自分的脳内補完
千秋真一×野田恵


テビューコンサートが終わり、楽屋へもどる。ドアの前には、オレの使用済みタオルをもって、頬にぐるぐるをかかれたのだめの笑顔…。
…出会ってからいいことずくし……か。
オレはおもわずのだめを抱きしめていた。

腕の中ののだめは、思ったよりも華奢で柔らかい。

「せ、先輩…」

のだめが消え入りそうな声をだし、ここが廊下だった事を思い出した。オレはのだめの手を引き楽屋のドアを開ける。
燕尾を脱ぎ、タイをはずした。のだめは、ドアの前でかたまったままだ。その様子がおかしくて、思わず笑みがもれる。

「こっち来いよ」

再び抱き寄せて、耳元でそっと囁く。

「もう一回、してほしいんだろ…?」
「えっ…」

顔を上げたのだめのほほを両手で挟みこむと、微かに震える唇に唇をよせた。
唇をついばみ、そっと舌を割り込ませた。

「んっ…」

のだめの身体に力が入るのがわかる。けれど、今日は逃がさない。

舌で唇を、歯列をなぞっていくと、のだめの身体から力が抜けていく。更に舌を割こませ、おどおどと引っ込んでいる舌を無理矢理からめとった。

「ふっ…んむぅ…」

のだめの息遣いが、耳元をくすぐる。オレは、激しいキスを必死で受け止めているのだめの身体をまさぐる。白い首筋、無駄な肉のないなめらかな背中や小ぶりだが形のよいお尻…
手が届く場所すべてを確かめながら、絡めた舌を味わい強く吸い付く。何度も、何度も…。
と、腕の中ののだめが急に重く感じられた。

「え?」

慌てて唇を離すと、のだめは放心状態で、腕の中でずるずると崩れ落ちていく。

…ちょっとやりすぎたか…?やっぱ、コイツって経験ないのか……

そんな事を思っていたら、ドアをノックする音が。

…そうだ、ここは楽屋!!

パンフレットをもったまま、放心しているのだめをどうすることも出来ず、慌ててドアを開けると、由衣子たちの姿が。

「よくやったな真一!」
「どうも」
「あっ、のだめちゃん!?」

…み、見つかったか………

母さんの視線が痛い。

「あっ、佐久間さん!」

オレは慌てて楽屋を後にした。






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