初めての夜明け
千秋真一×野田恵


まさかアイツとこんな関係になるなんて、人生とは本当にわからないものだ。
ゴミ貯めの中で笑ってるのだめが、ベッドではあんなになるなんて…、と
思い出しただけで顔がニヤけてしまう。

「…初恋かよ」

照れ隠しに、隣で眠るのだめの頬を撫でる。

「むきゃあ…センパイ…」
「おまえ、起きてたのか」
「むきゃっ!タヌキネイリも見抜けないとは、シンイチくんもまだまだデスネ〜」
「タ…タヌキネイリって…何の話しだ、何の」

まったく、初めてすごした夜の後なのに…なんて言うかコイツには色気がない。
タバコの煙が、ため息と共に宙をゆらぐ。

「あのぅ…センパイ…」
「何だ、飯なら夕飯の残りがあるぞ」
「そうじゃなくて…あの…『ニカイセン』って何デスカ?」
「ぶっ!!」

元々のだめは奇抜なのだと、奇抜じゃなかったらのだめじゃないと
わかっているのに、今のパンチはかなり効いた。

「…お、お、お、お前っ、何を!」
「ターニャが言ってたんデス。『ニカイセン』ぐらいしないと
えっちじゃないって…何の事かって聞いても教えてくれないし。
センパイ、『ニカイセン』ってもう終わったんデスカ?」
「い、いや…まだだけど…」
「ぎゃぼっ!まずいデスヨ!早くしないと昨夜の頑張りが台無しに…」

驚いた、本人は意味をまったく自覚してないようだが、ここまで露骨に誘われるなんて。

「のだめ…2回戦…したい?」
「したいも何も、『ニカイセン』しないとえっちじゃないんデスカラ!
善は急げデスヨ!一刻も早くデスヨ!!」
「…お前、やっぱりバカだな」
「むきゃーーー!!なんでデスカ?!」



こうして、俺たちの最初の夜は明けていく。






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