もう一度、あの場所まで
千秋真一×野田恵


恥ずかしがるのだめの体のあちこちにキスをして、少しずつ体をほぐす。
ほんの少しそうする事でのだめは敏感になって、応えるように声をあげていく。

そんなふうに何度か同じ夜を、同じベッドですごした。
……ようやく手に入れた。
初めて抱いたときそう思ったのだめを、大事なものを扱うようにして肌を重ねる。
こういうときだけひどく従順で、すべてを任せてくるのが意外に思えて戸惑いもしたけれど。

「いい?」

こっくりと頷いたのだめが、ぎゅっと目をつむり準備をする。
そっとあてがい、上下に少しなじませ、いっぱいに潤んでいるのを確認した。
のだめは胸の脇に腕をちぢ込ませ、柔らかな半球を押し上げて、深い谷間を作っている。
とてもそそる……が、多分、無意識なんだろう。

腰を突き出すとつぷっと潜り込む感覚があり、そのまま吸い込まれて、奥までのだめとひとつになる。
あ、とても……熱くて……全身に回りこむ気持ちよさに少し身震いをした。
のだめは閉じた瞼をぴくりと震わせて、あ、と小さく息を逃す
上気した頬に小さくキスをすると、ゆっくり目が開かれた。

「……なん、ですか」
「いや……スムーズに入るようになったな、と思って」
「……えっち」

初めてからしばらくはつらそうな顔を見せていたけれど、のだめはもう痛さを感じてはいない。
狭くてきつかっただけなのが、オレを優しく包み込んで受け入れてくれている、このごろ。
くぐもった声もどこか艶を持っていて、オレを高まらせる。

「あ……」

ゆっくりと動かして、探す。
こうする事で触れられる部分にあるはずの、のだめのいい場所を、探す。
受け入れられるだけでなく、求めて欲しいと思うから。
だから、感じさせたい。

角度を変えて、深さを変えて、のだめの中をかき混ぜる。
ぐっと奥まで入っても、のだめは息を大きくつくだけでつらそうな顔はしない。
時々、きゅっときつくなるのは、感じてくれてるのかどうなのか……。
まだ、気持ちがいいのはオレだけなのだろうか。

「あっあ……や、やだ……」
「え? 痛い……?」
「ちが……っ、あ、ちょっ……」

腰をうねらせてある一点に打ち込んでいると、しばらくしてのだめは息遣いを荒くしてきた。
小さくかぶりを振って、オレの肩に添えていた指に力が入る。
……今までになかった反応だ。

「……のだめ?」

もしかして……。
小刻みにそこを、その周りも、押し上げるように腰を入れてのだめを揺らす。
と、のだめはそれまでとは違う声を上げ始めた。

「やっ……あっ、やだぁぁ」
「……ここ?」
「ふあぁぁ、ふぁぁ……ん……」

息を吸っても吐いても、声が混じるといった感じだ。
その声はとても甘く……我慢して抑えようとしているのもかわいらしくて。
感じている声を聞くのは初めてではないけど、今までのそれとは少し違う。
体もぴくぴくと震えて、オレを包み込んでいる部分はリズムを持ってきゅうきゅうときつくなってくる。

「こ……れ、なに……?」
「……いけそう、なのか?」
「せん、ぱい……なんか、した? あ……あぅ」

感じてる? オレを。
気持ちよくなってくれている?
痛さだけだったものが次第にそれが取れて、少しずつオレを受け入れてくれて。
そして今、たった今は、それを感じて乱れている。
やばい……すごく嬉しい。

「のだめ……かわいい……」
「……やっ……やあぁぁぁ……」
「すごく、かわいい……」

胸が大きく上下して、ふるふると突起が揺れてオレに当たっている。
瞳は潤んで、目尻に涙を溜めて、淵はほんのり紅く染まっていて、色っぽい。
ふっくらとした唇からは、もう快楽の声しか聞こえない。
つかむものを探して彷徨うのだめの手を取って、指を絡ませた。
声を漏らす唇をついばんで、頬にも耳元にもいっぱいキスをしてやる。

「あっ、あん、しんいち、くん……のだめ……」
「うん……?」

熱く絡んで震えるそこは、オレをまるで吸い上げるように蠢いている。
溢れるほど潤んでいるんだろう事が、二人の間で立てられる音でわかる。
こんなにまでの刺激はいままでなかった。

「……あの、あっ、あの……」

わかる。
のだめが初めて、その瞬間を迎えようとしているのが。
初めて抱いたときも思ったけれど、今、本当におまえを手に入れたんだと思う。
いかせたい。
いってほしい……オレで。

「大丈夫……いって……」
「や……あ、しんい、ちく……ああぁ────────!!」

のだめは高まりを受け入れて、初めての……絶頂を迎えた。
その刺激もさることながら、オレは嬉しさでいっぱいで……追いかけるように登りつめた。


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くったりと力の入らないのだめの体を離れて、ベッドの淵でゴムを外した。
頭がぼうっとしている。
こんなにくらくらするくらいの事ってこれまであっただろうか。

……ないよな。

どうしてこんなに嬉しいと思うんだろう。
セックスってこんなに気持ちよくて、嬉しいものだったのを始めて知った。
相手が感じてくれることがこんなに嬉しいなんて。
体はもちろんだけれど、胸を満たして溢れるくらいのものがある。

のだめ。
おまえとだからなんだろうか。

「……んいちく……ん」
「ん……?」

まだ余韻の残る声で、小さくオレの名前を呼んだのだめの隣に体を潜り込ませた。
薔薇色に染まる頬に音を立ててキスをして、優しくティッシュでそこを拭ってやる。

「しんいちくん、しんいちくん……」

うわごとのように名前を呼んで、のだめがしがみついてくる。
はあ、と吐くまだ息は荒くて、時々つく溜息が鼻にかかって甘く響く。

男のエクスタシーはひとつだけど、女は違うと聞く。
確かに……反応が違う。指と口でいかせた時と、今のこの状態と。
顔つきだって、こんなに女だったかな、と思うほどしっとりときらきらとしていて。

あー。
ほんとに……。
荒い息がおさまるまで、ぎゅっとのだめを抱きしめた。

「ん、はあ……」
「もう、平気か?」
「……はう……先輩……ぁう……」

恥ずかしそうにオレの胸にうずめてくるのだめの赤い顔を上げさせて、唇をふさいで舌を吸い上げた。
オレの中には、嬉しさと、快楽の余韻と、少し安堵の思いもある。

「ん……」
「……なんで、先輩……なんか、うれしそう……?」
「まあな」
「どうして?」
「……なんでも」

汗ばんで張り付く髪を撫でて、耳にかける。
唇を食むようにキスして、もう一度、深く探る。隅の隅まで、こいつを感じたいから。

「何かいつもと違う技でも使ったんですか?」
「……なんだよ、技って……バーカ」
「だって……あんな……エッチするのって……今までだって十分だったけど、今までのはなんだったんでしょう。
というくらい、あんなに……キモチイイなんて、知りませんでしたけど……?」

キモチイイ。
そう言ってくれた事が、オレの中で膨らむ。
本当に、オレの……でいったんだ。

すすり泣いて痛がった事を思い出すと、今のこの状態に、少し……感動。

「じゃ、もう一回試してみる?」
「え……?」
「いつもと違うか、違わないか……」

覆いかぶさるように肌を押し付けて、背中は尻の所から強く撫で上げていく。
のだめは深い溜息をついて目をつぶり、自分からキスを仕掛けてきた。
確かめたいだろ、おまえも。

「また、同じ様になれマスか……?」
「……がんばるよ。おまえの感じるところ、もっと探してやる……」
「うきゃー!! も、もうっ、先輩やらしいー」
「逃げんなよ」
「やーん!」

ベッドの中で背を向けて逃げるのだめを追いかけて、抱きしめた。
柔らかい胸を包み込んで、尖ったままの突起を親指で弾くと背中をそらす。
くすくすと笑う声に熱が帯びてきて、のだめは少しずつ足をすり合わせていく。

「だめぇ……」
「もう一度、気持ちよくなりたくない?」
「あ、ん……」

こっくり頷くのを確かめてから、再び指を忍ばせていく。
おまえが天国を感じる場所。
そこが、オレにとっても天国。


連れてってやるよ。
……もう一度、あの場所まで。






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