キモノ編
千秋真一×野田恵


パリに来て、2度の目冬の或る日。

「せんぱ〜い!」

カウチに座り、指揮の勉強をしている千秋の部屋をドアを開け、
のだめがやってくる。

(今日は静かだと思っていたのに。もう飯の時間か…?ん?…パタパタ?)

いつもとは違う足音に、楽譜から目を上げた千秋の目に映ったのは、
紺地に淡い花を描いた着物を着たのだめだった。

「…おまえ、それ…どうしたんだ?」
「ヨーコが送ってきたんデス。成人式用に作ったらしいですけど、
のだめが帰省しなかったので、渡しそびれてたのが出てきたんだそう
デス。ムキャ!」
「ふ〜ん…」
「どですか?着物姿もなかなか色っぽいデショ?」

唐突な展開にうろたえる千秋の前でのだめがくるりと回ってみせる。

「…おい。帯結べてないじゃないか!」

千秋の指摘にバツが悪そうにのだめが笑っている。

「実は…ヨーコが着付けのビデオも送ってくれたんですけど…なかなか
上手くいかなくて…」
「まったくしょーがねーな」
「先輩、結べマスか?でも、いくら先輩でも出来ない事もありマスよね…」

のだめがわざとらしくため息をつく。

「…ビデオ、持ってこいよ…」
「ありがとうございマース!」

のだめはパタパタとビデオを取りに部屋に戻っていった。

(…またしても、あいつのペースに飲まれてるな…俺)

千秋は小さなため息をついた。

着付け用のビデオを見ていた千秋は、のだめとビデオの映像をまじまじと
見比べている。

「なんデスか、先輩?モデルの子よりのだめの方が魅力的ですか〜?」
「違う…」
「ぎゃぼん…。そんなにあっさり否定しなくても…」

唇を尖らせ、うつむくのだめ。そんなのだめを無視して、やはり千秋は
映像とのだめを見比べている。

「おまえ、間違ってるぞ?」
「…何がデスか?」

唇を尖らせたままののだめの袂に、千秋の手が伸びる。

「せ、先輩…なんデスか急に!帯を結んでって言ってるんですよ!」
「ばか!違う!!」

のだめの言葉を理解して思わず赤くなりながら、千秋はのだめの袂から
パッと手を離した。

「よく見てみろよ!この部分の合わせ目が逆じゃないか!」
「ぎゃぼ…。ほんとデス……」
「ここからやり直しじゃねーか。とりあえず、脱げ!」
「むきゃー!恥ずかしいデス…」
「恥ずかしいのはおまえの着方だ!」

そういうと、千秋は帯締めに手をかけおかしな縛り方をしてあるその紐を
ほどいていく。

しゅるり…。

帯締めが外れると、かろうじてのだめの身体に巻きついていた長い帯が
するすると落ちていく。
千秋は、突然の展開に呆然としているのだめの腰紐に手をかけると、さっさと
ほどいていってしまう。

「せんぱい…待って……」

のだめは真っ赤になっているが、すでに腰紐も解かれ、紺色の着物がはらりと
はだけた。

(あ…)

落ちついた紺色の着物の下から、濃い目のピンク色の長襦袢がのぞいた。

(…なんか、ちょっと…いいかも……)

思わずそのまま脱がしてしまいたい衝動を抑えつつ、床に落ちた着物を拾い
のだめに再び着せてやる。
ビデオでやっているようにのだめの後ろに回り、おはしょりを整えようと
身八つ口に手を入れた。

「むきゃー!先輩、何するんですか!!」

脇の下から伸びてくる手に、のだめは慌てている。

「何言ってるんだよ。こういう風にしろって言ってるだろ?」

低く耳元で囁いてやると、のだめはびくりと身体を震わせた。
その、敏感な反応が楽しくて、千秋は思わず細いうなじに唇を這わせた。

「ひゃっ、ダメですよ…」
「おまえ、何かんがえてんだよ?ちょっとぶつかっただけだろ?」
「………」

千秋の真意をはかりかねて、のだめは赤くなったり青くなったりしている。
わざとゆっくりおはしょりを整え、帯をしめてやる。
そのたびに、千秋の腕が身体に回され、息遣いを感じる。のだめも千秋も
だんだん身体が熱くなっていくのを感じていた。

「ほら、出来たぞ」

ビデオを見ながらなんとか帯らしいものを結び上げ、千秋がのだめの肩を
ポンと叩く。

「ふぉおおお…。真一くんはやっぱり凄いデスね」
「まあな」

なかなかの出来栄えに満足そうな千秋が、のだめの髪に目をやる。

「せっかくの着物に、この髪型はな…」

千秋は自分の整髪料を持ってくると、のだめの跳ねた薄茶の髪に撫でつける。
サイドの髪を耳にかけ、後ろ髪も無理矢理上げて、荷物の中にあった髪留めで
留めてやる。

「先輩、ほんとに何でも出来るんデスね…」

(…………)

鏡を見つめ、うなじに手をやるのだめの姿はドキッとするほど綺麗だった。
紺色の着物も、白い肌を十分に引き立てている。

「あ、そだ!ヨーコが先輩の分も送ってくれてるんです。ちょっと持って
来ます!」

そういって、振り返った瞬間…慣れない着物に足をとられ、のだめがバタリ
と倒れた。

「おい、大丈夫か?」
「だ、だいじょぶデス…」

座り込んで千秋を見上げているのだめは…裾をはだけ、ピンクの長じゅばんが
のぞいている。さらに、足袋を履いた白いふくらはぎが…。
思わず、千秋はのだめに口付けていた。
白いうなじに手をのばし、もう片方の手が裾からでているふくらはぎを
撫で上げていく。

「あ、せんぱい…ダメですよ…」

けれど、千秋の手はゆっくりとふくらはぎから膝、内腿へと伸びる。
激しく唇を吸われ、咥内をもてあそばれる。遠慮がちにしている舌をからめとる。

「うんん…ぅふう…」

その間も、千秋の片手は内腿からゆっくりとその部分へと進み、薄い布地に
たどりつく。

「…おまえ」
「なん、デスか…?」

息を荒くしてやっとのだめが答えた。

「着物着るときは、下着はつけないんじゃないのか?」
「むきゃ!そんなこと……できまセン…」
「でも、紐が外から見えるぞ…」
「………でも…」

うろたえているのだめを横目に、千秋はゆっくりと指を差し入れ、細い紐を
解いていく。

「ああ、いやあ…」

羞恥で真っ赤になっているのだめを見ながら、ショーツを引き抜いていく。

「恥ずかしいデス…」
「でも、これが本来の形だろ…?」

意地悪に囁く千秋の胸にのだめは顔をうずめたままだ。
床に座り込んだのだめの膝は適度に開いていて、その隙間から千秋の長い指が
のびる。

くちゅり…。

千秋の耳にいやらしい水音が聞こえる。

「おまえ…もう濡れてる…」
「…」

のだめは何も言えず、赤くなり、千秋にされるままだ。
長い指は、くちゅくちゅと音を立てながら、のだめの襞を優しくなでてていく。

「あ…ぁ。ダメ…で…す…」

千秋はそのまま、襞の奥の、敏感な入り口にそっと指を忍び込ませる。

くぷ…。

のだめの入り口は簡単に千秋の指を飲み込んでいく。

「ああ…ん!」

のだめの反応を確かめながら、浅く出し入れを繰り返す。
さらに指を2本にし、ぐっと奥までつきたててやる。

「ああ!!はあぁ!」

一際大きなあえぎ声をあげ、のだめの身体がのけぞる。
思わず逃げようとするのだめのうなじを支え、奥までかき回しながら親指で敏感な
突起を刺激する。すでにそこは大きく膨らんでいる。
敏感になった突起と中を責められ、のだめの息遣いがどんどん荒くなっていく。

「いや、ぁあああん!」

のだめの嬌声と共に、のだめ自身が千秋の指をぐいぐいと締め付ける。

すでに着物の裾は大きくはだけて、足袋を履いた白い足は太ももまで露になっている。

(すげーいやらしいな…)

普段とは全く違うその姿に、千秋の欲情は十分に高まっていた。
いつもなら、体全部を愛撫するのに今日はそれが出来ないことの不自由さも、逆に
気持ちを煽っていた。

「のだめ、入れるぞ…」
「えっ、でも…」

驚いて千秋を見つめるのだめをそのままに、手早く準備をすると着物の裾をまくり、
のだめを千秋の上にまたがらせる。

「あ、あの…」

のだめはどうしていいかわからず、おろおろしている。

「このまま…」
「え…?」
「このまま、腰を落として…」

千秋は自身を支えると、のだめの入り口にあてがう。
熱く、潤った部分が先端に触れた。

「あ…」

千秋自身を感じ、のだめが熱いため息を洩らす。

「ほら、早く…」

耳元でささやかれ、耳たぶをやさしくかまれる。

「はぅう」

びくりと身体を震わせ、おずおずとのだめのからだが沈んでいく。

「く…」
「っあ、はぁあああ」

あつくて、きついのだめ自身に包まれぞくぞくとする快感が千秋を包む。
ようやく、根元まで飲み込むとのだめは千秋の背中に腕を回した。

「ほら、動けよ…」

千秋がくいと突き上げる。

「ひゃっ!」
「ほら…」
「ああ…ん」

再び千秋に突き上げられ、のだめが嬌声を上げる。

「動かないのか…?」
「……頑張り マス…」

ゆっくりと腰をあげ、静めていく。その緩慢な動作がゆるゆると快感を
たかめていく。

「は…ああ、あ…」

頬も首筋も赤く染めたのだめの息遣いが千秋の耳元をくすぐる。
だんだん高まっていく欲情に、千秋は激しくのだめを突き上げた。

「ゃ、ああ!?」

奥まで貫かれ、さらに入り口をかき回され…のだめはただ、千秋の動きに身を
まかせ、とぎれとぎれの吐息を洩らしている。背中に回された手に力が
なくなり、なんとか身体を支えているのだめから自身を引き抜き、のだめの
からだを前のめりにさせる。

「…しんいちくん……?」

不安そうに振り返るのだめの身体を、千秋は後ろから突き上げる。

「あ、ああああん」

ぐちゅ、ずちゅ、ずちゅ…

千秋の激しい動きに、のだめの声が一層高くなる。その声と千秋の動きに
あわせて、いやらしい水音が部屋に響く。

「あああん、ああ、あ、ああっ、は…あ、あ…」

甘い声が途切れ途切れになり、一際千秋自身を締め付けた。
びくびくと千秋を刺激する感覚に、千秋も欲望を開放させた。

荒い息遣いが収まると、のだめから自身を引き抜く。
潤んだ瞳でぼんやりとしているのだめを抱き起こし、乱れた髪を直してやる。

「せっかく着せてもらったのに…」

すっかり乱れた着物と千秋をのだめは見比べている。

「…また着せてやるよ」
「…」
「…おまえさ、着物着てるとき、上はなにつけてんの?」
「…しんいちくんの…ムッツリ…」
「なっ、そういうんじゃなくて…。下は普通に履いてたしと…」
「…そこらへんがムッツリだって言うんデスよ…」

赤くなって黙り込んでいる千秋を見て、くすりと笑うとのだめは得意げになって
答える。

「着物用のブラがあるんデス!ちょっと抑え目になるんですよ」
「それでか…」

いつもよりボリュームのない胸元を千秋が見ている。

「せっかくだし…」
「え…?」

千秋の指は少し前に自分が結んだ帯締めを解いている。あっという間に帯締め、帯…
と解いていく千秋にのだめが抵抗を見せる。

「ちゃんと触らせろよ…」

低く、耳元で囁かれると身体の力が抜けたようになる。そんなのだめを見越して
千秋が囁いた。

「でも…」
「後でちゃんと着せてやるよ…」
「ハイ…」

うなずくのだめを抱きかかえて、千秋はベッドルームのドアを開ける。
それでも一応、着物がこれ以上傷まないように脱がせると、椅子にかけた。

長じゅばんの袂を開くと、“着物用”のブラがのぞく。
ホックを外していくと、ふくよかな胸が姿を現した。
両手で救い上げるようにしてもみしだくと敏感な突起がかたくとがってくる。
突起を口に含み、転がしてやる。

「っん…しんいち…くん」

千秋はのだめの柔らかなふくらみをじっくり楽しんでいる。

「…やっぱり…」
「なに?」

胸元にうずめていた顔をあげ、千秋がのだめを見つめる。

「しんいちくんは、おっぱい星人デスね…」
「なっ…」

思わず真っ赤になっている千秋にのだめは唇を寄せた。


数時間後…

再びのだめに着付けをし、自分もヨーコが送ってくれた着物を着てみた。

「センパイ、似合いますね〜。素敵です〜」

のだめがうっとりと見つめている。

「さあ、はやくターニャ達に見せにいきましょー!」

千秋の腕を取り、のだめが促す。

ピンポーン!

「あ、のだめと千秋!凄い、それ!?キモノっていうの?かわいい!」

ターニャはのだめと千秋を大絶賛している。

「千秋センパイに着せてもらったんですヨ!」

得意げにのだめがくるりと回ってみせる。
と、ターニャの視線が、のだめの首筋でぴたりととまる。

(?)

千秋がターニャの視線の先をたどると、そこにはつけたばかりの赤い痣が…。
はっとしてターニャを見ると、目が合った。

「千秋…」
「の、のだめ、帰るぞ!」

何か言おうとするターニャをさえぎり、千秋がのだめの手をひっぱる。

「え、でも、まだフランクにもユンロンにも見せてないのに…」
「いいから!」

(こんな姿、見せられるわけ無い!)

「むきゃ〜、カズオー!!」

耳まで真っ赤になっている千秋と、嬌声を上げているのだめを見送りターニャは
深いため息をつくのだった。






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