
「・・・恵」

のだめのくせに、まだしっかり理性を働かせやがって。
そんなもの、オレが吹き飛ばしてやるよ。お前が没頭した演奏中の瞬間の
あの口するみたいに、全部オレに預けてみろ。

もう遠慮しない。処女相手に、優しくおろおろと気を遣う男なんて似合わねーだろ、どうせカズオだよ。

「気持ちいいところに、連れてってやるから」

のだめが目をぎゅっとつぶる。

「・・・気持ちよくしてやる」

オレは唇で、指で、のだめの身体を演奏する。この楽器は
反応がとてもいい。舌先を狭い場所にこじ入れて、すこしづつ先へと進む。
のだめが悲しそうな音を出す。でも、明らかに最初の痛みを忘れかけている。

「あっ、あっ、センパイ、あっ、のだめ、だめデス、なんだか」
「なんだ?」
「そこ・・・これ以上吸っちゃだめデス。のだめ、漏れちゃいそうですヨ」
「漏らせよ」
「おしっこ、センパイにかかっちゃいますヨ」
「その前に」
「・・・その前に?」
「お前がイクから」
「あっ、あっ、おねが・・・い・・・デス・・・あっ、吸ったら・・・」

身体が弓なりになって、小さかった突起がぷっくりと膨らみ始める。

「あっああっ、あっ」

舌とともに突き進んでいる指が、肉ひだの抵抗を
さらに受ける。このままイかせれば、きっとその後はもっと楽なはずだ。

「センパイっ、センパイっ、センパイっ」

もう機は熟してる。オレは突起を音を立てて吸い上げると、左手を
伸ばして、こちらも硬くとがったのだめの乳首を、軽くつまんだ。

「あー、あー、あー、あー、ああーっ」

びくん、と、のだめの身体がうねる。
汗が吹き出てそこはますます熱くなる。
俺は引き潮を待つように、ただじっと動かないでいる。
のだめの身体が、びくん、びくん、と余韻を感じさせる。

「のだめ・・・」
「スミマセン」
「何が?」
「のだめ、おかしいでしょうかね?初めてなのに、気持ちいいんデス」
「いいじゃないか」
「センパイは、まだ気持ちよくないでショ?」
「ううん」

俺はのだめを抱き寄せて、軽く口づけた。

「お前の顔見てるだけで、もうじゅうぶん気持ちいいから」
「でも」
「何?」
「のだめ、お返しの仕方がわからないですヨ」

小さな子供のように、俺の胸の中でのだめがぽつんとつぶやく。
そして自分の言葉に照れて、おでこを胸にこすりつけてくる。

「礼なんかいらない。お前エロサイトの見すぎだろ。
ただ、最後の痛さだけはたぶん避けられねーぞ」
「ハイ」
「それ、ガマンできるか?それとも今日はここまでにしとく?」
「のだめ、ガマンできますヨ!やめないでください。センパイ」

のだめが顔を上げて、俺の目を見つめる。

「のだめも、センパイの気持ちよくなった顔が見たいんデス・・・」

最初の頃より少しだけ緩んだ緊張が、のだめの身体にやわらかさを与えていた。
ぴったりと寄り添うオレたちの身体に、もう隙間はない。
世界で一番完璧なパズルのように、どの曲線もすべて合わさってしまったかのように、オレたちは抱き合っている。
そしてオレはこいつの、もっと
深い場所へとこれから入っていく。

オレの部分は、熱く固くなったまままったく収まりを見せない。
先端が痛いほどに張り詰めている。
のだめも感じているはずだ。もう、後戻りはできないし、したくない。

「おい、ちょっとずつ行くからな」

色気もムードもあったもんじゃねー。
でも、最初は仕方ない。まるで共同作業の工事のように、進んでいくしかない。
オレは、先端を軽くそこに当ててみる。
少しだけ押し付けてみるけれど、ゴムに弾かれるような抵抗は、かなり強い。

「痛いか?」
「ダイジョブです。続けて・・・」

オレは指で探りながら、のだめの身体を押し開いていく。
先端を沈めようとするたびに、のだめの「純潔」がオレの進入を弾き返す。
その抵抗感を、ぎりぎりの強さで突き破ろうとする。
一気に行けば、オレとしては楽だ。でも、のだめの苦痛を考えると、
時間をかけるしか方法がない。
処女相手のセックスは、サディスティックな趣向でもない限り、一番エロチックから程遠い行為だろう。
いつかこいつも女になっていくんだろうか?

「うう・・・」

のだめがオレの胸の下でうめく。オレの塊は、さっきより少し深くのだめを征服している。
しかし、あれだけ濡れていた部分が、のだめの痛みに対する恐怖を示すように、
すっかり乾いてしまっている。オレは一度腰を引いて、再びのだめのそこに顔を近づけた。
そしてゆっくりと、できるだけのやさしさで、舌先を使って肉芽を舐め上げた。

「ひゃうん・・・センパイ・・・」

のだめがオレの頭を持って、これからどうしようかと手を止めて悩んでいる。
そして頭をぐっと押し付けるかわりに、ほんの少し、自分から腰を浮かせて
オレの舌に応え始めた。・・・もう、一気に行くか。

オレはもう一度先端を押し当てて、そのまま体重を移動し始めた。のだめの中に。中に。中に。
中に入ってひとつになる。ぐぐぐ・・・抵抗の中を強く押し入っていく。

「う・・・きゃ・・・いや・・・」

のだめが首を振ってイヤイヤをする。
でも、もう止めてやんない。オレ、もう止めねーぞ。
半分以上は埋まったから、あとは腰を動かせば何とかなっていくだろう。

「のだめ、もうほとんど入ったからら・・・痛いのあと少し」
「センパイ、のだめに気を遣わないでくだサイ。それよりも」
「それよりも、なんだよ」
「今デスヨ、愛してる、のタイミングは」
「はァ?」
「愛してる、デスヨ。やっぱり初めてひとつになった記念デスから、
それを言ってもらわないことには。さあ今デス!」
「・・・やめてくれ。萎える」

彩子との初めてには、少なくともロマンチックなムードがあった。
それはお互いが必死だったのと、言葉をほとんど交わさずに、行為そのものに集中していたからだろう。
のだめといると、自分のペースが乱れてしまう。
なぜかペースをリードされてしまう。

オレのここまでの努力は一体・・・・?
疲れもあって、下半身の高まりは今の一言ですっかりへこんでしまった。

「センパイ・・・?」
「少し休もう」
「のだめじゃ、ダメなんですか?」
「違う、オレにも事情があるんだよ!」
「ふおー、これがウワサの、EDデスね?」
「どこでウワサだ、どこで!?」

生き地獄。再び。
オレはため息をついてのだめから身体を離すと、天井を見ながらベッドに寝転んだ。

「のだめ」
「ハイ」
「今日はもう寝るぞ」
「ええっ?今夜は終わりデスか?のだめは処女じゃなくなったんでしょうか?」
「そうじゃない?少なくとも半分は」
「ふおおお・・・半分?アレよりさらに半分もあるんデスか?」
「おまえ、そういうことあからさまに言うな」
「すごいですネ・・・しんいちくん。ちょっと見せてくだサイ」
「な・・・何バカなこと言ってんだ!」
「見せなサイ!」
「殺すぞ!」

あーあ。一気に入れときゃよかった・・・・。






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