初心者のだめと千秋
千秋真一×野田恵


のだめがオレの部屋に泊まるようになってしばらく経っていた。
けれどのだめは相変わらずで、部屋に来てはメシをねだり、ピアノを弾き、時折…そのまま帰らないだけだ。
オレはと言えば、のだめに触れるまで保っていた物が溢れていくようで、慌てる事もあるのに…

「先輩、ちょっといいデスか?」

ほら、こんな時だ。のだめが何気なく側に来て身体を寄せてくる。
髪が頬に触れ、息がかかる。体温を感じるほど近くでのだめは楽譜を開いている。
それだけなのに。

今までも、抱き着いてきた事もあったし、朝まで一緒にいたこともある。それでも何でもなかったのが、あれ以来ダメなのだ…。
オレ様は一体どうなってるんだ…?

「どしたんデスか?」

思わずため息をついたオレの顔をのだめが覗き込む。

「…い、いや…別に」
「でも、顔赤いですヨ?」

のだめが手をおでこにあてた。と、同時に、柔らかな胸が微かに触れた。…一層身体が熱くなる気がした。

「先輩、風邪ですか?何だか熱いですヨ?今日は早く寝た方がいいデス」

そう言って立ち上がると、オレの手をぐいぐいひっぱり寝室へと導く。

「ちょ…待てよ」

慌ててのだめの身体を引き寄せると、その反動でのだめが腕の中に飛び込んできて、柔らかで華奢なのだめは、腕にすっぽりと納まった。

「風邪じゃないから」
「でも…あっ!」
「何だよ?」
「やっぱり熱いデス…」
「何が?」
「…先輩の…」

のだめは耳まで真っ赤だ。オレも顔が熱くなる。

「そゆことでしたら…」

のだめがオレのシャツに手をかけた。

「ちょっ、おまえ…」

慌てるオレを無視して、のだめはボタンを外していく。

「先輩の胸、逞しいデス…のだめ、ムラムラします〜」

そんな事をいいながら頬を擦り寄せ、乳首をぺろりと舐めてきた。

「おっ、おい!」
「うきゅきゅ〜尖ってマス!」
「なっ…」

焦るオレを嬉しそうに見ながら、ベルトに手をかけた。…いつもは、こういう時に触れてくることさえないのに…
オレは驚きながらも様子を伺っていた。けれど、ベルトを外しズボンの金具を外した所でのだめは硬直している。

「無理しちゃって…」
「ムキャ!無理なんてしてないデスよ!今日はのだめ、大サービスですヨ?」

慌てて下着ごしに手を這わせてくるが、やはりそこで動きが止まる。

ついこの間まで、何もかもがはじめてだったのだめに、それ以上はなかなか難しいのだろう。
それでも、一生懸命なのだめが愛おしくて、足元で座り込んでいる身体を引き上げ、ベッドに仰向けにした。

「初心者は無理すんな…」
「でも、マグロだと嫌われるって…」
「なんだそれ…」
「だって、ターニャが…んっ」

まだ何か言おうとしている唇を塞ぎ、咥内を味わう。のだめはただ、はだけたシャツを握りしめているだけだ。

…こんなんで、何が出来るっていうんだよ…

ゆっくりとワンピースの上から胸をまさぐると、薄暗い部屋の中できつく目を閉じ、されるままになっている。ワンピースを脱がせると、のだめは慌てて両腕で胸元をおおった。

…頭隠してって感じだな…

そんな事を思いながら、無防備な方へ手を伸ばした。

「ひゃっ!」
「上から順番って訳じゃないし…」

突然の展開に戸惑うのだめの足は固く閉じられている。

「イヤ…?」
「…イヤじゃ、ない…デス」
「じゃあ、力抜いて…」
「ハ、ハイ…」

そうは答えるが、身体は強張ったままだ。
唇や首筋に何度もキスをして、再びそこに手をのばし、のだめの1番敏感な場所を探してなであげる。

「んっ…」

ぴくりと身体が反応し、刺激をあたえる度に、とぎれとぎれのかすかな甘い声が洩れる。そんなのだめを、ゆっくりと味わいたい…そう思う反面、欲情に任せてみたい…そんな気持ちもある。

…まだ、さすがに無理か…

きつく目を閉じ、口元に手を宛てて小さな吐息をもらすのだめは、普段とは違う人間のようだ。もっと甘い声が聞きたくて、細い紐を解き、直にのだめに触れてみる。

「あっ…」

のだめは、恥ずかしそうに顔を背けただけで、抵抗することはない。
指を滑り込ませると、すでに潤っていた。オレは蜜をすくいとり、敏感な突起になでつける。

「ひゃっ、あぅ…はぁ…あっん」

指が動くたび、艶を帯びた声が洩れ、身体がはねる。

…かわいい…

そんな事を口に出せるはずもなく、その分行為で示してやろうと脚に手をのばし、持ち上げた。

「やっ!やだ…」

抵抗するのだめに構わず、1番敏感な突起に口づけた。

「イヤっ!やめ…ああっん……やっ」
「止めてって…こんなに濡れてるのに」
「そんな、あ……ああっ」

のだめの反応が可愛くて、ついついイジワルをいい、更に刺激を加えていく。唇を押し当て、軽く吸い上げると、一際高い声が洩れる。
のだめ自身からは蜜がとめどなく溢れ、ヒクヒクとうごめくそこは、オレを誘っているかのようだ。
すぐに味わいたい気持ちを抑え、身体を起こすとショーツとお揃いだったブラを外し、ふっくらとした胸を両手で包む。先程とは違うじんわりした刺激に、のだめの荒い息も少し落ち着いて来た。

「気持ち良かった?」

のだめは赤くなったまま、黙っている。

「まだ、足りないか…」
「そ、そんな事、ないデス!十分デス!」

慌てて答えるのだめが可笑しくて、おもわず笑いがこぼれる。

「ムキャ!何がおかしいんデスか」
「ごめんごめん…てゆーか、嫌?触られたりするの?」
「イヤじゃ、ない…ですヨ…」
「じゃあ、何が十分なんだよ」
「…だって、恥ずかしいですヨ…あんな事。声、出ちゃうし…」
「オレは楽しいけどな」
「なっ、なんデスか!もう、カズオ!」

のだめが膨れて横を向いている。そんなのだめの、両方の頂きをつまみあげると、身体を震わせ吐息をもらした。片方の手を下半身に滑らせると、そこはまだ熱く潤ったままだ。
指を沈め、ゆっくり動かしてみる。

「先輩、のだめへーきですヨ?」
「…」
「真一くん……のでもだいじょぶデス」
「…」
「遠慮は無用デス!妻ですから」

妻じゃねー、と言いたい所だが、そうも言えずにいると、

「そだ!のだめが口でしてあげます!」
「い、いや、いい!」

突然の提案に驚き、思わず断ったが、しまったと言う気もしていて…

「それはまた、今度…」

それだけ言うと準備をして、ゆっくりとのだめに被いかぶさる。キツイ締め付けを感じつつ、慎重に奥まで自身をおさめた。
痛みはないようだが、圧迫感のためか、のだめの息は荒い。
オレは、ゆっくりと動きを開始した。

「うっ、あう…」

動くたびにのだめの身体が揺れ、くぐもった声が洩れる。その唇を塞ぎ、少し強めに動いてみた。

「んっ!?、んんっ…」

いつもとは違う反応に、探るようにもう一度、突き上げる。

「はっ?ああっん」

甘い声と共に、絡み付く部分がより熱くなり、動きも滑らかになってくる。そして、その度に水音とのだめの声が激しくなっていくのが分かる。

「はっ…あんっ、せんぱ…のだめ、ヘン…デス…あっ」

未知の感覚に戸惑うのだめがしがみついてくる。膝の裏に腕を回し、身体を密着させると、更に激しくすりあげていく。

「やっ、あんっ!もう…ダメ…あっ!」

甘い声とビクビクと震えるような締め付けに、オレはいつもよりも早く、限界を迎えていた。

後始末をして横になり、のだめの頭の下に腕をまわす。のだめは更に身体を寄せてくる。

「どんな感じだった…?」
「…うきゅ…ちょっとびっくりしました」
「びっくりって…まあ、でも…」
「何デスか…?」
「いや…楽しみが増えただろ?」
「ムキャー!先輩のムッツリ!」
「他にもいろいろ、チャレンジしてもらわないとな」
「…わかりました。のだめ、良妻目指してがんばりマス!次の課題はなんですか?」
「いや、とりあえず今はまだ…」
「そですか?遠慮しなくてもいいデスヨ?」
「おまえ、そんな事言って、自分がやる気満々なんだろ!」
「そ、そんなことないデスヨ…」
「目…そらしてるぞ」
「ムッキャー!先輩のカズオ!もういいデス!!」

膨れて背を向けたのだめの耳元で、オレはそっと囁く。

「じゃあ、次のステップに行くか?」






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