のだめの気遣いリレー
千秋真一×野田恵


ピンポーン。

玄関のチャイムが鳴った。
こんな時間に誰だろうと千秋はいぶかしく思いながら玄関へ向かった。
のだめならチャイムを鳴らしても勝手に入ってくるはずだ。フランクかターニャ……もしかしてユンロン?

「Oui?」

千秋がドアを開けると、そこにはのだめがたたずんでいた。

「……のだめ」
「……センパイ、お疲れ様デス。お仕事中でしたか?」
「あ、うん」
「お邪魔して申し訳ないんですケド、こっちの部屋に対位法の本ありましたよね?アナリゼで調べたいことがあるんで借りたいんですけど、いいですか?」

のだめが申し訳なさそうに言った。

「ああ、とにかく入れよ」

千秋は体をずらしてのだめを自室へ招き入れた。
のだめは千秋とは視線も合わせず、そそくさと隣の部屋に入って行って、本棚の前に立った。

「おまえいつもなら勝手に入ってくるのに、どうしたんだ?」

いつもと違ったよそよそしい態度に、千秋は少し苛立って言った。

「……別にそんなことないデスヨ?」

のだめは千秋に背を向けたまま小さな声で答える。
じゃあ、そのよそよそしい態度は何だよ……千秋は心の中で小さく舌打ちをしながら、のだめの背中を見つめた。

「最近毎日遅いみたいだけど、学校で練習してんのか?」
「ハイ」
「ちゃんとメシ食ってんのか?」
「ハイ」
「今日は?夕飯なに食ったんだ?」
「……あ、エト、今日はまだです」

相変わらずのだめは背を向けたままで、本を手に取りパラパラとページをめくっている。

「じゃあ、なんか簡単なもの作ってやるから食ってけ」
「イエ、ヨーコから届いたそうめん(賞味期限切れ)があるんで、だいじょぶデス。じゃ、これ借りていきますね」

のだめはそういうと、千秋の脇をすり抜け玄関へ向かおうとした。

「おい、ちょっと待てって!」

千秋はとっさにのだめの前に右腕を突き出した。

「おまえさっきからなにオレのこと避けててんの?」
「避けてなんかないですヨ?」

のだめは一瞬驚いて千秋を見上げたが、すぐに目をそらした。のだめが目をそらすのはうそをつくときだ。

「じゃあ何で最近こっちの部屋にこないわけ?」
「……別に。勉強が忙しいだけですよ。のだめはやらなきゃいけない課題がいっぱいあるんデス」

のだめは千秋の腕がどかないのを諦め、反対側の扉に向かおうとした。

「だから、待てって!」

千秋はあわてて体を動かし、あいている左手をのだめの行く手に突き出した。
のだめは千秋と壁に挟まれるような格好で進路を阻まれ、この日初めて感情のある、怒ったような視線を千秋に投げてきた。

「おまえなんかおかしいだろ!言えよ!」
「もう!ほんとにのだめは大丈夫ですからかまわないでくだサイ!センパイだって次の公演の勉強があるじゃないですか。のだめお仕事の邪魔したくないんデス!」
「邪魔なんていつ言った?オレはそんなこと一言だって言ってないだろ」
「だってここじゃ集中できないから家出したりしたんじゃないデスか!のだめセンパイのお仕事の邪魔したり、お荷物になるのはイヤなんデス!」
「……のだめ」

千秋はいま初めて気づいたのだめの気遣いに、言葉を失った。

少しの沈黙の後、やっと自分の口から声が出た。

「…ごめん」
「…のだめだって、い、いろいろちゃんと先輩のこと考えてんですヨ…」

小さな声でうつ向きながら話す。

「…悪かった。でも俺はお前のことお荷物だなんて思ってないし
集中できなかったのもお前のせいじゃない。」

さっきと変わらず壁に手を突いたまま話す。
のだめがほんの少し顔を上げた、と同時に頬が赤くなった。

「…の、のだめ先輩の邪魔になってませんか?」
「…うん」
「お荷物じゃないデスか?」
「うん」

…本当はちゃんと思っていることを伝えたいやりたいけど、
うまく話せない。
のだめはまたうつ向いてしまった。

再度の沈黙の後、今度はのだめの口から言葉が出た。

「…ん、してもいいデスか?」
「ん?」
「じゅうでん、してもいいデスか?」
「…どうぞ」

のだめが顔を上げる。
抱きついてくるのかと思っていたら…壁に突いている俺の手にそっと触れた。
嬉しそうに口元の緩んだ顔でのだめが言う。

「あへー、先輩の手だ。」

そう言って俺の手に頬を寄せる。

「…俺にもさせろよ」
「え?」
「充電」

すぐ側にある驚いたような表情ののだめの唇に、
それ以上は何も言わず、自分の唇を重ねた。

「ん…」

久々ののだめの唇、久々に聞くのだめの甘い声。こうして触れ合うのは何日振りだろうか…

「先輩…寂しかったんデスか…?」

漸く長い口付けから解放されたのだめが途切れ途切れに聞いていた。

「ばーか…」

図星なのが恥ずかしくて、でも久々ののだめの暖かさにひどく安心する自分がいる。
そのまま何も言わずにのだめの首筋に顔をうずめた。

のだめの首筋に舌を這わせると。
ふわりと鼻腔をくすぐる、フローラルの香りに酔いそうになる。

「んっ……はぅ……」

のだめの唇から漏れる吐息に熱がこもり、オレの胸に掴まるようにしがみついてくる。
右手でその手をとり、反対の手はのだめの背中を伝いあげていった。
ふと横目でのだめの顔を伺うと、何かに耐えるように眉根を寄せ、
ぎゅっと目を瞑っている。

「のだめ……声、聞かせて……」
「あ…せ、んぱ……い、ココじゃ、嫌デス……」
「じゃあ、ベッド……行く?」
「ハイ……」

オレはのだめを抱え上げ、ドアを開けた。

そっとベッドにのだめをおろす。
でものだめの、俺の首に回した腕はそのまま。

「どうした?」
「あの、えっと…すごく久しぶりなんで、もうちょっと顔見ていたいなーと…」

そう言って、また頬を赤くする。
たまらない気持ちになって、頬を、額をくっつけては見つめ合う。
そして、また唇を重ねる。何度も。

「んっ…」

のだめの甘い声が耳に響く。
だめだな、止まらないかも…

口付けながらのだめの服に手を掛けるとますます頬を染め
瞳が潤んでくる。
本当は欲望のままに早く進んで行きたい所だったが、
久々ののだめの肌に触れているのが嬉しくて、
何よりのだめを怖がらせたくなく、
ゆっくりゆっくり肌に手を這わせていく。

「あ…」

俺のひとつひとつの動きに敏感に反応を返すのだめが
たまらなく可愛い。
ブラを外し、柔らかな胸を揉みながら
のだめの耳を噛む。

「あ…んんっっ」

俺のシャツをギュッと握り締め耐えるのだめ。

「もっと…声…聞かせて?」

俺に感じてくれているのだめの声が聞きたくて、
胸に吸い付いた。

「あ…!は…!!」

顔を真っ赤に染め感じているのだめに
もう一度噛み付くようなキスをし、
そのまま下の下着にも手を掛けた。

「セ‥、センパイすとっぷ、ストップですっ」

その一言で不意に身を離し、俺はのだめ表情から戸惑いを感じ取った。
一瞬のうちに俺の心の底に眠ってたネガティブな想いが沸き起こってしまった。
一度は閉じ込めた筈の感情。諦めに近い自分への慰めの言葉。そして大切な物を失う事に対しての怖れ。
そんな俺の表情を察してか、のだめは自由になった両腕を伸ばし、俺の頭を優しく包んでくれた。
自然と目を閉じ、のだめに身を任せる‥‥。

「センパイ、違うんです。あのぉ‥もうちょっとこうしていたいんです。」

のだめの指先は軽く髪を撫でたあと、首をつたい背中を触れてきた。
躊躇した後、俺の背中に腕を回し力を込めてくる。
そのままのだめの柔らかな胸に顔を埋め、ゆっくり二度三度深く呼吸をする。

「真一くん‥」

力が不意に緩み、のだめの指先が俺の顔を触れ額にそっと口付ける。

「じゅうでんというか‥‥、うまく言えないけどこうして温もりを感じたいんデス。」

しばらく抱き合ったまま、お互いの温もりを感じ合っていた。
なんとも言えない、幸福な時間。幸福な感触。
さっき感じたネガティブな想いはすいぶん薄くなり、ただ、この暖かさに安心していた。

不意にのだめが話し始める。

「のだめ、いっぱい話したいことがあるんデスよ」
「うん」
「ガコのこととか、ターニャのこととか、ヨーダのこととか」
「うん」

のだめの胸に顔をうずめながら、表情をのぞきみるように少し顔を上げてみる。
何やらたくさん話したいことがあるに違いない。
ワクワクしたような、でもやっぱり頬は赤いままで…。

また、少しのだめが黙る。
次の言葉を待っていると、のだめが俺の頬をすくい上げた。

「しんいちくんは、のだめに話したいこと、ありマスか?」
「ん…」

たぶん、話したいことは山ほどあるだろう。
話さなくてはならないことも。
でも今は何も話せない。うまく言葉が出てこない。

「今度、話す」

そう言うと、のだめがフフっと笑った。

「そう言うと思ったデスよ」

俺はのだめから体を離して言った。

「お前、メシまだなんだろ。何か作ってやるよ」
「いいですヨ。お腹空いてることより、じゅうでん切れのほうが問題デス」

そう言って俺をまた引き寄せる。

少し微笑み合って、またゆっくり唇を重ねた。

「…いいデスよ」
「え?」
「さっきの続き。」

少し驚いた俺の顔を見て、いたずらっぽく笑うのだめ。
そして、やわらかいしぐさで俺の頬に両手を添えて、唇を重ねてくる。

「せんぱい、大好き…」

そうつぶやくように言うと、そっと俺の下唇を吸った。

さっきまでは少し急いで進めようとしていたけど、今はそんな気分じゃない。
ゆっくりのだめの唇を味わう。
目を閉じていても、表情がわかるような気がする。
ゆっくり、ゆっくり。

でも…

「んっ…ん」

のだめの甘い声が漏れ始めると、頭が少しずつ痺れてくるような感じがする。
自然と、手が体を探っていく。

「せんぱい…しんいちくん?」
「ん?」
「のだめ、お腹なるかもしれないけどいいデスか?」

目が合って笑ってしまった。

「ん、気にならない。よくあることだし」
「ムキャーっ」

そしてまた微笑み合って、俺は唇をのだめの首筋に移動していった。
胸元までいくと、のだめがまた甘い声を漏らし始める。
柔らかい肌を強く吸うと、体が小さくびくっと反応する。

キスをしながらゆったりと胸を揉んだ。
のだめは俺のシャツの下から背中に手を入れた。俺の感触を確認しているかのように、
ゆっくり背中を撫でる。
のだめの服を脱がせながら首から胸へ唇を這わせた。

「は、あ、あん・・・」

小さな乳首が敏感に反応しすぐに硬くなった。
豊かな張りのある胸を揉みながら、舌でじっくり乳首を転がす。

「あ、あ、し、しんいちくん・・・」
「ん・・・?」
「しんいちくんの服、のだめが脱がせても、いいですか・・・?」
「・・どうぞ」

のだめがゆっくり俺のシャツのボタンを外してゆく。
もう何度も体を重ねたのに恥ずかしそうに外してゆくのだめを見て笑みが浮かぶ。

「…何で笑うんデスか?」
「相変わらずだなと思って」

俺は今シャツが全部はだけた状態だ。

「……」
「…どうした?」
「先輩…」
「ん?」
「…ズルいです」
「何が?」
「色っぽすぎですよ〜」

「それを言うなら、今のお前も相当色っぽいと思うけど?」
「え?」

のだめは、下着は身につけていないのに、ワンピースは脱ぎきれずに
腹部に下がっている状態で。
捲りあげられたスカートからチラリと見え隠れするのだめの白い肌と、
その奥に隠れた見えそうで見えない秘部に、男の欲望が煽られていく。

「ヤダ……先輩、そんなに見ないでくだサイ……」

恥ずかしがってスカートを下げようとするのだめの手を掴んで、それを阻止した。

「駄目。もっと…ちゃんと、見せて。オレに……お前の全部。」
「セ…ンパ……イ」
「お尻、少し浮かせて」

のだめは少し俯き、黙ったままオレの言葉に従った。
ワンピースを完全に脱がせて、改めてのだめの生まれたままの姿を眺める。

「きれいだ……のだめ……」

のだめは俯いたまま、オレのシャツに手をかけ、ゆっくりと脱がせる。
露わになったオレの胸へ口付けて。

「先輩も。すごく……キレイ、ですヨ」

お互い、顔を見合わせて。
自然に重なる、唇。
触れて、また……触れて、次第に深く探りあいながら、
ベッドへと倒れて行った。

のだめの白い肌に吸い付き、跡を残してゆく。
紅い印が白い肌を更に白く感じさせる。
首から鎖骨、胸、腰、と徐々に下を這わせながら降りてゆく。
やがて足の付け根にたどり着く。

「…!!」

のだめが息を飲むのが分かった。
しかしそのまま太腿を持ち上げ、内股にきつく吸い付いた。

ちゅっちゅっ…

音がいやに大きく聞こえる。
漸く口を離すと内股に鮮やかな花が咲いている。

のだめは顔を横に向け、目をギュッと閉じ、
恥ずかしさに耐えているようだった。
俺はふっと笑うとそのまま秘部に吸い付いた。

「あぁ!」

のだめがシーツを握り締め大きく仰け反った。

羞恥心のためかのだめはすぐ足を閉じようとする。

「力、抜いて。電気消すから」

薄暗がりになったらのだめの緊張もほぐれたようだ。
おれに弄ばれるがままだ。
時々子猫が啼くような、小さな声を上げる。
指を入れてやさしく動かしながら、丁寧に舐めてやる。

「あ、あ、あん・・・死にそう・・デス・・」
「え?なに?」
「のだめ気持ちよくて、死にそう・・です」

頬を上気させて恥ずかしそうに言うのだめが可愛くて
俺も照れ隠しのつもりで言った。

「ばーか」
「ムキャッ」
「まだ死なせないし」

そう言うと俺はのだめの秘部の突起に吸い付いた。

「ふぁ…あぁん」

舌を尖らせて何度もすっかり膨らんだ突起を刺激してやる。

「んっ…っ…せん…ぱぁい」

甘い声で俺を呼ぶ。
でも…
いつも気になる。

舌での刺激を少しずつ激しくする。
時々舐めたり吸ったりすると、泣きそうな声が聞こえる。

やっと…

「あっ…あ…だめぇ…しんい…ち…くぅん…」

…そう、名前で呼んで欲しいんだ。

普段の彼女からはまったく想像できない甘い声だ…。
そんなアイツの声が耳に入ると、女性としての彼女の姿を知りたくなるじゃないか。

「のだめ‥お前が悪いんだぞ‥」

自然と体をずらし、すでに十分濡れ始めたは秘所から突起周辺を指でなぞりながら、
俺はのだめの腹部から双丘にかけて唇を這わせる。
ふと顔を上げ、のだめの左肩を軽く抱き寄せる格好になっていた左腕を静かに抜き、
双丘の片方を自由になった左手で包んだ。
少しだけ感触を楽しんだあと、おもむろに頂にある桜色の蕾を口に含む。

「ふぁぁっ‥‥あぁんっ、しんいちくぅんっ‥、のだめは‥ドコを感じればいいんデスかっ‥ん」

正直、今の俺の姿は人に見せられたもんじゃない。
うつ伏せになり、思い切り伸ばした右手はのだめの秘所、
比較的自由な左腕はやわらかな胸を周囲を大切に撫で、胸の頂を口に含み刺激を与えている。
男性経験の浅いのだめには少し意地悪だったかなと俺は思ったが、
どういう反応をするか見てみたいという好奇心が勝り、どうせ暗がりの中だからと思い試してみた。
もう十分かな‥‥、そう思った俺はソッと体を起こし、再びのだめの柔らかな胸の膨らみを感じたいと思った。
ふと窓辺に目をやったら、厚い雲に覆われていた月が徐々顔を出し、月明かりがのだめの裸体を優しく照らしてゆく。

「恵‥‥、とても綺麗だ‥‥。」

思わず『本名』で呼んでしまった。いや、そう呼ばずにはいられなかった‥‥。素直な今の気持ちだから‥。

名前で呼んだ時、のだめは嬉しそうに顔を綻ばせた。

「恵…俺の名前ももっと呼んで…?」
「しんいちくん…」

ふわりと笑って読んでくれるのだめに我慢できず、
指の抜き差しを早めた。

「んああ!」

びくっとのだめが仰け反り、俺の指をキツク締め付けた。

…イッたみたいだ。
荒く息を吐き続けるのだめの頬に軽くキスをし、
指に付いた蜜を舐めとる。
のだめは更に顔を真っ赤にし、目を反らす。

(堪らないな)

額と額をこつんとくっ付け、尋ねる。

「恵…もう、良いか?俺限界…」

こくん。とのだめが頷くと、ゆっくり、俺自身を射れてゆく。

「は、しん…いちく…」
「恵…」

手と手を絡め、すべて入るとゆっくり動き出した。

「あぁん…はぅん…」

のだめは俺の動きに合わせて可愛い声をあげた。
部屋にのだめの切ない声と二人の息遣い、動く度にクチュクチュといやらしい水音が響く。

まさか出会った頃はこんな事する関係になるとは思わなかったな―――
そう考えながら俺の下で快感に耐えるのだめを見る。

のだめの口はいやらしく開きっぱなしで、頬は赤く色付いていた。
汗ばんだ額に張りついた髪をやさしく梳いてやると、俺はのだめの唇を塞いだ。

「んふぅ、…くん…」

真一くん、と言いたかったらしいが俺の舌がのだめの舌を捕らえて言葉を遮る。

「のだめ……」
「ん、はい……」
「後ろ、向いて」
「あはぁん……」

そっと体を離すと、のだめは繋がりが解かれる瞬間に切なそうな名残惜しそうな、一際色っぽい声をあげた。
目を伏せたまま体をひねり、うつ伏せになる。
そして、徐々に丸く白い尻をそろそろと持ち上げてくる。

しなやかに反ったのだめの肌が、暗闇に乳白に輝いている。
窓から差し込む月明かりにも負けないほどに神秘的なその姿。
その一筋の背中のラインに唇を押し付けて、きつく吸い上げた。

「あ、あっあ……」

快楽を取り上げられた下半身がくねる。
そっと太腿の内側をなで上げると、流れ伝った雫が千秋の指を濡らした。
覆いかぶさるように体を包み込んで、千秋は耳元で低く低く囁いた。

「欲しい?」

耳まで真っ赤に染めたのだめが、首を縦にぶんぶんと振る。
それを見て、千秋はこの上なくほころんで、ひくひくと蠢いて欲しがるのだめのそこにねじ込んだ。

「や、っあ、ちがっ、ちが……あぁん!!」
「違う? 何が?」

のだめの中にうずめられているのは……千秋の長い指だった。

振り返ったのだめの目には涙が滲んでいて、でも千秋の指の動きで与えられる快楽への反応も見えている。
抗議のような視線を持ちながらも、弱い部分へ指の腹を押し付けると、ふっとそれが緩み、蕩けそうに目を細める。

「いじ、わる……!」
「好きなくせに。こうされるの」

強くかき混ぜ始めると、のだめは我を忘れたように高い声を上げ、共に秘部をさらけ出すように腰を突き出した。
微かな水音は、はじけるほどの音に変わっていく。
のだめの中の変化を感じ取ると、千秋はそばにあった自分のシャツをのだめの膝もとに手繰り寄せた。

「あ、あああ! だ、めぇ……! しんいち、くん!」
「いいよ、大丈夫だから……いって」
「ッ……あ、ああ ───!!」

びくん、と腰がはねると、千秋の指を包み込んでいる部分がぎゅうっときつくなり、
千秋のシャツにはのだめの放出した飛沫がふりかかった。

「は、ああん、はう……」
「すご……やらしい、おまえ」
「もうっ、はずかしい……」

のだめは本当に恥ずかしそうに、ふるふると体を震わせている。
千秋はその真っ赤な耳を甘噛みし、優しく音を立てながらキスをした。

「いやだった?」
「……」
「でも、かわいかった」
「……」
「悪かったよ」
「……許してあげマス」

くすり、と笑ったのだめにもう一度覆いかぶさり、唇にキスをした。
そして……今度は本当に、千秋は限界に近い自分をのだめへと導き、押し込んだ。

のだめの中はまだ少し脈打っていた。

「あっ、ああ・・・ん」

のだめの甘ったるいあえぎ声。たまらない。少しソフトに、腰を動かす。
俺はのだめの背中を見下ろした。のだめの背中が月明かりの中で一定のリズムで
艶かしく揺れている。
のだめは顔を枕にうずめ声を殺している。俺はのだめの枕を取り上げた。

「声、だせ」
「え、でも・・声大きいかもモ・・・」
「大丈夫、聞こえやしない」

階下の部屋に聞こえるかもしれないが、俺はのだめの声を聞きたかった。

「はあん、あん、あん、あん」

そういえばバックのときが一番声が大きい。バックが一番感じるのかもしれない。
あっやばい、もうイキそう・・・
とりあえず動くのをやめ体を離した。数学の公式を思い出そう。
のだめを寝かせて正常位で挿入した。のだめの目が潤み、体はじっとりと汗をかいている。
俺も汗をかいているので互いの肌が触れるとぺたぺたする。
さっきのシャツでのだめの顔と体の汗をふき取ってやる。

「ありがとう・・・やさしいですネ・・・て、それさっき使ったシャツ・・・」
「・・・バレたか。まあいいじゃないか・・・」

こうやって挿入したまま普通に話をするときもある。のだめはヤダーといいながら
ケラケラ笑っている。

また俺はゆっくりと中を掻き混ぜるように動き始めた。
今度はのだめも俺の動きに合わせて不器用だが、自分から快楽を求め動く。
のだめが動きわずかに二人の動きが噛み合わなくなったのが、
初めてピアノの連弾をした時のようで笑いがこぼれそうだったが、今はそれどころではない。
のだめの動きに合わせてやると、自然にのだめの奥深くまで突き上げる。

「ひゃあ!あぁ…」

その声を聞いて限界が近いと察した俺は徐々に動きを速める。

俺の顔に汗がつたう。それを見たのだめがあごを舐めてきた。

「しんいちくん…」

そんなのだめが可愛くて、もっと奥まで繋げようと、
のだめの両足を肩に掛け、一気に突いた。

「ああぁ!は…!」

ギシギシと俺の動きに合わせてベッドが鈍い音をたてる。
月明かりに照らされ、壁に映った俺たちの影も、
同じ動きを映し、それが更に俺を興奮させる。

「くっ…うん、うんっ」

一端ギリギリまで引き抜くと一気に突き上げた。

「あああああ!!!」

のだめがひときわ大きな泣き声をあげてイった。
締め付けに耐え切れず自身を抜こうとすると、
のだめが俺の腕をつかみ、

「いい…ですよ」

と言った。
その言葉を合図に俺は初めてのだめの中に
熱を吐き出した………

「恵っ‥‥」

おもわず強く抱きすくめ、限界に達した。
二度三度大きくのだめ中で震え、一呼吸おいて俺は心地よい気だるさに身を任せた。

「やってしまったな‥‥。」

自ら『変態の森』に迷い込んだ日から、頭の隅で覚悟は出来ていた。
俺自身、将来の伴侶としてのだめを見てきたのかと問われると自信は無い。
ただ、自分の求めている音楽の道を切り拓く事に成功し、
ふと横を見るとコイツがいるのも悪くないなと思える自分に気が付いた。
まぁ、その瞬間から今まででは考えられないような嫉妬心やイライラにも気が付いた訳だが‥。

「‥‥真一くん‥」

手近にあったシーツで身を包み、軽く詰問口調で俺の名を呼ぶ。

「ついにやってしまいましたネ‥流れに任せたとはいえ‥」
「いや‥それは‥、でもいつかはこうなる事もあるわけだから‥‥」

『変態の森の住人』になる覚悟を告げようと思った瞬間のだめの口が開いた。

「多分大丈夫デショ。一応真一くんの妻なんで、ちゃんと周期の計算くらいしてますよ。」

あっけに取られるとはこの事だ。口を半開きにままの俺にとどめをさして来やがった。

「何事にも慎重な真一くんにしては珍しいデスね。男は狼ぃ〜デスか?」

「はぁ…」

ため息が漏れた。
重大決心を告げようとした覚悟が消えてゆく。

「のだめもそこまでバカじゃありませんよ。」

クスクスと笑いながらのだめが腕に顔を擦り寄せてきた。

「真一くん脱力してマスよ〜。安心しましたか?」

安心したのは実のところあったがでもどこか残念に感じる自分がいるのも確かで。

「…うるせ」

のだめを黙らせようとまたキスを贈る。
こいつはちょっとでも目を離すとすぐに俺から遠くなってしまう。
それがまさかこんなにも怖かったなんて、出会った時はこんな気持ちになるとは誰が思っただろう。

「もう…前みたいな事はやめてくれよ」

のだめを腕に抱きながら呟く。

「え?何がデスか?」

のだめがキョトンとして俺を見上げてきた。

「いや、その、俺から避けるとか…部屋に来ないとか…」

恥ずかしかったので次第に声が小さくなる。

「俺…どうしていいか分からなくなるから…」

言葉を続けようとしたら、のだめが俺の頭を抱きしめた。

「大丈夫デスよ。のだめは真一くんから離れません。」

とくん、とくん、

のだめの鼓動が聞こえ、その言葉に安心すると、
そのままのだめの鼓動を聞きながら眠りに落ちて行った…

…俺も絶対離さないからな…






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