せくしーな声
千秋真一×野田恵


「あ、はぁん……」

先輩はそっと、私の中から自分を出した。
切ない感覚がお腹に渦巻いて、ねだる様な声が出てしまって、恥ずかしい。

「のだめ、後ろ……」
「え……」

のだめ、あのカッコ、好きじゃない……。
動物のアレみたいだし、先輩にしがみつけないし。

「だめ?」
「……」

それに、だって、お尻の穴丸見えじゃないデスか……。

「恥ずかしい……デス……」
「大丈夫だから」

先輩ズルイ。
耳元で、小さく「お願い」って、反則デス。

「電気消してくれますか」
「わかった」

先輩の腕が伸びて、小さな灯りを消した。
あたりは真っ暗……とは言えないけれど、いつもよりもずっと暗くなる。
月明かりがほんの少し、窓から入ってくるだけ。

先輩に促されて私は体を返し、手と膝をついた体勢になった。
うう、やっぱりはずかしーデス……。
どうしてもひけてしまう腰に先輩の手が添えられる。
ウエストのあたりを下へとちょっと押されて……お尻を突き出すみたいになる。
そして、先輩のものがそっと私を撫でた。

「あ、あん……」
「ちょっと待て、暗くて」
「やん……もちょっと上デス」

くちゅくちゅと何度かなぞられてから、先輩がゆっくり入ってきた。

「んっ、あ、入って……」

いつもとは違う圧迫感。
いつもよりちょっときつくて、先輩が入っていることを強く感じてしまう。
それが少し、怖い。

「のだめ、もうちょっと尻突き出して」
「そんなこと、やだっ……」

少しずつ、自分の体が先輩によって揺らされ始める。
お尻の両側に感じている先輩の手のひらが、熱い……。

浅いところも、深いところも、先輩は腰を動かして自在に私の中を動く。
当たったり引っかかる場所が、抱き合ってしているのとは違う。
いつもなら刺激されない部分が、先輩の出っ張ったところに何度もこすられる……。

「んんっ、はうん……やだぁ……」

たん、たん、と肌のぶつかる音がして、その合間に粘膜の立てるえっちな音。

恥ずかしい。
恥ずかしいです、先輩……。
こんなの動物みたいです。
でも……。
あれ?
なんか……体の中がぞわぞわと波立ってきた、感じ?

「のだめ……」
「あっ、あんっ、はん、はぁん……やんっ」
「……声、出てる。いい声」
「やっ、あ、あぁん、やだぁ、あっ、はんっ」

押し出されるみたいに声が出て、止まらない。
この前よりも……どうしよう、気持ちいい……。
肘に力が入らなくなって、かくんと崩れ落ちた。
お尻だけを突き出して、そこに先輩がいつもよりもずっと強くはやく、出し入れされている。

「やだ、やっ……だめ……」

先輩の指が、ベッドに突っ伏して潰されている胸の間に入り込んできた。
むにむにと手のひらで私の胸を包み、私の敏感な乳首は突き込みと共に指先にきゅっと締められる。

「腰、自分で揺らしてるぞ?……気持ちいい?」
「しらっ、知らな……やっ、あぁん!」

背中に、先輩の乱れた息がふきかかる。
はあはあ、って時々切なそうな声も混じって……そんな声聞いたの、初めて。
顔が見えないのが残念だけど、かわりにこんな先輩の声が聞けるなんて。
耳元で何度も名前を呼ばれて、背中にはキスの嵐。
初めて後ろ向きでしたときにはなかった「抱かれてる」感覚があって……。
背中にちゃんと先輩の体温を感じる。

不安はなくて、あとはもう先輩に体をまかせた。

「あ、あん、せんっ、ぱいっ、いっちゃ、うっ」
「名前っ、呼んで……っ」
「う、あん、し、んっ、しんっ、いち、くんっ……すきっ」

真一くんが、私の中で一段と硬く大きくなったのを感じたとき。

「も、だめ……ぇ!」

私は意識が真っ白になった……。

────────────────────

「どうだった?やっぱりイヤ?」
「……気持ちよかったデス……」

先輩は満足そうな顔をして、それはよかった、と私の頬を撫でた。

……なんだかズルイです。

「のだめ初めて聞きました」
「何が?」
「先輩の喘ぎ声……」
「……はあっ!?」
「『はうっ、んあっ』って。とてもせくしーでした。うきゅきゅ」
「……!!」

顔を真っ赤にした先輩は枕を私に投げつけて、キッチンへ行ってしまった。
でも、ほんとのことだもん……。

あんなせくしーな声聞けるなら、バックもたまにはいいデスね。
今度は、のだめからおねだりしてみようかな……。






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