千秋真一×野田恵
![]() 「あ…ん」 一度全てが終わって、互いの持つ熱をもう一度確かめるように 抱き合おうと思った時にのだめの口から漏れた声。 「しん…いちくん…」 「ん…」 続いて呼ばれるのは俺の名前。 その濡れた愛おしい唇をついばむように摘んで、吸って、軽く舌先で舐めた。 明日からはまた客演でパリを離れる。 だから……今晩は二人でとっておきのワインを開けて、 キスをして、互いを確かめ合った。 「明日から…さみし…ぃ…」 「寂しい・・・?」 いつぞやかは一度も連絡してこなかったクセにといってやると、 だってあの時は…といってくるりと背中を向ける。 だからその真っ白な背中にまた覆いかぶさって首元にキスを落とした。 「たまには連絡してこい」 「…先輩も」 「バカ」 そんなことをいいながらじゃれあっているとふとのだめの… 一番敏感なところ…のすぐ上の薄いまだ少し濡れた恥毛に触れた。 「あ…」 「や…何デス…カ?」 ぴくりとのだめも反応して声を出す。 「ん…まだ」 「まだ…あ…やっ」 そっとあの蜜が溢れる場所に人差し指をそっと添えると のだめはさらに大きく反応をする。 当然、つい先ほどまでの行為が互いに残っていて、 たまらなく……懐かしむようにそっと指を動かす。 するとのだめがそれを阻止しようと手を重ねてきた。 「だめぇ…」 「ダメ?ってこれで」 「やだ…」 絡まる指と指。でもそれが結局は一番のだめが声を上げる あの突起に自身で触れることになった。 「はっぁん…」 「…やらし…のだめ」 「ちがっ…」 「自分で…触ってる」 「これは…あっ」 「いいから……」 そのままのだめの指をのだめの蜜を絡めとるように強く導いた。 「しし、しんいち…くん」 「…したこと…ないだろ?」 「え…あっっ…」 「自分で……」 そっとのだめの中指を軽くノックすると ぴちゃりぴちゃりという音が部屋に響いた。 「ほら、こんなに濡れてる…」 「あ…あ…」 「もうちょっと上…」 そして今度はあの突起をのだめ自身の指で触れさせた。 のだめは高い声をあげるが…やめることはできない。 水音は部屋中に増し、息はもうとっくに甘い声に変わってきている。 のだめはもう自分のしていることに恥じらいを感じて 耳まで真っ赤なのが背中から見ていてもわかる。 ぷるぷると震える身体と声。 しかし…その指は止まることがない。 俺が阻止しているのはもちろんだが…きっと、もう覚えてしまった あの感覚をなんとなく自分自身で求めてしまっているに違いない。 …そう思うとたまらなく愛おしい。 「いいよ…もっと……」 「あっ…あんっ…」 ぎゅっと力を入れてのだめの手を抑える。 するとぬぷりとのだめの長い中指の先が中に入った。 「はぁっ…」 「わかる?自分の中…」 「あ…あ……ん」 いやいやと首を振るのだめの首元にそっと口付けると今度はまた違う声をあげる。 今、自分で自分自身に何をしているのか。 快楽と理性に揺り動かされている今のだめの中… していいのか?しちゃいけないのか? 気持ちいいのか?気持ちよくていいのか?? 何が正しくて、何が正しくないのか…でもそれが…それが全て……。 「しんいちくん……しんいち…くぅ…ん」 俺を呼ぶ声にこもっている。 そう呼ばれることがすごくうれしいし、いやらしいと自分でも思う。でも止まらない。 いまのだめが自分の指で、俺の…普段の行為を思い出しながら、 ぎこちなく自身に触れ、感じている。その姿が……たまらなく愛おしい。 「めぐ……み…」 「うんっ…くうぅ…」 耳朶を甘噛みし、片手で強く抱きしめ、そっと耳元でそのいとしい人の名前を囁く。 のだめの指はもう止まらない。くちゃりくちゃりと水音は増して、部屋に響き渡る。 「あっあっあっ」 短く途切れ途切れになる呼吸。 奥からでてくる艶のある声。 俺自身はもう手を導く必要もない。 のだめはのだめ自身で自分を導いている。 だからただただのだめの背中を抱きしめ、そっとその顔にキスを落とす。 のだめはそのキスを感じ取るとうっすらとその大きな瞳にためた涙をすっと落とした。 「しんいち…くん…のだ…め……もう…」 「もう…何??」 「しん…いち…っく…あっ、あ―――――― 最後にそっと手をあの場所に落とし、のだめの指をもう一度強く花芯に導くと びくんと大きく背中が反れた。 * * * * * * * * * * * * * 「エッチ!バカ!変態デス!!」 「ふーん」 「なんてことするんデスカ!!!」 「したのはお前…」 というと思いっきり枕を投げつけてきた。 「もう離婚デス!!!」 「へー」 そのマクラをどかしてぷいっとそっぽを向いたのだめを 無理矢理抱きしめてやると下を向いてしまった。 「怒るなよ」 「…だって…のだめ…」 「かわいかった…すごく……」 「…バカ」 今日一番顔を真っ赤にして今度はこちらを向いて俺の胸に顔を埋めた。 「もうやりまセン…」 「何で?」 「恥ずかしい…デス」 「でも…気持ちよかっただろ?」 「…はう」 「そんなに恥ずかしいなら……」 今度は一人で、でも俺のことを思い出すのは忘れるな。 とつぶやいて今日最後のキスをした。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |