千秋真一×野田恵
![]() 「でも、センパイものだめに“好きだ”とか“愛してる”とか言ってくれたことないですよね」 日常の何気ない会話の合間、一瞬の沈黙の後、のだめがポツリと呟いた。 「は?なんでいきなりそんなこと…!?」 「いきなりじゃないですヨ…。のだめ普段から結構気にしてたりするんでデスよ?」 だからって話が飛躍しすぎだろ…。 指摘したい気持ちの一方で、元々大した意味のある話をしていた訳でもなく…。 のだめの少し遠慮がちな、けれども挑むような視線を感じる。 「あるだろ…。たぶん何回かは…?」 「エッチの最中に限れば…。ですけどね」 「!!!」 こういった類の話は苦手中の苦手だ。他の人間(もとい女)が相手だったら、 億劫に感じるあまりに、どうにかして誤魔化そうとするだろうな…と思いをめぐらす。 相手がコイツだから、普段、真っ当な形ではあまりオレに対する執着心をみせないのだめだからこそ、 『結構気にしてたりするんでデスよ』発言は、可愛らしくもあって…。 「ベッドの中での男のコトバは信用するな!ってやつデスかね?」 「バッ、オマエはまたそういうことを…!」 「だって〜!一理ありますよ!のだめがほとんど意識のないときばっかり狙って! イヤガラセですか!?」 「だ、だから、それは…、オレもそういう無意識に近い状態じゃないと 本音が出せないんだよ!!って、あ?」 顔にあてた指の隙間から、のだめの満面の笑みが見える。 キラキラしていて、まぁ、可愛くはあるんだけれど…。 「モキャー!センパイ!本音って!本音って!そんな大きな声で!恥ずかしい〜!」 「オマエ、少し黙ってろっ!」 のだめの首を掴んで、そのままソファに押し倒す。 結局は、今日ものだめのペースに巻き込まれたっていうことか…。 「さぁ、センパイ!今このタイミングで“のだめ…愛してる”デスよw」 「絶対、言わねぇ…」 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |