のだちあリレー
千秋真一×野田恵


オクレル先生が風邪をひいて、急に今日のレッスンが休講になった。
その知らせを受けた時には、もう先輩が家を出たあとで…
いきなりマルレのリハにお邪魔したら、先輩びっくりしますかね?
うきゅきゅ♪と、家を飛び出したのだった。


■□■

ど、どうして?

何してるんですカ?


前に先輩に「結婚指輪買ってくだサーイvvv」といって、却下された高級アクセサリー専門店の前をとおりかかったとき、
その店内に、いるはずのない人を見つけて、のだめは固まった。

みまちがうはずはない、あの後ろ姿は千秋先輩そのひとだ。
そしてその横には、すらりと痩せた黒髪の女の人がたっている。

あれは…RUI?

なんで先輩と、こんなとこに…。

あ、こっちにくる!

隠れる必要なんて無いはずなのに、
慌てて柱のかげにかくれてしまう。
隠れる瞬間に、ちらりと目に入った千秋の表情は、すごく優ししそうな笑顔をうかべていて…

(のだめ以外の人に、そんな風に笑わないでください!!)

隠れているのだめに気付くことなく、すぐそばを通りすぎる千秋とRUIの会話が一瞬聞こえた。

「もう!早くどっちにするか決めてヨ」

「俺はRUIの方が…」

「じゃぁそうすればいいじゃない!」

「でも捨てがたいんだよな…」

「はっきりして!ワタシと、彼女と、どっちが良いのか!」

え…?

「まぁ、あっちは飽きそうだし、RUIの方にするとおもう。次までに決めとくよ。今日はサンキュな。」

「じゃ、またね!チアキ!」


二人の足音と、声が遠ざかっていくのを、ぼんやりした頭で聞いていた。

今のは、何?

今日は、オケのリハじゃなかったんデスカ?

何でRUIと一緒にいるんデスカ?

先輩は、のだめに飽きちゃったんデスカ?

「「俺はRUIの方が…」」

先輩のセリフが頭の中でリピートされる

胸がザワザワして
喉はカラカラに乾いて
足はどうしようもなく震えている


それからどうやって家に帰ったのかは、おぼえていない。

■□■

今日の練習は急遽午後からになった。最近こんをつめすぎて、体調不良者が続出したからだ。
かといって、一日休んでいられる余裕はない。そこで、練習を午後からにすることになったのだ。

のだめには言っていない。
言ったところであいつは学校だから一緒に過ごせるわけでもないし

…今日は、あいつの為にプレゼントを買うつもりだったからだ。

忙しくて、プレゼントを用意するどころか、誕生日を祝う余裕すらなく、過ぎてしまったのだめの誕生日。
もう寝てしまっていた額にキスをして、小さな声で祝福の言葉をささやいた。

講演がおわったら、ちゃんと祝ってあげようと思っていたのだが、
せっかく空いたこの時間に、プレゼントを決めておくのも悪くない。

そう思って足をふみいれたのは、前にあいつが入りたいといっていたアクセサリーの店だった。

男が一人ではいるのは恥ずかしい店だったか、
仕方ないとあきらめて、ショーウインドーの中の宝石たちをみつめていると、急に肩をたたかれた。

「うわ…っ!?」
「久しぶり!チアキ!」

「なんだRUIか……ってRUI!?またフランスに来てたのか?」
「ええ。チアキはこんなとこで何してるの?またのだめサンにプレゼント?」
「え…〃まぁ…」

赤面してる俺をみて、RUIは楽しそうに笑った。
彼女は母の誕生日プレゼントを買いにきたのだという。
即決で、迷わず決めたRUIに関心しながらも、俺はずるずる迷っていた。

「今度は指輪にするのね!婚約!?」
「違う!」

婚約指輪でも結婚指輪でもないが、指輪を買うことは決めていた。
あいつは納豆が欲しいとかいってたが…
この店の前を通った時、いいな、指輪欲しいデス…といったあいつの笑顔をよく覚えている。

それに今は、ネックレスを選んだ時とは違う。
ちゃんとピアノとあいつを「分けて」いるつもりだし…

「チアキ!これなんてどう?」

そういってRUIが指をさしたのは、シンプルなシルバーのリングだった。
小さなピンクの鉱物がうめこまれている。

「のだめサンに似合うと思うヨ!」

のだめが着けているところを想像する。
あいつの白くてすべすべした指に、すっきりと馴染みそうで…
これにしようか、と決めかけたその時。

「お客様!こちらはどうでしょう?」
若い女性店員がケースから出してみせてきたのは、
ハート型のルビーがはめこまれている金色のリングだった。
買った場所は違うのに、あのネックレスに似たデザインだ。
「お連れ様によくおにあいだと思いますよ」
「へ?や、彼女は友達で…」
「まぁ、そうでしたか」

でも、このリングを着けているのだめを想像したら、やっぱりとても似合っているきがした。

「えー、チアキ。シンプルな物にしておいたほうが飽きがこなくていいわよ!」
「たしかに…」

いつまでも悩んでいたら、もう時間が迫ってきていたことにきづいた。
また今度くることにして、RUIと店をでた。

「結局どっちにしようかな…」

「チアキって、優柔不断だったんだね。もう!早くどっちにするか決めてヨ」

「俺はRUIの(選んだ)方が…」

「じゃぁそうすればいいじゃない!」

「でも捨てがたいんだよな…」

「はっきりして!ワタシ(の選んだほう)と、彼女(の選んだほう)と、どっちが良いのか!」

「まぁ、あっちは飽きそうだし、RUIの方にするとおもう。次までに決めとくよ。今日はサンキュな。」

「じゃ、またね!チアキ!」


■□■

去ってゆく千秋の後ろ姿を見送りながら、RUIはおもった。

(のだめサンは幸せ者ね…のだめサンの話をするだけで、チアキが始終笑顔になるなんて)


午前だけでも休みにしたためか、今日のリハは中々調子がよくて、時間をオーバーすることもなく終わった。アパルトマンの前につくと、俺の部屋の電気はついていなかった。そして、のだめの部屋も。

あいつ、もう寝たのか?にしては早いな。でも帰ってないにしては遅すぎる。
自分の部屋に帰って、上着を脱いでから、のだめの部屋にむかった。ノックをしても、返事がない。
仕方なく部屋にもどった。
また「リュカ」とやらと練習か…?あいつ夕飯食べてくるのかな…

なんとなくおもしろくないまま、一人夕飯の支度をはじめる。
その時、ドアノブのまわるおとがした。

「のだめ?」

「ぎゃぼ!先輩、もう帰ってたんですか…早いですね。」

「ぎゃぼって何だよ。お前、どこいって…」

いいかけて固まった。
キッチンに顔を見せたのだめは、いつもと雰囲気がちがくて…
ナチュラルな化粧をしていて、唇はぷっくりと濡れている。初めてみる黒のワンピースは、胸元がおおきくあいていて、丈は短く、のだめの少し赤く色づいた膝が見えていて…ところどころに黒いレースが使われていて可愛いらしい。


朝見たときは、こんな格好じゃなかった。

「おまえ、誰と何処いってたの?」

不機嫌な声色になるのがわかる。

何故かのだめはビクリとして、

「ターニャと洋服買いにいってたんデス…」

と言った。

(ほんとかよ…)

そう思ったそのとき、廊下で声がした。

「ノダメー?もうチアキの部屋に行ったの?」

「あ、ターニャ!」

バタバタと玄関に行くのだめを追って、俺も玄関にでる。

「私の部屋にカバンわすれてったわよ。今日はがんばってうまくやりなさいね!…って、あ、チアキ!!」

「今日、のだめと出かけたのか?」

「そうよ。…あんたは何処で何やってたんだか知らないけどね。」

「は…?」

そういうと、ターニャはのだめに意味ありげな目配せをして、帰っていった。
なんだ…?
のだめをみると、なにかおもいつめたような顔をしている。
そういえば目が赤いような…まるで泣きはらしたみたいに。

「のだめ…?なんかあったのか?」

「え?…なんもないデスよ?…それより先輩…あの…えと…」

「…?」

「きょ、きょうののだめ…どですか?」

「どうって…別に…。」

帰るのが遅い事に対して、一瞬不機嫌になっていたせいか、ついつい思ってもいない言葉が出てしまった。
本当はすごく…すごくかわいい。黒いワンピースに栗色の髪の毛が美しく映えていて…。
透けるような頬が少し赤く染まっていて、切なげにうるんだ瞳に吸い込まれそうで…。
…なんて口が裂けてもいえるはずがない。

そんな事を悶々と考えていると、気がつけばのだめの大きな瞳から大粒の涙が零れ落ちていた。

「のだめ?!」

のだめはそのまま玄関先にしゃがみ込んでしまった。

「のだめ、とにかく、中に入れよ。」

俺はのだめの手を引いて、なんとかリビングに連れて行き、ソファーに座らせた。
のだめはしゃくり上げていて泣いている理由すら話せる状態ではなさそうだった。
どうして泣いているのか、まったく見当もつかないので早く聞き出したいが、
せかさないように背中や頭を撫でながら、口を開いてくれるのを待った。

      ・・・・・・・・・・・

「落着いた?」

ホットミルクを少し飲んで、ようやく落着いた様子ののだめに声をかけると、
また涙が溢れそうになっている。…原因は…俺?

「の、のだめ、お料理も出来ないし、掃除も…苦手だし、Ruiみたいに女らしくないかも
しれません…。だけど、先輩の事が大好きな気持ちは、誰にも負けません!」

「え…のだめ?」

「のだめ、ピアノ頑張りマスから、のだめにはピアノしかないですから
もっともっと練習して、Ruiに負けないくらいのピアニストになりますから…!」

のだめは俺のシャツを掴み、すがる様な目でそう言った。
こいつ…またホタルになりかけている。今度は何に感化されたんだ?

「のだめ…話が読めないんだけど。」

「のだめ、知ってるんデスよ?先輩がRuiとのだめ、フタマタしてるの…。」

「はぁ?」

「おまえなにいって…うわっ」
「でものだめ…先輩を飽きさせたりしません!!」

気付くとソファーの上におしたおされていた。
のだめの細い指がボタンを外していく。

「上手にできるかわからないけど…!」

何をおもいつめてるのか知らないが、呆気にとられている俺のシャツをぬがすと、のだめは…

俺の首筋に、胸にぎこちなく唇を這わせていった。

「こら、やめっ・・」

これまでにない積極的なのだめに、
口では抵抗しつつも身体がいつも以上に反応してしまう。

「・・・あっ」

胸の敏感な場所を唇でふれられ、
思わずのけぞった。

「先輩、感じてる?」

のだめは俺の手をとり、自分の胸にそっとあてた。

Dカップの胸は予想以上に大きくて・・・

そのまま、起き上がっていつものように押し倒そうとしたが、のだめがそれをゆるさなかった。

「今日はのだめにやらせてください。
いつものだめばっかりきもちよくて…
先輩にもきもちよくなってほしいんデス」

(俺もいつも充分気持ちいいんだけど…)

そう思って口に出そうとした瞬間、のだめの手が布越しに俺自身に触れた。


ぎこちない手つきでチャックをおろし、やはり下着の上から、既に固くなりはじめたその部分を触りはじめた。
最初は遠慮がちに。だんだん、夢中になったように激しく。

「…くっ…のだめ…いいよ」

そういうと、のだめはすごく嬉しそうに微笑んで…

それから、自分のしていることを急に思い出したように顔を真っ赤にした。

でも、すぐに恥ずかしさを振り払うように頭をふって、また行為に没頭しはじめた。

こいつ、ほんとにどうしたんだ?そういえば、二股とかいってたような。

********

(いい?ノダメ!いつもしてもらうだけじゃだめ!
千秋に奉仕して、のだめに夢中にさせるのよ!)

(ふぉ…奉仕ですか…ぐす…そしたら先輩、のだめに飽きないでいてくれますかね…?)

(もちろんよ!メロメロよ!)

(ほわぉ…めろめろ…!)

(それにしても、あのチアキがフタマタ…。のだめに大分孔雀化してたとおもってたけど…
しんじられないわ…)

(…ぅ…っ…ひっく…のだめだって…信じられません…!)

(あー!もう!わかったから、泣かないの!
私が化粧してあげるわ!
洋服も、買いにいきましょうよ。)


ターニャ…

のだめ、がんばりマス!
エロサイトで見た、あの技で…しんいちくんをメロメロに…

そして先輩のパンツに手をかけた。

「ほわぉ・・・先輩のここ、硬くなってマス」

のだめのひんやりとした手が俺自身に触れた。
顔を赤くしながら、それでも興味津々といった感じで。
ぎこちなく、それでも一生懸命にそこを刺激する。

そういえばのだめが自分から触れる事は初めてかもしれない。
まだなれてなくて、へたくそだけど、その不器用な動作が逆にそそられて・・・

しかし俺がそんなことを悠長に考えていられるのはそのときまでだった。

「せんぱい、きもちいデスか?」
「・・・うん・・・いいよ、のだ・・・うぁっ!!?」

急に強烈な快感を感じて、俺の心拍数は急上昇した。
のだめが急に俺のものを口に含んだのだ。

刺激はそれで終わりではなかった。

「んっ・・・・・・んはっ・・・」

甘い吐息を漏らしながら、のだめは熱い口内の中で、舌をからませた。
ねっとりと絡みつくように。
そして、上目遣いで俺の事を切なげにみつめてくる。
涙に濡れたような熱を持った瞳と、目が合う。

(せんぱい、どうですか?)

そう聞いているようだった。

「・・・くっ・・・」

必死に声を我慢するほどの、きもちよさに酔いしれながらも、
俺の心の中はザワザワとしていた。

(こいつ、なんでこんなに上手いんだ???
口でさせたことなんて、まだないのに)

手でするのも満足にできなかった・・・もちろん処女だったのだめが、何故?

このときの俺は、のだめが人のパソコンで有料エロサイトを見ているような
女だったということをまったく失念していたのである。

そしてそんな俺の思考は、またもやかすめとられる。

「・・・!うあっ・・・・っはぁ・・・っ」

のだめが俺を強く吸い上げたのだ。
こ、これは噂のバキューム・・・(←ムッツリ)
のだめはまるで哺乳瓶を咥えた赤ん坊のように、容赦なく口内で蹂躙してくる。

「・・・っ・・ちょ、のだめ・・・うぁっ・・・は・・」

女みたいに声が漏れてしまう。

「・・・のだめ・・・やめ・・・っ・・」

押し寄せてくる射精感に、俺はつい、のだめの肩をつきとばしてしまった。

「・・・・ぶ・・・ぼへぇー!!」
「・・・はぁ・・はぁ・・・危ねぇ・・・」

荒い息を整えて、のだめをみやると、
のだめはすごい勢いで吸って吐いてを繰り返している。

こいつ、息するのも忘れてたのか?

俺はのだめを突き飛ばしてしまった事も忘れて、
のだめの頭をなでようと、近づいた。

「・・・のだめ!?」

のだめの顔は真っ青になっている。

「・・・おまえ、無理しすぎ。ちゃんと息つがないから・・・」

もう一度頭に伸ばしかけた手をピシャリと払われた。

「・・・もうのだめに優しくしないでください」

「はぁ?」

突然のだめに拒絶されて、胸がズキリとした。

「・・・っのだめの事、ダメならダメって言ったらよか!!
はっきりすればいい!!
のだめの事、突き放したくせに・・・のだめの事、もう好きじゃなかのに・・・
『捨てがたい』なんて・・・そんな理由で・・・
の・・のだめは・・・あきらめらんなく・・ひっ・・・ひっく・・わああああああん」

突然福岡弁で一気にまくしたてたかとおもうと、
その大きな瞳から大粒の涙をボロボロこぼして、のだめは大泣きしている。
俺はただただ困惑するのみだ。

「おまえ・・・何言ってるのか全然わかんねー・・・
俺がいつお前のこと好きじゃないっていったんだよ?」

こんなに、好きなのに。
彼女がなんで泣いてるのかもわからなくて、おろおろするしかできなくて
そんな自分が情けなくてたまらないほど、愛してるのに。

「・・・えぐっ・・・先輩・・・それでものだめ・・・先輩がすきなんです・・・
二番目でも、何番目でも・・・のだめ・・・ひっく・・・捨てないでくださ・・・」

「もう泣くな。・・・俺、まったく話が読めないんだけど。
おまえ、何が不満なの?ちゃんと言えよ・・・」

のだめの涙を手でぬぐって、出来るだけ優しい声で聞いた。
そうすると、のだめはしゃくりあげて、
つっかえつっかえになりながらも、昼間の事を俺に話しはじめた。

-----------------------------

「おまえ、暴走しすぎ」

「・・・ごめんなサイ」

のだめが事のあらましを語ったあと、俺は一気に脱力した。
とんだ勘違いじゃねぇか!!

「Ruiと浮気してたんじゃないってことは、わかりました。
でも、なんで先輩指輪なんか買いに行ったんデスか。
お母さんに指輪贈るなんて、変デスよ」

そう、俺はつい嘘をついてしまったのだ。
のだめの指輪を選んでいた・・・とは言いずらく。

「むきゅ・・・やっぱり先輩浮気・・・?」
「ちげーよ!!あぁもう!!お前の誕生日プレゼントを選んでたの!!・・・・あ」

「・・・・へ・・・?・・・ふぉ、ふぉおおおおお!!!本当デスか!?
むきゃっエンゲージ!!?」

「違え!!!」

すっかり甘い雰囲気じゃなくなってしまい、
お互いの体の反応も乾いてしまったけれど・・・

俺はのだめを抱きしめて、耳元にささやいた

「・・・・・じゃ、気を取り直してもう一度」
「・・・・むきゃ・・・」

勘違いで、とんだ暴走だったけど、
俺のために焼餅をやいて、綺麗な格好をして、涙を流して・・・
普段あまり執着心をみせないのだめだからこそ、グッとくるものがあり・・・

そんな彼女を部屋に返すわけはなく、俺はのだめをベッドにひきずっていった。






SS一覧に戻る
メインページに戻る

各作品の著作権は執筆者に属します。
エロパロ&文章創作板まとめモバイル
花よりエロパロ