昨日みたいに
千秋真一×野田恵


アパルトマンに戻ってからののだめの様子はいつもと変わらなかった。
俺が夕食を作っている間に、プリごろ太のアニメをテレビに張り付くように見ていた。
下手に夕食作りを手伝われるとキッチンが大変な事になるので、自分にとっても都合がいい。

夕食を終え、いつものように、お互い勉強や練習に勤しむ。
特別な夜から一夜。いつまでも余韻に浸っている訳にもいかない。
のだめは最近は初見の練習を重点的にしているようで、たどたどしい旋律が部屋に響き渡る。

「その口やめろ…。」

総譜をチェックしていた俺はついつい気になってしまい、小声でつぶやいた。
もちろんのだめはそのつぶやきに気付くことなく続ける。
…まあいいか、前に比べたら。最近頑張ってるみたいだし、初見もだいぶ良くなってきている。
俺も人の事を心配している場合じゃないな。そろそろヴァイオリン弾いとくか…。

のだめはヴァイオリンの音色を聞くと、それに合わせ即興でピアノを弾きはじめた。
全く違う曲に作曲してしまっているが、最初からそんな曲があるんじゃないかと思うほど、
とても魅力的な音色だ。まったく、この才能にはあきれてしまう。

気付けば日付が変わりそうになっていた。
順番にシャワーを浴びて、ベッドに潜り込む。のだめは俺の腕を枕にして、頬をすり寄せた。
シャンプーのいい香りに包まれ、思わずのだめの髪を撫でた。

「ほわぉ…。」

のだめは気持ちよさそうに目を細めた。まるで猫のようだ。

「おやすみ、のだめ。」

チュ、とおでこにキスをして目を閉じた。幸せな一日が終わろうとしていた。

「…先輩?」
「ん…?」
「今日は、しないんデスか?」
「え…。」
「昨日みたいに。」
「?!」

青白い月明かりの中、のだめの瞳だけがキラキラと光って見えた。
俺はのだめの言葉に動揺して、肘をついて上半身を起こした。

「昨日みたいに…って、おまえ、昨日の今日で…痛いだろ、さすがに。」
「のだめ、もいっかい昨日みたいなことしたいデス。
痛かったけど、すごく嬉しかったんデス…。先輩とひとつになれて…。」
「いいのか…?のだめ。」

思わず唾を呑み込んだ。のだめの恥じらうような表情がとてもいじらしくて…。
のだめはこくりと小さく頷く。
もう止められない。またのだめのペースに乗せられ、理性を失いそうになる。

ベッドの横にあるスタンドライトをつけようと手をのばすと、
のだめは俺の腕を掴み、止めようとする。

「や…電気、つけないでくだサイ…。」
「恥ずかしい?」
「…ハイ…。」
「分かった。」

伸ばしていた手をのだめの顔に添え、頬を撫でる。
今日はちょうど満月で、神秘的な青白い光がのだめの表情まではっきりと映し出している、

「お月さまが見てマス…。」

ふふ、と笑って呟くのだめの唇に自分の唇を重ねた。
ぽってりとしたそれにふわりと口づけし、上唇を軽く舐めると、のだめはピクリと体を震わせる。

十分にその唇を堪能した後、舌を滑り込ませた。のだめの舌を探し出し、絡めとる。
すべての生命が眠りにつく真夜中、くちゅ、という音だけが静かに響いている。
舌を絡めたまま、白いネグリジェの上からのだめの胸に手のひらを這わせ、優しく揉みしだく。
その中心はすでに硬くなり、探さなくても指先にあたる。

「…ぁ…。」

のだめは小さな声を漏らす。
人差し指でその突起に軽く触れると、ぎゅっと目をつむり、
その快楽に耐えるかのように体を硬直させる。

「声…出してもいいから…体の力抜いて。」

のだめは少しだけ肩の力を抜いた。そうすると、刺激を与えるごとにびくりと体を震わせる。
ネグリジェの前のボタンを上から順に外すと、たわわな胸が薄紅色の突起を主張している。
それを舌で転がし、口に含むと、のだめの声は一層高くなった。

「っあ…あ…っ…ぁん…。」

左手で左の乳房をもてあそび、右胸の乳首を舐め上げる。
のだめの腕は宙をさまよい、俺の頭にしがみつく。

「は…ぁッ…しんいち…く…。」

嬉しい。のだめが感じてくれている。俺の名前を呼んでいる。
もっと、気持ちよくしてやりたい―…
ネグリジェの裾の方から手を伸ばし、のだめの秘部を下着の上から撫でると、
そこはすでにしっとりと湿っていた。

「のだめ、もうこんなに濡れてる…。」
「や…言わないでくだサイ…恥ずかし…。」

のだめは両手で顔を隠した。耳まで真っ赤になっているのが分かる。
ショーツの上からそこをぐっと押してみると、
あふれ出る蜜はショーツに浸み込み、ぐっしょりと濡らす。
その布の脇から中指を潜り込ませると、ぬるりと簡単に奥まで入ってしまう。

「すご…のだめ…。」
「やぁ…ん。」

愛液が浸み込み、意味を持たなくなったショーツを剥ぎ取り、
もう一度、今度は人差し指と一緒に入れる。
ゆっくりとその中で指を動かすと、そこはぐちゅぐちゅといやらしい音を響かせる。
だんだん息づかいを荒げるのだめの目尻には涙が溜まっていた。

ふと、秘部の少し上にある芽に目がとまる。ぷっくりと膨らんだそこはまだ未開の場所だ。
昨夜は初めてだったから、刺激が強すぎるかと思い、触れていなかった。
―触れてみたい…。のだめの知らない場所。
俺はそこに親指をあて、円を描くように擦り付けた。

「ひっ―――…ッあぁっ!」

のだめは腰を反って悲鳴を上げた。吃驚したような顔で目を見開いて俺の方に顔を向ける。
俺は構わずそこをいじり続けた。

「あぁんっっ!やあッ…し…いちく…なに…?コレ…ッひゃあん!」

…のだめのこんなに感じている声を初めて聴く。
俺は快感がゾクゾクと背中を駆け上がるような感覚に襲われた。

「ここ、気持ちいい?」

のだめは首を縦に振った。ぎゅっと瞑った瞳から涙が溢れ出す。

「のだめ…のだめ、変になっちゃう…ああんっ!!」
「かわいい…のだめ…。」

俺だって頭がおかしくなりそうだ。そんなに啼いて、よがって…。
あまりの興奮に頭がぼうっとしそうだ。

「も…無理デス、ふあぁんっ!」
「俺も、もう無理…。のだめ、入れていいか?」

指を離すと、はあっ、と大きくため息をついたのだめは、
少し落着いたのか、俺の目を見てこくりとうなずいた。

震えそうになる手でゴムを着けて、のだめのそこにあてがう。
少し上下に擦り付けるとぬるぬると先端に愛液が絡みつく。

「入れるぞ…。」

少しずつ、少しずつ、押し込んでいく。痛くないように。

「―――ッ!うぅ…!」

のだめのうめき声に、はっと我に返り、動きを止めた。

「痛いか?」
「痛い…デス…けど、頑張りマス。やめないで…。」
「無理するな。」
「無理してまセン。」

のだめはむーんと顎を上げた。

「…分かった。覚悟しろよ。」

そのまま奥へと押し込む。少し入れては引いて、もう一度押し込んでは引く。
奥へと進むにつれて、のだめのうめき声は大きくなっていく。

「いっ…うぅ――っ、う―…!」

可哀相になるくらい本当に痛そうだ…。もしかしたら昨日よりも痛いんじゃないか?
傷を作る時より、傷口を開いてしまう方が痛いだろう…やめるか…?

「…せんぱい…、何回もしてたらキモチ良くなる日が来るんデスよね…?
のだめ、頑張りますから。早くせんぱいとキモチ良くなりたいデス…。」
「のだめ…。」

涙をぽろぽろこぼしながらそう言うのだめに、胸が締め付けられる。

「ゴメンナサイ…のだめがしょじょだったから…うぅ…。」
「何言ってんだバカ。」

俺はのだめの額を軽く小突いて、もう一度腰を押し込んだ。

「…奥まで入ったぞ。」

痛そうだが、昨日よりは早く辿り着いた。のだめの中が俺を強く締め付ける。

「く…、キツ…。」

快感と痛みが交じり合う。その状況から逃れようと、ゆっくりと腰を動かした。

「――っ!…っ…っ!」

のだめはシーツを握り締め、うめき声さえ押し殺している。

「のだめ、いいから、声出せ…。」
「はぁっ!う…うぅ…!」

だんだんとその中が広がっていき、スムーズに動かせるようになってきている。
俺はさらに中を広げるように内壁を掻き回した。

「んぅ…あっあっ…せんぱ…ああんっ!」
「のだめ…?」

のだめの声が変わった。明らかにさっきまでのとは違う。…もしかして。

「感じる…のか?」
「はぁ…先輩、のだめ、何か変デス…。すごく…痛かったのに、もうあんまり痛くないデス。」
「のだめ…。」

麻痺しているのだろうか、痛くないわけがないのに。でも確実にのだめの表情は変わってきている。
俺は動きを速めた。のだめは悩ましげに眉をひそめ、その動きに合わせて
艶のある声を漏らす。…もう大丈夫か…?
安堵した俺は一気に込み上げてきた快楽に支配されようとしていた―…。

「…のだめ、のだめっ…――!」


******



結局、今日も俺はのだめに絶頂を与える事が出来なかったが、
のだめはとても幸せそうな顔で微笑んでいる。

「のだめ、ゴメンな。痛かったろ。」
「ハイ…少し…。でも、すごく気持ち良かったデス、ぐりぐりしてたトコ。」
「…おまえよくそんな事を恥ずかしげもなく…ここだろ?」

俺はのだめが一番感じていたそこに触れた。

「ひゃああっ!!も、いいデスいいデス、また今度!」
「ぶ…っはは、なんだそれ。」

思わず吹き出してしまった俺にのだめはぎゅうっと抱きついてきた。
俺を見上げて無邪気に笑う。

「せんぱい、のだめ、明日もあさってもしたいです!」
「…頑張るよ…。」

その後もそんな大胆な面や、可憐な少女のような面を持つのだめの術中に
俺はすっかりはまってしまうのだった…。






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