千秋真一×野田恵
![]() 「ほゎぁ〜、おいしそう」 ベッドに腰掛けて、リンゴをキュッ、キュッと袖でこすると、大きく口を開けてかぷっと歯を立てた。 真っ赤なリンゴにのだめの歯型がついて、白い実がのぞく。 「いつもなら先輩がむいてくれるんデスけどねー」 顔を輝かせて自慢げに、つながったままのリンゴの皮を見せびらかしたり、のだめのためにウサギの形にカット してくれた千秋を思い出すと、無性に切なくなって、ベッドに腰掛けながら自分の腕で自分を抱きしめてしまう。 あんなセクシーな寝顔を見たせいか、のだめはちょっとヘンな気分になっていた。 「はぅん、先輩の腕枕…」 ちゃんと用意されていた自分のためのスペースを思い出すと、頬が熱くなる。 ふと、いつも千秋が愛撫してくれる胸のふくらみの輪郭をなぞり、指先で弄ばれる胸の頂にもそっと触れる。 ワンピースのボタンを、2個、3個、手が入るだけ胸元を開けて、ブラジャーのすき間から指を差し込むと、 直に小さな突起に触れた。 「…!」 体がびくり、と震える。 千秋の指先が与えてくれるのと似たその快感に、すがるように自分の胸を愛撫する。 そして、もう一つの場所。 そっとワンピースの裾から手を差し入れると、小さな布の上から指で触れてみる。 かすかに湿り気を帯びているそこをそっと撫でると 「ハァ……」 のだめの口から熱っぽい吐息が漏れた。 「こんなことしちゃ…ダメ…ですよね…、でも」 何だか止められなくて、布の内側に指を滑らせ、直接触れてみる。 「あ…」 普段意識することもないその場所は、少しふくらんで固くなっていた。 「いつも、こんな風になってるんデスね…」 人差し指で撫で上げると、痺れのような快感が走る。 千秋に舌で愛撫される感触を思い出しながら、ひたすら指先で自分のクリトリスをこすり続けた。 やがて、千秋から与えられる絶頂とは少し違うが、うねるような高まりに襲われ、思わず名を呼びながら、 達してしまった。 「んっ…しんいちくん…」 我に返ると、のだめを襲った熱っぽさは消え失せていたけれど、どうしようもない恥ずかしさと罪悪感に襲われて、 慌てて乱れた服を直した。 「やっぱり、こんなことって…」 さっき、千秋の隣にもぐりこんでいれば、こんな気持ちにならずに済んだのかもしれないけれど、 今は邪魔したくないから…そして自分にもしなければならないことがあるから。 ずっと一緒にいるために。 ――あなたから、私は離れません。あなたの心が砕けるそのときにも。――(マタイ受難曲第17曲より) ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |