おニュー
千秋真一×野田恵


「せんぱい、ただいまデス…」

いつもは思いきりドアを開けて入ってくるのだめだが、きょうは大人しい。

(何だ、一体…)

千秋がリビングのドアを開けると、いつもとは違うのだめが立っている。
ワンピースなのは相変わらずだが、いつもより身体のラインが綺麗にでているし、髪もハネていない。うっすら化粧もされた肌はいつもより艶やかだ。

「…」

思わず見とれている千秋に、のだめが言う。

「うきゅ〜。先輩見とれてマスね!」
「ば、ばか!おまえ…」

千秋は赤くなりうろたえていた。

「どーしたんだよ、ソレ」
「ムハ〜、実はですねターニャに連れられてエステに行ってきたんデス。マッサージとかしてもらって、お化粧までしてもらって。そしたらターニャがせっかく綺麗になったし服も買おうって」
「ふ〜ん」

(どうりでツヤツヤしてるわけだ…)

「千秋先輩のお気に召しませんか…?黒木くんとポールは似合うって言ってくれマシタよ?」
「なっ、わざわざ見せに行ったのかよ」
「違いますよ〜。偶然会ったんデス。楽譜買いにきてたみたいデスよ?」
「ふ〜ん…」

(…なら、まあいいか…それにしても…)

千秋は再びのだめを見ていた。いつものゆったりしたワンピースとは違う。豊かな胸とほっそりしたウエストが強調されつつ、清楚な雰囲気も漂う。

「自分で選んだの、ソレ?」
「コレですか?ターニャとお店の人がコレがいいって。どですか?」
「うん、まあ…なかなか…」

(ターニャ、自分の事は分かってないのに、人の事は分かるんだな)

「ムキャー、せっかくオシャレしてるのに!もういいデス!」

のだめは千秋の態度が煮え切らなくて膨れている。いつもと違うけれど、いつもと変わらない表情が愛おしい。

「よく似合ってる」
「…ホントですか?」
「うん…もっとよく見せて」

千秋はカウチにのだめを誘う。
カウチに座り、二人の目線が同じになった。千秋はのだめの首筋にそっと手をおくと、唇を寄せた。

「ん…」

やわやわと唇を噛み、千秋の舌がすべりこむ。手は、首筋から背中へ回り両腕でのだめを包みこんでいた。

「んっ、ふぅ…」

千秋の舌に咥内をまさぐられ、のだめは熱い吐息を漏らす。唇を離し、再び千秋はのだめをみつめていた。頬は赤くそまり、潤んだ瞳でのだめも千秋を見ている。

(いつもと変わらないのに、やっぱり違うか…?ていうか、ちゃんとしてるとやっぱりかわいいよな…)

そんな事を思いながら、千秋は背中にまわした腕を動かしていく…が、いつもとは勝手が違っているようだ。
のだめのワンピースはいつもは背中にファスナーが付いている。けれど、今日のワンピースにはないのだ。
千秋は改めて身体を離してみた。どうやら前で止められているボタンを外すらしい。しかも、ボタンはやたら狭い感覚で着いていた。

(また、ターニャに何かいわれるな…)

そうは思うけれど、今の千秋には行為を止めるほどの理由でもなく。

千秋は、焦らすように止まっている胸元のボタンを外していく。

「あ…」

いくつめかのボタンを外した時、思わず千秋はつぶやいた。のだめの胸元を覆っているブラは千秋が始めてみるものだった。

(ここがおニューということは…)

真っ白なコットンのレースのブラジャーとお揃いのショーツをはいているはず…。千秋はそう考えると、思わずスカートの裾に手を伸ばしていた。

「あっ!まってくだサイ…」

のだめが急に慌てた声を上げているが、千秋はかまわずふとももに置いた手をゆっくりと脚の付け根へと進めていく。

(珍しい…ストッキング…)

すべすべとした感触を楽しみながら、千秋の手は進んでいく。

「あっ…」

のだめがちいさな声をあげた。

「!」

千秋は驚いてのだめを見詰め、スカートを捲くり上げていた。

「だ、ダメですよ…」

のだめは千秋の行動に慌ててスカートを押さえている。けれど、すでにのだめは脚の付け根までがあらわになっていた。

「これも…?」
「のだめ、ストッキング苦手だって言ったら、お店の人もターニャもコレがいいって…」

のだめは真っ赤になっている。ブラとショーツと…お揃いの白いガーターベルト。それはダークカラーのワンピースと対象的で。

「あっ!先輩、まっ…」

のだめの声を聞かず、千秋は性急に残りのボタンを外しワンピースを抜き取った。
夕暮れの部屋の中で、薄く化粧をし羞恥でほほを染めているのだめは、ほんとうに綺麗だった。

「のだめ、恥ずかしいデスよ…」
「でも、似合ってるし…」
「うきゅっ!先輩のムッツリ」
「なっ!」
「だって服の時より嬉しそうデス」
「おっおまえ!」

のだめの鋭い突っ込みに動揺していることを悟られたくなくて、千秋はのだめの身体に手を伸ばす。

「やっ…あん」

千秋の手がブラの上からのだめの胸をまさぐると布越しからでも敏感な突起が主張を始めるのがわかる。

(…相変わらず、感度良好…)

千秋は大きな手の平と長く繊細な指でのだめの両の膨らみを楽しんでいる。甘い吐息を漏らすのだめの唇を吸い、ブラの隙間に手をのばす。

(柔らかい…)

何度触れても飽きないのだめの二つの膨らみは張りはあるのに柔らかで、けれどピンク色の突起は誘うように硬く尖っていて…。

千秋の指が突起をつまみくりくりと刺激する。

「あっ、あぁ…んっ」

それに合わせてのだめは身体をくねらせ、吐息を漏らす。
千秋は片腕をのだめの腰にまわし、もう片方の手を脚の付け根へと進めた。薄い布越しに指を這わせゆっくりゆっくりと上下させる。

「あっ…はぅん…あっ」

千秋の指が動くたび、のだめの身体がのけぞる。

「ひゃっ、はあぁ…ん」

千秋の指が直に触れて、のだめは一際高い声をもらした。

くちゅり…ちゅぷ…

指が動くたびいやらしい音とのだめの声が重なる。

「ここ、気持ち…いい?」
「だ…め、デス」

千秋が耳元で囁くと、のだめはふるふると首を振る。

「ほんとに…?」
「ひゃっ!あんっ!」

千秋の指は敏感な突起を撫であげる。

「もぅ、真一くん…カズオ…はぅっ」

憎まれ口を叩くのだめを尻目に千秋の指はのだめの入口と蕾を刺激していた。

(うわ…とろとろ…)

のだめの熱い潤みに今すぐ入り込みたい気持ちを抑えながら、千秋は指を動かし続け、更には千秋の胸に顔を埋めているのだめの耳たぶを柔らかく噛んだ。

「やんっ!あっ…しんいちくん…のだめ、もう…」
「もう…なに?」

千秋の動きは止まず、耳元で囁く。

「あっ、はうっ…も…う」
「…ちゃんと言って」
「ほ……しい…デ…ス」

のだめはやっとそれだけ言うと真っ赤になり俯く。汗ばんだ白い身体は夕日に照らされ色付いている。

「欲しい…?」

千秋に尋ねられ、のだめはコクリと頷く。千秋は衣服をぬぎすて準備をして、のだめの腰で結ばれた紐を引く。

するりとショーツを抜き取り、そしてそのまま、のだめの中へ入っていった。

「やだ、あんっ」

ショーツ以外の下着は付けたままだというのが、のだめの羞恥心を煽るようだった。けれどそれが、千秋の欲情を高めてもいた。
それでも、ずり落ちかけているブラだけは外してテーブルにほうり投げた。
あらわになった突起を口に含み、千秋は突き上げを開始する。

「あ…あんっ!あぁっ」

千秋の動きに合わせ、のだめの身体が揺れる。
けれど、狭いカウチの上では動きも制約される。

「のだめ…自分で動いて…」
「えっ…」
「ほら…」

千秋はくいと腰を突き上げる。

「はうっ…」

千秋はそのまま動きを止めた。

「ほら、早く…」

千秋に再び促され、のだめはゆっくりと身体を浮かし、沈めていく。

「あっ、あんっ…やっ、はずかし…」

自分が動くことで甘い疼きが身体の奥で起こる。いつもとは違う快感だった。そして千秋も、目の前で赤く染まり、上下するのだめの身体と、自分が動いて得るのではない快感を感じていた。

ぐちゅ、ずちゅ、じゅぷ…

繋がった所からはいやらしい水音がもれている。千秋は指を伸ばし、敏感な突起を刺激していく。

「はぅぅ!しん…いち、くん…のだめ、もう…も…あっ」

のだめの中が千秋自身をびくびくと締め付ける。
千秋にもたれるようにしているのだめから一旦離れると、カウチに手を付かせ再びのだめの中へ入っていく。

「はぁん!やっ、あん、あっ、あぁぁ!」

ずっ、ずちゅっ、じゅぷっ…

先程までとは違う激しい動きを千秋は繰り返す。そしてのだめは、それに合わせて一気に昇りつめようとしていた。

「あっ、あぁああん!しんいち…くん、も、だめ、だ…め…あぁぁっ!」

のだめの締め付けを感じながら、千秋は強く深くのだめの中を蹂躙する。

「やっ!しんいちくんっ…のだめ…もぅ、変になりマス…はぅっ、あぁ、また…ああっ」

のだめが何度めかの絶頂を迎えた時、千秋もまた、のだめの中で昇りつめていた。

「はぅ〜のだめフラフラです…」

千秋のシャツを被ってのだめが呟いた。

「悪かったな」

コーヒーをいれていた千秋が、ふて腐れたように言いながらカウチに座った。

「ちょっと寒くなってきましたね…」

よれよれになってしまったガーターとストッキングしか付けていないのだめが言う。

「…もう、夜だしな」
「お腹、空きマシタ…」
「コーヒー飲んで、シャワー浴びたら、どこかに食べに行くか?」
「そですね…あっ!」

のだめは青くなっている。


その頃…

「やっぱり来なかったわね…」

ターニャはため息をついた。

「ま、まあ、いいんじゃない?三人でも」
「そうそう」
「まあ…ね…」

ターニャは半ば諦め顔のヤスとポールを見て言った。
のだめと二人でエステと買い物に行き、ヤスが楽譜を見に来るらしいというのだめ情報に合わせて(もちろんのだめに自覚はないけれど)店に入り、食事の約束を取り付けた所までは予定通り…。けれど、のだめは千秋を呼びにいったまま戻って来ないのだった。
「まあ…それも予想通りか…」

ターニャは小さく呟くと言っていた。

「ね!のだめたちの分頼んじゃったし、ユンロンとかもよぼっか?」

(あたしの方は、なかなか思い通りにはいかないか…)


千秋はのだめとターニャの約束を聞いて絶句していた。

(今度あったら、また何か言われるな…。でも、ま、いいか…)

「ところでおまえ、エステは顔だけ?」
「全身デスヨ!気持ちよかったデス!」

のだめはなぜか得意げだ。

「ふ〜ん、どんな風に…?」

千秋はシャツを被ったのだめの胸元へ手をのばす。

「むきゃっ!だめデスヨ。ターニャが待ってマス」
「もう、待ってねーよ」
「でも、のだめ、お腹すきまし…んっ」

のだめの唇はあっという間に塞がれていた。胸元を覆っていたシャツももうない。

夜は、はじまったばかり…






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