変態のだめの初体験
千秋真一×野田恵


パーティーの喧騒がどこか遠くに聞こえる中、段々と重ねる唇に力がこもる。
首に回した手にも力を入れ、強く押し付ける。

「ん…っ」

のだめが声をもらす。甘い、鼻にかかった声。
それにより一層の気分の高まりを覚える。

だめだ、こんなキスをしてたら抑えが利かなくなる。
部屋に戻れば、同じベッドで一夜を過ごさなくてはいけないんだぞ?

…でも、そろそろ構わないんじゃないのか?
リサイタルは終わったのだし、大体付き合ってどれくらい経つ?
なんとなく今までタイミングを逃して来たが、今夜は旅先、リサイタル成功、いいきっかけじゃないか?

のだめの唇を味わいながら、そんな考えがぐるぐると頭を巡る。
試しに舌を差し入れてみる。
のだめの体が一瞬びくっと震えるが、そのまま身を任せてくれている。
舌同士が触れた。
ぎこちないながら、のだめなりに舌を絡ませ応えてくる。

やばい…。
先に進みたくなる一方だ。

ぐいっとのだめの体を押しやる。

「少し頭を冷やしてくる」

「…先輩?」

突然のことにのだめは戸惑いながら不安げに尋ねてくる。
その顔は紅潮して、目は潤んでオレを見つめている…
ああ、もう!
押し倒したくなる衝動を必死に抑えて、その場から立ち上がった。

「おまえはもう少しパーティー出て、部屋戻ってろ。酒飲み過ぎるなよ」

顔を見つめて言葉を続ける。

「嫌ならシャワーでも浴びて、先に寝てろ。寝た振りでもいいから。でも…おまえが構わないんなら、オレが戻るのを待っててくれ」

のだめは返事もできずオレを見ていた。

「意味、わかるよな?」

ばっと顔を赤くした。
こくこくと頷くのが精一杯のようだ。
笑顔で手を上げ、オレはそこから立ち去った。

借りた衣装を返しに行き、再び中庭で休む。
夜風が気持ちよかった。
空を見上げる。

賭けだった。
オレはあいつを抱きたい。
もう我慢するのもこりごりだ。
だが、無理強いするのも嫌だった。
だから、あえて時間を取った。
覚悟を決めるために。
あいつにとっての覚悟、オレにとっての覚悟。
判断を任すのはズルイ気もするが、オレの希望は100%固まっているのだから…。

しばらく時間を置き、部屋に戻った。
ドアをノックしてから、鍵を開ける。
ドアが少し重たく感じた。

「のだめ…?」

まずベッドを見てしまう。
いない。
それだけで胸が高鳴るのを感じた。

のだめはソファーで背筋を伸ばしてぽつんと座っていた。
ネグリジェに着替えて。

「先輩、お帰りなさい」

いつもののだめとは明らかに違う。
表情は固いし、声も震えてる。
緊張してるのがありありとわかる。

「シャワー浴びた?」
「ハイ…」
「じゃ、オレも浴びてくる」
「…」

顔を赤くして、うつむいている。
すぐにかけよって抱きしめたくなるような、かわいさを感じた。
それをこらえて、なるべく穏やかな声で、話しかける。

「のだめ…オレはおまえを抱きたいと思ってる。でも、無理強いするつもりはない。だから、おまえの思うままに振る舞ってくれ。もっとお互いを知ってわかりあうためにすることなんだから…」

のだめは赤い顔のまま、オレを見つめてくる。
だから、そんな顔で見られたら理性が飛びそうになるんだよ…。
そういうこと、おまえわかってないだろ…?

「じゃ、シャワー浴びてくるから」
「…ハイ。待ってマス」

思わず振り向くと、のだめは微笑んでいた。

バスルームから出ると、反射的にぱっとソファーからのだめは立ち上がった。
それを尻目にゆったりとタオルやら着替えやらを自分の荷物のところに持って行き、そのどさくさに紛れてゴムを隠し持つ。
あとで枕の下にでも忍ばせよう。
こういうの目にするのはまだ刺激強いだろうから、こっそりとな…。

「のだめ…そんな緊張しなくていいから」

肩に手を置き額に軽くくちづける。
そして優しく手を引きベッドサイドに連れていった。

立ったまま抱きしめる。
のだめはネグリジェ、オレはTシャツにハーフパンツ。
そんな薄着で抱き合ったのは初めてだったから、それだけで気持ちが高まる。
背中に手を回すとブラジャーがはっきりわかる。
D…。

そんなことをぼうっと考えていたら

「はうん…先輩いいニオイ…」

くんくんと鼻を嗅ぐ音まで聞こえてきた。

「オフロ上がり…あへー」

一瞬固まる。こいつはこんなときでもこんな調子なのか…?

気を取り直して、あえてそれには応えず唇を塞ぐ。
最初は軽く。啄むように。
だんだんと長く強く。
そして深いキスをして舌を忍ばせた。
唇、歯列、歯ぐきの裏、そして舌。
のだめの口内を余すところなく味わう。
のだめもおずおずと舌を絡ませてくる。
交わすように、まとわりつくように。

「…んっ…」

甘い声がもれる。
やばい、キスだけでどんどん昂揚してくる。
だめだ、もう抑え利かねー…

ネグリジェを肩からずりおろす。
あっけなくそれは脱げ、ぱさりと床に落ちる。
もうのだめは下着だけ、というセクシーな姿に変わっていた。

オレの見たことのない姿…。
あ、本当に紐のショーツだ…。
華奢なすらっとした体つき、しかしそれにしては豊満な胸。
すべすべとした肌。
まだ胸にも触れていないのに、オレの体は反応し始めていた。
体は密着してるから、それをのだめも感じ取ったらしい。

「あ、先輩…うきゅ」

さっきの甘い声とは違う、明るい声。

……………。

ちくしょう、どうも調子が狂う。

またあえてそれには応えず、のだめを抱きかかえてベッドに横たえる。
一瞬戸惑った顔をしたのだめにのしかかり、再びくちづけた。
今度は最初から濃厚なものを。
貪るように熱く強く。
手は胸をまさぐる。
こっちは優しく、撫でるように。
ブラジャーの上から軽く揉む。
柔らかい…。
胸を触りながら耳、首筋、鎖骨付近と唇をはわす。
ブラジャーの中に指を忍ばせてみると、既に蕾は尖り始めてた。
片手を背中に回してホックを外してその覆いを取り去る。
ぷるんと弾力のある膨らみが零れる。
たまらず蕾に吸い付く。
焦らす、なんて余裕もオレにはなかった。
片方の蕾を指でこねるようにいじり、もう片方の蕾には舌で刺激を与えたり吸ったりしながら、その膨らみを空いてる手で揉む。
こいつの胸、すげーいい…。
その感触に酔いしれ、一心に愛撫を続ける。

「ぁん…先輩…えっちデス…っあぁんっ」

そんな声がして目線を向けると、のだめと目が合った。
上気した顔、荒くなってる息。
感じてはいるようだが…愛撫だけじゃなく、オレを見て興奮してる?

思考停止しかけたのを振り払い、また唇を塞ぐ。
片手は胸への愛撫を続け、もう片手はウエストライン、ヒップ、ふともも、と場所を変えていく。
そして、内股付近を撫で回す。

「…ゃ…ぁ…んっ…」

次の行き先を予想してかのだめは身を固くして甘い声を発した。
その期待に応えるように、そっとショーツの上から大事な部分に触れた。
のだめはびくっと体を震わし、脚をきゅっと閉じる。
緊張を取り払うように、オレは優しくキスをし、またふとももや内股を撫で回す。
力が抜けたのを見計らって、ショーツの隙間から指を差し込む。
温かい…。
そこはもう潤い始めていた。
柔らかい茂みをさわさわとする。
時折花びらに触れる。
花芯も掠める。
のだめの脚は徐々に開かれてきた。
声は出ないまでも、顔を赤くし息を荒げている。

オレはいったん起き上がり、ショーツの紐に手を伸ばす。
のだめの大事なところが開け放たれる瞬間を見逃したくなかった。

「…待ってくだサイ!」

その声に思わず動きを止める。
やっぱりイヤなのか…?
オレの表情が雲ったのをのだめも気づいたのだろう、慌てて言葉を繋げる。

「あの、先輩もも少し脱いでくだサイ!」
「…はあ?!」
「いや、あの、こんなカッコのだめだけなの、ズルイです。先輩も見せてください〜」

こんなこと言う女、聞いたことない…。

「どこまで脱げばいいの?」

少し意地悪な気持ちになって、わざと尋ねてみる。

「上だけ? ハーフパンツまでか? それとも全部?」
「えと、その…」

とりあえずTシャツを勢いよく脱ぐ。

「ふおぉ〜胸板…」

のだめはうっとりとオレを眺めている。

「どこまで見たいんだ?」
「えと、最終的には全部デスけど…むきゃ♪」

言っとくけど、オレにはストリップの趣味はないぞ!?
半分やけになって、ハーフパンツも脱ぎ、ボクサーパンツ一枚になった。

「これでおまえと一緒だ」

お互い最後の砦一枚。そんな姿でベッドの上で睨み合う(?)男女、傍目からみたら、さぞかし滑稽なのだろうな。
初めて夜を共に過ごす恋人同士とはとても思えまい…。

「せ…先輩。あの…」

のだめが顔を真っ赤にして目をそらした。
オレ自身は既に猛々しく張り詰めていて、ボクサーパンツを押し上げていた。
こんなことくらいでは萎える気配はない。
さすがに直視はできないか。
ふと優しい気持ちが戻った瞬間、のだめは言った。
笑顔で。

「はぅん…もっと見たいです」

オレが先に脱げだと!?
なんなんだ、こいつは…。
変態なのは知っていたけど、でも…。

「センパイ…」

いつの間にか起き上がったのだめが甘ったるい声で囁く。
上目使いで甘えるように見つめてくる。
しかもショーツ一枚、手で胸を隠している、というあられもない恰好。
オレをそんなに刺激するな…。

…ん?

ふと気付いた。
胸に当ててる手が震えていることを。
さっきからやたら甘い声で話しているが、上ずった声でもある…?

オレは無言でボクサーパンツに手をかけ、一気に下ろす。

「ムキャっ」

窮屈そうにしていたオレ自身がぴょこんと現れる。

「ふおおぉぉ〜…」

のだめは目を丸くしてオレ自身を見つめる。
一瞬固まったようでもある。
そして、真っ赤な顔で目のやり場に困ったような表情でそわそわしている。

「す…スゴイデスね、しんいちくん」

なんで目をそらしてるんだよ。

「おまえ見たかったんだろ?」

のだめは無言でもじもじしている。

やっぱり。
こいつの照れ隠しというか、恥じらいというか…。
緊張も手伝って、こんな突拍子もないことになったんだろうな…。

さっきからの妙な反応も、全部ごまかしか。
イヤなわけじゃないけど、一直線に行為に走るのを無意識に止めてしまうのか?
まあ、元来の変態志向もかなり手伝ってるのだろうけど。

「ったく」

呆れながらも愛しいという気持ちが湧いてくる。
まさに変態の森に迷い込んだな。
こんなのだめが可愛くて仕方ないんだから。

「オレに全部まかせてろって。イヤがることはしないし、照れることも恥ずかしがることもないから」

のだめがはっと顔を上げる。

「先輩…?」

オレはその目を見つめながら、優しい声で話し掛ける。

「大丈夫、どんなおまえの姿もかわいいし愛しいよ」
「………」
「だから、全部オレに晒け出してほしい。のだめのすべてが欲しいんだから…」

のだめは困ったような笑いを浮かべる。

「ごまかしてたの、わかっちゃいました?」
「ばればれだ。だから、観念しろよ」
「ハイ…」

のだめが微笑む。
その表情が、とびきり可愛くて…。

再びのだめを抱き寄せキスをする。
押し倒す。
顔に首筋に、たくさんのキスを降らせる。
胸に吸い付く。手でも愛撫を与える。

「…ぁん…ッ…はぁ…んっ」

さっきと違って素直に感じているのがわかる。

そして再び秘部へ。
ショーツの紐をするりと解く。そのまま布を取り去る。
のだめはびくっと体を震わしたが、そのまま身を任せていた。
あらわになったその部分に貪りたいのを堪えて、まずは掌も使って柔らかい茂みを撫でる。
そして指先で花びらをいじる。
こねるように、花びらの上から花芯を撫でる。
じわっと潤み出しているのがわかる。
息遣いが段々荒くなってくる。
のだめもそしてオレも。

花芯に直に触れる。

「…ァアンッ」

瞬間背を反らし、嬌声が口から漏れた。
人差し指と中指、2本の指を使って、クリトリスに刺激を与える。

「…や…ぁ…あん…はぁ…んっ」

のだめの声が断続的に零れだした。
水音も、その部分から聞こえてくる。

「セン…パイ…なんか、変な感じ…。でも…」

気持ちイイ、デス、と絞り出すような声で告げてくれる。

「じゃあ、もっと気持ちよくしてやるよ」

今度は顔をその部分に近づけた。
脚を持ち上げて、開く。
秘部が一層あらわになった。
ぬらぬらと光って、鮮やかな色をして泉を湛えていた。

「いや…ん。先輩…恥ずかしいデス…」

顔を真っ赤にしてのだめが呟く。

「…感じてるのがわかって嬉しいよ…」

そう声をかけ、唇を寄せる。

花びらを指で開いて花芯に直接舌を触れる。そのまま、その部分を味わう。
舌先を尖らせて、あるいは舌全体を使って。
甘い蜜を吸い取るかのように、舐めつくす。
それでも泉は湧き出てくる。

「…あぁ…ん…はぅ…あんっ…しんいち…くん…」

嬌声の中にオレの名前が混じっていて、更に昂揚を覚える。
のだめから、こんなに色っぽく呼んでもらえるなんて…。
もうオレはどうしようもなく張り詰めていた。

先ほど隠したゴムを取り出し、素早く装着する。

「それって…そう付けるんですね…はぅん…」

のだめがこっちを眺めながら、そんなことを言う。
興味津々なのは、天然でもあったのか…。
もういいよ、そんなおまえでもオレは好きなんだから。

のだめの中にオレが入る。

「…ぁうっ」
「くっ…」

同時に声が漏れる。
オレはあまりの快感で。そしてのだめはおそらく痛さで。
歯を食いしばるようにして、顔を歪めている。

「…のだめ、無理するなよ」
「ダイジョブ…デス…。そのまま進んでくだサイ…」

大丈夫そうには見えなかったが、あまり躊躇しても痛みが続くだけと思い、ゆっくりゆっくりと、奥へ進めた。
やがて、すべてが入った。そのまま、動きを止める。
こうしているだけでいい。

「…先輩…繋がってますね…」
「ああ…やっとな…」
「一つになれたんですね」
「うん…うれしいよ」

のだめがぱあっと表情を明るくした。

「のだめ、幸せデス!」

目尻には涙が滲んでいた。
たまらなく愛しさが込み上げ、熱くキスをする。
舌を絡ませ唇を吸う。

「…んっ…しぇんぱい…」

くぐもった声が口移しで聞こえてくる。

「愛してマス…!」

「だから、先輩動いてくだサイ」

唇を離すと、のだめはそんなことを言った。

「えっ」
「だいぶ慣れてきたし、先輩にもっと気持ちよくなってほしいから…」
「のだめ…」

愛してるよ、と耳元で呟く。
真っ赤になったのだめを見つめながら、オレは腰を控え目に動かした。
のだめの締め付けの強さと気持ちが高まっているのとで、快感は十分過ぎる程だった。
お互いの息遣いが荒くなる。

「…っ…ぁん…真一くん…っ」

のだめが僅かでも喘いでいる。
それだけで今はいい。
いつか、もっともっと気持ちよくしてやる。
悪いが今は先に……

オレはのだめの中で頂点に達した。

「大丈夫だったか…?」

のだめを抱きしめるようにして腕枕をしてやる。
のだめも抱きついてくる。

「幸せって言ったじゃないデスか。痛いから余計実感できました!」

笑顔で胸に頬を寄せてくる。

「はぅ〜ん。先輩の胸板…腕枕……夢のようデス」
「………もう、おまえは寝てろ。起きたら、全部夢になってるよ…」
「むきゃー!夢オチなんていやデス!」

相変わらずの変態のだめ。
でも、恥じらったり甘く乱れたりしたおまえも、「愛してマス」といじらしく囁く可愛いらしいおまえも、確かにのだめで…。
ダメだ、もうオレも完全に変態の森の住人だな。
これからもいろんなおまえを見てみたい。
腕の中の存在が愛おしくて仕方なかった。






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