千秋真一×野田恵
![]() 最高のプレゼント―1[sage]:2007/02/17(土) 08:25:35 ID:mzlZ8bgE のだめがデシャンと共演した翌日、ウィルトールのロランから電話が来た。 「千秋、久しぶり!あのさ、今度のウチの公演、カタイラが振るって知ってるよね?」 ―あ、そうだった、片平さん。 「う、うん、見に行こうと思ってた」 「カタイラから連絡あった?」 「いや…」 「やっぱり…」 ―そうだ、パリに来てるなら電話くらい… 「実は…」 ロランの話によれば、ルセール管とのだめの共演の後、ウィルトールでものだめに客演を依頼しようとしたらしい。 それも片平さんの客演の時に。 しかし、偶々見に行っていた片平さんがそれに反対したというのだ。もしどうしてもやるなら今回の公演を辞退するとまで 言ったそうだ。どちらにしても、スケジュールを考えるとデシャンかウィルトールのどちらかしか無理ではあったのだが。 「最初のR管の時、僕も聴きに行ってて…、すごくいい演奏だった。」 他にも聴きに行っていた団員が皆、片平さんと同じ意見だった、とロランは言った。 「昨日もカタイラと一緒に行ってたんだけど、やっぱりカタイラの考えは正しかったと思ったんだ。」 「…たぶん…、君や片平さんが考えてること、わかる気がする。」 「うん、千秋ならわかってくれると思ってた。…時間をかけられれば違ったかもしれなくて、僕も残念だけど。」 ウィルトールは実力も人気も安定しているから、無理してリスクのある演し物をする必要はないが、事務局としてはとかく ウケる演目をやりたがる。なぜなら、パリにはオケが多すぎるから。でも、ウィルトールはデシャンやマルレよりは ちょっと余裕があるのだろう。「本当のリスク」を回避したんだ。 「だから、もしかしてカタイラはそれを気にして、連絡してないんじゃないかと思って…。」 「うん、わかった。ありがとう。」 「オケのみんなも千秋に会いたがってたし、楽屋にも遊びに来てよ。じゃぁね!」 ―そうか、片平さん…、あの人らしいな。 考え込んでいると、また電話が鳴る。 「もしもし、先輩?」 ―のだめ? あいつから掛けてくるなんてめずらしい 「なんだ、お前か」 つい、ぶっきらぼうに言ってしまう。 「ムキャ、なんだとはご挨拶デスね」 「何か用か?」 「あのですね、あさっての夜、先輩ヒマですか?」 ―ウィルトールのコンサートの日… 「いや、ちょっと…」 「ぎゃぼ…、用事あるんデスか?」 「…。お前のほうは何なんだよ」 「…いいデス、いいデス、じゃぁ…」 ―――ガチャ… ―おい、何だよ。気になるじゃないか 「アロー、のだめデス」 「もしもし、俺だけど」 「…」 「さっきの、何なんだよ。っつーか急に切るな。」 「いいんデス、もう。のだめ一人で行きマスから」 「行くって、どこへ?」 「ウィルトールのコンサト。カタイラが指揮するって聞いたから…。」 「え…?!」 「先輩のたんじょびのプレゼントにと思って、チケット…」 「あ…」 「でも、先輩用事あるなら仕方ないデス」 「…あのさ…、俺もそれ行こうと思ってて…。お前と…。」 「ほわぁ〜!」 ―おぼえてたのか…俺の誕生日 884 名前:最高のプレゼント―2[sage]:2007/02/17(土) 08:26:49 ID:mzlZ8bgE 片平さんの指揮は相変わらず音楽を楽しんでるのがすごく伝わってきて、ウィルトールもいい演奏だった。 リムスキー・コルサコフのシェエラザードはアラビアンナイトを元に書かれた曲で、それでなくてもドラマチックで 物語性に富んでいる。そこへ持ってきて片平さんのあのジャンプだから、聴衆は大喜びだ。 「ム、キャー!」 隣でのだめも喜んでいる。 もちろん、ジャンプだけでなく、繰り返し登場する主題を表情豊かに表現していて、良かった。 「千秋君!来てくれたんだ。のだめちゃんも。」 「片平さん、良かったです、楽しくて。」「ブラヴォー!カタイラ!」 「ありがとう。」 「もし良かったら食事でもご一緒しませんか?」 「え、いいの?うれしいなぁ。」 三人でレストランへ行った。 のだめが化粧室に立った隙に、聞いておきたいことがあった。 「何か邪魔しちゃったみたいで悪いね。」 「いや、こちらこそ。オケの皆にも誘われてたでしょう?」 「いやー千秋君とは久しぶりだし、それにそろそろ日本語が恋しくて…ハハ。でも今日は千秋君の誕生日なんだろ? のだめちゃんに聞いたよ。」 「え、いつ?」 「ウィルトールの話、ロランから聞いてるよね?だから、もしかして耳に入ってたら…、彼女の演奏が良くなかったとか、 そういう事じゃないって伝えておきたくて電話したんだ。」 ―聞いてない…。 「でも、彼女何も知らなかったみたいだから、結局話さなかったんだけどね。」 「気を遣ってもらって…、ありがとうございます。」 「いやー、でも正直驚いちゃったなー。本当は共演してみたかったよ…。」 「片平さん…」 「でも、あの短い時間で彼女の本質を生かせる演奏を仕上げるのは、今の僕には無理だと思ったんだ。」 「それはたぶん…誰にでも難しいことだと思います。」 ―R管の時もデシャンの時も、胸のうちに、嫉妬やそんなものではないモヤモヤがあった。 「うん。それに、僕も指揮者として彼女の才能を大切にしたかったから。いつかまたチャンスがあるといいなー。」 「そんな風に言ってもらえると…」 「でも、もしかしたら君ならできるんじゃない?いや、恋人だからってだけじゃなくて、何となくそう思うんだ。」 885 名前:最高のプレゼント―3[sage]:2007/02/17(土) 08:28:21 ID:mzlZ8bgE 食事を終えた帰り道、 「Bonne nuit. Abientot.(おやすみなさい、また近いうちにね)カタイラ!」 ちょっと酔っ払ったのだめがフランス語で呼びかける。 「Bonne nuit. のだめちゃん見習ってぼくもフランス語頑張んなきゃ!」 ―いい人だし、思慮深いというか、やっぱりちょっと大人だ。 後姿を見送りながら、心の中で片平さんに頭を下げた。ちょっと胸が熱くなった。 「のだめ、明日は?」 「学校デスよ」 「朝、送ってくから…」 のだめの手首をつかむ。 「ふぉぉ…」 ―帰したくない。 この前愛し合ったのはたった3日前なのに、どうかしてる。ワインのせい?いや… 「先輩?のだめ、逃げたりしませんよ」 つい、手首をつかんだ手に力が入っていた。 「あ、ごめん。痛く…なかった?」 一旦手を離し、一本一本確かめるように、指をからめて手をつないだ。 部屋に帰って、先にシャワーを浴びた俺は、キッチンでミネラルウォーターを呷っていた。 「ふぁー、いいお湯でした」 「げっ、お前その…ネグリジェっ」 「あー、これお義母サマの。もらったんデス。でもヘンですねー、何でコッチに。のだめ、コレ持ってきてないデスよ?」 「し、知るかっ」 「あー、もしかして先輩ものだめと同じ…?でも洗濯したら匂いは消えちゃうのに」 「バカっ、何で俺がそんな変態…」 ―そういえば最近のだめが置いていった服を洗濯する前につい…。でも俺はそういう意味でじゃなくて… いや、どっちでもかまうもんか。どのみち俺はもう…、戻れない。 「さ、先輩!今日は何でも願い事を一つ聞いてあげマス、たんじょびですから。」 ベッドの端に座った俺の隣に、自分もちょこんと腰を掛けながらのだめが言う。 ―願い事って…、そんなモン決まってンだろ。 「…………のだめ全部……」 「ふぇっ?!」 「何でもって言ったろ?」 「お…、女に二言はナイですよ。それじゃー煮るなり焼くなり好きにして下サイ」 ―目、逸らしてんなよ 「じゃ手始めに…、膝枕して」 「そんなのしょっちゅうしてるのに…」 「…」 崩して座ったのだめの膝の上に頭を乗せ、のだめとは反対側を向いて横たわる。 「あん…、しんいちくん、こっち向いて下サイ」 しぶしぶというふりをしてのだめの方に向き直る途中で、俺を見下ろしているのだめと目が合った。 どうしようもなく照れくさくなって、慌てて目を閉じると… 「しゅきあり♪」 尖らせたのだめの唇が俺の頬を掠めた。 886 名前:最高のプレゼント―4[sage]:2007/02/17(土) 08:29:19 ID:mzlZ8bgE ―バカ、そんなことしたら… 「…こら、話が違うぞ…」 起き上がり、のだめを乱暴に押し倒してきつく抱き締めながら唇を覆う。最初から、容赦なく唇を割って舌をねじ込み、 のだめの舌を捕まえて、絡ませた。 俺の手は、まるで貪るようにガツガツとのだめの体中をまさぐっている。 ―手が…体が熱い。呼吸が…。でも、唇は離したくない 「ん…んっ!」 のだめの手が俺の背中を叩き、、顔をそらして唇から逃げ出した。 「ぷはっ…、しんいちくん…どしちゃったんデスか?のだめ、逃げませんから…」 ―わかってる…。でもコントロールできない…。 「おい…、これ…、どうやって脱がすんだ」 ―情けねー、息が切れてる 面倒になって、のだめが口を開く前に裾から一気に捲り上げ、頭から引き抜いた。 「あっ、ゃんっ」 「…あと、自分で脱いで」 あと、と言っても、もう身に着けているのは、腰に紐で結ばれている小さな布だけ。 観念したように、のだめの指が腰の紐をつまんで、つ、と引くのをじっと見下ろしていた。 頬を染めて目を伏せたのだめの顔が、また俺を煽り立てる。 自分の着ているものを脱ぎ捨て、まだのだめのそこに残っていた小さな布をむしり取ると、生まれたままの姿で横たわる のだめを抱きすくめ、再びその乳房を、尻を、飢えを満たそうとするように荒々しく愛撫する。 「ぁ…っは…ぁ」 のだめの息も熱く乱れ、わずかながら体をくねらせている。 さっきネグリジェの胸元から魅せつけられた乳房をつかんで蕾を口に含む。とっくに尖っていたその蕾を舌でなぶると、 のだめの体が何度も跳ねた。 「あぁっん、…んっ・・・うっ…」 ちょっと痛そうに眉をしかめるのだめを見て、また乳房を揉みしだく手に力が入りすぎていることに気づく。 ―ごめん、でも、…欲しくてたまらないから… 肌の上に唇を滑らせながら、のだめの足元に移動して、しどけなくほどけている腿を両手で割り開いた。 「あ…」 とろけたような声を出したのだめは、まだそれほどの刺激は与えていないのに、息が弾ませて喘いでいる。 開いた膝をぐっと曲げて、のだめの一番感じやすい芽を舌先でつつく。 「あっ!…ん」 背中を反らしてまた跳ねた。 入り口から零れている蜜を掬い上げるように舐め上げては、ピチカートするように芽を弾いてやると、 「ぁっ…、ぁっ、ぁっ、ぁあんっ!」 その舌先の愛撫のリズムに合わせるように、短く、弾けるような声で喘ぐ。 芽に口をつけてを吸い上げると、 「ゃあっ、ぁっ、あーっ…」 ―もう…?。あぁやっぱりここ、感じるんだな…。 のだめが一度達して体を弛緩させるのを見て、俺は少し落ち着いて、やっと、のだめの体をやさしく抱き締めた。 887 名前:最高のプレゼント―5[sage]:2007/02/17(土) 08:30:17 ID:mzlZ8bgE 「しんいちくん…、ちょっとお願いがあるんデスけど」 「ん?」 「のだめにもさせて下サイ…だって今日は…」 そういうと、のだめはうつぶせのまま這うようにして、俺の股間へ移動してしまった。 「上、向いてくだサイ」 「そんなこと…、しなくてもいいのに…」 「イヤですか?」 「そうじゃないけど…」 嫌いじゃないけど、のだめが自分でしようとしない限りは、と思っていた。というより、いつも俺がずっとのだめを攻め立てて いるせいで、機会がなかったのかもしれないけれど。 のだめの言うままに仰向けになると、半身を起こしながら、おずおずと俺自身に手を伸ばす。 「無理、しなくていいから」 「だいじょぶデス。でも、上手じゃなくても怒らないで下さいね」 そっとのだめの手が触れると、それでなくても張りつめている俺自身が、その手を払うように跳ね上がり、のだめが少したじろぐ。 もう一度、のだめがその暴れん坊をやわらく捕まえて、唇を近づけて先端にキスをした。 ―やべ…、見てるだけで、イキそうかも… のだめが口を開き、俺の先端をその唇の中に包み込むと、あたたかく痺れるような快感が頭のてっぺんからつま先まで走る。 しばらくそのまま含んでいたのだめが、小首をかしげながら舌を動かし始めた。 拙い動きだけれど、鈴口に、カリ首に、遠慮がちに与えられる刺激が、かえって震えるような快感をもたらしている。 「のだめ…、手、ちょっと動かしてくれる?」 無理にはさせないと思いながらも快感に抗えずにねだってしまう。 上目遣いの視線でうなずきながら、そっとのだめが手が上下させる。もっと速く…と言いたい気持ちを飲みながら、思わず 息が漏れる。 「あぁ…」 その声に刺激されたように、のだめが体を起こすと竿の半ば近くまで飲み込んだ。手の動きに力がこもり、段々とスピードを 上げていく。 「あ、待て…」 のだめは小さく左右に首を振ると、ますます激しく顔と手を上下させ始めた。 「のだめ…、ダメ・・・だ、離し…」 舌まで絡めながら、まるで俺の声が聞こえないかのように扱き続けられ、ついに…、 「…くっ、ぅっ…」 のだめの口に含まれたまま、その中に俺は放ってしまった。 「…?!…」 首を起こしてのだめを見ると、目をパチパチとさせて戸惑った顔をしている。 「のだめ…それ…」 吐き出していいからと言い終わる前に、喉が鳴る音がして、のだめが顔をしかめたような複雑な表情をしている。 「おいしくは、ないんデスね」 「バカ…当たり前だ」 ―たまらない…、何でこんなにかわいいんだ、俺を殺す気か…。 888 名前:最高のプレゼント―6[sage]:2007/02/17(土) 08:31:32 ID:mzlZ8bgE 俺は、体を起こすとのだめを引き寄せて思いっきり抱き締めて、耳元で囁いた。 「ありがとう。…でも、今度はまた俺が味わう番…」 背中に腕を回し、もう一方の手で膝を立てさせて、左右に開く。そっと入り口のあたりをなぞると蜜は十分あふれていて、 迷うことなく俺はその中に指を挿し込む。 「んん……っ」 いつも、どんなに潤っていても、ここに入るときは押し殺したような呻きが漏れる。 指を抜き差しし、中でこねるようにかき回すと、首を後ろに反らしながら喘ぐのだめ。 「あっ、ふ…ぅっ…んっ」 「じゃぁ、もう一本…」 指を抜くときに親指の腹で敏感な芽をかすめるように触れると、さらに高い声が響く。 「ぁぁっ、ぁぁっ、あぁっ…し…んいち…く…っ、」 のだめの背を片手で支え、その、快感に歪む顔を見ながら指を動かしているうちに、もう俺の相棒は息を吹き返し始めた。 ―これじゃ…3日も会わなかったらガツガツするハズだ… 「のだめ…、イクの、もうちょっと待って…」 引き抜いたばかりの、蜜のべったりとついた指を、のだめの目の前で自分の口に含んで舐めてみせた。 「ゃっ…」 顔をも真っ赤にしたのだめをそっと寝かせると、自分の準備をし、のだめの膝を曲げながら脚を持ち上げる。 とんでもなく無防備で恥ずかしい姿勢にされて、のだめは息を乱しながら目を伏せた。 「いい?」 かすかに顎が動くのを見てから、俺自身をのだめの蜜の中につきたてて、ぐいっと奥まで挿し込む。 「んっ…、ぁああーっ」 つながると、たとえようもない安堵感が俺の中に広がった。 ―これ…か… 自分が欲しかったものの正体がわかったような気がした。 「のだめ…」 「しん…いちくん?」 ―お前は丸ごと俺のもので、俺は丸ごとお前のもの… 「…だよな?」 「え…?」 「いや、何でもない」 ならば、もう何も…怖くない。 「いくぞ…」 もう何も考えず、ひたすら深く、のだめの奥へ、奥へと挿し込み続けた。のだめの腰も誘い込むように揺れている。 「ん…いちく…ん…、ぁっ、あぁんっ…もう…ぁあっ、あっ、あっ!あぁんっっ!」 のだめの体が小刻みに震え、入り口がきゅうっと締まりながらびくびくと脈打つ。 「の…だめ…」 もう一度名前を呼びながら俺も再び放った。 そして、まだ全身をわななかせながら、徐々に弛緩していくのだめを、そっと抱き締めた。 889 名前:最高のプレゼント―7[sage]:2007/02/17(土) 08:33:23 ID:mzlZ8bgE 二人ともかなりへばって、並んで横たわりながらやっと息が整った頃、のだめが言った。 「えと、他にしてほしいことはありませんか?」 「のだめに、腕枕したい…」 「それいつもしてるのに…、ヘンなしんいちくん。他には?」 「そこでそのまま眠って…」 「それもいつも……。じゃぁ、おやすみなサイ」 「うん、おやすみ」 ―いつも、いつもって、いつもじゃないだろ、今は…。 離れたくない…離したくない…。朝なんて来なけりゃいいのに。 ―でも…ありがとう、のだめ。 …愛してる… たぶん、今までの人生の中で一番の誕生日。 もう日付も変わってるけど、今日最後の願いをつぶやきながら、既に寝息を立てているのだめの鼻の頭にキスをした。 「明日寝坊するなよ」 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |