ずっと一緒
千秋真一×野田恵


いつもより長くて深いキスの後、先輩が

「ほんとに、いいの?」

と囁く。

先輩の隣人になって早数年。
いつの間にかフツーにご飯を一緒に食べて、フツーにピアノを一緒に弾いて、
フツーにキスを交わすようになったけど・・・

今日は、もうひとつ、将来「フツーに」になりそうな事が始まろうとしてる。

先輩の瞳に捕らえられて身動きが出来ない。
キスの余韻でフワフワしている上に、まっすぐにこちらに向けた先輩の潤んだ瞳が
あまりに色っぽくて、それだけで気を失いそうになり思わず目をそらす。
うつむきながら、うなずく事だけで意志を伝える。

・・・ダイジョブデスヨ・・・

不意にあごを強引に押し上げられ、そしてまた先輩の唇が、私の唇を塞ぐ。
そのまま、ベッドに座っていた上半身に先輩が自身の体重をかけてきた。
私はゆっくりとベッドに仰向けになった。そしてその真上には先輩が。
身体がベッドに完全に沈んだ時、先輩の唇がゆっくりと離れた。
今度は先輩の方が、私と目を合わせようとしない。動きも完全に止まっている。

「先輩・・・? どしたんデスか?」
「お、お前、その・・、初めて、だろ?・・・無理しなくていいんだぞ?」

ぷぷぷ。

先輩ってば、この状況で

「じゃあ、やめてくだサイ」

って言えばやめるつもりなのかな。

「ダイジョブです。身体は未経験ですが、知識だけはプロ並デス!」
「ぶ。お前、やっぱり変態・・・」

あらかじめ用意してた台詞に、先輩が予想通りに突っ込んでくれたので、
それだけで気持ちが軽くなる。

・・・ダイジョブデスヨ。私もこの日を待ってたんデス・・・

先輩が優しすぎて、それが逆にじれったくて、ちょっとイジめたくなる。

「先輩は、初めてじゃないんデスよね?やっぱり。」

『やっぱり』のところは、わざと目をそらして、ちょっと怒ったような悲しいような、
ヤキモチを焼いてるフリをしてみる。

(先輩なら絶対うろたえるはず・・・)

先輩はハッとした顔で私を見た。
その後、ちょっと困った顔をしたけど、すぐにニヤっと笑って私の髪に顔をうずめ
耳たぶを軽く噛んでから囁いた。

「大丈夫だよ。俺も、初めてだから・・・変態を抱くのは。」

ギャボ。そうきましたか。やっぱり先輩のが一枚上手デス。

「辛かったら言えよ」

髪の毛をなでながらもう一度そう囁き、先輩の愛撫が始まった。
耳の後ろを舐められる感触に、背筋があわ立つ。初めての感覚。
先輩の舌が徐々に首筋に移っていく。舌の感触とともに、かすかに聞こえる
先輩の荒い息遣いが余計に気持ちを上ずらせる。
これが気持ちいいって感覚なのかな。でも、気持ちいいというよりなんだか変だ。
頭のてっぺんに細い針を何本も打ち込まれたような感じ。
チクチク、というか、ヒリヒリ、というか。
でも痛いわけじゃない。
なんだろう。自分の身体が自分のものでは無いような気がしてくる。

・・・コワイ・・・

ふとよぎる感覚に、思わず先輩にしがみつく。タスケテ、先輩。
のだめはどっかに飛んでっちゃいそうデス・・。

先輩にしがみつく事で、背中がベッドから少し浮いた。
その一瞬の隙に、髪をなでていた先輩の手が、ゆっくりと背中にまわり、
ワンピースのファスナーを静かにおろしていく。
もう片方の手は、私の片腕を掴み、力をこめて、でも優しく、自分の背中から離そうとする。
抵抗しても敵わない。あきらめて片方の手は先輩の代わりにシーツを握り締めた。
すると、先輩の手は私と先輩の身体の間に入り込み、ワンピースの上から、
思い切り胸を揉みだした。

「ハギャッ!?」
「ぶっ・・・」

思わず出てしまった変な声に、先輩が吹き出した。シーツに顔をうずめてクククッと笑ってる。

「おまえ・・やっぱ変態。もうちょっと色気ある声出せないの?」
「だ、だって・・。ご、ゴメンナサイ・・・」
「いや、いいんじゃない?おまえらしくてさ。」

ファスナーはあっけなく下まで降ろされた。一度腰の辺りまで来た先輩の手が、
ゆっくりと背中の中心をなぞりながら上にあがってくるのが解る。
そしてブラジャーに到達した手は、そのまま造作も無くホックを外した。

「ギャボ。先輩、・・・すごいデス・・・」
「な、なに?」
「だって、本当に、ネットの動画の人みたいで・・・。なんで片手で外せるんデスかー!?」
「・・・・お前って・・・」

は!私、また余計な事言っちゃったみたいデス・・・。
先輩が私の上で、まさに『 ○| ̄|_ 』になってる!!
そう思ったらなんだか笑いがこみ上げてきて、「ぶふっ」と思わず噴出してしまった。

「・・・たく、なんでお前、そんなに緊張感無いの?」
「え?そデスか?のだめだって、ドキドキのバクバクですよ?」

この言葉は本当。でも確かになんかまともじゃない自分にも気付いてる。
なんだろう、これ。照れ隠し・・?

「もう、いい。解った!」

突然上体を起こして、先輩が叫んだ。
そして自らのシャツを一気に脱ぎ捨てた。

「くそっ!お前が初めてだって言うから、こっちも気を遣ってやってたのに・・。もうヤメた!」

先輩の手が私の両肩に乗ったかと思ったら次の瞬間、
ワンピースとブラジャーを、一気に下に引き摺りおろした。
そしてその手で胸をわし掴みにして、激しく揉み始めた。

「や、先輩!い、痛いっ!んん・・・!!!」

反論しようとした口も、先輩の唇でふさがれた。そして先輩の舌が私の口の中を容赦なく犯していく。
こんな激しくされたのは初めてだ。

・・・鬼千秋・・・?

先輩から逃れようと顔を背けようとするけれど、できない。
胸をもてあそんでいる手も払いのけたくて、先輩の腕を持つけれど動かない。
逆に腕に力が入って、まるで先輩の愛撫を手伝っているような状況になる。
ダメです。先輩。のだめ、壊れちゃいマス。

「ん・・んんんーーー!!」

ようやくふさがれた口から、ありったけの声にならない声を出す事に成功すると
先輩もようやく私の唇を解放してくれた。

「せ、先輩、ヒドイデス」
「お前ほどじゃねーよっ!」

先輩はそのまま、今度は私の乳首に口を当てた。

「や、そんなのっ!!」

初めての感触に、身体が勝手にのけぞった。
自分の意志とは別の何かが、勝手に私の身体を動かしている。
先輩は、片方の胸をさっきより若干優しく揉み続けながら、先端を吸い上げる。
時には強く、時には優しく。そして時には音を立て、時には甘く噛む。

「はぅん・・・や・・・ああぁ・・・」

胸を愛撫されているのに、さっきから身体の中心・・おへその下の辺りがジンジンして・・
それに、なに、この声。自分の声じゃないみたい。それに勝手に口から出てきてるし・・

「・・・ちゃんといい声出せるじゃん」
「や、だって・・勝手に・・」
「うん。いいよ。いい音鳴ってるよ。きれいだよ。そのまま、俺に合わせて・・・」

胸から離れた先輩の手が、下着を分け入って入ってくる。
そして、私の中心を、まるでピアノの鍵盤を叩くように、優しく指で弾いた。

「あ・・・」

一瞬にして電流が頭のてっぺんまで走る感覚。
まるで、鍵を叩かれた振動が伝わっていくピアノ線のように。
先輩の指の動きは止まらない。ゆっくり、スタッカートで、そしてドルチェ・・・
指の動きに合わせてクチュ・・クチュ・・と、ピアノの音とは似ても似つかない卑猥な音がする。

「や・・あぁあん・・」

切ない、恥ずかしい、息苦しい・・・それに・・・気持ちいい・・・
先輩がリズムを打つたびに、電気の針が頭に刺さって、だんだん痺れていく。

「せんぱい・・・」

助けを求めるように手を伸ばすと、その手を受け入れるように先輩が上体を傾けてくれた。
先輩の首にしがみつくと、先輩はもう片方の腕で軽々と私の上体を持ち上げて抱きしめた。

「せんぱい・・・。のだめ・・・もう・・・」
「うん、だいじょうぶ。俺がついてるから、楽にして」

先輩の指の振動がすばやくなった。その瞬間、頭の中にたまっていた電気がいっせいに弾けた。

「あ、やあっ…ぁあ…んんっっ…あっあっ…ああぁああっ……っっ!!」

目の前が真っ白になり、そのまま、別の力にどこかに連れて行かれそうになり、
思わず腕に力が入った。それに応えるかのように、先輩も強く抱きしめてくれた。
先輩の腕の中で、自分の身体が震えているのが解る。
寒いわけじゃないのに。怖いわけでもないのに。・・・でも止まらない。

「のだめ?大丈夫?」

あれ?いつの間にか、鬼千秋が、いつもの先輩に戻ってる。
腕の力の強引さは変わらないのに、優しく気遣うような甘い声。

「ごめん、強引すぎた?」

はぅん、だから先輩のコト、好きなんデス。
ダイジョブですヨ。のだめは変態デスから・・・あれ?声が出ない。
その代わり、なんだか涙が・・。ナンデ?
ど、どうしよう、何か言わなきゃ。先輩が不安になる・・・

「のだめ?」

先輩の腕の力が少し緩んだ。

「せ、せんぱ・・。ご、ごめんな・・・」

ダメだ。うまい言葉が出てこないよ。
どうしよう。なんでもいいから、先輩が突っ込みやすいボケを・・・

「はぅ!」

一度緩められた腕に、また引き寄せられて、頭を先輩の胸に押し付けられた。

あ・・・先輩もドキドキしてマス・・・

「焦らなくていいから。」

髪をなでながら先輩が言う。

「『ずっと一緒』なんだろ?」

・・・あ、今絶対、先輩、赤くなってる・・・。
そデスね。そして、これが「フツーに」なっていくんデスよね・・。

「先輩・・・。・・・すきデス・・・」
「・・・知ってるよ。」

先輩、絶対照れた顔してるはず・・・。
見たいけど、このまま先輩の腕の中で眠りたいから、今日は我慢します・・・

・・・・・

「よし!」
「はぎゃ?」

ふいに先輩が抱きしめた手を放ち、肩に手をあて、おでこにキスをしてきた。
そして、ニヤっと笑って、

「じゃ、10分休憩して、続きからやるから」

・・・って、えーー!?

「先輩の鬼!もうのだめはヘロヘロです。無理デス!!」
「鬼はお前の方だ!俺はまだ終わってないんだよ!」
「先輩のスケベ!変態!」
「おまえ・・・覚えてろよ・・・」

ガボーン。また怒らせちゃいました・・・。のだめは今日、正気でいられるんでしょうか・・・






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