子供ができても
千秋真一×野田恵


のだめ「せんぱ〜い・・・。」

千秋「何だ?」

のだめ「2週間も生理が・・・来ないデス・・・。」

のだめ「できちゃったかもwデヘ〜」

千秋「!!」

千秋はカフェのテラスで悩んでいた。
のだめは俺としかしていないはず・・・。
妊娠したとなれば俺の子・・・。
あいつに母親が勤まるのか・・・。
いや、指揮者としての俺はどうなる?
のだめと結婚?
のだめは何ヶ月も一人で部屋で待っているのか・・・。
身重の体で世界中に連れて行くのか?
俺は・・・。

子供のころを思い出した。
何ヶ月も帰ってこない父。
ばらばらになった家族。
音楽家は幸せな、普通の家族とは無縁ではないのか?
もし生まれてくる子が
俺と同じような感情を俺に抱いたら・・・。
じゃあ今の俺は一体何なんだ。

その時ふと思った。
のだめの実家、ノリ養殖場・・・。

頭を下げてあそこで仕事をさせてもらうか・・・。

千秋はコーヒーを飲みながら目を閉じた。

船の上には千秋がいる。
のだめの父親が船を動かしている。

「真一君!今日もよか天気たい!今年のノリは良い出来たい!」

「そうですね!お義父さん!」

長靴を履き頭に鉢巻をしめビニールの黒いエプロンをしている千秋がいた。

「おかえり〜真一くん」
「キャッキャ」

小さい子供を抱きながらのだめが出迎えてくれる。
千秋は息子の頭をなでる。

今日は浜で取ったアサリと船上で釣ったはまちだ。
はまちは自分でさばく。

マリネにしようか?
いや、ここは日本だ。高齢のじいさんばあさんもいる。
素直に刺身にしよう。

そんな事を考えながら昼が過ぎ、
午後は漁の道具を掃除したり
漁協に出かけたり。
縁側をはいはいする息子とあそんだり・・・。

ふと夕暮れの干潟を見つめる。

「幸せかもしれない。」

潮の香りと心地よい風。海の音。
夕日の日の光と、ほほに当たる暖かさ。
かもめのさえずり。波の音。



千秋は干潟に向かって両手を挙げ
いっきに振り下ろす。

自然のハーモニーが波の音と一緒になって向かってくる。

漁師の黒いエプロンは燕尾になり
手には真っ白な指揮棒があった。

「俺には音楽しかない!」

のだめもドレスになってピアノを弾いていた。

息子は?

俺の息子は?

振り返ると客席でないていた。

あれは

昔の自分

「大丈夫。俺はどこにも行かないよ。君と俺は音楽で繋がっているから・・。」

もう夕方になっていた。

カフェで居眠りをしていたようだ。

「変な夢をみた・・・。」

千秋は重い足取りと胸につっかえた思いを持ちながら
のだめの待っているアパートに向かう。

「のだめ、俺子供ができても音楽を続けるから・・・。」

「?こども?」

「できたんじゃないのか?」

「あ・・今生理がきたんですよー。あれ?先輩もしかして残念でした?」






SS一覧に戻る
メインページに戻る

各作品の著作権は執筆者に属します。
エロパロ&文章創作板まとめモバイル
花よりエロパロ